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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09384142
審判 全部申立て  登録を維持 X09384142
管理番号 1200593 
異議申立番号 異議2008-900386 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-10-03 
確定日 2009-06-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5150775号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5150775号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5150775号商標(以下、「本件商標」という。)は、「Compentium」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年6月28日に登録出願、第9類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同20年7月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が引用する商標は、その構成を次の(1)ないし(11)のとおりとするものであり、これらは「PENTIUM」、「pentium」又は「ペンティアム」(以下、これらを合わせて「PENTIUM」商標という。)の各文字を単独で書してなるもの、あるいはこれらの文字と円状帯図形内に「intel」と「inside」の欧文字を二段に書した図形(以下、「intel insideのロゴマーク」という。)等を組み合わせたものである。
(1)登録第3110861号商標は、「PENTIUM」の欧文字を横書きしてなり、1992年7月2日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して平成4年12月14日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年12月26日に設定登録されたものである。
(2)登録第4378303号商標は、「PENTIUM」の欧文字を標準文字で表してなり、平成9年10月23日に登録出願、第14類、第16類、第18類、第21類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月21日に設定登録されたものである。
(3)登録第4431564号商標は、「PENTIUM」の欧文字を標準文字で表してなり、平成10年7月27日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同12年11月10日に設定登録されたものである。
(4)登録第4576667号商標は、「PENTIUM」の欧文字を標準文字で表してなり、平成10年7月27日に登録出願、第37類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同14年6月14日に設定登録されたものである。
(5)国際登録第827141号商標は、「PENTIUM」の欧文字を横書きしてなり、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、2004年3月11日に国際登録、我が国においては平成17年5月13日に設定登録されたものである。
(6)登録第3179569号商標は、「ペンティアム」の片仮名文字を横書きしてなり、平成5年6月3日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同8年7月31日に設定登録されたものである。
(7)登録第3367543号商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、1995年1月18日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して平成7年7月11日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年12月19日に設定登録されたものである。(なお、当該商標権は平成19年12月19日に存続期間満了により消滅している。)
(8)登録第4393747号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、1998年1月20日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して平成10年7月17日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年6月23日に設定登録されたものである。
(9)登録第4400293号商標は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成11年6月25日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年7月14日に設定登録されたものである。
(10)登録第4780156号商標は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成16年1月6日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年6月18日に設定登録されたものである。
(11)登録第4780157号商標は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成16年1月6日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年6月18日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめていう場合は、「引用各商標」という。

3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、引用各商標を引用し、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである旨申立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第88号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)「PENTIUM」商標は、申立人の業務に係る製品であるマイクロプロセッサーを搭載したパーソナルコンピュータ等の商品を製造販売するOEMメーカーへの使用許諾と当該メーカーによるその商品の広告宣伝活動(ステッカー、パンフレット、広告記事、テレビコマーシャル等)に使用されて、申立人の業務に係る商品を表示するものとして本件商標の登録出願時及び査定時には、取引者、需要者の間に広く認識されていた。
そして、本件商標の指定商品及び指定役務は、上記のとおりの商品及び役務であり、「PENTIUM」商標が使用されているマイクロプロセッサー及びコンピュータや電気通信関連の商品並びにこれらと関連が深いコンピュータ、あるいは通信関連の役務を多く含むものであって、引用各商標は、本件商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものについて登録されたものである。
また、本件商標の第41類の指定役務に含まれているコンピュータやインターネットに関する知識又は技芸の教授、教育、訓練、セミナー等に係る役務は、申立人が長年提供している「インテル教育支援プログラム」と呼ばれる教育・セミナー等の役務と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標が使用される商品及び役務は、申立人が実際に取り扱う商品及び役務と同一又は類似のものを多く含むものである。
(2)本件商標は、標準文字で「Compentium」と横書きしてなるものであり、当該文字に照応して「コンペンティアム」と発音されると考えられるものであるから、その後半部分は、申立人の商品の出所識別標識として広く認識されている「PENTIUM」の文字に対応する「pentium」の文字と、その称呼「ペンティアム」の音を包含する。
そして、「PENTIUM」商標の著名性とその出所表示力の程度の強さに照らせば、本件商標がたとえ外観上一連一体に表示した文字から構成されるとしても、これに接した者は、「pentium」の文字部分とその発音「ペンティアム」に着目し、この欧文字の冒頭に「Com」の文字を付加して構成されたものであると容易に認識し、理解する。
したがって、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合は、取引者、需要者は、申立人の商品の出所識別標識として広く認識されている「pentium」の文字部分に注意を惹きつけられて引用各商標を想起連想し、当該商品及び役務が申立人又はこれと経済的又は組織的な関連を有する者の業務に係るものと誤信し、その出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。
(3)さらに、本件商標は、申立人の業務に係る商品及び役務と出所混同を生ずるおそれがあるのみならず、引用各商標の著名性にフリーライドし、その出所表示力を毀損、稀釈化し、引用各商標の経済的な価値を低下させ、申立人に精神的及び経済的な損害を及ぼすおそれがあり、このような本件商標の登録及び使用が、社会一般の道徳観念に反し、また、公正な取引秩序の維持と需要者の利益保護を目指す商標法の目的、さらには国際信義の精神に反するものであることは明らかである。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべきである。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、取り消すべきである。

4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、上記1に記載のとおり、「Compentium」の欧文字よりなるものであるところ、これを構成する各文字は、同書、同大、同間隔で表されており、外観上まとまりよく一体的に看取し得るものである。そして、該綴り字は、特定の読みをもって親しまれた既成語とは認められないものの、我が国においては、「Com・・・」を「コン・・・」又は「コム・・・」と称呼する用例が多いところから、全体として、「コンペンティアム」ないし「コムペンティアム」と称呼して商取引に当たるものというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字より、「コンペンティアム」ないし「コムペンティアム」の称呼が生ずるものであって、特定の観念を想起させない造語よりなる固有の商標とみるのが自然である。
これに対して、申立人に係る引用各商標は、上記2に記載のとおり、「PENTIUM」、「pentium」又は「ペンティアム」の各文字を単独で書してなるもの、あるいはこれらの文字と「intel insideのロゴマーク」等を組み合わせるものであって、いずれの場合も、引用各商標の「PENTIUM」商標より生ずる「ペンティアム」の称呼をもって取引に資されるものといえる。
そして、引用各商標の「PENTIUM」商標からは、IT関連用語として、申立人の業務に係る「マイクロプロセッサーの製品名」ないしマイクロプロセッサーに使用される「インテル社のブランド」という程の観念を生じるものということができる。
そこで、本件商標と引用各商標の類否についてみると、本件商標と引用各商標とは、外観の点においては、その綴り字及び構成において、全体の外観印象を異にし彼此見誤るおそれはないものである。
次に、称呼の点において、本件商標は、その構成文字に相応して「コンペンティアム」ないし「コムペンティアム」の一連の称呼を生ずるものであること前記のとおりであり、一方、申立人の「PENTIUM」商標は、「ペンティアム」の称呼を生ずるものであるから、両者は、語頭において、「コン」又は「コム」の音の有無に差異を有するものであって、その構成音数、音の配列を著しく異にし、彼此聞き誤るおそれはないものである。
さらに、観念の点においては、前記認定のとおり、本件商標は、何らの意味合いも生じない固有の商標とみられるものであって、観念上比較することはできないものであるから、両者に類似する点はない。
そうすると、本件商標と引用各商標とは、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標であって、互いに別異の商標とすべきものである。
そして、たとえ、申立人が1968年7月18日にアメリカ合衆国カリフォルニア州で創業された世界最大の半導体製品メーカーであって、申立人又は使用権者等の使用に係る「PENTIUM」商標が同人の業務に係る「マイクロプロセッサー」を表示するものとして、本件商標登録出願時に需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本件商標は、前記のとおり、引用各商標とは別異のものであり、その他両者間にその出所について混同を生ずるものとする要因は見出せない。
してみれば、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が直ちに「PENTIUM」商標ないし引用各商標を連想想起し、申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれのないものである。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記(1)のとおり、引用各商標とは類似せず、本件商標をその指定商品又は指定役務について使用しても、その出所について誤信し混同を生ずるおそれはないものであって、また、甲各号証を徴しても、「PENTIUM」商標ないし引用各商標の顧客吸引力にただ乗りし、不正な利益を得るものとするような確証を得ることはできないものであり、かつ、その出所表示力を稀釈化するものとも認められないものであるから、本件商標をその指定商品に使用することが国際信義などに反するものということは困難といわざるを得ないものである。
さらに、本件商標は、矯激、卑猥、差別的な印象を与える文字、図形よりなるものでなく、また、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用することが社会公共の利益、一般道徳観念に反するものとすべき事実は認められず、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別 掲
(1)登録第3367543号商標


(2)登録第4393747号商標


(3)登録第4400293号商標


(4)登録第4780156号商標


(5)登録第4780157号商標


異議決定日 2009-06-09 
出願番号 商願2007-70142(T2007-70142) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X09384142)
T 1 651・ 22- Y (X09384142)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 2008-07-11 
登録番号 商標登録第5150775号(T5150775) 
権利者 コンペンティアム リミテッド
商標の称呼 コンペンティアム、コンペンティウム、コンペンチューム 
代理人 中村 知公 
代理人 特許業務法人ウィンテック 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 

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