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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X32
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管理番号 1195652 
異議申立番号 異議2008-900320 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-08-22 
確定日 2009-03-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5135743号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5135743号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5135743号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなり、平成19年8月9日に登録出願、第32類「フィジー産のミネラルウォーター」を指定商品として、同20年5月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4961932号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に示したとおりの構成よりなり、平成17年10月26日に登録出願、第32類「フィジー産のビール,フィジー産のミネラルウォーター,その他のフィジー産の清涼飲料,フィジー産の果実飲料,フィジー産のビール製造用ホップエキス,フィジー産の乳清飲料,フィジー産の飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同18年6月16日に設定登録されたものである。
なお、申立人は、フィジー王国、アメリカ合衆国、アルゼンチン等で登録された商標をも引用商標とするところであるが、それらは、全て「FIJI」の綴り字において、その基本構成を同じくするものであるから、これらの特定は、省略する。
以下、これらを一括していう場合であっても、「引用商標」という。

3 本件登録異議の申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、上述どおりの構成よりなるところ、商標中の文字部分より「FIJI WATER」の文字が把握される。
他方、本件で引用する会社(以下「引用会社」という。)「FIJI WATER COMPANY LLC」は、アメリカ合衆国に住所を有する世界的に周知・著名な企業であって、その活動は第2号証の1に示すとおりである。1993年に水瓶詰企業として操業した後、1996年に「Fiji Water」の発売を開始した。同社の主力商品であるミネラルウォーターは、フィジー政府から開発使用料と引き替えに、99年のリースを与えられた帯水層より採取したものである(甲第2号証の2)。
1997年に同社は、アメリカに進出し、同商品がアメリカに紹介された結果(甲第2号証の2)、そのパッケージの美しさと、おいしさから、たちまち人気商品となり、2004年当時では、500社近い企業が存在する米国のミネラル水市場において第2のシェアを誇るまでに急成長を遂げた(甲第2号証の3)、その売上も2004年には、2500万ドルに上るほどであった(甲第2号証の2)。
同企業の「FIJI WATER」は、日本でも放映されている多くのアメリカドラマの中でも登場し、また、セレブと呼ばれる有名人たちによっても愛飲されている旨が数多くのメディアにて取り上げられている(甲第2号証の4及び5)。その結果、北米においてもっとも人気のあるミネラルウォーターとして日本を含む数多くの国に紹介されるに至っており、本件商標の出願時である平成19年8月9日時点において、「Fiji Water」の名称は、「FIJI WATER COMPANY LLC」の名称として、かつ、同社の製造にかかるミネラルウォーターを指称するものとして周知・著名となっていた。本件商標は、引用会社「FIJI WATER COMPANY LLC」の著名な略称である「Fiji Water」を含む商標であり、同社の承諾を得ているものではないから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標の構成
本件商標は、甲第1号証の公報記載のとおりであるところ、縦長の長方形図形中、中央に上から下に向けて配した無数の線の固まりからなる滝の図形と右下の花の図形を組み合わせた図形の上に白い縁飾りを施し、かつ、デザイン化した「FIJI」の文字を大きく中央に配し、その下に小さめの文字にて「Island」「FIJI」と同様に白い緑飾を施したやや大きめの文字の書体にて「WATER」、図形の上部に「FineFare」の文字を施した構成よりなる商標である。
イ 引用商標について
引用商標は、縦長の長方形の図形の右下に、花の図形を配し、その余の部分に直線上の図形を右上から左下に流れるような無数の直線と右下からやや左上方向に伸ばした無数の直線とを縦長の長方形図形全体に配し、その図形の上に、デザイン化した「FIJI」の文字を配してなる構成よりなる商標であって、平成17年10月26日に出願された後、平成18年6月16日に、「フィジー産のビール,フィジー産のミネラルウォーター,その他のフィジー産の清涼飲料,フィジー産の果実飲料,フィジー産のビール製造用ホップエキス,フィジー産の乳清飲料,フィジー産の飲料用野菜ジュース」を指定商品として登録された(甲第3号証の1)。
ウ 両商標の外観
本件商標と、引用商標とを対比すると、両者は、構成を同じくする類似の商標であることが明らかである。すなわち、いずれの商標とも
(ア)縦長の長方形図形を基調とすること、
(イ)縦長の長方形図形の上部に、デザイン化された「FIJI」の文字を配していること、
(ウ)縦長の長方形図形の右下に、花の図形を配していること
という点で共通しており、構成の軌を一つにするものであって、見る者の印象を同じくするものである。つまり、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商品に使用された場合、外観上、相紛らわしい商標であることは、明らかである。
エ 両商標の称呼
本件商標は、その構成上、最も大きく記載された文字部分「FIJI」より「フィジー」の称呼、あるいは「FIJI」の文字とその下に記載された「WATER」文字が一体的に把握されることにより「フィジーウォーター」の称呼が生じるものである。
他方、引用商標は、その構成より「フィジー」の称呼が生ずる。
また、日本以外の国における複数の国において、引用商標は、ミネラルウォーターについて使用されており、その結果、同商標の付された商品は「フィジーウォーター」と称呼されて市場に出回っている。このため、日本においても販売直後より、「フィジーウォーター」の名称で取引に付されている実情がある。
よって、引用商標は、その構成より「フィジー」の称呼が、更に取引の実情より「フィジーウォーター」の称呼を生じるものである。本件商標と引用商標の称呼とを比較すると、両商標は、ともに「フィジー」、「フィジーウォーター」の称呼を生じる点で共通しており、両商標が、称呼上類似することは明らかである。
オ 小括
上述のとおり、本件商標は、引用商標と外観・称呼上類似する商標であって、引用商標と同一又は類似の商品を指定商品とするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)申立人の所有商標について
申立人は、「FIJI WATER COMPANY LLC」の販売代理店業者であるところ、同社の製造する「FIJI WATER」に関連する商標について、以下をはじめ、多数所有するものである。
ア 引用商標を、日本国にて登録したほか(甲第3号証の1)、アルゼンチンをはじめとする全21ヶ国において登録しており(甲第3号証の2ないし甲第3号証の22)、さらに、同じモチーフを立体的に表した商標を多数登録している(甲第3号証の23ないし甲第3号証の41)。
イ 申立人は、欧文字「FIJI WATER」を横一連に書した構成よりなる引用商標を、フィジー本国において登録している(甲第4号証の2)。本件商標は、引用商標より生ずる「フィジーウォーター」と同一の称呼を生ずるものであるから、引用商標と類似する商標である。
ウ 申立人は、縦長長方形図形の中央に滝の図形、下方に花の図形を配し、上部にデザイン化した文字「FIJI」の文字を配した構成よりなる引用商標をアメリカをはじめとする多くの国で多数登録している(甲第5号証の1ないし甲第5号証の13)。
エ 申立人は、普通の書体よりなる欧文字「FIJI」商標(甲第6号証の1ないし甲第6号証の12)、及び、ロゴ化した文字「FIJI」からなる商標(甲第7号証の1ないし甲第7号証の13)を、アルゼンチン、ベリーズ、カナダをはじめ多数の国において登録している。
(4)申立人の商標が著名である事実
申立人は、1996年に「FIJI WATER COMPANY LLC」の製造に係る「フィジーウォーター」の販売を開始。1997年にアメリカに輸出を開始、アメリカ国内において爆発的な人気をしめるに至った。とりわけ、そのパッケージデザインの斬新さ、美しさは、ドラマや映画の小道具として頻繁に使用されるほどである。
すなわち、日本でもビデオ化されて人気を博したドラマ「24-Twenty Four-」や、「CIS:科学捜査班」「OC」「LOST」などのほか、NHKでも連続放映された「デスパレートな妻たち」においても小道具として登場している(甲第2号証の5)。
また、セレブと呼ばれる有名人たち(リンジー・ローハン、パリス・ヒルトン、ジェシカ・シンプソン、キャメロン・ディアス等)も愛飲しているとして、申立人の商品を手にした写真が数多く公開されているところでもある(甲第2号証の5)。
日本においても、販売されていない時点から高品質な一品として紹介されているうえ(甲第8号証の1ないし甲第8号証の3)、また、本件商標の出願日以前に、多くの日本人によっても、ブログ等を通じて紹介されている(甲第9号証の1ないし甲第9号証の4)。
申立人は、日本にて、2007年10月より、引用商標を付した商品の発売を開始したが、その発売に際しては、フィジー政府観光局が「皆様から多数お問い合わせを頂いておりました「FIJI WATER(フィジーウォーター)」が、このたび日本でも発売される事なりました」との告知をするほどであった(甲第10号証)。
さらに、申立人の商品が日本で販売開始された直後より、同商品は、多くの小売業者によってネットを通じて取り扱われる(甲第11号証の1、甲第11号証の2)とともに、ホテルにおいて小売販売されていることが告知されるほどである(甲第11号証の3)。
申立人の商品は、多くの媒体にも取り上げられているところである。これらのことから、申立人の所有にかかる引用商標は、世界的に周知・著名な商標であって、申立人が、これらの商標を付した商品は、「FIJI Water(フィジーウォーター)」と呼ばれるものである。
(5)商標法第4条第1項第10号について
本件商標の出願時である2007(平成19)年8月9日の時点において、申立人の商品は、日本においてまだ商品販売はなされてはいなかったものの、複数の国において商品の輸出がおこなわれており、かつ、多くのメディアにてセレブが愛飲するミネラルウォーターとして、いわゆるブランド商品として広く知れ渡っていたものである。申立人の商品が輸出されている国であるアメリカ、カナダ、ドイツはいずれも日本人にとってなじみの深い国であり、人的交流も盛んである。したがって、本件商標の出願時である2007(平成19)年8月9日当時には、日本において申立人の商品が販売されていなかったとはいえ、引用商標は、本件商標の出願時には、すでに取引者・需要者間に広く知られていたものと推認されるべきものである。
したがって、本件商標は、引用商標との関係において商標法第4条第1項第10号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上述のとおり、申立人所有の著名な商標である引用商標と類似する商標であって、申立人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(7)商標法第4条第1項第19号について
申立人所有の引用商標が、外国において周知・著名な商標であり、これらの商標が付された申立人の商品は「FIJI WATER(フィジーウォーター)」と称呼されていることは、上述のとおりである。本件商標は、申立人の引用商標と外観上及び称呼上類似するものである。申立人は、2007(平成19)年10月より、日本国内において、引用商標を付した商品の本格的販売を開始したものである(甲第2号証の2)が、本件商標の出願は、そのわずか2ヶ月前の2007(平成19)年8月9日に行われたものである。これは、申立人の日本進出を知った本件商標の権利者が、先取りを意図し不正目的をもって出願したことを示すものと推認できる。さらに、申立人の引用商標が付された(甲第12号証の1)商品は、通常「F1JI Water」の愛称をもって親しまれたものであるが、本件商標は、「フィジーウォーター」の称呼が生じる構成となっており、本件商標の使用は、申立人が築き上げた「フィジーウォーター」の名声を毀損させるとともに、引用商標の出所表示機能を希釈化させるものである。
上記より、本件商標は、申立人所有にかかる世界的にも周知・著名な引用商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用されるものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(8)まとめ
以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第10号、同項第11号、同項第15号、同項第19号に該当するにもかかわらず、瑕疵が看過されて登録されたものである。
よって、本件商標は、商標法第43条の3第2項の規定により、その商標登録を取り消すとの決定を求める。

4 当審の判断
(1)本件商標は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなるものであるところ、申立人の述べるところは、結局、本件商標の構成中の「FIJI」と「WATER」の文字部分をとらえ、本件商標が「FIJI」又は「FIJI WATER」の文字よりなるものであるから、申立人の販売するミネラルウォーターを製造する会社である「FIJI WATER COMPANY LLC」の著名な略称、及び、該者が商品「ミネラルウォーター」について使用する「フィジー産のミネラルウォーター」とその出所について混同を生じさせるおそれがあるとするものであるところ、その指定商品「フィジー産のミネラルウォーター」との関係よりみて、これらは、商品の産地又は販売地並びにこれと商品の普通名称からなる文字であって、自他商品の識別機能を果たし得ないものというべきである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
申立人は、本件商標の「FIJI WATER」は、申立人の子会社である「FIJI WATER COMPANY LLC.」の著名な略称である旨述べているが、本号に言うところの「著名な略称」は、「略称」自体が「著名」でなければならないところ、提出に係る証拠を徴しても、なお、かかる事実を認めるに足りる証左はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなり、引用商標は、別掲(2)に示したとおりの構成よりなるものであるところ、本件商標の構成中の「FIJI」の文字部分は、上記(1)で認定したとおり、商品の産地又は販売地を示す機能を果たすにすぎないものであるから、このような部分からは、比較すべき称呼及び観念は生じ得ず、また、両商標の外観は、明らかに相違する。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のどれからみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、上記(3)で認定したとおり、引用商標と商標において相紛れるおそれのない、非類似のものであり、併せて、引用商標の周知性は、認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなり、引用商標は、別掲(2)に示したとおりの構成よりなるものであるところ、本件商標と引用商標とは、上記(3)で認定したとおり、何ら相通ずるところのない、別異の商標であり、併せて、引用商標の著名性は、認められないから、本件商標をその指定商品について使用しても、需要者・取引者が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記(3)で認定したとおり、引用商標と商標において非類似のものであり、併せて、引用商標が周知なものとは、認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(7)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標(色彩については原本を参照。)


(2)引用商標


異議決定日 2009-02-26 
出願番号 商願2007-87734(T2007-87734) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (X32)
T 1 651・ 271- Y (X32)
T 1 651・ 25- Y (X32)
T 1 651・ 26- Y (X32)
T 1 651・ 222- Y (X32)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田口 善久冨澤 美加石塚 文子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 鈴木 修
井出 英一郎
登録日 2008-05-23 
登録番号 商標登録第5135743号(T5135743) 
権利者 フラワー ミルズ オブ フィジー リミテッド
商標の称呼 ファインフェア、フィジーアイランドウオーター、フィジーウオーター 
代理人 豊崎 玲子 
代理人 石井 茂樹 
代理人 網野 友康 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 特許業務法人ウィンテック 

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