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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z42
管理番号 1197277 
審判番号 取消2008-300260 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-03-03 
確定日 2009-04-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4520855号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 1 登録第4520855号商標の指定商品及び指定役務中、第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案」については、その登録は取り消す。2 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4520855号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成12年12月19日に登録出願、第25類、第35類、第36類、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務並びに第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,施設の警備,身辺の警備,衣服の貸与,植木の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,自動販売機の貸与,芝刈機の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,タオルの貸与,暖冷房装置の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,ルームクーラーの貸与」を指定商品及び指定役務として、平成13年11月9日に設定登録され、その後、同20年3月18日に本件審判の請求の登録がなされたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論1と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁の理由
ア 被請求人は、「京都市内において商業施設『新風館』を運営しており、」と主張するが、乙第1号証の左下に、「施設所有者」として被請求人が表記されているのみであり、それ以外の証拠においては記載がない。したがって、乙第1号証ないし乙第16号証において、被請求人は、「新風館」なる施設の所有者と認識されるにとどまる。
なお、乙第1号証の左下の欄には、「運営会社」として、被請求人以外の会社の名前が表記されているから、上記被請求人の主張は、理由がない。
イ 被請求人は、「施設に入居する全てのテナントは、入居条件に基づいて売上の一定の割合の金額を販売促進費として支払う。」と主張するが、この点を証する証拠は一切提出されていない。したがって、かかる主張が事実であると認めることはできない。
ウ 被請求人は、「この販売促進費を使って施設内でイベントの企画・運営、各種ポスター及びパンフレットの作成及び配布、ウェブサイトのデザイン・管理を行い、イベント会場のデザイン、ポスター、ウェブサイトなどのデザインを行っている。」と主張するが、上記のとおり、被請求人は、乙第1号証ないし乙第16号証において、施設所有者と認識されるのみであり、かかる業務を行っている者とは認識されない。
エ 被請求人の「施設内でイベントの企画・運営、各種ポスター及びパンフレットの作成及び配布、ウェブサイトのデザイン・管理を行い、イベント会場のデザイン、ポスター、ウェブサイトなどのデザインを行っている。」との主張は、本件請求に係る役務との関連でいうと、「ウェブサイトのデザイン」、「イベント会場のデザイン」、「ポスターのデザイン」の各役務が提供されているとの主張であると思量される。
しかし、乙第1号証ないし乙第16号証は、「新風館」なる施設のパンフレット、「新風館」で行われるイベントのパンフレット、「新風館」で行われるキャンペーンのパンフレット、各テナントで販売されている商品等の案内を集めたパンフレット、セール販売のパンフレット、「新風館」のウェッブページ、「新風館」のギャラリーで開催されるアーチストの個展の案内のウェッブページであり、それらには何らかの「デザイン」が含まれるものの、それら「デザイン」がどのように考案され、考案された「デザイン」がどのように提供されたかについては、何ら示されていない。
たとえば、平成16年(行ケ)第337号判決(甲第1号証)が判示するように、商標法上の「商品」や「役務」は、それ自体が独立して商取引の対象となるものでなければならないが、乙第1号証ないし乙第16号証には、「デザインの考案」が取引の対象として相手方に提供されたことを示す事項は一切存在しない。乙第1号証ないし乙第16号証は、「新風館」なる施設の運営者が、自身の施設のパンフレットを制作したり、自身が行うキャンペーンやセールの案内のパンレット等を制作したことを窺い知ることができるにとどまるものであって、第三者に「デザインの考案」が提供されたことを示すものではない。
仮に、被請求人が主張するように、乙第1号証ないし乙第16号証のパフレット類の制作が、テナントに対する「デザインの考案」の提供であると仮定しても、各テナントは、「新風館」を施設の名称であると認識しているのであり、「新風館」が「デザインの考案」の役務の名称であるとは認識しない。
オ 以上のとおり、被請求人の主張は理由がない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
(1)答弁の理由
ア 使用の事実
被請求人は、京都市内において商業施設「新風館」を運営しており、この施設に入居しているテナント(店舗)に「デザインの考案」を提供している。
上記施設に入居する全てのテナントは、入居条件に基づいて売上の一定の割合の金額を販売促進費として被請求人に支払う。被請求人は、この販売促進費を使って施設内でのイベントの企画・運営、各種ポスター及びパンフレットの作成及び配布、ウェブサイトのデザイン・管理を行い、イベント会場のデザイン、ポスター、パンフレット、ウェブサイトなどのデザインを行っている。そして、この取引において、本件商標が使用されている。
このように、提供する役務ごとに対価を受けているわけではないが、各テナントからテナント料とは別に販売促進費の支払を受け、イベント、ポスターなどの企画やデザインを行っているのだから、第三者に業として「デザインの考案」という役務を提供しているものと認められる。
上述したイベントの案内、ポスターなどの一部として、上記施設のフロアガイド(乙第1号証)、イベントガイド(乙第2号証ないし乙第5号証)、クリスマスキャンペーン用パンフレット(乙第6号証及び乙第7号証)、販促用小冊子(乙第8号証及び乙第9号証)、イベントスペース用パンフレット(乙第10号証)、電車内・館内用ポスター(乙第11号証ないし乙第14号証)、新風館ウェブサイト(乙第15号証)及び同ウェブサイトにおけるイベント情報(乙第16号証)を提出する。フロアガイド、イベントガイド、パンフレット、小冊子などは館内で配布するだけでなく、館外の飲食店、レコード店、書店、映画館、大学、ホテルなどにおいても配布している。
イ むすび
以上のとおり、本件商標が本審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定役務中「デザインの考案」について使用されていたことが明らかである。
(2)弁駁に対する答弁
被請求人は、請求人の弁駁に対して何ら答弁するところがない。

4 当審の判断
(1)商標法第50条の規定による商標登録の取消審判の請求があったときは、被請求人が、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者がその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについて登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたときには、その指定商品又は指定役務に係る商標登録は取り消されない(同条第2項)。
(2)被請求人は、本件審判の請求の登録(平成20年3月18日)前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定役務中の「デザインの考案」について、本件商標を使用していたとして、乙第1号証ないし乙第16号証を提出しているところ、提出に係る証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、「新風館」及び「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載されたパンフレットの写しと認められるところ、左下に「施設所有者」として「NTT都市開発株式会社 関西支店」及び「運営会社」として「株式會社親風社中」の文字が記載されているが、被請求人が役務「デザインの考案」を提供していたことを伺わせる記載がなく、印刷・発行日を確認し得る記載も見当たらない。
イ 乙第2号証及び乙第3号証は、いずれも「新風館」と「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載されたイベントガイドの写しと認められるところ、前者には「2007.11.3 sat-11.30」の文字及び「お問合せ・お申込」として「新風館運営事務局」が記載され、後者には、「2008.1.2wed-2008.1.27sun」の文字が記載されている。
しかし、いずれの証左にも、被請求人が役務「デザインの考案」を提供していたことを伺わせる記載がない。
ウ 乙第4号証は、左上及び左中央に「新風館」と「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載されたパンフレットの写しと認められるところ、右下に「Creative Production」の標題のもとに、「・・・パンフレット、web、映像など様々なクリエイティブツール制作まで請け負います。・・・デザインを行いながらも、リーズナブルな価格でご提供します。」及び「連絡先:新風館クリエイティブチーム」との各記載があり、右上に「MAY 2008」と記載されている。
エ 乙第5号証は、上部及び左中央に「新風館」と「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載されたパンフレットの写しと認められるところ、右下に「制作機能も充実」の標題のもとに、「・・・フライヤー、WEBなど様々な告知物の制作まで総合的に承ります。」及び「お問合せ先:新風館クリエイティブチーム」との各記載があり、上部に「JUNE 2008」と記載されている。
オ 乙第6号証及び乙第7号証は、いずれも下部中央に「新風館」と「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載されたクリスマスキャンペーン用のパンフレットの写しと認められるところ、前者には「2006.11.10 fri-11.26 sun」の文字、後者には「2006.12.8 fri-12.25 mon」の文字が記載されているが、被請求人が役務「デザインの考案」を提供していたことを伺わせる記載は見当たらない。
カ 乙第8号証及び乙第9号証は、いずれも左上に「新風館」と「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載されたテナントの販売に係る商品や提供に係る飲食物に関する販売促進用の小冊子の写しと認められるところ、前者には「13.April-6.may2007」の文字、後者には、「2007.9.7 fri-9.30sun」の文字が記載されているが、被請求人が役務「デザインの考案」を提供していたことを伺わせる記載は見当たらない。
キ 乙第10号証は、右上に「新風館」と「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載されたパンフレットの写しと認められるところ、被請求人が役務「デザインの考案」を提供していたことを伺わせる記載がなく、印刷・発行日を確認し得る記載も見当たらない。
ク 乙第11号証ないし乙第13号証は、いずれも「新風館」と「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載されたサマーセールに関するポスターの写しと認められるところ、乙第11号証には「SHIN-PUH-KAN 2004 SUMMER SALE」及び「6.25FRI.」の各記載、乙第12号証には平成18年(2006年)と推認し得る「6.23 fri」の記載、乙第13号証には「SHIN-PUH-KAN 2007 Summer SALE」及び「6.29[fri]」の各記載が認められるが、被請求人が役務「デザインの考案」を提供していたことを伺わせる記載は見当たらない。
ケ 乙第14号証は、新風館生誕7周年セールに関するポスターの写しと認められるところ、「1月2日 11:00 スタート」との記載はあるが印刷・発行年を確認し得る記載は見当たらず、被請求人が役務「デザインの考案」を提供していたことを伺わせる記載も見当たらない。
コ 乙第15号証は、「新風館」と「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載されたウエブページの写しと認められるところ、施設の外観を写した写真が掲載されているが、被請求人が役務「デザインの考案」を提供していたことを伺わせる記載がなく、印刷・掲載日を確認し得る記載も見当たらない。
サ 乙第16号証は、5名の画家のデザインに係る「新風館商品券500円」及び「SHIN-PUH-KAN」の各文字が記載された商品券等を掲載したウエブページの写しと認められるところ、各商品券には「2005年11月30日」、「2006年5月31日」、「2006年8月31日」、「2006年10月31日」及び「2006年12月31日」の記載があるが、被請求人が役務「デザインの考案」を提供していたことを伺わせる記載は見当たらない。
(3)前記(2)アないしサで認定した事実によれば、乙第1号証ないし乙第16号証に記載された「新風館」又は「SHIN-PUH-KAN」の各文字は、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
しかし、乙第1号証、乙第10号証、乙第14号証及び乙第15号証は、印刷又は発行日が不明であり、また、乙第4号証、乙第5号証及び乙第11号証は、それぞれ平成20年(2008年)5月、同年6月、同16年(2004年)に発行されたものと認められることから、これらは、本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものではない。
そして、上記以外の乙各号証によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人が所有(乙第1号証)する商業施設「新風館」において、各種イベント、あるいはテナントがその取扱いに係る商品又は役務について行うキャンペーンが開催され、これらに関するパンフレットなどの広告物及びウエブページが作成されたことは認められるものの、上記各種イベントやテナントが行うキャンペーン等に関する広告のための「デザインの考案」がいかなる者によって提供されたのか明らかではなく、上記広告のためのデザインの考案が被請求人によってなされたと認めるに足る的確な証拠の提出はない。仮に、広告のためのデザインの考案が被請求人によってされたものであるとしても、これらが独立して商取引の対象となったと認めるに足る証拠の提出もない。
そうすると、本件商標が各種イベントの案内やキャンペーンについての広告に使用されたとしても、これをもって役務「デザインの考案」が提供されたとはいい難く、被請求人の提出した証拠をもってしては、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務中の「デザインの考案」について本件商標を使用したと認めることはできない。
上記に関し、被請求人は、新風館に入居するテナントが被請求人に支払った販売促進費によって、被請求人は、施設内でのイベントの企画・運営、各種ポスター及びパンフレットの作成及び配布、ウェブサイトのデザイン・管理を行い、イベント会場のデザイン、ポスター、パンフレット、ウェブサイトなどのデザインを行っている旨主張する。
しかし、前記認定のとおり、被請求人が様々な広告のためのデザインの考案をしたと認めるに足る証拠はなく、また、テナントの支払った販売促進費が広告等のデザインの考案のために使用されたと認めるに足る証拠もない。
したがって、上記被請求人の主張は、採用することができない。
また、被請求人は、請求に係る指定役務中の「建築物の設計,測量」について、本件商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
(4)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、請求に係る指定役務について、本件商標を使用していたことを証明し得なかったのみならず、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中、第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案」について、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標


審理終結日 2009-03-03 
結審通知日 2009-03-05 
審決日 2009-03-17 
出願番号 商願2000-136422(T2000-136422) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 門倉 武則 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 末武 久佳
田村 正明
登録日 2001-11-09 
登録番号 商標登録第4520855号(T4520855) 
商標の称呼 シンプーカン、シンプーヤカタ、シンプー 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 保立 浩一 
代理人 中村 仁 

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