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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z2427
管理番号 1201926 
審判番号 取消2008-300199 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-02-18 
確定日 2009-07-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第930668号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第930668号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第930668号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和44年11月17日に登録出願、第20類「家具、畳類、建具、屋内装置品、屋外装置品、記念カップ類、葬祭用具」を指定商品として、同46年9月30日に設定登録、その後、三回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成14年3月13日に指定商品を、第24類「織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕」及び第27類「畳類,敷物,壁掛け(織物製のものを除く),人工芝」とする指定商品の書換登録がなされたものである。
そして、平成20年3月4日に本件審判の請求の登録がなされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、商標登録事項記載書類(商標登録原簿及び商標公報)写しを添付した。
(1)請求の理由
請求人は、本件請求に先立って職業的調査機関に依頼して当該商標権者の業務内容、取扱商品の範囲、そして特に「Burlington及び図形」からなる本件商標の使用の実態について、取引先に対する照会等を含め鋭意詳細に調査を実行した。
しかしながら、本件商標が使用されたことを示す資料を発見することが出来なかった。また、過去3年間にわたり本件商標について専用使用権者または通常使用権者の登録もされておらず、それらの存在を窺わせる資料も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によっていずれの指定商品についても一度も使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)証拠が不適切なものであること
乙第1号証、乙第3号証、乙第5号証の1ないし乙第7号証の2については英語で記載されている。外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは、取り調べを求める部分についてその文書の翻訳文を添付しなければならないとされている。乙第1号証、乙第3号証、乙第5号証の1ないし乙第7号証の2には翻訳文が添付されていないため、そもそも、これらは本件審判の証拠として採用されるべきではない。
(イ)わが国における使用に該当しないこと
乙第1号証は、英語で記載されている上に、照会先として挙げられている住所もアメリカ合衆国の住所であるため、わが国の需要者を対象としていないウェブサイトであることは明白である。
また、後述するとおり、提出された証拠からは被請求人とインターナショナル・テキスタイル・グループ(以下「ITG」という。)の関係は明らかではないが、仮に、被請求人が主張するとおり、被請求人がITGの傘下に属しており、被請求人の商品がITGの支社や提携先を介して販売されているとしたとしても、乙第3号証のうち被請求人の商品の取り扱い先を述べていると思われる箇所には、わが国の住所を有する販売業者が一つも記載されていない。乙第3号証が英語で記載されていることにも鑑みると、被請求人の「当然その販売先には日本も含まれている」との主張は疑わしいと言わざるをえない。
乙第5号証の1ないし乙第7号証の2についても、英語で記載されており、明らかに、わが国の需要者を対象とするものではない。
もし、被請求人が主張するとおり、本件商標がわが国において使用されているのであれば、日本語で記載された資料が何かしら存在するはずである。被請求人が、そのような資料を何ら提出することなく、単に英文のウェブサイトをプリントアウトしたもののみ提出していることに鑑みると、本件商標はわが国において使用されていないと考えるのが自然であろう。
以上の点に鑑みると、仮に、乙第1号証、乙第3号証、乙第5号証の1ないし乙第7号証の2が証拠として採用されるとしても、これらによっては、わが国において本件商標が使用されてきたことを証明することはできない。
(ウ)本件審判の請求の登録前三年以内の使用に該当しないこと
乙第1号証、乙第3号証ないし乙第7号証の2のウェブサイトは全て右下に「2008/06/02」と記載されているため、2008年6月2日時点に存在し、印刷されたものであることが推測される。本件審判の登録日は2008年3月4日であるため、乙第1号証、乙第3号証ないし乙第7号証の2は、本件審判の請求の登録前三年以内の使用であることを証明する証拠とはなりえない。
また、乙第2号証は、1997年2月14日に発行された「1997年度版外国会社年鑑」であるため、被請求人の前身である「バーリントン インダストリーズ インコーポレイテッド」がわが国においてビジネスを行っていた旨が記載されているとしても、それはあくまで1997年時点における情報であり、本件審判の請求の登録前三年以内に、被請求人がそのようなビジネスを行っていたことの証明にはならない。
乙第8号証の1及び乙第8号証の2には日付が記載されておらず、いつの時点における本件商標の使用を証明する意図があるのか不明である。
したがって、被請求人より提出された乙第1号証ないし乙第8号証の2によっては、「本件審判の請求登録前三年以内の使用」であることは証明されていないと考えるものである。
(エ)本件商標の使用に該当しないこと
被請求人が提出した証拠のうち、乙第4号証ないし乙第8号証の2に何らかの商標であると思われるものが表わされていることについては認める。
しかしながら、これらの商標は、本件商標と社会通念上同一のものとは認められないため、これらは、本件商標の使用には該当しない。
本件商標は、四隅が丸い黒塗りの正方形の中央部分に絡み合わされた2本の縦糸と2本の横糸が白抜きで描かれている構成からなる図形とその下部に表わされた欧文字「Burlington」の組み合わせからなる商標である。
しかしながら、乙第4号証に表わされた商標には、黒塗りの正方形が描かれておらず、同商標は、本件商標の図形部分とは、外観上、全く異なっている。
文字部分と図形部分が分離した構成となっている本件商標と乙第5号証の1ないし乙第6号証及び乙第8号証の2に表わされている商標とは、外観上も異なっているし、また、文字部分が「Burlington」のみから構成される本件商標とは称呼も明らかに異なるものである。
また、乙第7号証の1及び乙第7号証の2で表わされている商標は、本件商標とは称呼の上で異なるものである。
以上より、被請求人が提出した証拠のうち、商標が表わされているものがいくつか見受けられるものの、そのいずれも、本件商標とは、外観において同視される図形とはいえなかったり、また、同一の称呼が生じるとはいえないものであり、本件商標と社会通念上同一とはいえないものであるから、これらによっては、本件商標の使用を証明したことにはならないと考える。
(オ)専用使用権及び通常使用権の存在が把握できないこと
被請求人である「バーリントン インダストリーズ エルエルシー」と、被請求人の主張や証拠の中で触れられているITG、Burlington Industries,Inc.、バーリントンハウス社、バーリントンワールドワイド社、バーリントンレイフォード社との関係が不明である。
おそらく、被請求人はITGに本件商標の使用について使用許諾をしている旨を主張しているのだと思われるが、被請求人が本件商標の使用をITGに許諾したことを示す証拠が何ら提出されていないため、その主張は認め難いものである。
(カ)以上より、被請求人は、審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品についての本件商標の使用をしてきたことを証明していないから、商標法第50条第2項の要件を満たさず、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れることはできない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。
理 由
被請求人及び被請求人から許諾を受けた者(以下「被請求人等」という。)が、以下に述べるとおり、本審判請求前3年以内に、日本国内において、請求に係る指定商品について使用している。
(1)被請求人は、世界有数の繊維製品メーカーであり、本件商標を使用していること
被請求人は、世界有数の繊維製品メーカーであり、その前身である「バーリントン インダストリーズ インコーポレイテッド」が1923年に設立されて以来80余年、被服用織物やニット織物、カーテン、ベッドカバー、マットレスカバーなどのインテリア装飾品、カーペット、浴室ラグなどの敷物などの多岐にわたる製品の製造・販売に従事している(乙第1号証、乙第2号証)。
そして、現在、被請求人はITGの傘下に属しているところ、同グループは、乙第3号証に示すとおり、世界各国に支社や提携先を有しており、被請求人の商品は、そうしたITGの支社や提携先を介して全世界で販売されており、当然その販売先には日本も含まれている。
被請求人の業務は、織物、マットレス、じゅうたん、綿織物、デニム生地、婦人用正装、医療用・外科用生地、男性用被服、軍服用生地、寝具用生地、制服用生地、防水生地、女性用下着、寝具類などの布地・織物・繊維などの生地やこれらの原材料とする製品の製造・販売であり、本件審判請求に係る指定商品の製造・販売も、当然、前記業務に含まれるものである。
そして、被請求人は、自らの、又はグループ会社であるバーリントン ハウス社、バーリントン ワールドワイド社やバーリントン レイフォード社等のホームページにおいて、バーリントン社の製品の表示をするための識別標識として「BURLINGTON」の語及び「ウィーブ(織物模様)図形」を結合した本件商標を使用している(乙第4号証ないし乙第7号証の2)。
また、例えば、バーリントン ワールドワイド社の製品には、乙第8号証の1及び乙第8号証の2が示すタグが付されている。
これらのホームページやタグに表示されている商標(以下「使用各商標」という。)は、上述したとおり、「BURLINGTON」の文字、及び「ウィーブ図形」を構成に有する点で、本件商標と共通している。よって、これら本件商標及び使用各商標のすべてから「バーリントン」という称呼が生じ、また、いずれの商標も外観において同視される図形を構成に有する商標といえるから、使用各商標は、本件商標と社会通念上同一と把握・認識されるべきものである。
したがって、被請求人等が、本審判請求前3年以内に、本件商標を使用していることは明らかである。
(2)さらに証拠を提出する用意があること
被請求人は、販売先・取引先企業等に対し、本件商標が付された製品の日本における製造・販売状況の詳細を示す資料の準備をするよう指示しており、準備が整い次第、さらに詳細な証拠を提出する用意を進めている。
被請求人が、外国に本社を有する企業であって、販売先・取引先企業等との連絡や資料の準備に時間を要するため、追加資料を提出することにつき理解されたい。

4 当審の判断
(1)被請求人は、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出し、被請求人等が、本審判請求登録前3年以内に、請求に係る指定商品について本件商標を使用している旨主張している。
そこで、被請求人の提出に係る前記証拠についてみる。
(ア)乙第1号証、乙第3号証ないし乙第7号証の2のウェブサイトによれば、英語のページのみの抜粋であり、日本からもアクセスが可能なサイトであっても、その内容がすべて英語で表示されているような場合には、日本の需要者を対象としたものとは認められず、該ウェブサイトの記載内容をもって、日本国内における使用とは認められない。
なお、被請求人は、該ウェブサイトの記載内容から「被請求人自らの、又はグループ会社であるバーリントン ハウス社、バーリントン ワールドワイド社やバーリントン レイフォード社等のホームページにおいて、バーリントン社の製品の表示をするための識別標識として『BURLINGTON』の語及び『ウィーブ(織物模様)図形』を結合した本件商標を使用している。」旨を主張しているにとどまり、実際に日本国内において、該製品がどのような時期に、誰に対して、どのような方法で取引されたか等、具体的な取扱いについて何らの証拠の提出もない。
(イ)乙第2号証の「1997年版 外国会社年鑑」(1997年2月14日発行)によれば、被請求人の前身である「バーリントン インダストリーズ インコーポレーテッド」の概要を示す資料であって、それは1997年時点における情報であり、本件審判請求の登録前3年以内に、被請求人等がそこに示されている業務を行っていたことの証明にはならない。
(ウ)乙第8号証の1及び第8号証の2は、バーリントン ワールドワイド社の製品に付されているタグを示すにすぎない。
(2)そうすると、本件商標は、被請求人等によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品について使用していたことを証明したとはいえない。
(3)そして、被請求人は、前記乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)のほか、「販売先・取引先企業等に対し、本件商標が付された製品の日本における製造・販売状況の詳細を示す資料の準備をするよう指示しており、準備が整い次第、さらに詳細な証拠を提出する用意を進めている。」旨主張しているが、その後、相当の期間が経過したにもかかわらず、証拠の提出がない。
(4)してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について使用していたことを証明し得なかったのみならず、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲 本件商標

審理終結日 2009-01-27 
結審通知日 2009-01-30 
審決日 2009-03-03 
出願番号 商願昭44-102327 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z2427)
最終処分 成立  
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 田村 正明
末武 久佳
登録日 1971-09-30 
登録番号 商標登録第930668号(T930668) 
商標の称呼 バーリントン 
代理人 米屋 崇 
代理人 北口 貴大 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 城山 康文 
代理人 森 智香子 

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