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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X02
管理番号 1199138 
異議申立番号 異議2008-900318 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-08-18 
確定日 2009-06-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5134358号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5134358号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5134358号商標(以下、「本件商標」という。)は、「E-CLPS」の文字を標準文字で表してなり、平成19年5月9日登録出願、第2類「金属の表面における塗料の密着性及び耐食性を高める性質を有する塗料」を指定商品として、同20年3月25日に登録査定、同年5月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が引用する国際登録第776992号商標(以下、「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、第2類「Coatings for use in the aerospace,aircraft and defense industries.」を指定商品として、2001年8月16日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2002年1月18日に国際登録、我が国において平成14年10月25日に設定登録され、現に有効に存続するものである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、「イクルプス」又は「イークルプス」の称呼が生じるから、「イクリプス」の称呼が生じる引用商標とは、称呼上類似するものであり、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品とは類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第43条の3の規定により取り消されるべきものである。

3 当審の判断
申立人は、本件商標が引用商標と称呼上相紛らわしいものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているので、本件商標の同号の該当性について検討する。
(1)称呼の特定について
本件商標は、前記1のとおり、「E-CLPS」の欧文字からなるものであるから、その構成全体からは「イークルプス」の称呼のみが生ずるものと認められる。
申立人は、本件商標からは、上記称呼のほか、長音が前音の「イ」に吸収されて一音節より短く発音されることが少なくないから「イクルプス」の称呼が生じる旨主張している。
しかし、本件商標は、語頭部における「E」と後半の「CLPS」の各文字とがハイフンにより結合された構成からなるため、視覚上、「E」の文字は、「CLPS」の文字と分離され、アルファベットの第5文字の「E」と認識されるとみるのが相当であり、アルファベットの第5文字の「E」は、長音を省略して「イ」と発音される例がほとんどないから、本件商標の構成中の「E」の欧文字は、「イー」と長音を明瞭に伸ばして称呼されるというのが相当である。
一方、引用商標は、別掲のとおり、「ECLIPSE」の欧文字からなるものであるから、「イクリプス」及び「エクリプス」の称呼が生ずるものと認められる。
申立人は、引用商標が既成の英単語であるからいずれの一般の英和辞典を参照しても明らかなとおり、「イクリプス」と発音されるものである(甲第3号証及び甲第4号証)旨主張している。
しかし、引用商標の「ECLIPSE」の欧文字は、英語の既成語であるとしても、我が国においては、その意味合いや発音方法が一般に知られているとは認められないものであるから、我が国の国民の発音を英和辞典に掲載されたネイティブと同様の発音のみに限定すべき合理的理由はなく、むしろ英和辞典において「イ」と発音されるとしてる「economy」、「edition」、「effect」の各語がそれぞれ「エコノミー」、「エディション」、「エフェクト」のように発音されているように、引用商標の語頭の「E」の文字が「エ」と発音されることも決して少なくないと認められるから、「エクリプス」の称呼をも生ずるというのが相当である。
(2)称呼の類否について
先ず、本件商標から生ずる「イークルプス」の称呼と引用商標から生ずる「イクリプス」の称呼の類否について検討するに、両称呼は、前者が長音をも含めて6音からなるのに対し、後者は5音よりなるところ、「イ」、「ク」、「プ」、「ス」の各音を共通にし、語頭における「イ」の音の長音の有無及び前者の第4音が「ル」の音であるのに対して後者の第3音が「リ」の音の差異を有するものであるが、前者は、上記(1)のとおり、アルファベットの第5文字と認識される語頭の「E」の文字が長音を明瞭に伸ばして「イー」と称呼されると認められるものであり、さらに、この相違に続いて「ル」と「リ」の音の差異をも有するため、これらの差異が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいい難いから、両称呼は、それぞれを一連に称呼する場合、全体の語韻語調を異にしたものとなるから十分聴別し得るというのが相当である。
次に、本件商標から生ずる「イークルプス」の称呼と引用商標から生ずる「エクリプス」の称呼の類否について検討するに、両称呼は、前者が長音をも含めて6音からなるのに対し、後者は5音からなるところ、「ク」、「プ」、「ス」の各音を共通にしているとしても、称呼を識別する上で影響力の大きい語頭において、前者が長音を伴う「イー」であるのに対し後者が「エ」の音と相違することに加えて、前者の第4音が「ル」の音であるのに対して、後者の第3音が「リ」の音と相違しており、両称呼は明確な差異を有するものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合、十分聴別し得るものである。
したがって、本件商標より生ずる「イークルプス」の称呼と引用商標より生ずる「イクリプス」及び「エクリプス」の称呼とは、いずれも称呼上非類似の商標である。
(3)外観及び観念等について
本件商標は特定の意味を有しない造語であり、引用商標は「(太陽・月の)食」を意味する英語と認められるが、我が国においてはこの意味合いを有する語として一般的に使用され、親しまれたものではないから、一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないから、観念においては比較することができない。
また、本件商標と引用商標とは、外観において、ハイフン、「I」及び末尾の「E」の各文字の有無の差異並びにタイプフェイスが異なることの差異が認められ、十分識別し得るものである。
その他、特記すべき事項は認められない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であり、商標法第4条第1項11号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用商標


異議決定日 2009-05-14 
出願番号 商願2007-45746(T2007-45746) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X02)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎石戸 円 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 田村 正明
末武 久佳
登録日 2008-05-09 
登録番号 商標登録第5134358号(T5134358) 
権利者 バルク ケミカルズ インコーポレーテッド
商標の称呼 イイクルプス、イイクリプス、クルプス、クリプス、シイエルピイエス 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 藤倉 大作 
代理人 志賀 正武 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 松尾 和子 
代理人 中村 稔 

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