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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 025
管理番号 1197120 
審判番号 取消2008-300259 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-02-29 
確定日 2009-04-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4285724号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4285724号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成6年9月6日に登録出願、第25類「被服(「和服」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同11年6月18日に設定登録、同20年3月18日に本件審判の請求の登録がされたものであるが、その指定商品中の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」についての商標登録は、同年4月2日に商標法第50条第1項の審判の請求(取消2008-300407)、同年4月18日に審判の請求の登録、同年7月8日付け審決により取り消され、その確定の登録が同年9月11日にされたものであり、その余の商標権については、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙第1号証について
(ア)乙第1号証(商品企画書)は、商標法第2条第3項第8号に掲げる広告、価格表、あるいは取引書類のいずれに該当するのか明らかでない。すなわち、乙第1号証に記載された売価と乙第3号証に記載された単価には大きな食い違いがあることから、この商品企画書は、注文を受けるための取引書類にも価格表にも該当するものと理解することは困難である。また、広告に該当しないことも明らかである。
さらに、被請求人は、乙第1号証の制作日について、表紙右下隅に記載した「H19.9.12」の表示から主張しているものと思われるものの、この商品企画書が、卸売店や小売店に配布された事実を示す証拠は提出されていない。
(イ)商品企画書の証拠としての成立性についても明らかではない。すなわち、この商品企画書には目次、奥付け、裏表紙の添付がない。また、表紙の次の頁に記載された右肩の「No.14」は何を意味する番号か不明である。下部中央の「1/1ページ」の表示からみると「No.14」は、全1頁と理解される。次の頁からの8枚については「No.15?No.22」の昇順の連番が付されており、各頁毎に異なるタイプの商品を示す頁の抜粋かとも思われるが、下部中央の頁表示によれば、大きい頁番号から小さい頁番号へ降順の連番となっている。かかる表示からして、乙第1号証が、いかなる原本のいかなる部分を抜粋したものか不明であり、さらに進んで、原本の存在さえ疑わしい資料といわざるを得ない。
イ 乙第2号証は、乙第3号証に記載の品名コード「71307」に対応するデニム製ハーフパンツの写真と思われるが、紙製タグに表示された商標、商品自体の腰ベルト部分の外側に刺しゅうされた商標、腰ベルト部分に示された商標のいずれも本件商標とは異なるものであり、社会通念上同一の商標を使用している事実を証明する資料とはなり得ないものである。
ウ 以上より、乙第1号証ないし乙第3号証によっては、本件審判の請求前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品について登録商標を使用した事実が証明されたということはできない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
(1)使用の事実
ア 乙第1号証は、商標権者が平成19年9月12日に制作した2008年春向けの商品企画書であり、卸売店や小売店に対して配布されたものである。表紙に示されるように、本件商標のほか、商標権者が所有している商標「TOMCAT」(登録第1479279号)、「MILDCLUB」(登録第2196362号)及び「STRAWBERRY CHOCO」(登録第2346472号)の各商品ラインナップを掲載したものであるが、本件商標に関する頁のみを部分的に抽出して提出する。
本件商標は、商標権者が製造販売するズボンやスカートのブランドとして使用されている。
イ 乙第2号証は、商標権者が製造販売しているデニム製ハーフパンツの写真である。書体は様々であるが、本件商標と同じ英文字綴りの商標が、印刷された紙製タグが付されたり、商品自体の腰ベルト部分に刺しゅうされることにより付されている。
ウ 乙第3号証は、乙第2号証(写真に示されるデニム製ハーフパンツ)の納品伝票(写し)である。品名コード欄に記載された品番「71307」が前記商品に付された紙製タグに印刷された「NO.71307」に対応している。本件商標が付されたデニム製ハーフパンツは、本件審判の請求前である2008年2月14日付けで他社に販売された。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求前3年以内に、日本国内において、商標権者により、請求に係る指定商品中のデニム製ハーフパンツに関する商品企画書に付して頒布され、そして同商品に直接付されて現実に販売された事実があるから、請求人の主張は理由がない。

4 当審の判断
(1)被請求人が本件商標を使用しているものとして提出した乙第1号証ないし乙第3号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、「2008 SPRING COLLECTION」との表題がある2008年春向けの商品企画書と認められるところ、表紙の右下には、「NAKANO Co.,Ltd. 株式会社ナカノ H19.9.12」の記載がある。該商品企画書に掲載された商品は、デニム製のパンツ・ハーフパンツ・スカートなどのパンツ、スカート類である。
また、該商品企画書は、表紙を含め全10頁からなるものであるところ、2枚目(1/1ページ)から10枚目(1/8ページ)には通し番号として、順に「No.14」から「No.22」が付されており、各頁の最上段には、本件商標と同一の商標及び「2008 Spring」の文字が表示されている。
さらに、乙第1号証の「7/8ページ」には、品名を「T/C混デニムハーフパンツ」とし、品番を「71307」とする商品の見本図が掲載されており、該商品の売価は「税込1,575」であり、色の種類として「ネイビー」、「ブルー」の2種類があることを窺わせる記載がある。
イ 乙第2号証は、乙第1号証に掲載された、品名を「T/C混デニムハーフパンツ」とし、品番を「71307」とする商品のうち、「ブルー」のものの写真と認められるところ、該商品の腰ベルト外側部分には、筆記体で表した「Fine」の文字が表示されている。また、該商品に付されたタグ及び腰ベルト内側部分には、活字体で表した「FINE」の文字が表示されている。
ウ 乙第3号証は、被請求人(商標権者)から岡山市桑野704-1に所在の東邦衣料株式会社(以下「東邦衣料」という。)に宛てた、納品年月日を「08.02.14」とする入日記(控)であるところ、その1?6の項目の「品名コード」欄には「71307」と、同「品名」欄には「TC混デニムハーフパンツ」との記載があり、1?3の項目は、「カラー」の欄に「「ブルー」と記載されたサイズ違いのもの3種、4?6の項目は、「カラー」の欄に「ネイビー」と記載されたサイズ違いのもの3種がそれぞれ記載され、1?6の項目の各商品の販売数量は、いずれも20本であり、単価は600円である。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、被請求人は、その取扱いに係る商品「パンツ、スカート類」を掲載した、平成19年9月12日作成に係る商品企画書に、本件商標と同一の商標を表示したこと、また、2008年(平成20年)2月14日に、岡山市に所在の東邦衣料に対し、商品企画書に掲載された商品中の、品名を「T/C混デニムハーフパンツ」とし、品番を「71307」とする商品を合計120本納品したことを優に推認することができる。そして、上記商品企画書に掲載された「パンツ、スカート類」が本件請求に係る指定商品「被服(「和服」を除く。)」に属する商品であることについては、当事者間に争いがない。
そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成20年3月18日)前3年以内に、本件請求に係る指定商品に含まれる「パンツ、スカート類」を掲載した商品企画書に本件商標と同一の商標を付して頒布したものと認めることができ、これは、「商品・・・に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して・・・頒布・・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に当たるものということができる。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、商品企画書に記載された売価と乙第3号証に記載された単価には大きな食い違いがあることから、商品企画書は、商標法第2条第3項第8号に掲げる広告、価格表、あるいは取引書類のいずれに該当するのか明らかでない旨主張し、さらに、商品企画書が、卸売店や小売店に配布された事実を示す証拠は提出されていない旨主張する。
しかし、商品企画書に記載された売価(税込み価格)は、最終消費者に販売するときの価格であると推認することができるのに対し、入日記(乙第3号証)に記載された単価は、中間業者(東邦衣料が購入した商品の数量からみて、東邦衣料が最終消費者でないことは明らかである。)に販売する、いわば卸値であるといえるから、これらの価格が一致しないとしても何ら不自然なものとはいえないし、入日記の「品名コード」欄や「品名」欄に記載された品番や品名が商品企画書に掲載された商品と一致するところからみれば、該商品企画書が平成19年9月12日以降に、卸売店や小売店に頒布されたとみるのが相当であって、商品企画書は、商品に関する広告ないし取引書類といえるものである。
したがって、上記請求人の主張は理由がない。
イ 請求人は、商品企画書には目次、奥付け、裏表紙の添付がなく、また、通し番号や頁の表記から、商品企画書が、いかなる原本のいかなる部分を抜粋したものか不明であり、さらに、原本の存在さえ疑わしい資料といわざるを得ない旨主張する。
しかし、上記に関して、被請求人は、商品企画書は本件商標のほか、商標権者が所有している他の商標の各商品ラインナップを掲載したものであるが、本件商標に関する頁のみを部分的に抽出して提出する旨述べているところであり、このことからすれば、頁が前後逆であったり、通し番号が「No,14」から始まっていたとしても、これが本件商標の使用の事実を認定する妨げとなるものではないし、また、商品企画書が本件審判において、本件商標の登録の取消しを免れるためにのみ作成されたものであることを窺わせる証拠は見いだせない。
ウ 乙第2号証(デニム製ハーフパンツの写真)の商品に付されたタグに表示された商標、商品自体の腰ベルト部分の外側に刺しゅうされた商標、腰ベルト部分に示された商標は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているものではない旨主張する。
前記認定のとおり、デニム製ハーフパンツの腰ベルト外側部分には、筆記体で表した「Fine」の文字が表示され、また、該商品に付されたタグ及び腰ベルト内側には、活字体で表した「FINE」の文字が表示されているところ、確かに、これらの商標は、本件商標とは、外観上大きく異なるものであるから、社会通念上同一の商標とは認めることができない。しかし、被請求人は、商品に関する広告ないし取引書類といえる商品企画書(乙第1号証)に本件商標と同一の商標を表示して頒布したことが認められるのであるから、この使用の事実をもって足りるというべきである。
したがって、上記請求人の主張は理由がない。
(4)むすび
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品中の「パンツ、スカート類」について、本件商標を使用していたことを証明したと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲 本件商標

審理終結日 2009-01-27 
結審通知日 2009-01-30 
審決日 2009-02-25 
出願番号 商願平6-90903 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (025)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深沢 美沙子箕輪 秀人 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 末武 久佳
田村 正明
登録日 1999-06-18 
登録番号 商標登録第4285724号(T4285724) 
商標の称呼 ファイン 
代理人 櫻木 信義 
代理人 森 寿夫 

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