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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 109 |
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管理番号 | 1199100 |
審判番号 | 取消2007-300342 |
総通号数 | 115 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-07-31 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2007-03-22 |
確定日 | 2009-06-12 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1847887号の1商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1847887号の1商標の指定商品中「金属製滑車(機械要素に当たるものを除く),動力伝導装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く),制動装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く),動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素),制動装置(陸上の乗物用の機械要素)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1847887号の1商標(以下「本件商標」という。)は、「QUAD」の欧文字を横書きしてなり、昭和58年10月13日に登録出願、第9類「産業機械器具、動力機械器具(電動機を除く)風水力機械器具、事務用機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)機械要素」を指定商品として同61年3月26日に設定登録された登録第1847887号商標の商標権の分割に係るものであって、第9類「産業機械器具、動力機械器具(電動機を除く)、風水力機械器具、事務用機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)、その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)、機械要素、ただし、ボイラー及び動力機械器具(ボイラーを除く)を除く」を指定商品として、平成7年12月4日に分割の登録がなされたものである。なお、原商標権の指定商品中の「ボイラー」については、上記分割の登録と同日に一部放棄による一部抹消の登録がなされている。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。 1 請求の理由 請求人は、本件請求に先立って職業的調査機関に依頼して当該商標権者の業務内容、取扱商品の範囲、そして本件商標の使用の実態について、取引先に対する照会等を含め鋭意詳細に調査を実行したが、本件商標の指定商品中の「金属製滑車(機械要素に当たるものを除く。),動力伝導装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),制動装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素),制動装置(陸上の乗物用の機械要素)」に関する限り、本件商標が使用されたことを示す資料を発見することが出来なかった。また、本件登録については専用使用権または通常使用権の登録もされておらず、それらの存在を窺わせる資料も存在しない。 したがって、本件商標は、上記商品については過去3年間にわたって日本国内では使用されなかったものと推認されるので、請求の趣旨のとおり審決を求めるものである。 2 弁駁(平成19年9月18日付け) 被請求人が使用の証拠として提出した乙第2号証の1ないし11に係る被請求人のカタログは、本件商標をその指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実を証明するものではない。 よって、本件登録は、本件請求にかかる指定商品について商標法第50条の規定により取消を免れないものである。 3 弁駁(第2回)(平成20年5月23日付け) (1)被請求人のカタログ(乙第2号証)及びその翻訳文(乙第3号証)を見ても、被請求人の取り扱う商品は、エラストマー等のゴム製又はプラスチック製の汎用品としての「Oリング」等のパッキンである。「Oリング」、「パッキング」は類似群コード「09F06」が付されるものであり、本件審判請求に係る商品には、これと同一又は類似の商品は含まれていない。被請求人は、「動力伝導装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。)」の部品であるとの主張をしているが、商品の類否については、「商品の生産部門、販売部門の同一性、原材料、品質の同一性、用途の同一性、需要者の範囲及び完成品と部品の関連性を総合的に考慮」すべきであり(「類似商品・役務審査基準」)、かかる観点からすれば、被請求人に係る製品が「動力伝導装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。)」に専用される部品として配慮して設計、製造、販売等されているといった事情は見受けられない。 (2)乙第7号証に表れる商標「QUAD-RING」及び「乙第10号証に表れる商標「QUAD RING」は、無理なく一連一体の商標と感得されるものであり、本件商標「QUAD」と社会通念上同一の商標とはいえず、本件商標が使用されている旨を証明するものではない。 第3 被請求人の主張の要点 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第17号証(枝番を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 本件商標は、被請求人の発行する商品カタログ(乙第2号証の1ないし11)において、本件商標の指定商品に属する「金属製滑車,動力伝導装置,制動装置」に使用してきたものである。 提出のカタログは、アメリカ合衆国 ミネソタ州 55443 ミネアポリス イースト リバー ロード 9687 を住所とする「ザ ジョン ロバーツ カンパニー」によって、平成16年6月に印刷されたものであり、現在も使用しているものである。 被請求人が取り扱う商品は、流行を追う種類の商品ではないことから、上記カタログは、取引の場において今も充分に機能しているものであり、更に、昨今は被請求人のウェブサイトに需要者は直接アクセスをすることで本件商標を含む商品情報に接している状況にある。 したがって、本件商標は、被請求人により、その指定商品中の取消請求に係る商品について使用されているので、商標法第50条第1項の規定には該当しないものである。 2 答弁書(第2回)(平成20年3月14日付け) (1)製品カタログ及びインターネット上での広告 平成19年7月17日付け提出の第一答弁書において述べたとおり、被請求人は、平成16年(2004年)6月に印刷された製品カタログ(乙第2号証の1ないし11)により、また、同カタログとは別途、同一内容のものを日本を含む外国向けのウェブサイトにおいて、取消請求に係る商品を掲載し、本件商標を付して広告している(http://www.quadion.com/)。 ユーザーは、上記カタログから、又はウェブサイトにアクセスして、商品をオーダーすることとなる。 (2)上記製品カタログ広告等を通じて行われた商取引 上記製品カタログ等を通じて、わが国の取引業者(輸入業者)から被請求人に対して取消請求に係る商品の発注があり(乙第6号証)、上記発注に対して、被請求人が当該商品を輸入業者宛てに発送(販売)した(乙第7号証)。 すなわち、乙第6号証によれば、わが国の輸入業者の一である 「KIMURA CORPORATION」は、要証期間内の2006年5月16日に注文書(PURCHASE ORDER)により、被請求人に対し、製品番号(04370-366Y QUAD RING)を発注している。 そして、乙第7号証によれば、同じく要証期間内である2006年6月28日付けの「INVOICE REPRINT」、いわゆるインボイスにより、前記発注を受けた被請求人が、「KIMURA CORPORATION」宛てに上記に該当する商品を発送している事実は明らかである。 勿論、上記一回だけの取引ではなく、要証期間内の2005年4月1日頃から2007年2月26日頃までにかけて、取消請求に係る商品が多数出荷されていることは出荷リスト(乙第8号証)より明らかである。 乙第8号証の出荷リストに記載された内容は以下のとおりである。 ア 「Customer Name」の欄に「KIMURA CORPORATION」と記載されている。 イ 「Item Description」の欄に「04333,366Y」と記載されているが、これは、「QUAD-RING」の、「RING SIZE」が333、RubberCompoundが366Yの商品であることを示している。 ウ 「Date Ship」は、船積み(発送)の日であり、例えば、「Order.NO.200892」を例にとると、2005年7月11日であることがわかる。 なお、「KIMURA CORPORATION」とは、東京都千代田区丸の内3-3-1に所在する「株式会社 木村洋行」(以下「木村洋行」という。)であり、同社は今年で創業85年を迎える産業用機械部品等の輸入専門商社である(乙第9号証の1)。 被請求人と木村洋行とが、長年にわたり取引関係にあることは、同社のホームページに取引先ブランドとして、「Minnesota/Rubber」「A Quadion Company」の記載があることからも容易に窺い知ることができるものである(乙第9号証の2)。 上記の実情を踏まえれば、請求に係る商品を掲載した製品カタログ等により、わが国のユーザーに対し、要証期間内に本件商標を付して広告したこと、及び木村洋行が被請求人に対し上記商品を発注したこと、同発注を受けて、被請求人は、当該商品を木村洋行宛てに発送・販売したことは容易に推認し得るものである。 (3)木村洋行から需要者への販売の事実 木村洋行は、いわゆる産業用機械部品等の商社であるが、次に、同社から需要者である日本ギア工業株式会社(以下「日本ギア工業」という。)へ本件審判請求に係る商品が販売された事実を立証する。 乙第10号証は、日本ギア工業から木村洋行宛ての、上記商品を受領したことを証明する「物品受領票」である。この受領票によれば、要証期間内の2007年2月20日に発注され、同年3月6日が納品日となっている。(それ以前にも多数納品されているが、これはその一部である。なお、要証期間後の受領証ではあるが、参考までに提出する。)また、「品名欄」には、「QUAD RING」と記載されている。 ところで、品名欄に記載された商品名(商標名)「QUAD RING」であるが、「QUAD」と「RING」との間に間隔があること、及び「RING」の文字については、商品「O-リング」、「シーリング・リング」など、商品の形状がリング状であることを示すため、ブランド名に付加して使用しているにすぎず、識別力のない部分であるから、本件商標「QUAD」と社会通念上、同一の商標の使用とみて差し支えないものである。(当該商品がリング状の商品であることは、乙第2号証の6及び同9などから明らかである。) (4)以上のとおり、本件商標「QUAD」等を付した製品カタログ、及び同内容のものをインターネット上のウェブサイドそこおいて、日本向けに広告がされたこと、また、同カタログ等により木村洋行が被請求人に取消請求に係る商品を発注したこと、発注を受けた被請求人は木村洋行に対し同商品を発送したこと、木村洋行は、さらに需要者である日本ギア工業に上記商品を納品し、同社から受領証が送付されたこと、及びそれぞれの書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が記載されていること、加えて、上記それぞれの行為は、何れも要証期間内に行われたといい得るものである。 したがって、被請求人は、わが国において本件商標と社会通念上同一の商標を、本件審判請求に係る商品について、要証期間内に使用していたことは明らかである。 (5)使用商品について 本件商標を使用している商品は、主として「シーリング・リング」であり、該商品は、「与圧胴体の空気漏れ、インテグラタンクの燃料漏れ、外部からの水の浸入を防ぐ処置」として使用されるリング状の商品であって、機械要素に属する商品である。 そして、本件の使用に係る商品は、主としてバルブアクチュエータ(弁開閉装置)の部品として使用されているところ、該アクチュエータは、本件取消請求に係る「動力伝導装置」の範晴に属する商品であることは、特許庁の指定商品の採択例(乙第14号証の1)からも、また、日本ギア工業の説明からも容易に窺い知れるところである(乙第14号証の2)。 すなわち、使用に係るシーリング・リングは、動力伝導装置に属するバルブアクチュエータの部品として専ら使用されているのであるから、本件取消請求に係る商品の一である「動力伝動装置」の部品に使用しているものである。 また、「アクチュエータ」については、インターネット上のフリー百科事典(ウィキペディア)によれば、「・・単純な開閉器やバルブによるもの、或いは・・大きな力を発生させるアクチュエータを動作させるために動力伝導装置の開閉器に取り付けられた小型のアクチュエータなど、様々な利用のされ方がある」との記載がある(乙第15号証の1)。 さらに、特許庁の指定商品名としても「アクチュエータ(ー)」、の名称が採用され、その類似群コードとして、「09F02」が付されているから、これからも「機械要素」中の「動力伝導装置」(09F02)に属する商品であることは明らかである(乙第15号証の2)。 ところで、水圧・油圧機械、内燃機関等々、水、油やガソリンなどの液体漏れを防ぐ(シールする)リング状の商品は多数存在するところであるが、用途を特定しない汎用性のあるものについてはともかく、ある特定の機械に使用されることを目的とした上記のような商品は、当該機械の部品とみるのが相当である。ましてや、上記「アクチュエータ」自体も「機械要素」中の「動力伝導装置」に属する商品なのである。 なお、参考までに、同様の商品についての特許庁の取扱いは、「オイルリング(機械部品)」は、「動力機械」(09B01)及び「機械要素の動力伝導装置」(09F02)の両方の類似群を付している(乙第15号証の3)。 また、「ピストンリング(機関用のもの及び機械要素)」についても同様に「09B01」、「09C01」及び「動力伝導装置」(09F02)の三つの類似群を付与している(乙第15号証の4)。 以上を総合すれば、本件商標の使用商品は、本件審判請求に係る指定商品中の「動力伝導装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。)」に属する商品(部品)であることは明らかである。 (6)むすび 以上のとおり、被請求人は、わが国において、要証期間内にその取消請求に係る商品中、「動力伝導装置」の部品(シーリング・リング)等について、本件商標を製品カタログ等に掲載して広告し、本件商標と社会通念上同一の商標を付して販売(譲渡)していたことは明らかであるから、本件商標の登録は商標法第5 0条第1項により、取消すことはできない。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出した各号証によれば、次の事実が認められる。 (1)乙第2号証の1ないし11は、「Minnesota Rubber and QMR Plastics/Elastomers and Thermoplastics Engineering Design Guide」なる表題が付された英文カタログの表紙、全体目次、「Section6/Rubber/Standard Products」と題する第6節の目次頁(「6-1」頁)、「6-2」頁、「6-3」頁、「6-12」頁、「6-13」頁、「6-22」頁ないし「6-32」頁、「6-41」頁及び裏表紙であり、乙第3号証は、該カタログ抜粋の第6節に係る上記頁の訳文である。 該カタログの表紙の下部には、「Quadion Corportion」なる商標権者の名称が表示されている。また、全体目次には、「The Company Behind the Parts」、「Designing Rubber Components」、「Elastomers/Materials」、「Designing Plastic Components」、「Plastic & Thermoplastic Elastomer Materials」、「Rubber/Standard Products」の記載がある。 第6節の部分(以下、訳文による。)には、「Quad(右上に小さくregistered trademarkを表す記号がある。以下この部分を「『R』」という。)ブランドの各種シール」の見出しの項には、「標準製品及び一般形状」の見出しのもと、「ミネソタラバー社は、広範な用途に最適なシールを提供するためにあらゆる種類の標準Oリング、Quad-Rings『R』ブランド品及びカスタムシールを製造している。当社オリジナルである四葉形の(4つの突起がある)Quad-Ring『R』ブランドシールのデザインは、最も困難なシーリングの要求に対処するためのユニークな特徴を持つカスタムシール一式にも用いられ、…」の記載がある。 「Quad-Ring『R』ブランドシール(標準及びカスタム成型)」の見出しの項には、「広範な用途に優れたシール性を提供するのは、ミネソタラバー社のオリジナルである四葉形の(4つの突起がある)デザインのシールであり、ニトリル及びフルオロエラストマーを材料とする全ての標準サイズを用意している(6?12ページ)。用途により他のエラストマーが要求される場合、ミネソタラバー社は、貴方が適確な材料を選び、それを要求された仕様にカスタム成形する手伝いをする。」と記載があり、さらに「Quad-Ring『R』ブランドシールは、標準のOリングよりも以下の点で優れている。」として、「1.2つのシール面」、「2.摩擦性が低い」、「3.耐用年数が長い」、「4.分割線がないシール面」「5.らせん状のねじれがない」と従来のOリングと比較した特徴が記載されている。 「改良されたQuad-Ring『R』ブランドシール(カスタム成形)」の見出しの項には、「より広い許容範囲をシールするために、改良されたQuad-Ring『R』ブランドシールは、Quad-Ring『R』ブランドシールのオリジナルデザインより窪みが深く、それにより生ずるたわみ力をより低くする。」と記載されている。 「標準サイズのQuad-Ring『R』ブランドシール及びQuad『R』ブランドOリングシール用選択ガイド」の項には、「部品番号の見方」として、部品番号「4 210 366Y」等について説明が記載されている。 (2)乙第6号証は、木村洋行が2006年5月16日に被請求人に送付した注文書と認められるところ、製品番号・品名欄に「Q4370-366Y BUNA-N QUAD RING」の記載及び数量、単価、合計金額の記載がある。 乙第7号証は、被請求人から木村洋行宛ての2006年6月28日付けインボイスであり、品名として、「Q4370,366Y,NBR,/QUAD-RING」が記載されているほか、乙第6号証と同一の数量、単価、合計金額が記載されている。 乙第8号証は、被請求人の木村洋行への出荷リストと認められるところ、「Item Description」の欄に「Q4370,366Y」「Q4209,366Y」「Q4226,366Y」「Q4333,366Y」等の記載があり、2005年から2007年の間の各出荷日が記載されている。 (3)乙第10号証は、日本ギア工業から木村洋行宛て物品受領票の写しであるが、納入を2007年3月8日とする3通には、品名に「QUAD RING」とあり、部品番号欄には、それぞれ「Q-4209」「Q-4226」「Q-4333V」と記載されている。 (4)乙第14号証の2は、日本ギア工業のアクチュエータのカタログと認められるところ、「SMB series」及び「JMB series」の構造図及び部品表が記載された各頁には、部品名称「クオドリング」「クオードリング」について、個数が記載され、構造図にその使用箇所が示されている。 2 前記2で認定した事実によれば、被請求人は、ゴムやプラスチック材料による各種、基礎製品、機械要素・部品を製造、販売する会社であり、広範な用途に適した標準的なシーリングリング、Oリングに「Quad」の商標を使用し、さらに、広範な用途に優れたシール性を持つ断面が4つの突起がある形状の商品に「Quad-Ring」の商標を使用していることが認められる。 そして、被請求人は、産業用機械部品等の輸入商社である木村洋行へ型番「Q4370,366Y」の「QUAD-RING」を2006年6月28日に発送したことが認められるほか、被請求人は、木村洋行に2005年4月1日頃から2007年2月26日頃までにかけて、「Q4209,366Y」「Q4226,366Y」「Q4333,366Y」等の型番の商品を販売していることが認められる。 また、木村洋行は、日本ギア工業に2007年3月8日に品番を「Q-4209」「Q-4226」「Q-4333V」とする「Quad-Ring」を納入していることが認められ、日本ギア工業は、販売するアクチュエータに「Quad-Ring」をその部品として使用していることが認められる。 そうとすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内にわが国において「Quad-Ring」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)をシーリングシール(以下「使用商品」という。)に使用していたものということができる。 3 本件商標と使用商標の社会通念上同一性について 本件商標は、「QUAD」の文字からなり、使用商標は、「Quad-Ring」である。 被請求人は、乙第8号証の取引書類の品名欄に「QUAD RING」と表示されていることから、「QUAD RING」を使用する商標であると主張しているが、甲第2号証のカタログには、「Quad-Ring『R』」と記載されており、被請求人作成のインボイスにも「QUAD-RING」記載されているから、使用している商標は、「Quad-Ring」というべきであり、取引書類には、商品が特定できる程度に簡略記載することは一般的であるから、乙第8号証の取引書類に「QUAD RING」の記載があるとしても、それを商標として使用したということはできない。 そして、「Quad-Ring」の文字は、全体がハイフンを介してまとまりよく一体的に書してなるものであり、これより生ずる「クオードリング」の称呼もよどみなく一体的に称呼できるものである。加えて、使用商品は、通常リング状のものが一般的であるから、あえて形状を付加したものとして認識されることはなく、使用商標は、不可分一体の商標というべきである。 そうとすると、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標ということができない。 4 使用商品について 本件商標を使用している商品が、シーリング用の商品であることは、被請求人も認めているところであり、このような、シーリングリング、Oリング、シール材等の商品は、一般的には、機械要素といえる商品である。そして、機械要素は、寸法や形状等さえ合致すれば、おおよその機械器具に適合する商品であって、需要者も多数の同種の商品の中から自己の使用する機械器具に適合した商品を選択して購入する場合が多い商品である。したがって、このような汎用性のある商品については、それが機械器具の一部に使用されているとしても、それをもって、当該機械器具の部品、附属品等として取引されているものではないというべきである。 そこで、使用商品についてみてみると、日本ギア工業は、木村洋行を経て使用商品を購入し、本件審判請求に係る商品である動力伝導装置であるアクチュエータに使用していることは認められるとしても、乙第2号証のカタログ及び取引書類に記載の品番等から判断すると、アクチュエータに使用された商品は、汎用性のある商品というべきであり、他にアクチュエータ専用の部品であるとする証左はない。 そうとすると、使用商品は、本件審判請求に係る商品の範疇に属する商品とは認められないというのが相当である。そして、他に、本件商標が本件審判請求に係る商品に使用されているとする証拠の提出はない。 5 以上のとおりであるから、被請求人は、請求に係る指定商品の範躊に属すると認められない商品について使用の事実を立証するのみであり、また、使用商標も本件商標と社会通念上同一とは認められず、請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを証明するところがない。 してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を請求に係る指定商品「金属製滑車(機械要素に当たるものを除く),動力伝導装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く),制動装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く),動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素),制動装置(陸上の乗物用の機械要素)」について使用していたことを証明していないばかりでなく、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「金属製滑車(機械要素に当たるものを除く),動力伝導装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く),制動装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く),動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素),制動装置(陸上の乗物用の機械要素)」について、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-01-09 |
結審通知日 | 2009-01-16 |
審決日 | 2009-01-30 |
出願番号 | 商願昭58-97636 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(109)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山本 良廣 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 内山 進 |
登録日 | 1986-03-26 |
登録番号 | 商標登録第1847887号の1(T1847887-1) |
商標の称呼 | クオウド、クワウド |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 萼 経夫 |
代理人 | 神蔵 初夏子 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 足立 泉 |
代理人 | 中田 和博 |