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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X23253543
審判 全部申立て  登録を維持 X23253543
審判 全部申立て  登録を維持 X23253543
審判 全部申立て  登録を維持 X23253543
管理番号 1199157 
異議申立番号 異議2008-900411 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-10-17 
確定日 2009-06-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5152830号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5152830号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5152830号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成19年8月30日に登録出願、第23類、第25類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同20年7月18日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2363841号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ABSOLUT」の文字を横書きしてなり、昭和63年11月14日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年12月25日に設定登録され、その後、同13年8月7日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、同14年6月19日に、指定商品を第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(2)登録第4983836号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ABSOLUT ICEBAR」の文字を標準文字で表してなり、平成18年3月9日に登録出願、第32類、第33類、第41類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月1日に設定登録されたものである。
(これらの登録商標をまとめていうときは、以下単に「引用商標」という。)

3 登録異議申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第15号
ア 本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、その構成中の「ABSOLUTE」の部分から、「アブソルート」の称呼が生ずる。
これに対し、引用商標1は、その構成文字より「アブソルート」の称呼が生じる。
また、引用商標2は、その構成文字より、「アブソルートアイスバー」の称呼のほか、「アブソルート」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは、「アブソルート」の称呼を同じくする。また、本件商標は、引用商標1の語尾に「E」を追加しただけの商標であるから、引用商標1と外観上極めて相紛らわしい。
よって、本件商標は、引用商標に類似する。
イ 「ABSOLUT」ブランドの著名性
「ABSOLUT」ブランドは、申立人の業務に係る商品「ウォッカ」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より世界的に著名な商標である。
してみると、本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第11号
本件商標と引用商標2とが類似する商標であること、及び「ABSOLUT」ブランドが世界的に著名であることは、上記(1)のとおりである。
また、本件商標の指定役務中の「飲食物の提供」と引用商標2の指定役務中の「飲食物の提供」とは、同一の役務である。
(3)商標法第4条第1項第19号
本件商標と引用商標とが類似する商標であること、並びに「ABSOLUT」ブランドが世界的に著名であることは、上記(1)のとおりである。
してみると、日本国内外で著名な引用商標と類似する本件商標をその指定役務に使用するものとして採択することは、引用商標の盗用と推認されるものであり、かつ、これらの信用性にただ乗りする不正の意図が推認される。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同第10号、同第11号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきであると申立て、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第52号証を提出した。

4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標
本件商標は、別掲のとおり、細線で描いた楕円輪郭を外周とし、その中に、黒塗り楕円形を配し、該黒塗り楕円形内には、装飾文字の「HGVV」を白抜きで表し、さらに、外周の楕円輪郭と黒塗り楕円形の間にある空間部分の上部に、「ABS」の文字、白抜きで表した抽象的文様をその内部に配した黒塗りの小さな円図形(以下「小円図形」という。)及び「LUTE」の文字を横書きにした構成よりなるものである。そして、本件商標は、その構成中、顕著に表された「HGVV」の文字部分より、「エイチジーヴイヴイ」の称呼を生ずるほか、外周の楕円輪郭と黒塗り楕円形の間にある空間部分に横書きされた「ABS」の文字及び「LUTE」の文字より、それぞれ「エイビーエス」及び「リュート」の称呼をも生ずるというのが相当である。
この点につき、申立人は、外周の楕円輪郭と黒塗り楕円形の間にある、「ABS」の文字、小円図形及び「LUTE」の文字の各部分は、「ABSOLUTE」の文字を構成し、これより「アブソルート」の称呼が生ずる旨主張するが、「ABSOLUTE」の語それ自体、我が国で親しまれた外国語とは認め難いところであるのみならず、小円図形は、前記認定のとおり、白抜きで表した抽象的文様をその内部に配してなるものであり、欧文字の「O」を図案化したというより、むしろ全体が抽象的図形を表したと理解されるものであるうえに、その左右に書された「ABS」と「LUTE」の各文字とは、構成態様を著しく異にするものであって、「ABS」の文字と「LUTE」の文字とを視覚上分断するように配置されているものである。
したがって、本件商標に接する需要者は、その構成中の「ABS」の文字、小円図形及び「LUTE」の文字について、これらを一体のものとして把握するとみることは考え難く、まして、「ABSOLUTE」の文字を表したとまで認識し得ないというべきであるから、申立人の上記主張は採用することができない。
そうすると、本件商標は、その構成中の各文字部分に相応して、「エイチジーヴイヴイ」、「エイビーエス」及び「リュート」の称呼を生ずるものであって、「アブソルート」の称呼は生じないものといわなければならない。また、本件商標は、構成全体として、特定の観念を有しないものといえる。
イ 引用商標
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「ABSOLUT」の文字を横書きしてなるものであるところ、該語は、我が国において親しまれた外国語とはいえないから、これより直ちに特定の観念が生ずるものではないが、構成文字をローマ文字風に読んだ場合の「アブソルート」の称呼が生ずるものと認めることができる。
したがって、引用商標1は、その構成文字に相応して「アブソルート」の称呼を生ずるものであって、特定の観念は生じない造語よりなるものとみるのが相当である。
また、引用商標2は、前記2(2)のとおり、「ABSOLUT ICEBAR」の文字を標準文字で書してなるものであるところ、該文字は、同一の書体をもって、同一の大きさで表され、「ABSOLUT」と「ICEBAR」の各文字との間に、外観上軽重の差を有しない。また、引用商標2中の「ABSOLUT」の文字部分は、引用商標1と同様の理由により、「アブソルート」の称呼が生ずるものであり、「ICEBAR」の文字部分は、「ICE」及び「BAR」の各語が、それぞれ「アイス」、「バー」と発音し、「氷」、「棒、酒場」などを意味する英語として、我が国において知られているものであるから、これより「アイスバー」の称呼が生じ、引用商標2全体として生ずる「アブソルートアイスバー」の称呼も冗長という程のものではなく、よどみなく称呼し得るものである。
そうすると、引用商標2は、その構成文字に相応して、「アブソルートアイスバー」の一連の称呼のみを生ずるものであって、単に「アブソルート」の称呼は生じないものといわなければならない。また、引用商標2は、構成全体として、特定の観念を有しない造語よりなるものと認めることができる。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標より生ずる、「エイチジーヴイヴイ」、「エイビーエス」及び「リュート」の各称呼は、引用商標1より生ずる「アブソルート」の称呼及び引用商標2より生ずる「アブソルートアイスバー」の称呼とは、構成する音数の相違・各音の音質等の相違等により、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、明瞭に聴別し得るものである。
また、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念においては比較することができない。
さらに、本件商標は、構成全体がまとまりよく一体的に表されているものであり、引用商標とは、外観上顕著な差異を有するものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号
甲第4号証ないし甲第12号証、甲第28号証ないし甲第35号証を総合すれば、引用商標1は、申立人の業務に係る商品「ウォッカ」(以下「申立人製品」という。)について使用され、また、引用商標2は、申立人らが2006年2月に東京に開業したバー(酒場)の名称として使用されていることが窺われる。
しかしながら、先ず第1に、上記(1)認定のとおり、本件商標は、引用商標とは商標それ自体非類似の商標である。
第2に、以下のとおり、引用商標1が申立人製品を表示するものとして、また、引用商標2が申立人らの営業に係るバー(酒場)の名称を表示するものとして、いずれも本件商標の登録出願時に我が国の需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができない。
すなわち、引用商標1を使用した申立人製品について、本件商標の登録出願前にした我が国における宣伝・広告は存在しない(なお、甲第28号証には、アサヒビール株式会社のホームページにおいて、「ABSOLUT」の表示のもと、商品「ウォッカ」の広告が見られるが、これが本件商標の登録出願前より掲載されていたと認めるに足る裏付け証拠はない。)ことに加え、その売上高も極めて高いものとはいえない。さらに、商品「ウォッカ」は、我が国において、例えば、ビールや焼酎等に比べ、さほどポピュラーな酒類とは認め難く、その需要者もごく一部の愛飲家に限られているとみるのが相当である。また、引用商標2は、「店内のすべてが氷でできたバー(酒場)」を意味する店舗名称として、新聞記事等に掲載された事実があり、奇抜なバーとして需要者の間にある程度知られていたとしても、その需要者は、ごく限られた一部の需要者とみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務について使用した場合、その需要者をして、該商品及び役務が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
なお、申立人は、外国における引用商標の著名性を主張するも、申立人が提出した証拠のうち、甲第6及び28ないし35号証を除く刊行物は、商標法施行規則第22条第7項で準用する特許法施行規則第61条第1項で規定する訳文が添付されておらず、例えば、これらのうちの雑誌(甲第5、7ないし11号証)は、いかなる国でいかなる購読者を対象にどの程度の部数が発行されたものであるか不明であるし、また、欧州共同体の審決、決定等(甲第13ないし25号証)についても、いかなる事例のもとにいかなる判断がされたものか不明である。さらに、引用商標に関する広告(甲第36ないし51号証)にしても、いずれも外国語で表記され、いかなる国において、どのような商品について、いつ頃に広告がされたものであるか不明なものが殆どである。
したがって、上記証拠方法をもって、外国における引用商標の著名性をいう申立人の主張は、採用することができない。
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第11号
上記(1)認定のとおり、本件商標と引用商標2は、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号
引用商標が、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と認めることができないこと及び本件商標と引用商標とが、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であることは、上記(1)及び(2)認定のとおりである。
してみれば、本件商標は、引用商標の著名性にただ乗りをする目的をもって採択された商標とは認めることができない。他に、本件商標が不正の目的をもって使用するものと認めるに足る証拠は見出せない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同第10号、同第11号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標(登録第5152830号商標)




異議決定日 2009-05-20 
出願番号 商願2007-92905(T2007-92905) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (X23253543)
T 1 651・ 26- Y (X23253543)
T 1 651・ 25- Y (X23253543)
T 1 651・ 271- Y (X23253543)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 2008-07-18 
登録番号 商標登録第5152830号(T5152830) 
権利者 アブソリュート デニム カンパニー リミテッド
商標の称呼 アブソリュート、アブソルート、エッチジイブイブイ、エイチジイブイブイ 
代理人 柳生 征男 
代理人 中田 和博 
代理人 吉川 俊雄 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 神蔵 初夏子 

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