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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
管理番号 1197133 
審判番号 不服2008-27005 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-23 
確定日 2009-04-09 
事件の表示 商願2008- 9863拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第30類「ラーメンのめん,その他の穀物の加工品,ラーメン用のスープ,しょうゆ,その他の調味料,ぎょうざ」を指定商品として、平成20年2月13日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、三種類の三角形の模様を連続して表現した、いわゆる『地模様』と認識されるものを縦長の長方形の形に赤色で書し、その中に、『福岡県南西部、筑後川下流にある市。』を認識させる『久留米』の文字と、『出すこと。はじめること。おこすこと。』の意味を有する『発』の文字とを一連に書した『久留米発』の文字を、該長方形の枠内に白抜きで縦書きに普通に書してなるものである。そして、近年『○○発』という文字が、商品の産地や販売地を表すものとして使用されている事実があることからすれば、これに接する取引者、需要者は、該商品が『久留米で生産、販売、発送される商品』であることを理解し、単に商品の品質、産地、販売地を表したにすぎないものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、赤色の色彩を施し、三角形の幾何図形を多数配した縦長矩形の図形内に、白い縁取りをし、中央には髭文字風の書体で大きく「久留米発」と、白抜きで表した構成からなるものである。
そして、本願商標を構成する、白い縁取りがされた縦長矩形の図形部分は、その内部に、三角形の幾何図形を規則的に配してなるにすぎない、いわゆる、地模様の一種を表したものであり、また、枠内を白く縁取りすることも、普通に行なわれていることからすれば、該図形部分は、背景図形ないし単に文字を顕著に引き立たせるためのものとしか認識し得ないといわざるを得ず、それ自体が単独で自他商品を識別する機能を発揮し得るとはいい難いものである。
また、「久留米発」の文字部分は、福岡県南西部に位置する久留米市を認識させる「久留米」の文字と、「出ること。(はじめて)出すこと。」(「広辞苑第五版」)等の意味を有する「発」の文字との結合からなるものと容易に理解させることから、該文字全体として「久留米市から出ること」又は「久留米市から出すこと」程の意を看取させるものである。
さらに、昨今、食品を取り扱う業界において「都市(地域)名」と「発」の文字とを結合させた、「○○発」という語が、該都市(地域)で製造又は発売される商品であることを表す文字として一般に使用されている実状は、原審で示した証拠に加えて、以下の新聞記事及びインターネットにおけるウェブサイトの情報等からも、裏付けられるものである。
(1)「【超短波】とんこつ味の元祖・久留米発の九州ご当地ラーメン紀行-。」の見出しのもと、「とんこつ味の元祖・久留米発の九州ご当地ラーメン紀行-。福岡県久留米市の久留米製麺(高武博愛社長)が、博多、久留米、熊本、鹿児島の各ラーメンを楽しめる即席めんセット=写真=の製造を本格化した。」との記事(2004.06.10 西日本新聞朝刊 31頁)。
(2)「東京・歳暮ギフト特集:主要CVS=クリスマス・正月用も取り込む」の見出しのもと、「主要CVSチェーンの歳暮ギフトは、昨年より一週間ほど早いスタートとなった。(略)一方、ローソンは各地の銘産品を集めた『銘産探訪』、スリーエフはタラバガニ、ラーメンセットなど函館発の商品群。『安全・安心・健康』と『地域銘産品』が共通キーワードになっている。」との記事(2004.11.12 日本食糧新聞)。
(3)「とろみスープがよくからむ 博多発屋台風焼きラーメン発売へ/永谷園」の見出しのもと、「永谷園は、『博多屋台風 焼きラーメン』を20日に発売する。福岡・博多の屋台で生まれた、めんをラーメンスープでいためたメニュー。とんこつベースに醤油(しょうゆ)ラーメンの味などを加えた『醤油とんこつ』とソース風味の『ソースとんこつ』の2種類」との記事(2006.03.19 読売新聞東京朝刊 13頁)。
(4)「“江戸前”良質ミルク 牛乳消費拡大の切り札!?」の見出しのもと、「『東京発』の牛乳ブランドが今月お目見えする。その名も『東京牛乳』。『低迷する牛乳消費の起爆剤に』と関係者の期待は膨らむ。」との記事(2006.09.10 産経新聞大阪朝刊 21頁)。
(5)「鍋物調味料特集:主要メーカー動向=紀文食品」の見出しのもと、「主力のおでんは、バラエティーおでん種として鶏肉を使用したヘルシーウインナー『豆腐入り鶏ウィンナー』(126g=標準7本入り、191円=写真)、『鶏ごぼうウインナー』(同)や『キリン一番搾り生ビール』とのタイアップ商品『静岡発 黒はんぺん』(5枚入り、200円)などを新たに上市した。」との記事(2006.10.23 日本食糧新聞)。
(6)「ミナミ あっちこっち ラリー 全国“うまいもん”大集合」の見出しのもと、「和歌山 豚マンの皮にチャーシューを挟んだ和歌山発のニューウエーブ『紀州よさこいバーガー』のほか、阿蘇のニュージャージー牛乳に好きな和歌山の果物を混ぜて作る生フルーツアイスクリームなど、これからブレークしそうな逸品」との記事(2007.10.04 産経新聞大阪夕刊 9頁)。
(7)「スープカレー:札幌発食文化、一堂に 今春、国内初の『横丁』中央区にオープン」の見出しのもと、「札幌から全国に人気が広まったスープカレーの専門店を集めた国内初の『スープカレー横丁』が、4月にも札幌市中央区南2東2の大都ビル地下にオープンする。」との記事(2008.01.29 毎日新聞北海道夕刊 8頁)。
(8)「連載<世界が食べたい>関西 風土」の見出しのもと、「深夜ラーメンがちと重くなった中年層には、うどんがいい。しかも北海道風ではなく、関西風の『かすうどん』を楽しめるのが、今年3月にオープンした『風土』だ。(略)同店の姉妹店かすそば『風土』(札幌市中央区南5西4ソシアルビル1F、電話011・521・4000)が、23日に新しくオープンしたばかり。こちらでは『かすうどん』をベースに考案したオリジナルの『かすそば』と焼き鳥をメーンに提供する。うどんが気に入った人は、ぜひ札幌発の『かすそば』も試してみて。」との記事(2008.09.25 日刊スポーツ新聞 北海道日刊)。
(9)「KyushuWalker」のウェブサイトにおいて、「塩の次は醤油! 九州発“しょうゆロールケーキ”が話題沸騰!?」の項のもと、「株式会社リョーユーパン(福岡県大野城市)は、2/1(日)から、生地とクリームに醤油を使った『九州しょうゆロール』の発売を開始した。」との記載(http://news.walkerplus.com/2009/0209/5/)。
(10)「楽天市場」のウェブサイトにおいて、「【共同購入】毎日が特売日!本舗人気の商品が盛り沢山」の項のもと、「◆堂々新登場◆熊本発ブランド豚!厳選されたその旨味かつ味わいをご堪能くださいませ!」との記載(http://www.rakuten.co.jp/n-meat/883398/883400/)。
(11)「楽天市場」のウェブサイトにおいて、「はかたの地どり串焼きセット」の項のもと、「久留米発焼鳥の味!地どりの美味しさを届け致します!」との記載(http://item.rakuten.co.jp/n-meat/otamesi-kokusanngyu2980/)。
(12)「こめ旨!!壱番館」のウェブサイトにおいて、「商品No.2105:新潟発!1年中新米の美味しさをお届け。氷温熟成米こしひかり 5kg」の項のもと、「こめ旨!!壱番館の【氷温熟成米新潟こしひかり】」との記載(http://komeuma.com/SHOP/1051.html)。
(13)「Yahoo!ショッピング」のウェブサイトにおいて、「栗山米菓 ばかうけ 青のり 20枚」の項のもと、「商品説明 新潟発!コミュニケーションおせんべい♪」との記載及び該商品の外袋に「新潟発!コミュニケーションおせんべい♪」との記載(http://store.shopping.yahoo.co.jp/plus1shop/11-476.html#)。
(14)「CaraCarina」のウェブサイトにおいて、「京都発のほんまもん 道明寺の桜餅(さくら餅)10個入り【進物用・化粧箱入り】」の項のもと、「説明:ご進物に 京都らしい、優しい桜餅。隅から隅まで心をこめてつくりました。」との記載(http://carina.so-net.ne.jp/item/SBBcI47A2Z)。
(15)「Yahoo!ショッピング」のウェブサイトにおいて、「大名古屋セット(名古屋発あんかけソース120g×2食,八丁味噌風味スパイスミート220g×2食、鉄板用ナポリタンソース180g×2食、冷凍パスタ4食)」の項のもと、「ご当地パスタ 尾張名古屋から発信する味。この機会に食べつくせ!」との記載(http://store.shopping.yahoo.co.jp/cuisinecompany/pds-001.html)。
(16)「Yahoo!ショッピング」のウェブサイトにおいて、「盛岡発盛岡冷麺 2人前 奥州とろろうどん本舗小山製麺」の項のもと、「商品説明 冷麺発祥の地、平壌と同じ北緯40度の岩手県盛岡市。冷麺になじみのない方も、ぜひ1度ご賞味いただきたい一品です。」との記載及び該商品の外袋に「盛岡発」との記載(http://store.shopping.yahoo.co.jp/oyamaseimen/re-1.html)。
(17)「Yahoo!ショッピング」のウェブサイトにおいて、「大阪発カレーうどん(太麺・24食)」の項のもと、「もっちりした太麺にあっさりカレースープで味わう独特の大阪スタイルをお楽しみください。」との記載及び該商品の外箱に「大阪発」との記載(http://store.shopping.yahoo.co.jp/uushop2/y31562.html)。
(18)「ラーメン.コム」のウェブサイトにおいて、「ラーメン.コムは札幌発本場の美味しいラーメンをお届けします。工場直送だから出来る鮮度と美味しさをご賞味ください!!」との記載(http://www.jp-ramen.com/)。
そうすると、「久留米発」の文字は、食品である指定商品との関係において、「福岡県久留米市で製造又は発売された商品」程の意味を容易に理解させるというべきである。
してみれば、地模様を施し、縁取りをした縦長矩形の図形内に、「久留米発」の文字を表した構成よりなる本願商標を、その指定商品中「福岡県久留米市で製造又は発売された商品」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質、産地、販売地を表示してなるにすぎないものと理解、認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないというべきであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
なお、請求人は、「過去に『地名+発』からなる商標が登録されていることから、『久留米発』の文字は商品の産地等を直ちに認識させず、また、本願商標は、文字と図形とが一体感のある商標を構成していることから、自他商品識別力を有する。」旨、主張する。
しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様及び指定商品における取引の実状等を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、また、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるところ、現時点において、「○○(都市又は地域名)発」という語が、該都市(地域)で製造又は発売される商品を表す語として、食品の分野において広く一般に使用されている実状にあることからすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、「久留米発」の文字から、前記実状と同様に、「福岡県久留米市で製造又は発売された商品」であること、すなわち、商品の品質、産地、販売地を表示してなるにすぎないものと理解、認識するといわざるを得ない。
また、このように判断することが、取引上不自然といえるほどの事情は見出せないものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、その判断は左右されないというべきである。
さらに、本願商標中の図形部分は、前記のとおり、地模様からなる、単に「久留米発」の文字を引き立たせるための背景として認識する程度のものであって、これのみで殊更、看者の注意を惹くほどの特徴を有するとはいい難く、自他商品識別力を有するとは認められないことから、仮に、本願商標が、まとまりよく一体に表されているとしても、そのことを理由に、自他商品の識別力を有しない図形及び文字から構成される本願商標が、直ちに、自他商品の識別標識としての機能を有するということはできない。
そうとすれば、請求人のいずれの主張も採用することはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであり、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本願商標





審理終結日 2009-01-28 
結審通知日 2009-02-03 
審決日 2009-02-24 
出願番号 商願2008-9863(T2008-9863) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X30)
T 1 8・ 272- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田口 善久武谷 逸平小田 明 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 岩崎 安子
小畑 恵一
商標の称呼 クルメハツ 
代理人 内野 美洋 

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