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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y07
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y07
管理番号 1200391 
審判番号 不服2008-8553 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-07 
確定日 2009-06-16 
事件の表示 商願2006-88676拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第7類「ベアリング,直動ガイド及びその部品・附属品その他の機械要素(陸上の乗物用のものを除く。),成形品」を指定商品として、平成18年9月22日に登録出願、その後、指定商品については、同19年9月10日付け手続補正書により、第7類「ベアリング,直動ガイドその部品・附属品その他の機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、商品形状と認識されるに止まる図形のみよりなるものであって、本願指定商品中『直動ガイドその部品・附属品その他の機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)』との関係においては、当該商品の形状を表したものにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、上記に照応する商品に使用したときには商標法第3条第1項第3号に該当し、これ以外の本願指定商品に使用したときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して証拠調べ通知書を送付した。
1 機械用語辞典第4版(工業教育研究会編)の「直動案内」の項によれば、「一直線上を往復運動させる場合に使われるガイドで、ロボットの構成要素として非常に多く用いられる。リニアガイド、ボールスプラインガイド、リニアボールベアリングガイドなどがある。」との記載がある。
2 本願商標と同様な形状で、意匠に係る物品を「リニアボールベアリング」等として、請求人以外の者による意匠登録例が次のようにある。
(1)意匠登録第602684号(リニアボールベアリング本体の正面図)(2)意匠登録第632524号(リニアボールベアリングの正面図)
(3)意匠登録第608355号(スライダー保持台の正面図))
(4)意匠登録第608291号(スライダーの正面図)
3 インターネットの情報検索によれば、直動ガイド(直動案内)に関する商品について、以下のとおりその形状が記載されている。
(1)日本トムソン株式会社のHPにおいて、同社の製品情報中、「直動案内機器:直動シリーズ」の「Cルーブリニアローラウェイ スーパーX MX」の「ラインナップ」において、別掲1のとおり、この商品の形状が掲載されている。(http://www.ikont.co.jp/product/chocudo/chc05.html)
(2)日本精工株式会社のHPにおいて、製品情報中、「NSKリニアガイド ローラガイドRAシリーズ」の見出しの下に、別掲2のとおり、この商品の形状が掲載されている。(http://www.jp.nsk.com/tech-support/seiki/products/3328.html)
(3)鍋屋バイテック会社のHPにおいて、リニアクランパ・ズィーの製品情報中、油圧タイプに、別掲3のとおり、この商品の形状が掲載されている。(http://www.nbk1560.com/clamper-zee/products/index.html)
(4)サンケイ工業株式会社のHPにおいて、製品情報中、「直動ガイド用ジャバラ」として、別掲4のとおり、この商品の形状が掲載され、また、「各社の直動ガイド用の保護に使用します。」、「直動ガイド用ジャバラは受注生産ですので、設計段階から対応して、設計、製作いたします。」との記載がある。(http://www.sankei-jabara.com/st_guide/index.html)
(5)THK株式会社のHPにおいて、製品情報中、LMガイドの見出しの下に、別掲5のとおり、この商品の形状が記載されている。(http://www.thk.com/jp/products/class/lmguide/index.html)
(6)ハイウィン株式会社のHPにおいて、製品ラインナップ中、リニアガイドウェイのEGシリーズ詳細版(PDFファイル)において、別掲6のとおり、この商品の形状が記載されている。(http://www.hiwin.co.jp/contents/products/l_guideway/p36_51.pdf)

第4 証拠調べに対する意見
前記第3の「証拠調べ通知」に対して、請求人からは何らの意見、応答もなかった。

第5 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、赤色の横長四角形の下部を左右両内側に台形状の突起を設けて切り欠き、該図形の左右の縦線の中間部には凹状の小さなくぼみを配し、そして、該横長図形内の上部に二重円を中央に表し、さらに、該二重円の下方両側に灰色の六角形を内包した円を配してなるところ、前記第3の証拠調べによれば、本願指定商品中、「直動ガイドその部品・附属品」を取り扱う業界においては、直動ガイドのスライダー部分やスライダー部分に使用されるエンドシール等の形状は、直動ガイドのレール部を直線運動することから該レール部の形状を覆うような形状が一般的であり、また、スライダー部には固定のためにネジが用いられる場合があることから、外側にネジ穴が設けられている場合があると認められる。
そうすると、本願商標は、その指定商品中、「直動ガイドその部品・附属品」との関係からみれば、構成中の中央部に直動ガイドのレールの断面を想起させる突起部分があり、該レールの形状を覆うような形状であること、また、上部に配された灰色で表した六角形を内包した円はスライダー部を固定するネジを想起させることから、直動ガイドのスライダー部分を正面からみた形状、あるいは、スライダー部分に使用されるエンドシール等の部品の形状を表したものとみるのが自然であって、同種商品が一般に採用し得る範囲の形状を表したものにすぎないものと認められるものである。
そして、上記業界においては、本願商標と同様の形状をした直動ガイド等の商品が取引されているというのが相当であるから、これをその指定商品中、「直動ガイドその部品・附属品」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、直動ガイドのスライダー又は該スライダーに使用されるエンドシールの形状の一類型を容易に想起し、単に商品の形状を表したものと認識し、把握するにとどまるというべきであるから、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものといわざるを得ない。
また、本願商標を上記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質、形状について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
なお、請求人は、審判請求書の請求の理由を補正する平成20年6月18日付け手続補正書において、本願商標はレール上をスライドするスライダーのスライド方向の前後に当該商品のメーカーとしての出所を示すために使用される商標であって、スライダーの断面形状を表したものではない旨主張するが、本願商標を構成する図形が直動ガイドのスライダー部分やスライダー部分に使用されるエンドシール等の形状を表すことは前記認定のとおりであって、たとえ、本願商標が出所を表示するために使用する商標であるとしても、商標採択の意図するところを、一般需要者が必ずしもそのとおり正確に理解するとは限らないものであるから、請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標


証拠調べ通知において引用した商品の形状
(別掲1)


(別掲2)


(別掲3)


(別掲4)


(別掲5)


(別掲6)


審理終結日 2009-01-14 
結審通知日 2009-01-19 
審決日 2009-02-03 
出願番号 商願2006-88676(T2006-88676) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y07)
T 1 8・ 13- Z (Y07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 木村 一弘
末武 久佳
代理人 中田 和博 
代理人 足立 泉 
代理人 青木 博通 
代理人 柳生 征男 

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