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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z2024
管理番号 1197301 
審判番号 取消2007-301693 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-12-20 
確定日 2009-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4431741号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4431741号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4431741号商標(以下「本件商標」という。)は、「NeNestuto」の欧文字と「ネネット」の片仮名文字とを上下二段に書してなり、平成11年10月6日に登録出願、第20類「クッション,座布団,枕,マットレス」及び第24類「布団,布団カバー,布団側,枕カバー,毛布,タオルケット,ベスト状の防寒用寝具,防寒用寝具として使用するスリーパー,かや,い草シーツ,その他のシーツ,キルト製布団用パッド,バスタオル,その他の布製身の回り品」を指定商品として、同12年11月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
請求人の調査によれば、被請求人は、本件商標の指定商品、第20類「クッション,座布団,枕,マットレス」及び第24類「布団,布団カバー,布団側,枕カバー,毛布,タオルケット,ベスト状の防寒用寝具,防寒用寝具として使用するスリーパー,かや,い草シーツ,その他のシーツ,キルト製布団用パッド,バスタオル,その他の布製身の回り品」について、本件商標を継続して3年以上使用していない。また、商標登録原簿によれば、専用使用権者、通常使用権者は存在せず、未登録の通常使用権者が継続して3年以上使用している事実も見当たらない。
したがって、本件商標は、上記第20類及び第24類の指定商品について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証ないし乙第5号証に基づく使用の検討
商標「ネネット」の使用は、商標法でいう使用に該当しなければならないことはいうまでもない。そして、本件商標の指定するものは役務でなく商品であり、商標「ネネット」は本件商標の指定商品、たとえば、「タオルケット,バスタオル,ブランケット」との関係で使用されているとはいえないから、商標法第2条第3項各号に規定する「使用」に該当せず、使用事実は認められない。
被請求人の使用する商標「ネネット」が商標法第2条第3項第1号、同第2号、同第8号の「使用」に該当するか否かについて検討する。
ア 商標法第2条第3項第1号及び同第2号
乙第1号証ないし乙第5号証から、被請求人が使用しているという商標「ネネット」は、商品である「タオルケット,バスタオル,ブランケット」及びその商品の包装(写真における透明の袋)に付されている事実は確認できないから、商標法2条第3項第1号及び同第2号に規定する「使用」に該当せず、使用事実は認められない。
イ 商標法第2条第3項第8号
被請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証をあげて、「商標『ネネット』の付された『リーフレット(及びカード)』の同封された商品『タオルケット,バスタオル,ブランケット』が販売されている」と述べている。この被請求人の主張は「使用」との関係で明瞭でないが、「使用」との関係で好意的に解釈すれば、「商標『ネネット』の付された『リーフレット(及びカード)』が、商品『タオルケット,バスタオル,ブランケット』に同封されて頒布されている」というものと考えられる。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第5号証に示される「リーフレット」「カード」に「ネネット」の記載はあるが、「リーフレット」「カード」の記載から判断すると、「ネネツト」は「ベビー用品のオーダーメイドショップ」(乙第1号証の3)、「ベビーベッデインググッズのオーダーメイドスタジオ」(乙第2号証の2、乙第5号証)を示すものであり、顧客のオーダーによってベビー用品やベビーベッデインググッズをカスタマイズして提供するサービス(役務)の名称であることは明らかである。
本件商標の指定するものはあくまで「タオルケット,バスタオル,ブランケット」などの商品であって役務ではない。すなわち、乙第1号証ないし乙第5号証から、商標「ネネット」の付された「リーフレット(及びカード)」が、商品「タオルケット,バスタオル,ブランケット」に同封されて頒布されているとしても、商標「ネネット」を指定商品「タオルケット,バスタオル,ブランケット」との関係で使用しているとはいえない。
つまり、商標「ネネット」を「リ一フレット(及びカード)」に付して頒布しても、商標「ネネット」が指定商品「タオルケット,バスタオル,ブランケット」との関係で使用されているとはいえず、被請求人が商標「ネネット」を使用する行為は商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」に該当しない。
ウ 乙第1号証ないし乙第5号証に基づく使用の検討の結論
以上のように、商標「ネネット」の使用行為そのものが、指定商品「タオルケット,バスタオル,ブランケット」との関係で商標法第2条第3項各号に規定する「使用」には該当しない。してみれば、被請求人が本件商標を指定商品に使用している事実はなく、本件商標の登録は取り消されるべきである。
(2)乙第6号証に基づく使用の検討
乙第6号証の一連の仕入伝票においても、商標「ネネット」を使用しているとはいえない。
例えば、a.「上海人空貿易有限公司大阪営業所」の発行した仕入伝票には、発注者として「ネネット」と記載されたもの、「商品コード…」の欄に「ネネット」でなく「ネネト」と記載されたものがあり、b.「カンサイネーム株式会社」の発行した仕入伝票には、「商品コード…」の欄に「ネネット」と記載されているが、いずれも納品された「商品」は「シール,リーフレット,袋」などであり、指定商品である「タオルケット,バスタオル,ブランケット」などでない。そして、ここでいう「リーフレット」が乙第1号証ないし乙第4号証の写真におけるリーフレットだとしても、このリーフレット自体に記載されているものは、「左右に1枚ずつ羽根を対称に配置し、左右の羽根の間で判別不能なものを左からローマ文字『n』で、右からローマ文字『t』では挟んだもの」や、「ベビーベッデインググッズのオーダーメイドスタジオ」で提供されるサービス(役務)の名称としての「ネネット」にすぎない。また、リ一フレットの添付される「タオル,バスタオル,ブランケット」に記載されている商標は、「左右に1枚ずつ羽根を対称に配置し、左右の羽根の間で判別不能なものを左からローマ文字『n』で、右からローマ文字『t』では挟んだもの」であり、商標「ネネット」を使用しているとはいえない。
なお、発注者として「ネネット」と記載されているものもあるが、発注者が「ネネット」であることは、商標「ネネット」の使用となんら関係がない。
(3)乙第7号証に基づく使用の検討
乙第7号証の1ないし4の請求明細書の商品名には「新中野様おくるみ」「飯藤様おくるみ&タオルセット」「沢井様フード付バスタオル」「おさき様ケットブラン」とあり、商品「おくるみ,タオルセット,フード付バスタオル,ケットブラン」が納品されたことは推測される。そして、これらの商品に、上記の「リ一フレット」(及び「カード」)が同封されていても、上記のように、「リーフレット」(及び「カード」)における「ネネット」は、「ベビーベッデインググッズのオーダーメイドスタジオ」で提供されるサービス(役務)の名称にすぎないから、商品「おくるみ,タオルセット,フード付バスタオル,ケットブラン」に商標「ネネット」が使用されているということはできない。
(4)商標「ネネット」の社会通念上の同一性(商標法第50条)の検討
ア 物理的に同一な商標の使用
被請求人が使用しているという商標「ネネット」は、登録商標「NeNestuto\ネネット」のうちの下段の片仮名「ネネット」に該当し、二段併記の登録商標「NeNestuto\ネネット」を使用していないことは明らかであり、論じるまでもなく物理的に同一の商標を使用していない。なお、登録商標と物理的に同一の商標を使用していないことは、被請求人も認めている。
イ 社会通念上同一な商標
(ア)観念の同一性
登録商標「NeNestuto\ネネット」の上段の「NeNestuto」、下段の「ネネット」のいずれも造語であるから特定の観念を有さず、上段及び下段の各部が観念を同一としていないから、登録商標「NeNestuto\ネネット」の一方である下段の「ネネット」の使用は「登録商標と社会通念上同一と認められる商標の使用」ということはできず、被請求人は登録商標を使用しているといえない。
(イ)登録商標の上段「NeNestuto」の称呼の検討
被請求人は、「『NeNestuto』 から『ネネット』の称呼も生じるから、登録商標『NeNestuto\ネネット』と使用している商標『ネネット』とは社会通念上同一のものと見るべきである。」という。つまり、上段の「NeNestuto」と下段の「ネネット」の称呼がいずれも「ネネット」であり同一(上段及び下段等の各部が称呼を同一)であるという。
しかしながら、「二段併記の登録商標の一方の商標の使用が登録商標の使用と認める」のは「上段及び下段等の各部が観念を同一とするとき」であり、被請求人のいう「上段及び下段等の各部が称呼を同一とするとき」ではない。よって、商標「ネネット」の使用は、登録商標「NeNestuto\ネネット」と社会通念上同一と認められる商標の使用ということはできず、被請求人は登録商標を使用しているといえない。
もし、「上段及び下段等の各部が称呼を同一とするとき」も「二段併記の登録商標の一方の商標の使用が登録商標の使用と認める」としても、本件は該当しない。
すなわち、被請求人がいうように「NeNestuto」から称呼「ネネット」が生じるためには、 登録商標「NeNestuto」から「s」を除き、「tu」「to」を「tto」に換え、「NeNetto」に置き換えることが必要であり、被請求人のこの仮定(置き換え)は、暴論といわざるを得ず、なんらの根拠もない。
してみれば、「NeNetto」よりは「ネネスチュート」と自然に称呼されるというべきである。
(ウ)社会的同一性(商標法第50条)の検討のまとめ
上記のように、 登録商標 「NeNestuto\ネネット」の上段の「NeNestuto」から生じる称呼は「ネネステュート」であるというのを自然とし、下段の「ネネット」から生じる称呼「ネネット」と同一でない。してみれば、「上段及び下段等の各部が称呼を同一とするとき」も「二段併記の登録商標の一方の商標の使用が登録商標の使用と認める」としても、本件は該当せず、本件における商標「ネネット」の使用は、本件商標「NeNestuto\ネネット」の使用とは認められない。
(5)上記のように、本件商標は、その指定商品のいずれについても、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)、資料1ないし資料4(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用事実
(1)使用商標
・商標の態様:「ネネット」
・商標の使用に係る商品:「タオル,バスタオル,ブランケット」
(2)使用者
・住所:大阪市中央区東心斎橋1-8-4
・名称:株式会社彌生
・商標権者との関係:本人
(3)使用時期
遅くとも平成12年以降、現在に至るまで継続的に使用。
(4)商標の使用場所
大阪市中央区東心斎橋1-8-4
(5)商標の使用の事実を示す書類
ア 商品写真
乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)は、商標「ネネット」が付されたカードを商品の正面に同封してなる商品「おくるみ(新生児の全身をくるむためのタオル),タオル,バスタオル,ブランケット」の写真であり、当該商品は、商標権者の取引先である産院に対して販売され、産院の顧客(新生児の母親)に配布される。
イ リーフレット
乙第5号証は、商標「ネネット」が付された商標権者の商品リーフレットであり、そこには、本件商標の指定商品に含まれる「タオルケット,毛布,掛け布団カバー,おくるみ(新生児の全身をくるむためのタオル)」等が掲載されている。
当該リーフレットは、乙第1号証ないし乙第4号証に示すとおり、商標権者の取引先である産院に対して「ネネット」商品を販売する際、当該商品の裏面に同封される。当該リーフレットを同封した商品は、退院時のプレゼントとして、産院から新生児の母親に配布される。
また、当該リーフレットは、当該産院向けの商品に同封される他、商品を販売する商標権者の本社店舗においても相当数配布されている。リーフレットの発行年及び発行部数を示す証拠として、乙第6号証を添付する。乙第6号証は平成17年から平成19年にかけてのリーフレットに関する仕入れ伝票であり、合計発行数は平成17年:26,280枚、平成18年:30,000枚、平成19年:50,000枚(「51,380枚」とあるが、誤り)となっている。
ウ 商品販売代金請求書
・乙第7号証の1:乙第1号証の販売先である新中野女性クリニックへの2007年12月31日付請求明細書(写)
・乙第7号証の2:乙第2号証の販売先である医療法人飯藤産婦人科への2007年12月20日付請求明細書(写)
・乙第7号証の3:乙第3号証の販売先である沢井産婦人科への2007年10月31日付請求明細書(写)
・乙第7号証の4:乙第4号証の販売先である医療法人おさきレディースクリニックへの2007年12月31日付請求明細書(写)
なお、乙第7号証の4は、正確には請求宛名が「(有)KMAメディカル」となっているが、同社は医療法人おさきレディースクリニックの関連法人であり、都合上、かかる宛先を用いているにすぎない。
・乙第8号証の1:日本トイザらス株式会社宛2007年7月31日付請求明細書(写)
・乙第8号証の2:日本トイザらス株式会社宛2007年8月31日付請求明細書(写)
・乙第8号証の3:日本トイザらス株式会社宛2007年9月30日付請求明細書(写)
・乙第8号証の4:日本トイザらス株式会社宛2007年10月31日付請求明細書(写)
・乙第8号証の5:日本トイザらス株式会社宛2007年11月30日付請求明細書(写)
・乙第8号証の6:日本トイザらス株式会社宛2007年12月28日付請求明細書(写)
2 本件審判請求が棄却されるべき理由
上記事実から、本件商標は、本件審判の請求の登録(平成20年1月25日)(「平成20年1月23日」とあるが、誤り)前3年以内に、日本国内において、商標権者である被請求人により、請求に係る本件商標の指定商品中少なくとも「タオルケット,毛布,掛け布団カバー,おくるみ」等に関する商品リーフレットに使用されており、かつ、同商標が付されたカード及びリーフレットを同封した商品「おくるみ,タオル,ブランケット」等が取引先である産婦人科に販売されていることから、商標法第50条の規定により取り消されるべきものではない。
なお、産婦人科に販売した商品は、退院する新生児の母親にプレゼントされるものであるが、その商品を母親が気に入れば、同封されている「ネネット」のリーフレットにより、被請求人に対して直接商品の注文を行うことができる仕組みとなっている。
また、被請求人が商標「ネネット」の下で販売する商品は、いわゆるフルオーダー方式とは異なり、ベースとなる既製品に顧客が望むネームやアップリケを入れて納品するという、イージーオーダー方式を採用している。
ここで、本件商標「NeNestuto/ネネット」と使用商標である「ネネット」とは物理的に同一ではないものの、「NeNestuto」からは以下に述べるとおり「ネネット」の称呼もそれほど無理なく生じ得ることからすれば、両者は社会通念上同一のものとみるべきである。すなわち、本件商標を構成する上段部「NeNestuto」の文字は、商標権者による造語であるため、辞書上の正確な発音というものは存在しない。そこで、当該文字から生ずる称呼を検討すると、確かに、「ネネステュト」等の称呼が生じる可能性も否定し得ないものの、英語には「黙字」(silent letters)という発音しない語が多く存在するため(例えば、「島」を意味する「Island(アイランド)」など)、「NeNestuto」の文字のうち、母音を伴わない中間部の「s」を発音せずに当該文字全体を称呼するとみても、別段不自然なことではない。つまり、「NeNestuto」のうち、母音を伴わない「s」の文字をいわゆる黙字と見れば、その発音は「ne‐ne‐tu‐to」となるが、第3音及び第4音の子音が共に「t」であるため、「ネネツト」「ネネテュト」とは明瞭に発音し難く、共通する子音「t」を促音化し、「ネネット」なる称呼をもって発音するとみても、とりわけ不自然であるとはいえないと思料する。以上より、使用商標「ネネット」は、本件商標の下段部「ネネット」と同一の文字構成及び称呼からなり、また、上段部の「NeNestuto」から生じ得る称呼とも一致するものであるため、両者は社会通念上同一のものとみるべきである。
ちなみに、添付資料1及び同2は、商標「ネネット」に関する売上げ及び取引先の産院数である。すなわち、売上げについては、2005年:約1億1660万円、2006年:約1億5475万円、2007年:約1億9250万円と、着実な伸びを示しており、また、取引先の産院数についても、直接取引を行っている産院に限定して363、卸売会社からの販路も含めると、実質的な取引産院数は500以上となる。これら資料は、同商標に蓄積された保護されるべき取引上の信用が少なからず存在することを示すものとして提出する。
3 弁駁に対する第二答弁
(1)請求人は、商標「ネネット」は被請求人の提供する役務に使用されているにすぎず商品に使用されていないから、登録商標「NeNestuto\ネネット」の指定商品に使用されているとはいえず、商標「ネネット」が指定商品との関係で使用されている事実はない、と主張する。
しかしながら、被請求人は、顧客である日本トイザらス株式会社に対して、2007年7月から、被請求人商標「ネネット」に係る「タオルケット,毛布,ブランケット,ベッドガード,布団,スリーパー」等を継続的に販売しており、乙第8号証の1ないし6に示すように、同社に対して交付された請求明細書には、各商品に関連付けて、商標「ネネット」が表示されている。
かかる請求明細書の交付行為は、商標法第2条第3項第8号に定める「商品若しくは役務に関する…取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布…する行為」に少なくとも該当するというべきである。
よって、上記請求人の主張は失当である。
(2)また、請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証に関して、商標「ネネット」の付された「リーフレット(及びカード)」が、商品「タオルケット,バスタオル,ブランケット」に同封されて頒布されているとしても、商品「ネネット」を指定商品「タオルケット,バスタオル,ブランケット」との関係で使用しているとはいえない、と主張する。
乙第1号証ないし乙第4号証に示される産院向けに販売される各商品は、乙第5号証に示すパンフレットに紹介されるようなオーダーメイドシステムに従って製造販売されるものではなく、あくまで被請求人の企画発案に基づいて産院の協力により別途開発され、販売されるものである。すなわち、商品自体は本質的に既製品であって、当該商品の販売に際して、請求人の述べるようなオーダーメイドサービスが提供されているものではない。
少なくとも、乙第1号証の1及び乙第1号証の3、乙第2号証の1、乙第3号証の1及び乙第4号証の1に示す「カード」は、オーダーメイドサービスとは直接関連せず、上記商品の販売のために添付されるものである。したがって、当該「カード」に表示される商標「ネネット」は、被請求人の製造販売に係る商品「タオルケット,バスタオル,ブランケット」の出所を表示することを目的として使用されているというべきである。
よって、請求人の上記主張は失当である。
(3)さらに、請求人は、商標法第50条第1項に定める「社会通念上同一」の商標に関して、「二段併記の登録商標の一方の商標の使用が登録商標の使用と認める」のは「上段及び下段等の各部が観念を同一とするとき」であり、上段及び下段等の各部が称呼を同一とするときではない、と主張する。
しかしながら、請求人の言及する審判便覧に記載の「社会通念上同一と認められる事例」はあくまで例示であって、「社会通念上同一」の解釈は、審判便覧に列挙された事例に拘束されるものではない。むしろ、本件商標のように、特定の意味合いを生じさせない造語においては、観念の共通性は決して要求されないというべきである。
よって、請求人の上記主張は失当である。
(4)さらにまた、請求人は、本件商標の構成中「NeNestuto」から「ネネット」の称呼は生じない、と主張する。
しかしながら、本件商標は、全くの造語であり、「Ne」が「ネ」、「ne」が「ネ」、「tu」が「ツ」、「to」が「ト」にそれぞれ発音上対応することは明らかであり、当該欧文字部分から「ネネット」の称呼が生じることは決して不自然ではない。
よって、請求人の上記主張は失当である。
(5)ところで、商標法は、商標に化体した業務上の信用の保護を法目的とし、業務上の信用は、商標の使用により蓄積されるものである。不使用取消審判制度は、保護すべき価値のない不使用商標の登録を整理し、第三者の商標選択の自由を確保すべく導入されたものであり、いわゆる登録主義の補完的役割を担う。したがって、商標法第50条に定める商標登録の取消要件を解釈するにあたっては、当該商標登録が取り消されることによって生じる不利益と、類似商標の使用を欲する第三者の利益とを比較考量して、総合的に判断することが要請される。
すなわち、登録商標と実際に使用する商標との間に不一致があったとしても、当該登録商標に業務上の信用が実質的に化体していると評価できる場合は、「社会通念上同一」と見るべきである。なぜなら、かかる登録を取り消せば、当該登録商標に化体した信用が水泡に帰するのみならず、登録取消後も信用の残存する商標と、第三者の使用しようとする類似商標との間で、出所の誤認混同が生じる結果、市場を混乱させることとなり、これは、かえって商標法の法目的に反するからである。
この点、商標「ネネット」に係る商品の売上高は、平成20年3月12日付請求人の提出に係る答弁書において述べたように、近年着実な伸びを示している。資料3によれば、子供用品の販売大手である日本トイザらズ株式会社に対して、被請求人は、2007年7月から12月までの半年間で、1600万円以上を売上げていることが判る。
さらに、資料4の1および2によれば、インターネット検索エンジンで「ネネット タオル」「ネネット ベビー」という条件で検索すると、被請求人の商品が上位に検出されることが判る。
このように、乳児用のタオル等布製身の回り品の分野で、被請求人の商標「ネネット」はすでに一定の名声・信用を獲得しており、「ネネット」の文字を包含する本件商標に係る登録を取り消して、当該分野での第三者による類似商標の使用を許すことは、取引の実情に適合しないのみならず、被請求人に甚大な損失を与え、また、需要者による出所の誤認混同をかえって助長させる蓋然性が高い。これは、商標法の法目的に反するというべきである。
4 以上に徴し、本件審判請求は棄却されるべきものである。

第4 当審の判断
1 乙各号証(以下、「枝番号」の全てを引用するときは、その枝番号を省略する。)によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証ないし乙第4号証は、いずれも透明な包装用袋に入った素材がタオル地と思しき商品の正面及び裏面の写真であり、詳細は以下のとおりである。
ア 乙第1号証について
乙第1号証の1は、左上角部に水色のリボンとともに、別掲のとおり「左右に1枚ずつ羽根を対称に配置し、左右の羽根の間に語頭の『n』と語尾の『t』を二倍程度大きく表示して手書き風にやや図案化してなる『nenet』の文字(以下、羽の図を含めて「nenet図案化標章」という。)と、その直ぐ下に小さく『nenet&foseette』と記載されたラベルと思しきもの」が貼付され、下部中央に横長のカードが同封されており、該カードに「おめでとうございます/…/この商品は〈なんのレディースクリニック〉が、ベビー用品のオーダーメイドショップ〈ネネット〉と共同で企画し製作いたしました。…おくるみや湯上がり用…」と記述されている。
乙第1号証の2は、裏面の写真でリーフレットが同封されており、その中央に「nenet図案化標章」が表示され、その直ぐ下に「handmade studio」と記載され、その下に「ベビーベッディンググッズのオーダーメイドスタジオ《ネネット》」と記述されている。
乙第1号証の3は、乙第1号証の1に同封されていた横長のカードの拡大写真である。
イ 乙第2号証について
乙第2号証の1は、左上角部に水色のリボンとともに、「nenet図案化標章」が表示されているラベルと思しきものが貼付され、その下部に横長のカードが同封されており、該カードに、「おめでとございます/…/この商品は〈飯藤産婦人科〉がベビー用品のオーダーメイドショップ〈ネネット〉と共同で企画し製作いたしました。…おくるみや湯上がり用…」と記述されている。
乙第2号証の2は、裏面の写真で、乙第1号証の2と同じリーフレットが、同封されている。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証の1は、右上角部に水色のリボンとともに、「nenet図案化標章」が表示されているラベルと思しきものが貼付されており、左下角部に横長のカードが同封されており、該カードに「おめでとございます/…/この商品は〈沢井産婦人科〉が、ベビー用品のオーダーメイドショップ〈ネネット〉と共同で企画し製作いたしました。…おくるみや湯上がり用として…ポンチョとして…」と記述されている。
乙第3号証の2は、裏面の写真で、乙第1号証の2と同じリーフレットが同封されている。
エ 乙第4号証について
乙第4号証の1は、左上角部に水色のリボンとともに、「nenet図案化標章」が表示されているラベルと思しきものが貼付されており、中央下部に横長のカードが同封されており、該カードに「おめでとございます/…/この商品は〈おさきレディースクリニック〉が、ベビー用品のオーダーメイドショップ〈ネネット〉と共同で製作致しました。…毛布&ケットです…」と記述されている。
乙第4号証の2は、裏面の写真で、乙第1号証の2と同じリーフレットが同封されている。
(2)乙第5号証について
乙第5号証は、乙第1号証ないし乙第4号証において同封されていた「nenet図案化標章」が表示されているリーフレットの表面及び裏面の写しで、その表面右側の中央に「nenet図案化標章」、その下に「ベビーベッディンググッズのオーダメイドスタジオ《ネネット》」と記述され、また、中央部分の地図中に「Nenet」、住所表示の下に「《ネネット》」と表示され、さらに、左側の上部に「…ネネットは、ご家族と一緒になって…」と記述されている。また、裏面には、「nenet図案化標章」が左上角部に表示され、右上に「《ネネット》では生地選びから、カラーデザインまでオーダーメイドしていただけます。」、「…ネネットではメモリアルをテーマにタオルケット・おくるみ・スタイetcをお作りしています。」と記述され、中央左に商品写真とともに「タオルケット/毛布」、中央右に商品写真とともに「バスローブ」、「おくるみ」の表示がされている。
(3)乙第6号証について
乙第6号証は、「上海人空時貿易有限公司 大阪営業所」及び「カンサイネーム株式会社」から被請求人宛ての平成17年1月12日から平成19年11月21日にかけてのリーフレット等に関する仕入伝票で、「商品コード・品名・規格・品番」欄中の「品名」として、「ネネット用リーフレット」、「ネネット用袋」、「ネネットマチ付袋」、「ネネット用白地シール」、「ネネット用白地小シール」、「ネネット(マチ付)袋」、「ネネット用白地シール(小)」、「ネネット用手さげ袋(白)」の表示が認められるものの、本件商標及び本件指定商品の表示は認められない。
(4)乙第7号証について
乙第7号証の1ないし4は、被請求人から「沢井産婦人科」、「医療法人飯藤産婦人科」、「新中野女性クリニック」及び「(有)KMAメディカル」に宛てた2007年10月31日から2007年12月31日の請求明細書(控)であるが、本件商標の表示は見当たらない。
(5)乙第8号証について
乙第8号証の1ないし6は、2007年7月31日、同年8月31日、同年9月30日、同年10月31日、同年11月30日及び同年12月28日付けの被請求人から「日本トイザらス(株)」宛の請求明細書(控)で、「商品名」欄には、「ネネットBeBeベットガード」、「ネネットBeBe9点組布団」、「ネネットBeBeケットブラン」、「ネネットBeBe無撚糸スリーパ」、「ネネットBeBe無撚糸ケット」、「ネネットBeBe折り返し毛布」、及び「ネネットBeBeバスローブ」等の記載が認められるものの、本件商標の表示は見当たらない。
2 以上の乙各号証よりすれば、被請求人は、リーフレットとラベルに「ネネット」及び「ネネット図案化標章」を使用し、遅くとも2007年12月28日には、日本トイザらス(株)に商品「ネネットBeBe9点組布団」等を譲渡したものと認められる。

3 本件商標と使用標章との比較
商標法第50条第2項で規定するところの「登録商標の使用」とは、その請求に係る指定商品についての登録商標と同一と認められる範囲にあると解され、同条第1項は、カッコ書きを設け、その範囲を次のように規定している(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生じる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)。
これを、本件商標と被請求人が使用している標章「nenet図案化標章」及び「ネネット」又は「nenet」、「Nenet」(以下「使用標章」という。)についてみるに、本件商標は、前記第1のとおり、「NeNestuto」の欧文字と「ネネット」の片仮名文字を上下二段に書してなるところ、片仮名文字部分よりは「ネネット」の称呼を生ずるものの、上段の「NeNestuto」の欧文字は、特定の語義を有しない造語を表したものと認められることから、我が国で一般に親しまれている英語の発音方法に倣えば、前半部の「NeNe」が「ネネ」、後半部「stuto」が「ステュート」と発音・称呼され、該欧文字全体よりは「ネネステュート」の称呼を生ずるというのが自然である。そうすると、本件商標は、上段の「NeNestuto」の欧文字部分より「ネネステュート」の称呼、及び下段の「ネネット」の片仮名部分より「ネネット」の称呼を生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものというのが相当である。
一方、使用標章は、上記2のとおり「ネネット」の称呼を生ずる造語を表したものとみるのが相当であるから、本件商標の上段部の「NeNestuto」より生ずる称呼とは同一とはいえず、また、同一の観念も生じないものである。
そうすると、たとえ、被請求人が商品「ネネットBeBe9点組布団」等に標章「ネネット」を使用しているとしても、本件商標と被請求人が使用している標章「ネネット」とは、明らかに外観及び称呼が相違し、観念において比較できないものであるから、社会通念上同一の商標とはいえないものである。
他に、被請求人が本件商標の指定商品のいずれかについて、本件商標ないし本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したと客観的に認めるに足る証拠の提出はない。
なお、被請求人は、資料1ないし資料4を提出し、被請求人の商標「ネネット」は、既に一定の名声、信用を獲得していることから、登録商標と実際に使用する商標との間に不一致があったとしても、当該登録商標の業務上の信用が実質的に化体していると評価できる場合には、「社会通念上同一」とみるべきである旨主張しているが、商標法第50条第2項でいうところの「社会通念上同一」とは、前記のとおりであるから、かかる請求人の主張は採用することができず、使用標章が本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、本件商標の指定商品について使用されていないものであり、また、使用されていないことについて正当な理由があるものともいえないから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲



審理終結日 2009-03-11 
結審通知日 2009-03-13 
審決日 2009-03-25 
出願番号 商願平11-91248 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z2024)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加園 英明 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 齋藤 貴博
岩崎 良子
登録日 2000-11-10 
登録番号 商標登録第4431741号(T4431741) 
商標の称呼 ネネット、ネネステュート、エヌイイネステュート、エヌイーネステュート、ネステュート 
代理人 寺田 花子 
代理人 鮫島 睦 
代理人 田中 光雄 
代理人 齊藤 整 
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