ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y37 |
---|---|
管理番号 | 1201929 |
審判番号 | 取消2008-300534 |
総通号数 | 117 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-09-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2008-04-25 |
確定日 | 2009-07-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4729160号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4729160号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4729160号商標(以下「本件商標」という。)は,「ヤマト車検」の文字を標準文字により表してなり,平成14年3月13日に登録出願され,第37類「自動車の修理又は整備及びこれらに関する情報の提供,二輪自動車の修理又は整備及びこれらに関する情報の提供」を指定役務として平成15年11月28日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張の要点 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。 (1)請求の理由 被請求人である商標権者は,本件商標を,その指定役務について,本件審判の請求の登録前継続して3年以上日本国内において使用していない。 また,本件商標の登録原簿には専用使用権者や通常使用権者についての登録はなく,その他の使用権者により,本件商標がその指定役務の何れかについて使用された事実もない。 したがって,本件商標は,商標法第50条の規定により,その登録が取消されるべきであることは明らかである。 (2)弁駁の理由 ア 被請求人は,「本件商標は,商標使用料を得ていたし,これからも得ることができるという意味では,利用しており,株式会社ベンチャーソフト(以下『ベンチャーソフト』という。)が解散されたのを奇貨として,被請求人の商標権の取消を求めるのは違法である。」旨主張し,根拠として以下の点を主張している。 (a)本件商標は,元のベンチャーソフトが商標登録したものである。カーコンビニ倶楽部株式会社(請求人)は,上記ベンチャーソフトと商標使用契約を締結し,請求人が代理権を開設するたびに商標使用料として,50万円を支払うという取り決めをした。 (b)平成16年10月13日に商標権の譲渡と上記使用契約の譲渡を受けた。 (c)ベンチャーソフトが解散した以上,解散の日から被請求人が請求人に対して商標使用による使用料を請求する権利を持っている。 そして,被請求人は,上記(a)の主張の根拠として乙第1及び第2号証を提出し,上記(b)の主張の根拠として乙第3号証を提出している。 イ しかしながら,そもそも請求人である「カーコンビニ倶楽部株式会社」(以下「新カーコンビニ」ということがある。)は,提出された乙第1号証の契約当事者である「カーコンビニ倶楽部株式会社」(以下「旧カーコンビニ」という。)とは別会社である。 すなわち,乙第1号証の契約当事者である旧カーコンビニは,乙第1号証の確認書にも明示されているとおり,翼システム株式会社(以下「翼システム」という。)の子会社であり,一方,請求人である新カーコンビニは,2007年2月に新設分割により旧親会社である翼システムから分社独立し,同年3月に株式会社パルライフの100%出資の子会社となっている。なお,旧カーコンビニは,現在では株式会社パスワードに名称を変更している。 さらに付言すれば,乙第1号証の第17条には「権利上譲渡の禁止」が規定されており,契約当事者である旧カーコンビニは,この契約に基づく権利の一部又は全部を第三者に譲渡,承継又は担保に供しないことを確認している。 以上から,そもそも被請求人は,請求人である新カーコンビニに対し,何ら使用料を請求する権利を有しないのである。 ウ さらに,提出された乙第1号証は,ベンチャーソフトと旧カーコンビニとの間で締結された「キャラクター使用許諾契約書」であり,本件商標の使用権を許諾するものではない。すなわち,この許諾契約書の第1条には,松本零士原作の「新宇宙戦艦ヤマト」を「カーコン車検倶楽部」の広告宣伝及び販売を目的として使用することを許諾する旨が定められているが,本件商標「ヤマト車検」を使用することどころか,本件商標の指定役務である「自動車の修理又は整備及びこれらに関する情報の提供,二輪自動車の修理又は整備及びこれらに関する情報の提供」について使用することについては,何ら明記されていない。 そして,乙第2号証は,ベンチャーソフトと旧カーコンビニとの間における「映画投資事業」に関する契約書であり,何ら商標の使用について規定するものではない。 よって,そもそも本件商標をその指定役務について使用することを許諾する契約自体存在せず,被請求人の上記(a)の主張自体が不当である。 エ 以上のとおり,本件商標の使用許諾自体存在しないのであるから,上記(b)については,あえて言及するまでもないが,念のために主張すれば,「平成16年10月13日に商標権の譲渡」を受けたことは認められるが,「上記使用契約の譲渡を受けた」ことについては一切証明されていない。 オ そもそも,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件請求に係る指定役務「自動車の修理又は整備及びこれらに関する情報の提供,二輪自動車の修理又は整備及びこれらに関する情報の提供」のいずれについても本件商標の使用をしていることを証明していないのであるから,本件商標の登録の取消しを免れない。 カ 商標権者は,本来,商標の使用者となるべきであり,商標権者と商標の使用者とが懸離れて存在し,ライセンス料などの財産的側面だけに着目されるべきではない。請求人は,本件商標の使用を望むものであり,一方で被請求人は,本件商標を使用していないのである。 よって,本件商標は,その指定役務について登録が取り消されるべきである。 3 被請求人の答弁の要点 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由,弁駁に対する反論及び当審判体の発した審尋に対する回答を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1ないし第6号証を提出している。 (1)答弁 ア 本件商標は,元のベンチャーソフトが商標登録したものである。カーコンビニ倶楽部株式会社(請求人)は,上記ベンチャーソフトと商標使用契約を締結し,請求人が代理店を開設するたびに商標使用料として,50万円を支払うという取り決めをした。 イ ところで,被請求人は,平成16年の時点でベンチャーソフトに1406万4000円の貸し付けがあった。 そこで,被請求人がベンチャーソフトに返済を督促したところ,ベンチャーソフトは,返済現金がないので,本件商標を代物弁済としたいというので,平成16年10月13日に商標の譲渡と上記使用契約の譲渡を受けた。ベンチャーソフトは,経営が悪く,事業を継続する間は,請求人から使用料を取るので,それを貸しておいてくれといわれたので,被請求人は承諾した。 ウ その後,ベンチャーソフトは解散し,代表者が雲隠れをした。被請求人は,ベンチャーソフトの代表者を探したが連絡がとれず,いまだに貸付金の返済がない。ベンチャーソフトが解散した以上,解散の日から被請求人が請求人に対して商標使用による使用料を請求する権利をもっている。 したがって,本件商標は,商標使用料を得ていたし,これからも得ることができるという意味では,利用しており,ベンチャーソフトが解散されたのを奇貨として,被請求人の商標権の取り消しを求めるのは違法である。 (2)弁駁に対する反論 ア 請求人は,社名変更などを理由に答弁内容の無効を訴えているが,本来なら商標権者である被請求人に変更時に報告するのが当然であり,突然の取消請求は不当である。 イ また,乙第1号証について「権利上譲渡の禁止」規定についてふれているが,この規定は請求人に対してのものでありベンチャーソフトに対しては規定されていない。 (3)審尋に対する回答 ア 請求人は,ベンチャーソフト名での登記を認めた上,代理店が開設されるたびにYSPロイヤリティー名目で乙第6号証(総勘定元帳)にあるとおり,使用料をベンチャーソフトに支払っていた。これは,請求人がベンチャーソフトに当該商標における使用を認めていた事の証である。 イ 本件商標のデザインは,被請求人がベンチャーソフトに在籍中に全て各デザイナーに指示を出しディレクションし,請求人にデザインデータで供給したものである。 ウ したがって,請求人に商標を含めたライセンス許諾をしていた点で,被請求人は登録商標を使用していた。 4 当審の判断 商標法第50条第1項の規定に基づく商標登録の取消の審判が請求された場合には,その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り,商標権者は,その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消を免れないことは,同条第2項の規定から明らかである。 しかるに,被請求人は,乙第1ないし第5号証を提出し,本件商標の前商標権者であるベンチャーソフトから本件商標の商標権及び使用契約の譲渡を受けたこと,請求人に対し本件商標の使用料を請求する権利を有すること,商標の使用料を得ていたし,これからも得ることができるという意味では利用していること,などを主張するに止まり,本件商標がその指定役務について使用されていることを何ら具体的に主張,立証するところがない。 これに対し,当審判体は,平成21年3月12日付の審尋をもって使用事実を立証する書面の提出を求めたが,被請求人から新たに提出された主張及び乙第6号証は,前記の主張,立証の範囲にとどまるものであり,本件商標についての具体的な使用事実を立証するものではない。 また,被請求人は,本件の取消審判請求は違法である旨主張しているが,商標法第50条第1項は,「何人も,その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定していることからすれば,本件の取消審判請求を違法ということはできない。 なお,提出に係る乙第1号証は,「ベンチャーソフトと旧カーコンビニ間の『キャラクター使用許諾契約書』締結調印式」と題する書面の写しであり,乙第2号証は,ベンチャーソフトと翼システムとの間の「覚書」の写しであり,乙第3号証は,ベンチャーソフトから被請求人宛ての本件商標に係る商標権譲渡証書の写しであり,乙第4号証は,ベンチャーソフトによる「第5期定時株主総会招集ご通知」の写しであり,乙第5号証は,株式会社アニメーションソフトに係る登記簿謄本の写しであり,乙第6号証は,ベンチャーソフトの総勘定元帳の写しと認められるところ,乙第4号証中に「業績の概況」として「ライセンス事業として株式会社サンキョウに許諾致しました『大ヤマト』のキャラクターを使用したパチンコ,翼システム『ヤマト車検』のキャラクター使用料及び株式会社ニューウイングからの売上等を計上致しました。」との記載及び乙第6号証に「翼システム(株)YSPパッケージロイヤルティ」の記載が見られるものの,他に,本件商標についての具体的な記載はもとより,その使用を示すものは一切見当たらない。 そうすると,被請求人は,本件審判の請求の登録(平成20年5月16日)前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標をその指定役務について使用していることを証明したとは認められない。 したがって,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても,その指定役務について使用されていなかったものといわざるを得ず,また,その使用がされていないことについて正当な理由があるものとも認められないから,商標法第50条第1項の規定に基づき,その登録を取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-05-15 |
結審通知日 | 2009-05-20 |
審決日 | 2009-06-02 |
出願番号 | 商願2002-19731(T2002-19731) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Y37)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大島 勉 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 小林 由美子 |
登録日 | 2003-11-28 |
登録番号 | 商標登録第4729160号(T4729160) |
商標の称呼 | ヤマトシャケン、ヤマト |
代理人 | 黒沼 吉行 |