• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
管理番号 1197270 
審判番号 不服2008-6973 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-21 
確定日 2009-04-30 
事件の表示 商願2007- 56467拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「挽き割り」の文字を横書きしてなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年6月5日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品については、当審において、同20年10月20日付け提出の手続補正書により、第30類「即席そばのめん,即席中華そばのめん,そばのめん,中華そばのめん」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『穀物などを乾燥させてから挽いたもの』の意味を有する『挽き割り』の文字を書してなるから、これをその指定商品に使用するときは、『挽いた穀物を使用した商品』を認識、理解させるに止まり、単に該商品の原材料の加工状態、品質を表示するにすぎないので、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められるしたがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成20年9月8日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 職権証拠調べに対する請求人の意見(要点)
本願商標「挽き割り」を、補正後の指定商品「即席そばのめん,即席中華そばのめん,そばのめん,中華そばのめん」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「臼やその他の道具で、あらく砕いた原材料を使用した商品」であると理解することはなく、自他商品の識別標識としての機能を有する商標であり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しないことは明らかである。

5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「挽き割り」の文字を横書きしてなるものである。
そして、前記3の証拠調べにおいて通知したとおり、「挽き割り」の文字は、辞書等において、「穀物を臼でひいて、あらく砕いたもの」等の意味を有する、「碾き割り(ひきわり)」の文字と表音を同じにし、また、「挽き割り」の文字は、本願の指定商品と用途を同じくする食品の分野において、「臼やその他の道具で、あらく砕いたもの」如き意味合いをもって、広く使用されている実状にあって、特に、証拠調べ通知中、5(1)ないし(4)、(7)及び(8)においては、本願の補正後の指定商品である「即席そばのめん,即席中華そばのめん,そばのめん,中華そばのめん」の原材料であるそばの実を、あらく砕いた状態を「挽き割り」と称していることや、外国のそば料理に「挽き割りそば」の表示が用いられていることが確認できることからすれば、「挽き割り」の文字から、「臼やその他の道具で、あらく砕いたもの」の意味を認識させるというべきである。
してみれば、本願商標を、補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「臼やその他の道具で、あらく砕いたそばの実(原材料)を使用した商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないと判断するのが相当である。
なお、請求人は、「補正後の指定商品『即席そばのめん,即席中華そばのめん,そばのめん,中華そばのめん』においては、あらく砕いた原材料を使用することはなく、証拠調べ通知においても、『挽き割り』の文字が、補正後の指定商品に使用されている例はない。」旨、主張する。
しかしながら、補正後の指定商品の原材料は、請求人も述べているように、そば粉及び小麦粉等であるところ、例えば、そば粉の原材料はそばの実であって、それをあらく砕いた状態を「挽き割り」と称していることは前記のとおりである。
そして、「挽き割り」にしたそばの実を用いて、そば粉にし、その後、そば粉に他の材料等も加えて、「即席そばのめん,そばのめん」等を製造することからすれば、そば粉と同様にそばの実も前記指定商品の原材料ということができる。
そうすると、本願商標を構成する「挽き割り」の文字を、補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「臼やその他の道具で、あらく砕いたそばの実(原材料)を使用した商品」であることを認識、把握するにすぎないことから、本願商標は単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
そうとすれば、証拠調べ通知において、本願商標「挽き割り」の文字が、補正後の指定商品に使用している例が見当たらないとしても、本願商標が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないこと、前記のとおりであるから、請求人のこの主張は採用することはできない。
また、その他の請求人の主張をもってしても、拒絶査定の理由を覆すに足りない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
証拠調べ通知の内容
第1 本願商標を構成する「挽き割り」及び同義語「碾き割り」等の文字に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
1 「挽き割り(ひきわり)」の文字が有する意味。
(1)「木材を縦にひき切ること。また、そのようにしてつくった材木。」(「大辞林 第二版 新装版」株式会社三省堂発行)
2 「挽く(ひく)」の文字が有する意味。
(1)「ひき臼やその他の道具で、粒状の物や肉を細かくする。『そばの実を石臼で?・いて粉にする』『コーヒー豆を?・く』〔臼でひく場合は「碾く」とも書く〕慣用お茶を?」(「大辞林 第二版 新装版」株式会社三省堂発行)
(2)「[刃物などを使って]くだいたり、つぶしたりする。『牛肉をー』」(「三省堂 現代新国語辞典 第三版」株式会社三省堂発行)
(3)「ひき臼の類ですりくだく。『コーヒー豆を?・く』『挽く』『碾く』と書く。」「〔力を入れて引く。肉などを細かくする〕お茶をひく・肉をひく・ひき肉」「『お茶を挽く・コーヒー豆を挽く』は『碾く』とも書く。」(「学研 現代新国語辞典 改訂第四版」株式会社学習研究社発行)
3 「碾き割り(ひきわり)」の文字が有する意味。
(1)「穀物を臼でひいて、あらく砕いたもの。食用・飼料用。「碾き割り麦」の略。【碾き割り納豆】【碾き割り麦】」(「大辞林 第二版 新装版」株式会社三省堂発行)
(2)「臼でひいて割ること。[ひき割り麦]あらくひいて、つぶを割ったオオムギ。」(「三省堂 現代新国語辞典 第三版」株式会社三省堂発行)
(3)「うすでひいて割ること。大麦をうすであらくひき割ったもの。(ひき)わり麦。」(「学研 現代新国語辞典 改訂第四版」株式会社学習研究社発行)
4 「碾く(ひく)」の文字が有する意味。
(1)「臼ですって、くだく。『豆をー・お茶を?』」(「三省堂 現代新国語辞典 第三版」株式会社三省堂発行)
(2)「〔穀物などをすり砕く〕ソバをひく・うすをひく・大豆をひいて黄な粉をつくる」(「学研 現代新国語辞典 改訂第四版」株式会社学習研究社発行)
5 「挽き割り」の文字が、新聞、書籍、インターネット等において、食品の分野で使用されている事実。
(1)「そばこ 蕎麦粉」の見出しのもと、「〔1番粉〕まず玄ソバから種皮(ソバ殻)をとり去った丸抜きないし挽き割りの状態のものを軽く粗抜きする。」との記載、また、「そばしょうちゅう 蕎麦焼酎」の見出しのもと、「原料のソバを蒸して白米の麹と掛け合わせるか、ソバ麹にソバまたは白米を合わせて発酵させて作られる。原料のソバは挽き割りかソバ米が使われるが量産するには作業性のよいソバ米が適している。」との記載(「麺類百科事典」小池安寿発行)
(2)「そばの豆事典」のウェブサイトにおいて、「そばじょうちゅう【蕎麦焼酎】」の見出しのもと、「原料のソバを蒸して白米の麹と掛け合わせるか、ソバ麹にソバまたは白米を合わせて発酵させて作られる。原料のソバは『挽き割り』か『そば米』が使われるが、量産するには作業性のよいそば米が適している。」との記載(http://jiten.kurumaya-soba.com/sobajyoutyu.htm)。
(3)「二八蕎麦倶楽部」のウェブサイトにおいて、「蕎麦用語辞典 は行」の見出しのもと、「ひきわり【挽き割り】 玄ソバから殻を取り除いた段階で、実が割れている状態のものをこう呼ぶ。『割れ』とも。」との記載
(http://biggolf.web.fc2.com/jiten.html#ha)。
(4)「江戸蕎麦 一香庵」のウェブサイトにおいて、3種類のそばの実の画像と共に、その下に「挽き割り・丸抜き・玄そば」との記載
(http://www.ikkouan.com/ikkouan/soba.html)。
(5)「07年麦茶特集:関西地区主要メーカー動向=小谷穀粉」の見出しのもと、「(株)小谷穀紛(本社=高知市、088・882・2645)は麦茶、健康茶、健康飯、健康食品を製造、販売し、全国の茶店舗、流通ルートに広くチャネルをもっている。(略)今期は『ティーフレッシュ』シリーズにごまを中心にブレンドした『ごま健康麦茶』(12・5g×40袋=写真)を新発売した。新商品は焙煎挽き割りのごまに、黒豆、はと麦をブレンドしたもの。」との記事(2007.04.18 日本食糧新聞)
(6)「ナガミネコーポレーション株式会社」のウェブサイトにおいて、「商品名: 国産ハトムギ全粒 挽き割り茶」との記載
(http://www2.enekoshop.jp/shop/nagamine-corp/item_detail?category_id=12381&item_id=70794)。
(7)「そばの散歩道」のウェブサイトにおいて、「ロシアのそば料理●カーシャ」の見出しのもと、「挽き割りそばを塩味に仕上げたおかゆ。」との記載(http://www.nichimen.or.jp/tokusyu/03/05.html)
(8)「東京ガス」のウェブサイトにおいて、「外国にもある『そば料理』」の見出しのもと、「・カーシャ 挽き割りそばを使ったおかゆ。」との記載(http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/jiten/008.html)。
(9)「株式会社田代商店」のウェブサイトにおいて、「3(○付き数字)パン用全粒粉 グラハム粉」の見出しのもと、「硬質小麦を丸ごと挽き割り。粗挽きの全粒粉。つぶつぶ感あり。」との記載(http://www.tashiro-syouten.com/syohin.html)。
(10)「ほんだ農場」のウェブサイトにおいて、「家庭用製粉機 電動フルイ」のタイトルのもと、「ご家庭に一台あれば、米、麦、そば、大豆、などの製粉から飼料穀類の粉砕(挽き割り)味噌摺り、豆腐作りまで、いろいろな用途に手軽にご使用いただけます。」との記載 (http://www.hondanojo.com/seifunki.html)。
(11)「岩塚製菓、米菓の新商品5品発売 こだわりの原料・製法使用」の見出しのもと、「岩塚製菓(株)(新潟県長岡市、0258・92・5241)は、秋の米菓の新商品5品を7月から9月にかけて順次発売した。(略)『大まめ餅』は、生地のなかに食感のアクセントとなる丸粒のままの大豆と香りを引き立てる挽き割り大豆をたっぷり練り込んだ。」との記事(2007.10.29 日本食糧新聞)。
(12)「2006年冬期納豆特集:主要メーカー動向=ヤマダフーズ」の見出しのもと、「(株)ヤマダフーズ(本社=秋田県仙北郡、0182・37・2246)の注目商品は、『ひきわりマイルドミニ3』。挽き割り納豆では、第一人者を自負する同社ならではの逸品に仕上がり、人気上昇中。」との記事(2006.02.06 日本食糧新聞」)。
(13)「全国納豆協同組合連合会」のウェブサイトにおいて、「納豆百科事典」の見出しのもと、「Q:糸引き納豆にはどんな種類がありますか? 糸引き納豆は、『丸大豆納豆』『挽き割り納豆』『五斗納豆』の3つに分けることが出来ます。(略)『挽き割り納豆』は、大豆を炒って荒く挽き、表皮を取り除いてから煮るのが特徴。」との記載(http://www.710.or.jp/hyakka/ped_natto08.html)。

第2 本願商標は「挽き割り」の文字を横書きしてなるところ、該文字は、「木材を縦にひき切ること。また、そのようにしてつくった材木。」の意味を有し、その表音は「ひきわり」と認められる。
また、「碾き割り」の文字は、「穀物を臼でひいて、あらく砕いたもの。食用・飼料用。」等の意味を有し、該文字の表音も本願商標と同様に「ひきわり」と認められるものである。
そして、本願商標の構成中「挽(く)」の文字は、「ひき臼やその他の道具で、粒状の物や肉を細かくする。」等の意味を有し、例えば、「そばの実を石臼で挽いて粉にする」、「コーヒー豆を挽く」、「お茶を挽く」、「牛肉を挽く」等のように使用される文字とされているが、用途によっては「碾(く)」の文字を用いることも可能であるとされていることから、辞書においては、「挽」の文字と、「碾」の文字との用例が明確に区別されているとはいい難いものである。
また、前記5より、本願指定商品と用途を同じくする食品の分野においては、「挽き割り」の文字が、「臼やその他の道具で、あらく砕いたもの」如き意味合いをもって、広く使用されている実情にあるといい得るものである。
さらに、前記3(1)に記載されている「碾き割り納豆」の文字が、市場においては「挽き割り納豆」と表されて取引されていることが確認できるものである。
以上の事実等を総合勘案すると、本願商標「挽き割り」の文字は、「碾き割り」の文字と「ひきわり」の表音を同じにすることも相俟って、「碾き割り」の文字が有する意味と酷似した意味合いで使用されているといい得るものであるから、「挽き割り」の文字より、「臼やその他の道具で、あらく砕いたもの」の意味を看取させるというのが相当である。
してみれば、本願商標「挽き割り」の文字を、その指定商品中「米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「臼やその他の道具で、あらく砕いたもの」であると理解し、また、本願指定商品中「そば茶,その他の茶,そば粉を原材料とする菓子及びパン,そばつゆ,即席そばのめん,即席中華そばのめん,そばのめん,中華そばのめん,その他の穀物の加工品,そば粉,その他の食用粉類」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「臼やその他の道具で、あらく砕いた原材料を使用した商品」であると理解し、単に商品の品質を表示したものと認識し、把握するにとどまるというべきであるから、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは、認識し得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するといわざるを得ない。


審理終結日 2009-02-24 
結審通知日 2009-02-25 
審決日 2009-03-18 
出願番号 商願2007-56467(T2007-56467) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梶原 良子 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小畑 恵一
岩崎 安子
商標の称呼 ヒキワリ 
代理人 鶴若 俊雄 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ