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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X09
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X09
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X09
管理番号 1199128 
異議申立番号 異議2008-900119 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-03-24 
確定日 2009-05-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5098002号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5098002号商標の指定商品中「迷惑メール対策用の電子計算機用プログラム以外の電子計算機用プログラム」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 第1 本件登録第5098002号商標(以下「本件商標」という。)は、「m-FILTER Anti-Spam」の文字を標準文字で表してなり、平成19年2月16日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」を指定商品として、同年10月17日に登録査定、同年12月14日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要点)
本件商標は、「m-FILTER Anti-Spam」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「FILTER」の語は、「フィルター機能を有するコンピュータソフトウェア」につき品質表示として、また、その構成中の「Anti-Spam」の語は、「迷惑メール対策用のコンピュータソフトウェア」につき品質表示として、それぞれ本件商標の査定時以前に普通に使用されていた。
本件商標の「m-FILTER」の文字部分は、品番等について類型的に使用され自他商品識別力を欠く欧文字「m」と上記「FILTER」を単にハイフンを介して連綴したものであり、「Anti-Spam」の文字部分は、上記のとおり、「迷惑メール対策用のコンピュータソフトウェア」を認識させるから、これらの語を並記してなる本件商標は、「フィルター機能を有する迷惑メール対策用のコンピュータソフトウェア」について、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
また、本件商標は、「FILTER」の文字を含むものであるから、「フィルターに該当する商品」以外の指定商品については、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
さらに、登録異議申立人(以下「申立人」という、)は、ランチョンミートの缶詰について日本国内外で70年以上も造語商標「SPAM」を使用した結果、本件商標の登録出願日前には、既に日本国内外で著名となっており、「spam」が迷惑メールを指す語として使用されているとしても、「迷惑メール」以外については、申立人固有の商標と認識されている。
本件商標は、迷惑メール対策とは何らの関わりのない商品を指定商品に含むものであり、申立人商標に化体した信用を希釈化するものであるから、公序良俗を害するおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第3 本件商標に対する取消理由
平成20年12月15日付けで通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
1 本件商標は、その構成中に「Anti-Spam」の文字を有するところ、該「Anti-Spam」の文字及びこれより生ずると認められる「アンチスパム」の文字について、当審における職権調査によれば、インターネットのウェブページにおいて以下の事実が認められる。
(1)「アンチスパムとは」の見出しのもと、「アンチスパム・anti-spam スパムとは受信者の意向を無視して無差別かつ大量に一括して送信される電子メールのことで、それを防ぐことをアンチスパムと言います。」との記載。
(http://heiwa-tokai.jp/glossary/g_anti-spam.html)
(2)「アンチスパム(antispam)」の見出しのもと、「営利目的のメールを無差別に大量配信する、いわばインターネットを利用したダイレクトメールのことをスパムメールと言います。受信者の都合を考慮せず一方的に送られてくるメールは、極めて悪質な行為。同内容のメールを一度に大量に配信するため、インターネットの公共回線に負荷がかかる点も問題となっています。こうしたスパムメールの対抗策のことをアンチスパムと言い、現在様々なスパムブロックや遮断法が開発され一定の効果をあげています」との記載。
(http://www.icto.jp/words/antispam/)
(3)「アンチスパム」の見出しのもと、「スパム・メール対策のこと。スパム・メール配信の際に踏み台とされないための対策と,スパム・メールを受信しない対策がある。踏み台対策としては,本来であれば認証が不要なSMTPに対して認証を付加する方法や,スパム・メール配信元をリスト管理する方法,送信先と送信元から判断する方法などがある。」との記載。
(http://itpro.nikkeibp.co.jp/word/page/10005660/)
(4)「アンチスパム」の見出しのもと、「スパムメール(希望していないのに送られてくるダイレクトメールを始めとする迷惑メール)の受信を防ぐ機能、またはその機能を実現するソフトウェアを指す。アンチスパムは、メールのタイトルや送信者、本文の文章構造などから、通常のメールとスパムメールを区別するが、スパムではないメールを誤ってスパムと見做す可能性はゼロではなく、また、スパムメール送信業者もアンチスパムをかいくぐる新手法を次々と生み出している。そこでベンダー各社は、より確実なアンチスパムが可能な新技術の開発を続けている。」との記載。
(http://www.keyman.or.jp/3w/prd/78/61090078/)
2 また、申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第36号証によれば、「電子計算機用プログラム(コンピュータソフトウエア)」に「Anti-Spam」、「antispam」及び「アンチスパム」の文字が広く一般に使用されているものであることが認められる。
3 前記1及び2の認定事実によれば、電子計算機用プログラム等を取り扱う業界において、「Anti-Spam」(アンチスパム)の文字は、「迷惑メール対策用の電子計算機用プログラム」を意味するものとして、本件商標の登録査定時には既に普通に使用され、広く一般に親しまれていたと認めることができる。
本件商標は、前記第1のとおり、「m-FILTER Anti-Spam」の文字を表してなるところ、これが構成文字全体をもって親しまれた特定の事物、事象を表すというような格別の事情を見いだし得ないばかりでなく、その構成中の「m-FILTER」の文字部分と「Anti-Spam」の文字部分とは、1文字程度の間隔を空けて表されていることから、外観上「m-FILTER」と「Anti-Spam」の文字部分からなるものと容易に看取されるものである。
しかして、本件商標構成中の「Anti-Spam」の文字は、上記のとおり、「迷惑メール対策用の電子計算機用プログラム」を意味するものとして取引上普通に使用されていたものであるから、本件商標は、その指定商品中の「迷惑メール対策用の電子計算機用プログラム」以外の「電子計算機用プログラム」について使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。
4 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「迷惑メール対策用の電子計算機用プログラム以外の電子計算機用プログラム」について、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものというべきである。

第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由に対して、指定した期間内に意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
1 本件商標についてした上記第3の取消理由は、妥当なものである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、結論掲記の指定商品について、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきであり、その余の指定商品については、商品の品質の誤認を生ずるおそれがないものである。
2 本件商標は、「m-FILTER Anti-Spam」の文字を表してなるところ、前記第3のとおり、外観上「m-FILTER」と「Anti-Spam」の文字部分からなるものと容易に看取されるものであり、後半の「Anti-Spam」の文字部分は、「迷惑メール対策用の電子計算機用プログラム」を意味するものである。
しかして、その構成中の「m-FILTER」の文字部分は、「m」と「FILTER」の各文字を英文字などで二語を連結して一語相当の語とするときに用いる符号であるハイフンを介してなり、各文字を同じ書体、等間隔で視覚上もまとまりよく一体的に表されており、これより生ずる「エムフィルター」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、たとえ、本件商標の構成中の「m」の欧文字が商品の品番、規格等を表すための記号・符号の一類型を表し、「FILTER」の文字が「フィルター機能」を意味するものであるとしても、かかる構成からなる本件商標においては、殊更、「m」と「FILTER」の各文字部分を分離、抽出してそれぞれを認識するとはいい難いものであり、かつ、その構成中の「m-FILTER」の文字部分が商品の品質等を直接的、かつ、具体的に表すものとして使用されている事実を見いだすこともできない。
そうすると、本件商標は、その構成中の「m-FILTER」の文字部分が構成文字全体をもって一体不可分の一種の造語として認識し、把握されるとみるのが自然である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標ということはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。
3 本件商標は、その構成中に申立人の使用に係る商標と綴り字を共通にする「Spam」の文字を有しているとしても、前記第3のとおり、「Anti-Spam」の文字は、「迷惑メール対策用の電子計算機用プログラム」を意味する一連一体の語として一般に知られているものであり、本件商標の指定商品と申立人の商標「SPAM」の使用に係る商品とは、極めて関連性が低い商品であることをも考慮すると、本件商標に接した取引者、需要者が申立人の商標「SPAM」を想起するとはいい難く、本件商標が該「SPAM」商標の信用力、顧客吸引力に便乗し、かつ、その出所表示機能を希釈化するものとは認めることができないものであり、他に、本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益及び社会の一般的道徳観念に反するものとすべき事由もないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれはないといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
4 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、結論掲記の指定商品について、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものというべきであるから、同法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものとする。
しかし、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、商標法第3条第1項第6号、同法第4条第1項第16号及び同第7号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-03-24 
出願番号 商願2007-12971(T2007-12971) 
審決分類 T 1 651・ 16- ZC (X09)
T 1 651・ 272- ZC (X09)
T 1 651・ 22- ZC (X09)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 田村 正明
末武 久佳
登録日 2007-12-14 
登録番号 商標登録第5098002号(T5098002) 
権利者 デジタルア-ツ株式会社
商標の称呼 エムフィルターアンチスパム、エムフィルター、アンチスパム、アンチ、スパム 
代理人 足立 泉 
代理人 青木 博通 
代理人 鈴木 薫 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 

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