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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 10525
管理番号 1201950 
審判番号 取消2008-301175 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-09-10 
確定日 2009-07-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第1805660号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1805660号商標(以下「本件商標」という。)は、「WAVEHOUSE」の欧文字を表してなり、昭和58年1月11日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同60年9月27日に設定登録され、その後、平成7年8月30日及び同17年8月16日の2回に亘り、商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成18年1月4日に指定商品を第5類「失禁用おしめ,失禁用おしめカバー」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成20年9月29日である。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第5類「失禁用おしめ,失禁用おしめカバー」及び第25類「被服」についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由として、本件商標の商標権者は、日本国内において、本件登録に係る商標を、継続して3年以上「失禁用おしめ,失禁用おしめカバー,被服」について使用していない。また、その商標登録原簿に徴する限り、本件登録に、専用使用権或いは通常使用権が設定・許諾されている事実も見当たらない。よって、「失禁用おしめ,失禁用おしめカバー,被服」についての本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである旨主張している。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 被請求人は、本件商標権について、「グンゼ株式会社」(本社:大阪市北区梅田)との間で、通常使用権許諾契約を締結しており、通常使用権者である「グンゼ株式会社」は、本件審判の予告登録日前3年以内において、「被服」に含まれる商品について、本件商標を使用していた事実がある。
したがって、本件商標登録は商標法第50条第1項の規定に基づいて取り消される理由はないものである。

2 本件商標の使用事実について
(1)通常使用権者による使用
被請求人は、乙第1号証に示されるとおり、本件商標が昭和60年9月27日に設定登録された後、昭和62年2月16日に、衣料品の製造販売を主たる業務のひとつとする「グンゼ株式会社」(以下、通常使用権者という。)との間で、本件商標権について通常使用権を許諾する旨の契約を締結している。
そして、当該契約は2年ごとに更新され、現在では2007年4月2日に契約したもの(乙第2号証)が有効に存続しており、当該契約における使用許諾の範囲、契約有効期間は以下のとおりとなっている。
〔使用許諾の範囲〕
本件商標の指定商品中、通常使用権者が日本国内で販売する商品「紳士・婦人・子供用ホームウェア」(第1条第2項参照)
〔契約有効期間〕
2007年4月19日から2009年4月18日(第13条参照)まで
(2)商標の使用態様
乙第3号証の1ないし3は、本件商標の使用状態を写した写真である。
すなわち、乙第3号証の1ないし3には、「ホームウェア」の一種であるパジャマ上着が表されており、その織りネームには「WAVEHOUSE」の文字が、黒一色の横書きにより表されている。
また、乙第3号証の1及び2において、商品の織りネーム部分から下げられた縦長長方形状のタグの中央部分には、「WAVEHOUSE」の文字が、織りネームと同様の黒一色の横書きにより表されていることがわかる。
上記写真は撮影日が本件審判請求日の予告登録後であるが、写真に示される商品と同じものが、本件審判請求日の予告登録日前3年以内に実際に取引されており、このことは、乙第4号証に示されるとおりである。
すなわち、乙第4号証は、実際に上記写真の商品と同じものが発注され納品されたことを示す「物品受領書」の写しである。
上記「物品受領書」は、発注日が「2008年2月29日」、納品日が「2008年3月20日」となっている。
そして、商品記載欄のうち上から第3番目に記載されている商品は、「品名・規格」欄に「SF2628」の品番、「色/入数」欄に「グレー L」の色・サイズ記号、「売単価」欄に「3980円」の販売価格が表示されており、これは、乙第3号証の3において、商品タグ裏面に表された「品番 SF2628」、「カラー グレー」「サイズ L」「本体価格¥3,980」 の表示と一致している。
また、「物品受領書」に記載された「社名/マイカル(キンキ)」「店名/ユウザキS」は、発注者である「株式会社マイカル」(本社:大阪市中央区久太郎町)の「結崎サティ」店(奈良県磯城郡川西町結崎所在)を表しており、当該会社及び店舗が実在することは、乙第5号証及び乙第6号証の、ウェブサイトをプリントアウトしたものから明らかである。
そして、「取引先名/グンゼハンバイKK」 は、通常使用権者である「グンゼ株式会社」の販売部門を意味するものである。
したがって、以上より、乙第3号証の1ないし3に示された態様の商品と同じものが、2008年2月29日の発注にもとづき、同年の3月20日に、通常使用権者から「マイカル株式会社の結崎サティ店」に対して納品されたことは、疑いのない事実である。
なお、通常使用権者は、第7号証の「2007 Spring & Summer HOUSE CASUAL WEAR COLLECTION/マイカル様商品提案書」に示されるように、上記写真の商品以外にも、春ないし夏用のホームウェアとしてのパンツやTシャツについて、「WAVEHOUSE ニットパンツA」「WAVEHOUSE フハクパンツA」「WAVEHOUSE Tシャツ」なる品名で、「WAVEHOUSE」の商標を付して販売することを、マイカル株式会社に提案しており、このことからも、上記乙第3号証及び乙第4号証に示される本件商標の使用が単なる名目的使用ではないことが容易に理解できる。
(3)予告登録前3年以内の使用
上述のとおり、本件商標については、通常使用権者が、平成20年(2008年)3月20日に、本件商標を付した商品を日本国内において販売しており、これは、本件審判請求の予告登録日、すなわち平成20年(2008)年9月29日(乙第8号証の登録原簿謄本参照)以前の3年以内の使用に該当する。
(4)指定商品についての使用
乙第3号証の1ないし3に示される商品は、タグ裏面に「紳士長袖」との品名を表示しているが、商品の外観から、主に家庭内で着用するパジャマ上着であることが容易に理解できる。したがって、当該商品は、通常使用権の許諾範囲となっている「紳士用ホームウェア」に該当するものであって、かつ、本件商標の指定商品中、第25類の「被服」に含まれる商品であることは明らかである。
したがって、本件商標は、第25類の「被服」に含まれる「パジャマ上着」に使用されているといえる。
(5)商標の同一性
乙第3号証に示される商品の織りネームには、地色を赤とし、その上に黒い文字で「WAVEHOUSE」と横書きし、その下方に小さく黒い文字で「GUNZE」と表しており、「WAVEHOUSE」の「E」の背後に重なるようにして、丸の中に白抜きでhを配した記号のようなものが表されている。
また、商品タグは、地色を赤としたタグの中央に、黒い文字で「WAVEHOUSE」と横書きし、タグの下端付近に小さく黒い文字で「GUNZE」と表し、「WAVEHOUSE」と「GUNZE」の文字の間に、丸の中に白抜きでhを配した記号のようなものが表されている。
これらの織りネーム又はタグに表された「WAVEHOUSE」「GUNZE」及び丸の中に白抜きでhを配した記号は、互いに大きさを異にしており、配置もばらばらで、また、これらを組み合わせた全体で一連の観念を生ずるような事情にもないことから、常に全体で一体不可分のものとして商標の機能を果たすものではなく、各部分単独でも商標としての機能を果たしうるものというべきである。
したがって、織りネーム及びタグにおいて、中央に配された「WAVEHOUSE」の文字部分は、単独で商標として十分機能するものである。
そして、当該「WAVEHOUSE」と本件商標を比較すると、両者は構成文字が同一であり、書体については文字の太さが若干異なる程度の差異しかなく、また、文字間隔については「WAVE」と「HOUSE」の間に空白があるか否かの差異はあるが、半文字程度の空白のため、商標全体の外観の比較においてはほとんど目立たないものであるから、上記織りネーム及びタグに表示された商標は、本件商標と社会通念上同一性のある商標である。
(6)したがって、以上の証拠から、本件商標と社会通念上同一の商標「WAVEHOUSE」を付した商品「パジャマ」が実際に取引されたことは、もはや疑う余地がなく、しかも上記受領書の日付が2008年3月20日となっていることから、かかる取引が審判請求の登録前3年(平成17年9月29日ないし平成20年9月29日)の間に行われたものであることは明らかである。
よって、乙第1号証ないし乙第8号証によって、本件商標と社会通念上同一の商標「WAVEHOUSE」が、本件審判の請求登録前3年以内に、本件商標の通常使用権者により、日本国内において使用されたことが証明できたものと思料する。またそれゆえに、本件商標は、その登録が取り消されるべきものではないと確信する。

3 むすび
上記主張並びに証拠によって明らかなとおり、本件商標については、その通常使用権者が、本件審判請求登録前の3年間に、本件審判請求に係る指定商品中、第25類「被服」に含まれる商品について、登録商標と社通念上同一の商標を使用しているので、本件商標を使用していないとする請求人の主張はなんら根拠がないものである。

第4 請求人の弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対し弁駁していない。

第5 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証は、商標使用許諾契約書の写しと認められるところ、本件商標の通常使用権が、商標権者からグンゼ株式会社に許諾されていることが認められる。
(2)乙第3号証の1及び2は、商品「パジャマ用上着」の写真(写し)と認められるところ、「WAVE HOUSE」の文字が織りネームに縫いつけられており、タグには、「WAVE HOUSE」の文字が、丸の中に白抜きでhを配した記号のようなもの及び「GUNZE」の文字とは視覚上分離できる態様で表されている。
タグに表された商標「WAVE HOUSE」は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
(3)乙第3号証の3も商品「パジャマ用上着」の写真(写し)と認められるところ、商標「WAVE HOUSE」が織りネームに縫いつけられており、タグには、「品番 SF2628」「カラー グレー」「サイズ L」の各文字、グンゼ株式会社の名称及び住所等が記載されている。
(4)乙第4号証は、物品受領書(チェーンストア統一伝票)の写しと認められるところ、上段左から、「社名 マイカル(キンキ)」「取引先名 グンゼハンバイKK」「発注日 08年02月29日」「納品日 08年03月20日」の各文字が記載され、下段には、「品名」欄に「SF2628」、「色/入数」欄に「グレー L」及び「1」の各文字が記載されている。

2 まとめ
乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が指定商品中「被服」に属する「パジャマ用上着」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-02-19 
結審通知日 2009-02-24 
審決日 2009-03-09 
出願番号 商願昭58-1742 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (10525)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 平澤 芳行
杉山 和江
登録日 1985-09-27 
登録番号 商標登録第1805660号(T1805660) 
商標の称呼 ウエーブハウス、ウエーブ 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 香原 修也 
代理人 小谷 悦司 
代理人 藤田 雅彦 

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