• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y10
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y10
管理番号 1198878 
審判番号 不服2007-31345 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-21 
確定日 2009-05-19 
事件の表示 商願2006-72135拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「PERSONAL PULSE OXIMETER」の欧文字を横書きしてなり、第10類「患者用モニター及びセンサー,その他の医療用器具,その他の医療用機械器具,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器,医療用手袋,しびん,病人用便器,耳かき」を指定商品として、2006年(平成18年)2月15日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成18年8月2日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『PERSONAL PULSE OXIMETER』の文字を標準文字で表示してなるが、その構成中『PULSE OXIMETER』の文字は、『パルスオキシメータ(動脈血酸素飽和度測定器)』を指称する語として普通に使用されているから、これをその指定商品中「動脈血酸素飽和度測定器」について使用するときは、単に『個人用のパルスオキシメータ』であるという商品の品質、機能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における職権証拠調べ通知
本願商標を構成する「PERSONAL」の文字及び「PULSE OXIMETER」の文字は、それぞれ「パーソナル」及び「パルスオキシメーター」の英語表記と認められることから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、「パーソナル」及び「パルスオキシメーター」等の語に関して職権により証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して証拠調べ通知書を送付した。
1.「パーソナル」の語に関して
(1)「研究社ユニオン英和辞典 第2版」(株式会社研究社 1978年発行)の「personal」の頁(1637頁)に、「個人の、自分の、一身上の、私の、個人に関する」との記載がある。
(2)「コンサイスカタカナ語辞典 第2版」(株式会社三省堂 2002年発行)の「パーソナル[personal(個人の)]」の頁(757頁)に、「個人的、人格的、「1人用、個人用、小さくて手軽な」の意味で複合語をつくる。」との記載がある。
(3)「広辞苑 第6版」(株式会社岩波書店 2008年発行)の「パーソナル【personal】」の頁(2211頁)に、「個人的。個人用。一身上。」との記載がある。
(4)「タニタ、超音波画像計測装置を発売、脂肪など手軽にチェック」の見出しの下に、「タニタは、超音波を使い脂肪、筋肉などの体組成バランスを画像で手軽にチェックできるヘルスケア用のパーソナル・デジタル超音波画像計測装置『viewbo(ビューボ)』を二十五日から発売した。」との記載がある。(2007.4.27 化学工業日報)
(5)「在宅医療・健康管理でシステム概念示す 厚生省研究班 ターミナルケアでは各種機器の必要性を指摘」の見出しの下に、「情報通信技術などを組み込んだ在宅健康管理の実現のための要件としては管理ユニットを、(1)携帯性に優れたパーソナル医療機器の開発(2)食事、運動の管理、慢性疾患の医学的管理が可能な機器(3)家庭内のトイレ、浴室などに生体情報を収集する機能を組み込み日常生活行為で健康度を日常的に評価できるシステムとすることが必要と指摘。」との記載がある。(1995.9.25 ME japan)
(6)株式会社エーアンドデイのホームページ(以下「HP」という。)においては、「天秤(天びん)・台はかり・分析機器」の機種として、「パーソナル」の語を用いた「パーソナル電子天秤(天びん) EK-iシリーズ」の記載がある。(http://www.aandd.co.jp/adhome/products/balance/bal-personal)
(7)メディカルワークスのHPにおいては、携帯型マイナスイオン発生器として「パーソナルマグネイオン PMI-M01 TSE社製」の記載がある。(http://www.medical-works.ecnet.jp/mainasuion.html)
(8)インターネットの商品販売サイトである「ケンコーコム」においては、「rayclinica パーソナルレーザー脱毛器」の紹介がある。(http://www.kenko.com/product/item/itm_6900344772.html)
(9)価格比較サイトである「bestprice」においては、タイマーの種類として、「パーソナルタイマー」の紹介がある。(http://www.bestprice.net/hikaku/U8EM/)
(10)インターネットで公開されている、「科学機器総覧」の商品中に、「パーソナルpHメーター SPH-71 パーソナルpH/ORPメーター SPH-72」の紹介がある。(http://www.soran.net/index_html/A0163033.htm)
2.「パルスオキシメーター」の文字に関して
(1)2008年6月22日付け読売新聞東京朝刊の31頁には、「[ひと紀行]異分野からの新風=群馬」の見出しの下に、「指を挟むだけで血中酸素濃度が測れる『パルスオキシメーター』など、ヒット商品が続くこの2年間、陣頭指揮を執ってきたのは元マスコミ人だ。」との記載がある。
(2)2008年4月25日付け毎日新聞大阪朝刊の20頁には、「特集:地域医療を考える 異常な眠気、大きないびき 眠時無呼吸症候群に注意」の見出しの下に、「指先で体の酸素を測るパルスオキシメーターを使った簡単なスクリーニング検査があります。」との記載がある。
(3)2008年3月16日付け産経新聞大阪朝刊の16頁には、「75歳“超人”三浦さん 世界最高峰へ再挑戦」の見出しの下に、「午後6時半、血中酸素飽和濃度を測るパルスオキシメーターを左手中指に着け、まずは3600メートル相当(酸素濃度約13%)に設定された部屋に入った。」との記載がある。
(4)2008年3月16日付け神戸新聞朝刊の28頁には、「加東市 兵教大院生の修了記念 医療機器を学生寄贈」の見出しの下に、「今回の寄贈品は、指をはさむだけで体内の酸素量や脈拍数が分かる『パルスオキシメーター』(五万円相当)。」との記載がある。
(5)2007年11月30日山形新聞朝刊の21頁には、「外科からみた消化器疾患?大腸の話<148>手術の麻酔管理」の見出しの下に、「手術室に入られた後は、心電図・血圧計・パルスオキシメーター(指先で動脈血の酸素の量を測定する器械)をつけた後、点滴から麻酔薬を投与して全身麻酔が始まります。」との記載がある。
(6)2007年11月16日付け中日新聞朝刊の13頁には、「呼吸状態把握し、自身で管理 パルスオキシメーターの活用を 瞬時に測定 息切れ症状出る前に対応も」の見出しの下、「パルスオキシメーターは、脈拍とともに、血液の中にどれだけの酸素を取り込めたか(血中酸素飽和度)を測る機器。理想の血中酸素飽和度は若い人で97%以上、高齢者では95%以上とされている。採血することなく動脈に光線を当てることで測れる。」との記載がある。
(7)2007年10月19日付け読売新聞東京夕刊の17頁には、「在宅酸素療法 楽に呼吸、自由に行動」の見出しの下、「『指に挟むだけで酸素飽和度を計測できるパルスオキシメーターなどを使い、日常生活で自己管理する目安にもしてもらっています』と横山さんは話す。」との記載がある。
(8)2007年9月11日付け中日新聞朝刊の20頁には、「きのうの議会」の見出しの下、「障害者の地域生活支援 呼吸器機能障害者の動脈血酸素飽和度を測るパルスオキシメーターを、来年度から日常生活用具給付事業の対象品目にするよう検討する。」との記載がある。
(9)2007年7月15日付け毎日新聞大阪版朝刊の27頁には、「心臓病:16歳、負けない 東大阪市、血中酸素測定器を給付 法施行で可能に」の見出しの下、「東大阪市が血液中の酸素量を指先で測る『パルスオキシメーター』の給付を始め、重い心臓病を抱える同市の府立布施高定時制1年、奥村直毅さん(16)は、この機械で体調を把握して1日の行動を決められるようになった。」との記載がある。
(10)2007年6月7日付け日本工業新聞 Fuji Sankei Business i.の13頁には、「【シンクタンクi.】旭リサーチセンター 常務取締役主席研究員・大島正明」の見出しの下、「在宅の人や環境の状態の変化を直接感知・認識する小型センサーや、無線通信機能を備えたウェアラブルなデバイスを利用して、リアルタイムで適切なサービスを提供する試みも始まっている。指先から動脈血の酸素濃度をモニタリングするパルスオキシメーターや心拍、脈拍と身体の動作を直接センシングできるリストバンド型センサーネット端末が製品として販売されている。」との記載がある。
(11)2007年2月19日付け中日新聞朝刊の8頁には、「海外トレッキング 中高年に人気 楽しむコツは」の見出しの下、「パルスオキシメーター(動脈血酸素飽和度測定装置)を携帯して、体調を管理する旅行会社もある。」との記載がある。
(12)2006年11月2日付け毎日新聞徳島版の20頁には、「研究の現場から:生体光計測に取り組む--新居浜高専機械工学科・宮田剛助手 /四国」の見出しの下、「新居浜高専機械工学科の宮田剛助手(35)の研究室は、『アバランシェ・フォトダイオード』という高感度の光センサーを使い、体を傷付けずに血液中の成分を調べる生体光計測の研究に取り組む。昨年には、血中の酸素の濃度を計るパルスオキシメーターの高精度化に成功した。パルスオキシメーターは、赤色、近赤外の2種類の光を照射し、吸収度の違いから酸素と結合した酸化ヘモグロビンの割合を測定するもので、麻酔使用時に十分な酸素が送られているか、また睡眠時無呼吸症候群の検査にも使われる。」との記載がある。
(13)2006年9月20日付け朝日新聞西部地方版/山口の27頁には、「(氷河の頂へ マッキンリー遠征記:4)山頂目前、2人が断念 /山口県」の見出しの下、「14日朝、気温は零下10度。雪がちらつくが、各国の登山隊が山頂を目指して登り始めていた。チャンスだ。だが村岡浩二隊員がひどい頭痛で、前夜から食べ物をとれていなかった。持参した『パルスオキシメーター』という機器で、血中酸素濃度を指先で測った。65%。平時は90%以上だ。高度障害が疑われた。」との記載がある。
(14)2007年9月21日付け日経産業新聞13頁には、「ウェーブメディコ、睡眠時無呼吸症候群、携帯検査装置を発売。」の見出しの下に、「パルスオキシメーターは自宅などでも使える簡易測定用の『パルスワン』、病院向けに高機能な『パルスウオッチPMP?200M』、無線機能を付けて看護師が離れたところから患者の容体を確認できる『パルスウオッチPMP?200MT』の3種類を投入する。」との記載がある。
(15)2006年9月28日付け日経産業新聞の14頁には、「東大など、血中酸素飽和度の測定、微少チップを開発-患者の皮下や子宮内の胎児に。」の見出しの下に、「血液中の酸素飽和度が低すぎる状態が続けば、脳に障害が出るおそれがある。光の透過度から酸素飽和度を測る仕組みは、指先などで計測できるパルスオキシメーターとしてすでに実用化されている。」との記載がある。
(16)2005年10月14日付け日経産業新聞の9頁には、「MCメディカル、テレビ電話使い“問診”、4病院で年内導入-患者は自宅検査。」の見出しの下に、「同社と宇野病院はまず患者5人の自宅にテレビ電話と、血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーター、血圧計、心電モニターなどを設置した。」との記載がある。
(17)2005年10月8日付け日本経済新聞西部夕刊(社会面)の20頁には、「博多の病院、患者窒息、対応遅れ死亡-『警報音小さく』。」の見出しの下に、「病院によると、男性は血液中の酸素濃度を測定し、異常があれば警報音で知らせる『パルスオキシメーター』を装着していたが、音量は十段階の下から4番目で初期設定のままだった。」との記載がある。
(18)日経BP社発行の日経メディカル9月号(2005年9月10日発行)の179頁には、「携帯型パルスオキシメーター」の見出しの下に、「経皮的に動脈血酸素飽和度(SpO2(「p」及び「2」はそれぞれ右下に小さく表記されている。以下同様。)を測定するパルスオキシメーター。従来は在宅酸素療法を受けている呼吸不全の患者に対して使用するケースが多かったが、長時間連続してSpO2を測定・記録できる機種が登場。小型化も進んだため、患者に貸し出して、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニングに用いるという新しい使い方が注目を集めている。」との記載がある。また、同頁には携帯型パルスオキシメーターの商品例として、「テレメトリー指輪型パルスオキシメーター AD7010」(エム・シー・メディカル)、「カプノグラフ付パルスオキシメーター NPB-75MAX」(タイコヘルスジャパン)の記載がある。
(19)宝島社社発行の週刊宝島第30巻第5号通巻540号(2002年2月6日発行)の19頁には、「デジタルホームケア」の見出しの下に、商品例として、「テレメトリー指輪型パルスオキシメーター AD7010」(エム・シー・メディカル)の記載がある。
(20)「JICA技術協力プロジェクトホームページ」において、生体機能のモニタリングの欄では、「Measure oxygen saturation with the pulse oximeter」の英語表記を「パルスオキシメーターを用いた酸素飽和度の測定」との日本語表記の記載がある。(http://project.jica.go.jp/laos/0601506/04/pdf/terms.pdf)

第4 職権証拠調べ通知に対する意見
前記第3の職権証拠調べ通知に対して、請求人からは何らの意見、応答もなかった。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「PERSONAL PULSE OXIMETER」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「パーソナルパルスオキシメーター」の称呼を無理なく生じるものと認められる。
ところで、前記第3の職権証拠調べ通知の各事実に照らせば、「PERSONAL」の欧文字は「個人用」の意味を有する語であり、また、「PULSE OXIMETER」の欧文字から生ずる読みを片仮名で表したと認められる「パルスオキシメーター」の文字は、本願商標の指定商品を取り扱う分野において、「血中の酸素飽和度を測定する機器」の意味を有するものとして、広く採択、使用されており、かつ、「血中の酸素飽和度を測定する機器」にはセンサーが用いられていること、個人でも使用できる簡易測定型と病院などで使用する多機能型の二種類が販売されていることが認められる。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品中、「個人用の血中の酸素飽和度を測定する患者用センサー,個人用の動脈血酸素飽和度測定装置(パルスオキシメーター)」について使用した場合には、これに接する取引者、需要者が、「個人用の血中の酸素飽和度を測定する機器」の意味合いを容易に認識、理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえず、単に商品の品質を表したものとみるのが相当である。また、本願商標を上記商品以外の「患者用センサー,その他の医療用器具,その他の医療用機械器具」に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-12-19 
結審通知日 2008-12-22 
審決日 2009-01-06 
出願番号 商願2006-72135(T2006-72135) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y10)
T 1 8・ 13- Z (Y10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 和江早川 文宏真鍋 伸行 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
木村 一弘
商標の称呼 パーソナルパルスオキシメーター、パーソナルパルス、オキシメーター 
代理人 森田 俊雄 
代理人 深見 久郎 
代理人 竹内 耕三 
代理人 野田 久登 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ