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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X25
管理番号 1197223 
審判番号 不服2008-23453 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-11 
確定日 2009-04-24 
事件の表示 商願2007-33097拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「セルフサービス」の片仮名文字を標準文字で表してなるものであり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成19年4月5日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『客に自分の注文品を自ら選び取って運んでもらうこと』の意で、商品の販売方法を表示するものと理解される『セルフサービス』の文字を書してなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であるか認識することができないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「セルフサービス」の文字よりなるものであるところ、該文字は、「飲食店・商店で、客に自分の注文品を自ら選び取って運んでもらうこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)、「商店・食堂などの営業法式の1.店員をごく少数しか置かず,客自身が商品を選択したり,運んだりその業務を代行する.人件費の節約により,兼価販売が可能.」(株式会社三省堂 コンサイスカタカナ語辞典第3版)の意味を有する語であって一般によく親しまれているものである。
そして、「セルフサービス」の語は、コーヒーショップ、レストラン等の飲食業界や、ガソリンスタンド業界において、その役務の提供方法を表すものとして普通に用いられているばかりでなく、例えば、次のような新聞情報及びインターネット情報によれば、本願の指定商品を取り扱う業界においても、スーパーマーケット、ディスカウントストア、小売店等において、商品の販売方法としてセルフサービス式が採用され、かつ、該語がその販売方法として普通に用いられている事実をうかがい知ることができる。

(1)「ヨーカ堂、フロアごとに案内係-年末商戦で全店に配置」(2008.12.18 日刊工業新聞)
「セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂は、年末商戦で全180店(11月末時点)の主要なフロアごとに案内係を配置する方針を明らかにした。セルフサービス、低価格を売り物に拡大してきた総合スーパー(GMS)が、こうした案内係を全店的に配置するのは珍しい。」との記載がある。

(2)「計2000品目値下げ MrMax」(2008.12.16 西日本新聞朝刊)
「ディスカウントストアのMrMax(福岡市)は十五日、十一月から実施している値下げ品目を、年末までに約八百追加し、計約二千品目にすると発表した。・・・同社は、セルフサービスなどで経費を抑え、商品を安く提供するディスカウントストアだが、・・・さらに値下げに踏み切ることにした。対象商品は食品や衣料、家電など幅広く、・・・冬物衣料などを追加し、約二千品目に増やす。・・・」との記載がある。

(3)「【あれもこれも関西発!】第45回スーパーマーケットチェーン」(2008.11.01 産経新聞大阪夕刊)
「・・・いまや全国どこでも当たり前に見られる光景を生み出したダイエーは、大阪・千林で産声をあげた。・・・米国のスーパーマーケット方式に注目していた中内さんはセルフサービスとレジでの一括精算方式を取り入れ、どこよりも安く販売。・・・衣料品や精肉、鮮魚など品ぞろえを広げ、衣食住すべてをまかなう現在の総合スーパーのひな型となった。・・・」との記載がある。

(4)「総合スーパー」(2008.04.10 共同通信)
「食料品や日用品だけでなく、衣料品や家具など衣食住にわたる商品をセルフサービス形式で販売する小売業。多品種の商品を大量に扱うことで、百貨店や専門店より安く売ることができる。・・・」との記載がある。

(5)「食品産業功労賞受賞者プロフィル:流通部門=ヨークベニマル・大高善興氏」(2007.10.23 日本食糧新聞)
「・・・◆ヨークベニマル・・・創業者大高善雄氏が昭和22年6月紅丸商店を設立、・・・36年には対面販売からセルフサービスとして福島県内の出店を進めていった。・・・衣料、日用雑貨の扱いも始まった。・・・」との記載がある。

(6)「専門店各社、小型SC向けに新型店舗??まちづくり三法、「大型」規制にらむ。」(2006/05/09 日本経済新聞朝刊)
「衣料品、靴、雑貨などの有力専門店が「まちづくり三法」の改正に備え、規制の適用を受けない小型ショッピングセンター(SC)向けの小型店を相次ぎ出店する。セルフサービス方式が主体で、低価格の独自商品をメーカーと共同企画する専門店も出てきた。・・・」との記載がある。

(7)「【検証アイ】戦後60年(3)流通革命一時代築いたダイエー」(2005.08.13 FujiSankei Business i)
「衣食住の生活にかかわるすべての商品を効率的なセルフサービスで販売。全国規模でチェーン展開することにより、商品を大量に安く仕入れ、低価格を実現するという手法である。・・・」との記載がある。

(8)「今さらですが百貨店って何?(ニッキィの大疑問)」(2004/05/26 日本経済新聞夕刊)
「じゃ、実家に帰った時に行くイオンの店は大きくて百貨店そのものですね。・・・それも違います。イオンやイトーヨーカ堂は総合スーパーです。経済産業省の業態分類によると、百貨店も総合スーパーも従業者数が五十人以上の大型店で衣食住全般をそろえる点は同じですが、スーパーは客が自分で商品を選んでレジに運ぶセルフサービスの売り場が全体の五〇%以上。一方、百貨店は店員が客に応対する接客販売が五〇%以上を占めます。・・・」との記載がいある。

(9)「〈連載〉 挑むプライスリーダー 西松屋チェーン-中 ローコスト 新店は6ヵ月で利益貢献」(2003.10.29 繊研新聞)
「・・・西松屋チェーンの店舗のローコストオペレションをして“自動販売機”に例える声もある。・・・この間、販売員から声が掛かることはほとんどなく、見やすく標準化された陳列もあり、セルフサービスが徹底している。・・・」との記載がいある。

(10)「[ニュース展望]小売業日本一の変遷 異業種、外資参入で次は…=経済部・荒木功」(2001.04.28 毎日新聞東京朝刊)
「戦後は新宿、池袋などのターミナル駅の周辺に百貨店が相次いで進出し、・・・やがて、百貨店同士の競争をしり目に躍進したのが、米国流のノウハウを導入したスーパーだ。57年設立のダイエーがセルフサービスの導入や大量仕入れによる「価格破壊」で急成長した。・・・」との記載がある。

(11)「連載 ファーストリテイリング『ユニクロ』の挑戦(洋服の生協)-3」(2000.03.29 繊研新聞)
「一九八三?八四年当時、DCブームが台頭し高価格で『入りづらい店』が日本中に“増殖”する。若者が背伸びをして飛びつくが、『高いものばかりは買えない十代の男の子たちに、流行に沿った低価格のカジュアルをセルフサービスで提供してみよう』と、業態開発に取り掛かる。・・・」との記載がある。

(12)「21世紀型小売業、既存業界の戦略??専門店、アウトレット先行展開。」(1993/01/01 日経流通新聞)
「・・・最近では低価格販売を実現するために、・・・いかに販売管理費を削るかに苦心している専門店が多い。・・・販売方法も、セルフサービスをできるだけ取り入れて、時間当たりの粗利益である“人時生産性”を高めようと必死だ。・・・」との記載がある。

(13)「ファッションセンターしまむら」のホームページにおいて、「沿革 ?わたしたちの軌跡?」の項に「1957年 セルフサービスを導入、総合スーパーストアへ。」との記載がある。(http://www.shimamura.gr.jp/company/history/)

(14)「株式会社にしがき」のホームページにおいて「にしがき沿革」の項に「45年9月 資本金を1,000万円に増資。丹後で初めての衣料品のセルフサービス方式の蜂山店を社員12名で始める。」との記載がある。(http://www.super-nishigaki.jp/public_html/Company/Company_History.html)

(15)「総合衣料問屋のプロルート丸光」のホームページにおいて「会社概要」の項に「主要事業内容 ・当社は全国の衣料品店をはじめ、専門店、チェーンストア、百貨店などの登録店に対し、衣料品、服飾雑貨、寝具・インテリア商品等を前売り・セルフサービス方式で直接販売する総合衣料問屋です。」との記載がある。(http://www.proroute.co.jp/company/outline/index.html)

(16)「総務省統計局、政策統括官(統計基準担当)、統計研修所の共同運営による統計専門サイト」において、「セルフ店 売場面積の50パーセント以上についてセルフサービス方式を採用している小売事業所をいう。なお,セルフサービス方式とは,無包装あるいは,あらかじめ包装され,値段がつけられている商品を客が自分で取り集め,売場の出口などに設けられた勘定場で一括して支払を行う方式をいう。」及び「大型小売店 従業者50人以上の百貨店及びスーパーをいう。百貨店は,・・・スーパーは,売場面積の50パーセント以上についてセルフサービス方式を採用し,かつ売場面積が1,500平方メートル以上の事業所をいう。」との記載がある。(http://www.stat.go.jp/data/nenkan/13j.htm)

(17)「経済産業省」のホームページにおいて、「商業統計」の項で「用語の解説」として、「・セルフサービス方式(小売業のみ) セルフサービス方式とは、次の3つの条件を兼ね備えている場合をいい、当該事業所の売場面積の50%以上について下記の条件を採用している場合をいう。
1.客が値札等により各商品の値段が判るような表示方法をとっていること
2.店に備え付けられている買い物カゴ、ショッピングカート、トレーなどにより、客が自由に商品を選び取れるようなシステムをとっていること
3.売り場の出口などに設置されている精算所(レジ)において、客が一括して代金の支払いを行うシステムになっていること 」との記載がある。
(http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/result-4.html)

以上のとおり、本願商標の指定商品を取り扱うスーパーマーケット、ディスカウントストア、小売店等においても、商品の販売方法として、セルフサービス方式が普通に採用されており、かつ、「セルフサービス」の語が商品の販売方法を表すものとして普通に使用されている事実が認められる。
そうとすると、「セルフサービス」の文字よりなる本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、セルフサービスの販売方法によって提供される商品であることを表したものと認識、理解するに止まり、自他商品の出所を表示する標識とは認識し得ないものであって、結局、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6条に該当するものであって、これと同趣旨をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-02-18 
結審通知日 2009-02-25 
審決日 2009-03-10 
出願番号 商願2007-33097(T2007-33097) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 岩崎 良子
佐藤 淳
商標の称呼 セルフサービス、セルフ 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 

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