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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X1628
管理番号 1200595 
異議申立番号 異議2008-900389 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-09-29 
確定日 2009-06-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5145909号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5145909号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5145909号商標(以下「本件商標」という。)は、「銀のさじ」の文字を標準文字で表してなり、平成19年10月18日に登録出願、第16類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同20年5月21日に登録査定、同年6月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人の引用する商標
(ア)商標法第4条第1項第11号の取消理由に引用している商標
登録異議申立人ユニ・チャームペットケア株式会社(以下「申立人」という。)が商標法第4条第1項第11号の取消理由に引用している登録第4381207号商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成11年9月7日に登録出願、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年5月12日に設定登録されたものである。
また、申立人は、その外に、その構成を上記商標と同じくする登録第4404155号商標(第8類)、登録第4404156号商標(第9類)、登録第4404157号商標(第18類)、登録第4404158号商標(第25類)、登録第4437201号商標(第20類)、登録第4437203号商標(第28類)、登録第4452296号商標(第24類)、登録第4472303号商標(第21類)、登録第4490765号商標(第5類)、登録第4510248号商標(第3類)及び登録第4532819号商標(第31類)を引用している(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という。)。
(イ)商標法第4条第1項第15号の取消理由に引用している商標
申立人は、商標法第4条第1項第15号の取消理由に該当するものとして、申立人が商品「キャットフード」について使用しているとして引用している商標は、「銀のスプーン」の文字よりなる商標及び別掲(2)(3)のとおりの構成からなる商標である。(以下、これらをまとめて「使用商標」という。)

(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は「銀のさじ」の文字よりなり、一方、引用商標は「silver spoon」の平易な英単語からなるものであるところ、両商標からは、いずれも「銀(製、色)のスプーン」の共通の観念を生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念において相紛らわしい類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と抵触するものである。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、平成16年から「キャットフード」に「銀のスプーン」の文字からなる商標を使用しており、使用商標は、17種類の商品ラインナップを有するシリーズ商品のファミリーマークとなっている。銀のスプーン商品の累積販売額は、2008年9月までに200億円近くに達し、販売個数も7千8百万個に及んでいる。キャットフードのブランド別シェアも「ドライ」では、ここ2年間に亘り第3位の座を占めており、「ウェット」でも第3位ないし第5位前後を占有している。また、申立人は、銀のスプーン商品の広告費として年間31億ないし37億円程度、延べにして約133億円を費やしている。
以上のとおり、申立人が「キャットフード」に継続して使用してきた「銀のスプーン」の商標は、遅くとも、本件商標の登録出願の時には、申立人の商品を表示する商標として著名になっていたものである(甲第4号証ないし甲第25号証)。
したがって、本件商標がその指定商品について使用された場合には、申立人又は申立人の関連会社の取扱いに係る商品であると需要者が誤信することにより、商品の出所について混同するおそれがある。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり、「銀のさじ」の文字を標準文字をもって表されているものである。
他方、引用商標は、別掲(1)のとおり、「Silver Spoon」の文字を書してなるものであるが、その構成は、一種独得な筆記体をもって書されており(「Spoon」の欧文字の最後の文字にはやや長い斜線を伴っており、見方によっては「n」と「y」の文字を結合したかのようにも見える)、全体として緩やかな弧を描くように表されているものである。
そこで、本件商標と引用商標の類否についてみるに、両商標は、上記のとおり、外観において顕著な差異を有するものであり、また、本件商標からは「ギンノサジ」の称呼を生じ、引用商標からは「シルバースプーン」の称呼を生ずるものであるから、その称呼においても明らかな差異を有するものである。
してみれば、両商標は、観念において共に「銀色の(或いは銀製の)匙(スプーン)」の意味合いを想起させるとしても、外観及び称呼において顕著な差異があり、両商標から受ける印象を全く異にするものであるから、互いに誤認混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。
したがって、外観、称呼及び観念を総合して考察した場合、本件商標と引用商標とは、類似する商標であるとすることはできない。
なお、申立人は、審決例を挙げているが、商標の類否の判断は、各商標につき個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、該審決例は、本件とは商標の構成も異なり、事案を異にするものというべきであるから、本件についての判断の参考として採用することはできない。

(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、「銀のスプーン」の文字からなる使用商標との関係において、本件商標の登録が商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである旨主張している。
そこで、本件商標と使用商標の類否についてみるに、両商標は、その構成文字中の前半における「銀の」の文字を共通にするものの、後半における「さじ」と「スプーン」の文字の差異を有するものであるから、外観において、全体として著しく異なった印象を与えるものであり、また、本件商標からは「ギンノサジ」の称呼を生じ、使用商標からは「ギンノスプーン」の称呼を生じるものであるから、その称呼においても明らかに区別し得るものである。
してみれば、両商標は、観念において共に「銀色の(或いは銀製の)匙(スプーン)」の意味合いを想起させるとしても、本件商標と使用商標とは、両商標から受ける外観上の印象及び称呼を著しく異にするものであって、十分に区別し得る別異の商標というのが相当である。しかも、使用商標に係る「キャットフード」と本件商標の指定商品中の「愛玩動物用おもちゃ」とは、関連性があるものの、一般的には、商品の生産部門、販売部門を異にし、原材料、用途も異にするものである。
そうとすると、たとえ、申立人の業務に係る商品「キャットフード」について使用商標の周知性が認められるとしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者をして使用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

(3)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)引用商標


別掲(2) (色彩については原本参照)


別掲(3) (色彩については原本参照)



異議決定日 2009-05-29 
出願番号 商願2007-107457(T2007-107457) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (X1628)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 杉山 和江
小畑 恵一
登録日 2008-06-27 
登録番号 商標登録第5145909号(T5145909) 
権利者 株式会社角川グループホールディングス
商標の称呼 ギンノサジ 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 西浦 嗣晴 
代理人 網野 友康 

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