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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X29
審判 全部申立て  登録を維持 X29
管理番号 1200616 
異議申立番号 異議2008-900451 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-11-07 
確定日 2009-07-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5158470号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5158470号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5158470号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成19年5月1日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同20年6月23日に登録の審決がなされ,同年8月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人「日本薬品開発株式会社」(以下「申立人」という。)は,本件商標についての取消理由に下記の2件の商標を引用している(これらの商標を総称するときは「引用商標」という。)。
(1)登録第4925352号商標(以下「引用商標1」という。)は,「PROGREEN」の欧文字を横書きしてなり,平成17年6月3日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同18年2月3日に設定登録されたものである。
(2)登録第4925351号商標(以下「引用商標2」という。)は,「プログリーン」の片仮名文字を横書きしてなり,平成17年6月3日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同18年2月3日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,視覚上「multi」と「ProGreens」とに分離して把握し得るものであり,また,各種健康食品においては,「multi」の語は,「マルチビタミン(各種ビタミンを配合したサプリメント)」や複数の栄養素を材料とするサプリメントであることを表示する語として広く知られている。
そうとすれば,本件商標は,いわゆる健康食品の範疇に属する商品を指定商品とするものであるから,その構成中の「multi」の文字部分は,自他商品識別力の極めて弱い部分であり,出所標識としての機能を果たすのは,「ProGreens」の文字部分にあり,これから「プログリーンズ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
してみれば,本件商標は,「プログリーン」の称呼を生ずる引用商標とは,語尾における「ズ」の音の有無の差異のみであるから,称呼において相紛らわしく類似する商標である。
また,本件商標は,引用商標と観念においても類似し,引用商標1とは外観においても類似するものである。
そして,互いの指定商品も類似している。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第19号について
申立人は,健康食品(健康補助食品)の製造・販売を行っており,特に,大麦若葉の持つ豊富な栄養素に着目し,これを乾燥・粉末化した,いわゆる「青汁」の製造・販売に注力している。「PROGREEN/プログリーン」は,申立人の製造販売に係る商品「麦類若葉を主原料とする加工食品」を表示するものとして,本件商標の出願時には,既に広く知られていたものである(甲第7号証ないし甲第18号証)。
商標権者は,「ProGreens」なる商標が付された健康食品を米国から輸入し,ウェブサイトにおいて当該製品を掲載するとともに,当該製品を「プログリーン」と称して日本国内において販売していた。
申立人は,商標権者に対して,商標権者の該行為は引用商標に係る商標権の侵害を構成する旨を告げる通知書を送付したところ,商標権者は,当該製品の取扱いを止めるか又は商標権者が保有する登録商標「MultiproGreens/マルチプログリーン」を使用する旨の回答をしてきた。
しかし,商標権者は,その後も販売を継続し,また,「Multi」と「proGreens」の文字を二段書きにし,しかも,「Multi」の文字を極めて小さく表示する態様の商標を使用するとともに本件商標を出願したものである(甲第20号証ないし甲第25号証)。
本件商標の出願時までの商標権者と申立人との交渉経緯を考慮すると,このような本件商標の使用・出願行為は,いわゆる取引上の信義則に反するものであって,「不正の目的」があったものと言わざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,別掲に示したとおり,「multi」の欧文字と「ProGreens」の欧文字とを二段に横書きしてなるものであるところ,その構成文字は,同じ書体,同じ大きさで表されており,二段に表示されているものの,いずれか一方を強調するような構成態様ではなく,まとまりよく表されており,その全体をもって一体のものとして把握されるとみるのが自然である。
そうすると,本件商標は,これに接する需要者等が構成中の「multi」の文字部分を商品の品質を表すものとして分離し,「ProGreens」の文字部分のみをもって取引するというよりは,全体として特定の観念を生じない不可分一体の造語からなるものとして認識されるというのが相当である。
してみると,本件商標は,その構成文字全体に相応して「マルチプログリーンズ」の称呼のみを生ずるというべきである。
一方,引用商標は,前記のとおりの構成からなるものであるから,該各文字に相応して「プログリーン」の称呼を生ずることが明らかである。
そこで,本件商標と引用商標から生ずる称呼を比較すると,本件商標から生ずる「マルチプログリーンズ」の称呼と引用商標から生ずる「プログリーン」の称呼とは,その構成音数及び音構成が明らかに相違するものであるから,それぞれを一連に称呼しても互いに聞き誤るおそれはないものである。
そして,本件商標及び引用商標の構成は,上記したとおりであるから,両者は,外観において,十分に区別し得るものであり,また,上述のとおり本件商標からは特定の観念を生じないことから,観念において,両者は比較し得ないものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
申立人は,本件商標の出願時までの商標権者と申立人との交渉経緯を考慮すると,本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである旨主張している。
しかしながら,本件商標は,上記のとおり,二段に表示されているものの,全体として不可分一体の構成からなる商標というべきものであり,申立人が使用している引用商標と類似する商標とはいえない。
しかも,商標権者は,平成7年12月8日に,第30類「小麦・大麦・オート麦・スピルリナ・クロレラ・花粉・緑茶・海草・種子類・ほうれん草・朝鮮人参・アルファルファ等を主成分とした粉末状の加工食料品」を指定商品として,「MultiProGreens」の欧文字と「マルチプログリーン」の片仮名文字とを二段に横書きしてなる商標を登録出願し,同9年12月12日には,登録第4091664号商標として設定登録を受けていたものである。
そうとすると,本件商標は,商標の使用状況の変化に対応させるために,商標権者が保有している上記登録商標の欧文字部分のみを二段に併記する形にして出願し,登録を受けたものとみるのが自然であり,申立人と商標権者との間に,申立人が主張しているような事情があったとしても,そのことの故に,商標権者(出願人)が本件商標を不正の目的をもって採択したものということはできない。
そして,商標権者が「Multi」と「ProGreens」の文字を二段書きにして,しかも,その構成中の「Multi」の文字のみを極めて小さく表示した商標(甲第25号証)を使用することが登録第4091664号商標あるいは本件商標との関係において,商標法の他の規定に触れるか否かの問題は,別途,判断されるべきことである。
したがって,この点についての申立人の主張も採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第19号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標


異議決定日 2009-06-23 
出願番号 商願2007-43726(T2007-43726) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (X29)
T 1 651・ 222- Y (X29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤田 和美 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 2008-08-08 
登録番号 商標登録第5158470号(T5158470) 
権利者 株式会社エム・エヌ・ジャパン
商標の称呼 マルチプログリーンズ、マルチ、プログリーンズ、プロ、ピイアアルオオ 
代理人 特許業務法人 共生国際特許事務所 
代理人 竹内 耕三 
代理人 深見 久郎 
代理人 森田 俊雄 
代理人 野田 久登 

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