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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09 |
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管理番号 | 1199037 |
審判番号 | 取消2008-300772 |
総通号数 | 115 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-07-31 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2008-06-19 |
確定日 | 2009-06-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4775782号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4775782号商標の指定商品中、第9類「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記録媒体」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4775782号商標(以下「本件商標」という。)は、「トライオン」の片仮名文字と「TRYON」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成15年3月28日に登録出願、第9類「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記録媒体」、第35類「コンピュータネットワーク上に於ける商品の販売・役務の提供の促進のための宣伝・広告,商品の販売等に関する情報の提供,インターネット上での競売の運営,通信販売に関する事務の代理又は代行,ポイントカードの発行,経営の診断及び指導,市場調査」、第38類「電子計算機端末による通信ネットワークの提供,電子計算機端末による通信」及び第42類「コンピュータプログラムの設計・作成・保守,電子計算機を用いて行う情報処理業務,コンピュータを用いた通信ネットワークの構築」を指定商品及び指定役務として、同16年6月4日に設定登録されたものである。 また、本件審判の請求の登録日は、平成20年7月9日である。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 請求人の調査したところによれば、商標権者である被請求人が本件商標をその指定商品中「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記録媒体」について使用している事実は発見できなかった。 また、本件商標に係る登録原簿上、専用使用権および通常使用権の登録もないところである。 したがって、継続して3年以上、商標権、専用使用権者または通常使用権者のいずれもが上記指定商品について本件商標の使用をしていないと推認されるものであるから、本件商標の登録は、上記「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記録媒体」について、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人は、答弁書において、本件審判の請求は成り立たないとして、概ね次のように主張している。 (1)被請求人は、オンラインショッピング事業を展開する計画の一環として、本件商標を登録を行なう一方、これに関連する発明「コンピュータで仮想的なショッピングを実現する店舗装置、及び画像合成システム」等について特許出願を行なった。 (2)昨年今年とこれらの特許取得に集中したにもかかわらず、拒絶査定となってしまったが、被請求人はこの事業を継続していく強固な意志があり、現在事業を推進しているところであり、実際に他社に協力を募っている。 (3)したがって、本件商標は、被請求人にとって重要かつ必要なものであるから、請求人の登録を取消されるべきとの主張は当たらない。 しかし、被請求人のかかる主張は失当なものであるから、請求人は以下にその理由を述べることとする。 (4)本件商標の使用の有無について 証拠(乙第1号証ないし乙第6号証)及び答弁書によれば、本件審判請求の予告登録前3年以内に、商標権者たる被請求人、その専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標を第9類「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記憶媒体」について本件商標を使用した事実を被請求人は、何ら証明していない。 (5)正当理由の有無について 商標法第50条第2項ただし書は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が指定商品に登録商標を使用していないとしても、「登録商標の使用をしていないことについて正当な理由」があることを商標権者たる被請求人が明らかにしたときには、登録商標は取り消されない旨を規定する。 ここでいう「正当な理由」とは、法的な規制によって商品を製造販売することができなかったとか、天災によって商品を製造販売することができなかったなど、商標権者等の責めに帰することができない事情によって審判請求の予告登録前3年以内に登録商標を使用することができなかった場合をいうものと解される。 しかるに、本件における被請求人の主張は、「本件商標の登録後、(2)昨年今年とこれらの特許取得に集中したにもかかわらず、拒絶査定となってしまったが、被請求人はこの事業を継続していく強固な意志があり、現在事業を推進しているところであり、実際に他社に協力を募っている。」と主張するが、これらの事情は、ここでいう「正当な理由」の存在を認める根拠となるものではない。 したがって、本件について「登録商標の使用をしていないことについての正当な理由」は、これを認めることはできない。 (6)結論 以上により、本件商標は、審判請求の予告登録前3年以内に商標権者たる被請求人、その専用使用権者又は通常使用権者のいずれも、その指定商品第9類「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記憶媒体」について、使用されたものとは認められない。また、登録商標の使用をしていないことについての正当な理由を認めることもできないことから、本件商標の登録は、上記第9類「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記憶媒体」について、商標法第50条の規定により取消されるべきものである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。 1 請求に対する答弁 (1)被請求人は二輪車の駐車設備の設計・製造・施行・販売等を業務としている。この内自転車の二段式駐車設備のパイオニアは被請求人である。 (2)被請求人はより使い易い二輪車の駐車設備の提供を目指して日々開発を続けており、その成果を多数の特許出願にて開示している。近年では個人認証のシステムに力を入れていて、特願2000-300595の「二輪車の駐車システム」、特願2002-099683の「錠システムおよびその錠」、特願2002-362633の「錠方法及び錠システム」、特願2002-362634の「駐車場の課金システム及び課金方法」の出願を行なっている(何れも審査請求中のものである)。これらの発明に於いては携帯電話を用いて課金システムや錠システムを組むことがテーマとなっている。 (3)このように携帯電話を用いれば個人認証や課金を安全かつ容易に行なえることから、この仕組を活用してインターネットでのオンラインショッピングの事業を行なうことを計画してこれを推進させている。この事業の一環として「トライオン/TRYON」の商標登録を行なうと共に、特願2003-095549の「コンピュータで仮想的なショッピングを実現する店舗装置、及び画像合成システム」の出願を行ない、またPCT/JP2004/008089の「コンピュータで仮想的なショッピングを実現する店舗システム」の国際出願を行なっている。 前者は個人認証や課金を携帯電話を用いて行なうものであり、同時に利用者の身体所要箇所の実測値を用いて商品画像を変形加工して、自己の身体サイズに合った商品画像を見せるというものであり、利用者の頭部画像を商品画像の頭部に合成して見せることにより、恰も実際に試着しているような感覚を与えようというものである。このようなシステムの特徴から「トライオン」という商標を苦労の末に考え出して商標登録を行なった次第である。 なお後者は、前者の試着システムを実際の店舗にいて体験しているかのような感覚を覚えさせるために発明した仮想店舗システムであり、この実現の意気込みとして国際出願まで行なったものである。 昨年今年とこの特許取得に集中したにも係わらず、残念ながら諸事情により両者共拒絶査定となったが、被請求人としては今後ともこの事業を継続していく強固な意志があり、現在事業を推進しているところであり、実際に他社に協力を募ってもいる。 (4)このような事情によって、登録商標の「トライオン/TRYON」は被請求人に取って重要である。この事業を行なうために個人認証や課金や仮想現実感を体感してもらうためのコンピュータプログラムを開発する。これにはサーバ側とクライアント側のプログラムが必要であり、サーバ側はインターネットのWWWによる販売システムを構築する。 またこのシステム上で商品販売を行ない補修などのサービスを提供する。またこの宣伝や商品情報の提供を行なう。またポイントを発行するなど、業務に係わる各種のサービスを提供する。また開発したプログラムは当業者に販売したり、使用法を教授したり、またこれに関連して必要になる各種のサービスを展開する。 したがって取得した登録商標は全てが密接に関連したものばかりであり、被請求人に必要なものばかりなのである。 (5)このようであるから請求人の登録を取り消されるべきとの主張は当らず、本件審判の請求は成り立たないものと考える。 2 平成20年12月1日付け上申及び平成21年2月3日付け上申 被請求人は、インターネットでのオンラインショッピングの事業を行うことを計画し、これを推進させており、このことを明確にする意味で、被請求人のホームページにてこの事業内容を公開した(乙第7号証)。 3 弁駁に対する答弁 (1)ジェイモード株式会社による確認書(乙第8号証)を提出する。 (2)本件審判請求の予告登録前3年以内にも、確かに当社(横浜特殊船舶株式会社)はこの登録商標を用いて活動している。当社が働き掛けた各社に於いては、既に担当者が退社していたりミーティングが行われた日時が曖昧になってしまっていたりするケースがあった。しかしながらジェイモード株式会社からはその確認を取ることが出来た。 (3)請求人の登録を取り消されるべきとの主張は当らず、本件審判の請求は成り立たないものと考える。 第4 当審の判断 1 商標法第50条の立法趣旨 商標法第50条の立法趣旨は、次のように理解される。 商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であるから、一定期間登録商標を使用しない場合には保護すべき信用が発生しないか、あるいは発生した信用も消滅してその保護の対象がなくなると考え、他方、そのような不使用の登録商標に対して排他的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなるから、請求をまってこのような商標登録を取り消そうというのである。 したがって、商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 2 本件商標が請求に係る指定商品「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記録媒体」に使用されているか否かについて 被請求人は、乙第1号証ないし乙第8号証を提出し、取得した登録商標は全てが密接に関連したものばかりであり、被請求人に必要なものばかりなのであるから、請求人の登録を取り消されるべきとの主張は当らず、本件審判の請求は成り立たない旨主張している。 そこで、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第8号証についてみるに、乙第1号証ないし乙第6号証は、被請求人等の出願に係る公開特許公報及び再公表特許のフロントページと認められるところ、該公報等には、特許出願公開番号、出願番号、発明の名称及び要約等が記載されているものの、本件商標は表示されていないものである。 そして、被請求人は、インターネットでのオンラインショッピングの事業を行うことを計画し、推進させており、このことを明確にする意味で、被請求人のホームページにてこの事業内容を公開したとして、乙第7号証を提出しているが、該ホームページには、「自転車管理システム」に関して記載されているものの、使用されている日付が本件審判の請求の登録前3年以内であることが証明されていないものである。 また、ジェイモード株式会社による確認書(乙第8号証)が証明しようとしている内容は、「・・・2.『トライオンプロジェクト』は、オンラインで実際のショッピングモールや店舗売り場にてショッピングをしているかのように見せる事ができるものであったり、オンラインで商品の着せ替え等が行えるものであると聞きました。・・・」と記載されているように、第35類に属する指定役務、例えば、「インターネットウェブサイトにおけるショッピングモールを介した商品販売に関する情報の提供」を表したものと認められる。 したがって、乙第1号証ないし乙第8号証をもって、被請求人により本件商標を請求に係る商品「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記録媒体」に付して使用している事実を証明するものとはいえない。 そして、被請求人は、上記乙第1号証ないし乙第8号証のほか、例えば、請求に係る商品「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記録媒体」のうち、いかなる商品がどのような時期に、誰に対して、どのような方法で販売されたか等、具体的な取扱について何等立証していない。 してみれば、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人により、本件請求に係る商品「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記録媒体」について使用されていたことを証明する証拠とはなり得ないものであるから、本件商標は、継続して本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれもがその指定商品中、請求に係る商品について使用していたことを証明し得なかったのみならず、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていないといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中第9類「コンピュータ,コンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記録した記録媒体」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-04-08 |
結審通知日 | 2009-04-13 |
審決日 | 2009-04-27 |
出願番号 | 商願2003-24826(T2003-24826) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y09)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 今田 三男 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 鈴木 修 |
登録日 | 2004-06-04 |
登録番号 | 商標登録第4775782号(T4775782) |
商標の称呼 | トライオン、トリオン |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 上原 空也 |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 齋藤 宗也 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |