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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 003
管理番号 1200400 
審判番号 取消2008-301186 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-09-17 
確定日 2009-06-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4151392号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4151392号商標(以下、「本件商標」という。)は、「無添加生活」の文字を書してなり、平成8年12月4日登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同10年5月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
請求人の調査したところによれば、本件商標は、その指定商品について、日本国内において今日に至るまで継続して3年以上にわたり、被請求人(商標権者)によって使用されていない。また、本件商標の登録原簿には専用使用権又は通常使用権の設定登録がなされていないのみならず、他に被請求人の許諾を受け、上記指定商品について本件商標を使用している者も見出せない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品について使用をしていないものであるので、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 弁駁
(1)本件審判は、平成20年9月17日に請求し、同年10月2日(審決注:請求人は、IPDLの審判情報(甲第2号証)を根拠に予告登録日を平成20年9月30日としているが、商標登録原簿上の予告登録日は、平成20年10月2日であるので誤記と認められる。以下同じ。)に予告登録がなされているものであり、被請求人は、審判の請求の登録(2008年10月2日)前3年以内(2005年10月1日)に本件商標を使用していることを証明すべきものである。
被請求人は、答弁書において、使用事実を示す証拠として、「ヤマキインターナショナル有限会社」のホームページ「販促グッズの王様」の写し(乙第1号証)、2006年5月15日付け「請求書」の写し(乙第2号証)、2006年度「出荷済み一覧表」の写し(乙第3号証)、2005年7月15日付け「請求書」の写し(乙第4号証)、2005年度「出荷済み一覧表」の写し(乙第5号証)及び2003年3月発行の「カタログ」の写し(乙第6号証)を提出し、本件商標は、商標権者である「株式会社マックス」が商品「せっけん類」に使用している旨を主張している。
しかしながら、被請求人の提出した証拠についてみるに、乙第1号証については、「2008/11/19」の記載が示すように(甲第3号証)、本件審判の請求の登録以後のものであり、販売されている商品及び販売者と、商標権者との具体的な関連性も何ら見出すことができないものである。
また、乙第4号証(5年7月15日付け)及び乙第6号証(最終頁に03.03の記載)については、その発行年月日が示すように、いずれも本件審判の請求の登録前3年より以前のものである。
また、乙第3号証及び乙第5号証については、被請求人は、各々2005年度及び2006年度の出荷済み一覧表である旨を述べているが、第5号証(審決注:請求人は「乙第3号証」と記載しているが、「乙第5号証」の誤記と認める。)に示される出荷日(一部除く。)は、本件審判の請求の登録前3年以前のものであることに加えて、両資料には何れも発行年月日の記載はなく、これらの資料は電子計算機によって容易に作成し得るものでもあり、証拠としての客観性に欠けるものである。
さらに、乙第2号証(6年5月15日)については、本件審判の請求の登録前3年以内の期間のものであり、商品名の欄に「ムテンカセイカツセッケン(ハコ)オリジナル」の文字が記載されているものであるが、該資料の記載からは、「ムテンカセイカツセッケン(ハコ)オリジナル」なる商品が取引された事実を推認し得るに止まるものであり、本件商標を使用した事実を具体的に証明するものではない。
上記のとおり、被請求人の提出した資料は、本件審判の請求の登録前3年以内のものではなく、及び/又は、証拠としての妥当性を欠くものであり、本件商標を使用している事実を明確に立証するとは認められないものである。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていることを証明しておらず、商標権者は、その指定商品に係る商標登録の取消を免れ得ないものである。
(2)商標の態様について
(ア)被請求人は、「本件商標は、社会通念上同一と認められる商標の『称呼及び観念を同一とする場合の平仮名と漢字の相互間の使用』に該当する」旨を主張している。上記(1)に記載のとおり、本件商標は、その使用事実が適法に明示されているものではなく、商標の使用態様を考慮するまでもなく、その登録は取り消されるべきものであるが、仮に、被請求人が、商標権者が使用していると主張する商標(以下「使用商標」という。)の態様についてみても、以下に述べるように、被請求人の主張は到底受け入れられないものである。
(イ)本件商標は、漢字「無添加生活」を横書きにして構成され、各文字は同書同大で一連にまとまりよく配置されていることから、「無添加生活」全体として一体不可分のものとして認識し、把握されるものである(甲第4号証)。
これに対して、使用商標は、例えば、乙第6号証に示されるように、「図案化された緑色の葉」と「赤く強調されたやさしい」の文字を含む青色の「家族のための『やさしい』選択」の文字と「青色の線」とから成る「楕円状の図形」と、その中央部分に、やや図案化された紫色の平仮名「むてんか」と漢字「生活」を上下二段に配して構成されているものである。また、その構成中「むてんか」は、「生活」の上にリズミカルに配置され、「ん」の部分が跳ねているかの如く表わされており、恰も「緑色の葉」と「家族のための『やさしい』選択」と「青色の線」とが、「むてんか」及び「生活」を抱き抱えているかのような印象を与えるものである。
かかる構成においては、「緑色の葉」「家族のための『やさしい』選択」「青色の線」が自他識別標識として果たす役割は極めて大きく、その構成中「むてんか」及び「生活」のみを独立した商標として認識することは極めて不自然であり、使用商標は、「緑色の葉」「家族のための『やさしい』選択」「青色の線」「むてんか」及び「生活」からなる全体の楕円状の構成をもって、一個の商標として認識し、把握されるとみるのが相当である。
両商標の構成態様を比較すると、本件商標の構成が、一体不可分の「無添加生活」の態様であるのに対して、使用商標の構成は、「緑色の葉」「家族のための『やさしい』選択」「青色の線」「むてんか」及び「生活」全体からなる楕円状の態様を有するものである。
したがって、本件商標と使用商標とは、「緑色の葉」「家族のための『やさしい』選択」「青色の線」及び「色彩の有無」といった明らかな構成態様上の差異を有する全く別異の商標であり、「平仮名と漢字の相互間の使用」を論じるまでもなく、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とは言い得ないものである。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人の提出した証拠は、妥当性ないし適法性を欠くものであることに加えて、被請求人が使用していると主張する商標は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用には該当しないものである。
したがって、被請求人の主張は根拠がないものであり、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
商標権者である「株式会社マックス」は、「一般化粧石けん・特殊高級化粧石けん・薬用石けん(医薬部外品)・贈答用化粧石けん・液体石けん(ボディーソープ)・キャラクター化粧石けん・業務用化粧石けん・入浴剤(医薬部外品)・液体洗浄料(シャンプー・リンス)など」を製造・企画・販売している。本件商標は、被請求人が「せっけん類」の商品に使用しているものである。
そして、乙第1号証のとおり、インターネット上の「ヤマキインターナアョナル有限会社」のホームページ「販促グッズの王様」(URL http://www.yamaki-i.co.jp/100-500/100-200-2.htm)にて、商標権者が製造し、本件商標を付した商品が販売されているので、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内において使用されているといえるから、「本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品について使用をしていない」との請求人の主張は、理由がないものである。
加えて、乙第2号証として、本件商標に係る商品が記載されている、2006年(平成18年)5月15日付け「請求書」の写し、乙第3号証として、2006年度「出荷済み一覧表」の本件商標に係る商品が記載されているページの写し、乙第4号証として、本件商標に係る商品が記載されている、2005年(平成17年)7月15日付け「請求書」の写し、乙第5号証として、2005年度『出荷済み一覧表』の本件商標に係る商品が記載されているページの写し、乙第6号証として、2003年(平成15年)3月発行の「カタログ」の本件商標に係る商品が記載されているページの写しを提出する。
また、乙第1号証及び乙第6号証において、本件商標は、「むてんか生活」と「無添加」の部分を「むてんか」と表記されているが、これは、社会通念上同一と認められる商標の「証拠及び観念を同一とする場合の平仮名と漢字の相互間の使用」に該当するものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
乙第1号証は、2008年11月19日にプリントアウトしたヤマキインターナショナル有限会社が運営するインターネットショッピングサイト「販促グッズの王様」の写しと認められるところ、掲載商品の一つに別掲(1)のとおりの構成よりなる商標(以下「使用商標1」という。)を示し、「価格:¥179(税込)」、「申込単位:72」、「包装サイズ/107×62×34mm(化粧箱入)」、「商品内容/ソープ 無添加石けん(100g・エージレス入)として、商品が紹介されている。
乙第6号証は、「2003?2004」の記載及び「03.03」の記載があることから、2003年3月に作成された2003年から2004年用の被請求人の「Bath Life Collection」と題する商品カタログと認められるところ、そのカタログ中の「むてんか生活シリーズ」の頁に、別掲(2)のとおりの構成よりなる使用商標2が記載されるとともに、「むてんか生活 生せっけん」が使用商標1を表示して紹介され、その商品説明に「¥170」、「1梱 72入(6コ入×12函)」、「(34×107×62mm・118g)」、「無添加せっけん(100g・エージレス入)の記載がある。また、「むてんか生活 洗顔生せっけん」、「むてんか生活 3個入りせっけん」、「むてんか生活 液体せっけん」、「むてんか生活 液体せっけん詰替用」が商品の写真、金額と共に掲載され、当該写真の商品には、いずれも使用商標2が使用されている。
乙第2号証は、被請求人の(株)パルタックRDC四国宛ての2006年5月15日付け請求書(控)と認められるところ、4月18日付けの商品名欄に「ムテンカセイカツセッケン(ハコ)オリジナル」として、入数「50」、梱数「6」、数量計「300」、金額(黒塗り)の記載及び備考欄に「高知大丸センター」の記載がある。
乙第3号証は、被請求人作成の2006年度の「別注出荷済み一覧表」であるところ、出荷日「3/30」の商品名に「むてんか生活生石鹸オリジナル」の記載があり、得意先名「パルタック高知支店」、納品先名「高知大丸」、入数「50」、ケース数「216」、発注数「10,800」の記載がある。
乙第4号証は、請求人の(株)パルタック中四国支社四国支店宛ての2005年7月15日付け請求書(控)と認められるところ、6月24日付けの商品名欄に「ムテンカセイカツセッケン(ハコ)オリジナル」として、入数「50」、梱数「1」、数量計「50」、金額(黒塗り)の記載及び備考欄に「高知大丸 配送センター」の記載がある。
乙第5号証は、被請求人作成の2005年度の「別注出荷済み一覧表」であるところ、出荷日「3/23」の商品名に「むてんか生活生石鹸オリジナル」の記載があり、得意先名「パルタック高知支店」、納品先名「高知一括」、入数「50」、ケース数「189」、発注数「9,450」の記載がある。
出荷日「5/26」の商品名に「むてんか生活生石鹸オリジナル」の記載があり、得意先名「パルタック高知支店」、納品先名「高知一括」、入数「50」、ケース数「1」、発注数「50」の記載がある。
出荷日「6/24」の商品名に「むてんか生活生石鹸オリジナル」の記載があり、得意先名「パルタック高知支店」、納品先名「高知大丸」、入数「50」、ケース数「1」、発注数「50」の記載がある。
出荷日「10/20」の商品名に「むてんか生活生石鹸オリジナル」の記載があり、得意先名「パルタック高知支店」、納品先名「高知大丸」、入数「50」、ケース数「178」、発注数「8,900」の記載がある。
2 以上によれば、被請求人は、本件証明期間(2005年10月2日から2008年10月1日)前ではあるものの、2003年3月から2004年頃には、使用商標1を使用する「生せっけん」及び使用商標2を使用してなる「洗顔生せっけん」、「3個入りせっけん」、「液体せっけん」、「詰替用液体せっけん」を販売していたことが認められ、また、上記証明期間後ではあるものの、2008年(平成20年)11月19日に使用商標1を使用する生せっけんを販売していることが認められ、また、上記証明期間内である、2005年(平成17年)10月20日、2006年(平成18年)3月30日に「むてんか生活生石鹸オリジナル」が出荷されたことが認められ、同年4月18日に「ムテンカセイカツセッケン(ハコ)オリジナル」が出荷されたことが認められる。
そして、上記「むてんか生活生石鹸オリジナル」及び「ムテンカセイカツセッケン(ハコ)オリジナル」は、実際に商品に付されている商標は定かではないが、上記期間の前後ではあるとはいえ、甲第1号証及び甲第6号証において、使用商標1又は使用商標2が使用されていることが認められることからすると、甲第1号証及び甲第6号証に「むてんか生活生石鹸オリジナル」及び「ムテンカセイカツセッケン(ハコ)オリジナル」についても使用商標1ないしは使用商標2が使用されていたものと十分に推認できるものである。
請求人は、乙第3号証及び乙第5号証の出荷済み一覧表は、発行年月日がないこと及び電子計算機によって、容易に作成し得ることから、証拠としての信憑性がない旨主張している。
しかしながら、少なくとも乙第4号証の2005年6月24日付けの取引の内容については、乙第5号証の掲載内容と一致しているものであり、本件証明期間内である2006年10月20日及び2006年3月30日の取引について、対応する請求書等の取引書類の提出がないとしても乙第3号証及び乙第5号証の内容が不自然とはいえないから、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、乙第2号証のショッピングサイトのプリントアウト、乙第6号証のカタログ及び乙第5号証等の出荷日の一部が本件証明期間内ではないこと、乙第2号証で取引された「ムテンカセイカツセッケン(ハコ)オリジナル」であって、本件商標を使用した事実を具体的に証明するものではない旨主張している。
しかしながら、請求人の提出された証拠全体を見てみるならば、上記のとおり判断できるものであるから、請求人の主張は採用できない。
したがって、被請求人は、本件証明期間内に本件審判請求に係る商品中の「せっけん類」に属する「せっけん」について、「むてんか生活」の文字を含む使用商標1若しくは使用商品2からなる商標を使用していたものと認めることができる。
3 商標の同一性について
本件商標は、前記第1のとおり、「無添加生活」の文字を書してなるものであり、使用商標1は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、使用商標2は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものである。
そこで、使用商標1及び使用商標2についてみてみると、いずれも上部の「家族のためのやさしい選択」(但し、「やさしい」は赤色でそれ以外の文字は青色)の文字と左側に小さく2枚の葉の図形を有した青線により楕円輪郭様にし、その中に「むてんか生活」の青色の文字を2段で大きく表示し、さらに、使用商標1については、上記輪郭の左下に「生せっけん」及び「(無添加石けん)」の緑色の文字を二段に配し、上記輪郭の右下部分に一部重ねて、両親及び幼児と思しき人物図形及び「本当に必要な成分だけ。」の赤色の文字を配してなるものである。
そして、中央に大きく表された「むてんか生活」と輪郭様に配された図形や文字とは、外観上まとまりよく表されているとしても、常に一体不可分としてのみ認識されるとすべき格別の事情もないから、使用商標1及び使用商標2の構成中の「むてんか生活」の文字部分も自他商品の識別標識としての機能を十分に有するものというのが相当である。
そこで、本件商標と使用されている「むてんか生活」が社会通念上同一かどうか検討するに、「むてんか生活」は、「無添加生活」の文字からなる本件商標の「無添加」の文字部分を平仮名で表したものであって、両者はその称呼及び観念を同一にするから、該「むてんか生活」は、本件商標と社会通念上同一の商標といい得るものである。
4 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品中の「せっけん」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)使用商標1

(詳細は原本参照)

(2)使用商標2


(詳細は原本参照)

審理終結日 2009-04-24 
結審通知日 2009-05-01 
審決日 2009-05-12 
出願番号 商願平8-137303 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (003)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 赤星 直昭
井出 英一郎
登録日 1998-05-29 
登録番号 商標登録第4151392号(T4151392) 
商標の称呼 ムテンカセイカツ 
代理人 矢野 寿一郎 
代理人 柏原 三枝子 

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