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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y36
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y36
管理番号 1197213 
審判番号 不服2007-31346 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-21 
確定日 2009-04-08 
事件の表示 商願2006-121822拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「がん長期サポート」の文字を標準文字で書してなり、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,保険情報の提供,資金の貸付け」を指定役務として平成18年12月27日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『がん長期サポート』の文字を標準文字で表してなるところ、それぞれの持つ語の意味合いから『三大疾病の一つである癌を長期間支援する生命保険の引受け』程の意味合いを認識するにすぎず、これをその指定役務中前記文字に照応する役務、例えば『生命保険の引受け』について使用しても、単に役務の質(内容)を表したに止まり、自他役務を区別する標識としての識別力を具有しない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「がん長期サポート」の文字よりなるところ、その構成中の「がん」の文字部分は、本願指定役務中「生命保険の引き受け」との関係からすれば、「癌に関する保険」を想起させるものである。
そして、「長期」の文字部分が「長い期間」を、また、「サポート」の文字部分が「支えること。支持、支援。」(いずれも広辞苑第5版 株式会社岩波書店発行)の意味をそれぞれ有するものであって、「長期」と「サポート」を結合した「長期サポート」の文字部分は、本願指定役務中「生命保険の引き受け」との関係では、「長期間収入等をサポートする保険」を看取させる語として普通に使用されていることは、以下の新聞記事情報及びインターネット情報の掲載例をみても、十分に裏付けられるところである。
(1)2003年6月11日「日本工業新聞」17頁
「損保、住宅メーカーによる住宅用保険 差別化商品一段と色濃く」の見出しの下、「AIU保険と共同で開発した『ながーい安心』の販売に力を入れる。・・・これに対し新型商品では長期サポートを重視しており、全額支払う。」との記事。
(2)2001年4月4日「日本工業新聞」25頁
「ユナム、個人向け長期所得補償保険を発売」の見出しの下、「経営者向けの商品は働けなくなった場合に入院・自宅療養を問わず最長5年間にわたって月30万-100万円・・・。このほか、最長60歳まで月10万-50万円を補償する『長期収入サポート保険』や、月10万-15万円を最長10年支払う『学業サポート保険』などを販売する。」との記事。
(3)1997年10月22日「朝日新聞」東京地方版/岩手 0頁
「住宅ローンのサポート保険 北日本銀行で取り扱い(経済短信)/岩手」の見出しの下、「北日本銀行は長期入院や自宅療養した場合に同行住宅ローンの返済を助ける住宅ローンサポート保険の取り扱いを始めた。」との記事。
(4)「日立キャピタル損害保険株式会社」のホームページ(http://ebank.hokende.com/mrt030/161.asp)には、「保険市場」の見出しの下、「長期収入サポート保険」との記載。
(5)「MDホームズ」のホームページ(http://www.mdhome.jp/blog/31.html)には、「長期所得補償 “ろーん”ぐサポート保険」との記載。
上記の実情からすれば、病気の「癌」を想起させる「がん」の文字を冠した本願商標「がん長期サポート」の文字を、例えば、本願指定役務中「生命保険の引き受け」に使用するときは、これに接する需要者、取引者は、「長い期間収入等を支援するための癌保険」程の意味合いを容易に想起するに止まり、単に役務の質、内容を表示したにすぎないから、本願商標は、自他役務としての識別標識の機能を有し得ないものというのが相当である。また、これを前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、「がん長期サポート」の構成文字中の「がん」の文字が、「三大疾病の一つである癌」を意味するかは不明であり、「サポート」の文字においても多義語であるから、「癌を長期間支援する生命保険」程の意味合いを認識させるとはいえないものである。また、保険の役務における質(内容)を表示するとは、その保険の種類、保障額、支払条件、特約等の具体的内容に関してなされるものであるから、本願商標からは、具体的にどんな保険であるか把握できない。そして、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願の登録適格性を主張している。
しかしながら、本願商標「がん長期サポート」の構成中の「がん」の文字が、本願指定役務の業界においては、「癌に関する保険」が普通に取引されている実情からすれば、「癌」を容易に想起させるものとみるのが自然であり、請求人が提出したパンフレット(甲第9号証)、新聞記事(甲第10号証ないし甲第15号証)においても、「がん」の文字を使用し、かつ、これらの文字が「癌」を意味するものとして掲載されているものである。
そして、本願商標の「がん長期サポート」の文字に接する取引者、需要者は、一般的な生命保険ではなく、癌という病気になった時に長期間収入等を支援してくれる保険、いわゆる「癌に関する保険」を理解するものであって、この業界において普通に使用されている実情からすれば、誰もが使用を欲するものであって、一私人にこの標章の独占を認めるのは妥当でないものといわなければならない。
また、請求人は、本願商標は画期的な商品としてすでに使用しており、相当規模の広告宣伝活動を行っているから、本願指定役務の分野においては、取引者・需要者に相当程度の認知を得ていることから、使用による識別性を有するに至っている旨主張し、甲第1号証ないし甲第32号証を提出している。
しかしながら、請求人が提出した甲第9号ないし第29号証において使用している文字は、「がん長期サポート特約」(以下「使用商標」という。)であって、この「特約」の内容が、「医師から余命6ヶ月以内と判断された場合に、死亡保険金を前払いで支払う特約は販売されていたが、余命を問わずに保険金を前払いする特約」であり、これらが該保険の特長といえるものであるから、「特約」の文字がない本願商標と使用商標とは、明らかに差異を有するものである。
ところで、使用による識別性を有するに至った商標として登録が認められるのは、その商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品又は役務と同一の商品又は役務に関する場合のみとするところ、本願商標と明らかに差異を有するこれらの甲各号証においては、使用による識別性を有するに至った商標の証拠とはなり得ないものといわなければならない。
また、甲第31号及び第32号証は、広告用の冊子と推測されるもの及び請求人の会社の「平成19年度上半期報告」であり、これらの甲各号証中にも、本願商標が使用による識別性を有するに至った商標であるとの証拠は見い出せないから、上記請求人の主張は、いずれも採用できない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-01-26 
結審通知日 2009-02-02 
審決日 2009-02-25 
出願番号 商願2006-121822(T2006-121822) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y36)
T 1 8・ 272- Z (Y36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦酒井 福造 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 久我 敬史
手塚 義明
商標の称呼 ガンチョーキサポート 
代理人 野田 久登 
代理人 竹内 耕三 
代理人 森田 俊雄 
代理人 深見 久郎 

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