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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 Y32
審判 一部申立て  登録を維持 Y32
審判 一部申立て  登録を維持 Y32
審判 一部申立て  登録を維持 Y32
審判 一部申立て  登録を維持 Y32
管理番号 1195633 
異議申立番号 異議2008-900227 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-05-30 
確定日 2009-03-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5115349号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5115349号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5115349号商標(以下「本件商標」という。)は、「皇露」の漢字を標準文字で表してなり、平成18年8月30日に登録出願、第5類「入浴剤,その他の薬剤」及び第32類「清涼飲料,ビール,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同20年2月29日に設定登録されたものである。

2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第2272652号商標(以下「引用商標」という。)は、「KOUROS」の欧文字を書してなり、1987年(昭和62年)2月2日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づき、パリ条約第4条による優先権を主張して、同年7月31日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年10月31日に設定登録、その後、指定商品については、同12年11月29日に、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」に書換登録され、現に有効に存続しているものである。

3 本件登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の指定商品中、第32類「ビール」についての登録を取り消す旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成より「コウロ」の称呼を生ずるものである。一方、引用商標は、その構成より「コウロス」の称呼を生ずるものであるが、語尾音の「ス」は、強く響く弾音「ロ」に続く関係上、弱音となり、全体としては「コウロ」のように発音・聴取されるものである。したがって、本件商標と引用商標とは、称呼全体の語調・語感が近似する類似の商標である。なお、標準文字からなる本件商標とゴシック文字からなる引用商標には、両商標の類否判断に影響を及ぼすような外観上の特徴点は見い出せない。また、いずれの商標も特定の観念を有さない一種の造語商標と認識すべきものである。それゆえ、本件商標と引用商標との類否判断においては、外観及び観念の各要素にウエイトはほとんどなく、専ら称呼の観点から判断すべきものである。
また、本件商標に係る指定商品中「ビール」と引用商標に係る指定商品中「洋酒,果実酒」とは、類似の商品である。
したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、指定商品中「ビール」については、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
申立人は、現在、最高のギリシャワインを提供する、ギリシャNo.1ワイナリーとしてワイン業界において認知されているところ、1987年以降、米国のNESTOR IMPORTS社を通じ、米国内において引用商標を付した「ワイン」を継続して販売しており(甲第5号証及び甲第6号証)、我が国においても、1995年以降、メルシャン株式会社を通じ、同「ワイン」を継続して販売している(甲第4号証、甲第7号証及び甲第8号証)。さらに、申立人に係る上記「ワイン」は、斜めのラベルが張られた購入しやすい価格帯の「ワイン」として愛飲されており、数多くの賞を受賞している(甲第6号証)。このように、引用商標は、申立人の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。
そして、上述のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼全体の語調・語感が近似する類似の商標であり、本件商標に係る指定商品中「ビール」と引用商標に係る商品「ワイン」とは、類似の商品である。
したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものであるから、指定商品中「ビール」については、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上述のとおり、引用商標は、申立人の商標として、広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定商品中「ビール」に使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、指定商品中「ビール」については、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「皇露」の文字よりなるものであるから、該文字に相応して「コウロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものというべきである。
他方、引用商標は、「KOUROS」の欧文字よりなるところ、その綴りをもって我が国において馴染まれた語ともいい得ないから、特定の意味合いを有しない造語として把握されるというべきである。そして、欧文字表記からなる造語の称呼にあっては、一般的に格別の事情がない限り、我が国において親しまれたローマ字風の読みないし英語風の読みに倣って称呼されるものであるから、「KOUROS」の文字に相応して「コウロス」の称呼を生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものというべきである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は、外観上明らかに相違し、称呼においては、本件商標の称呼が「コウロ」であるのに対し、引用商標の称呼は、「コウロス」であるところ、3音と4音という短い構成音数にあって、語尾音「ス」の音の有無の差異が称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものではなく、両称呼を一連に称呼した場合には、語調、語感が異なり、十分に聴別し得るものである。
また、両商標は格別の観念を生じないものであるから、観念上、比較すべきところがない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
申立人は、甲第4号証、甲第7号証及び甲第8号証を示して、引用商標が申立人の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている旨述べているところ、甲第7号証によれば、引用商標に係るワインの我が国での販売開始時期は1995年(14年前)だが、2008年までの14年間の我が国における販売数量は、1997年、1998年、2005年の3年間はゼロで、2000年に2001ケース、2004年に1774ケースのほかは、いずれの年も1000ケース以下であり、14年間の合計は7692ケースにすぎない。
また、甲第4号証は、我が国の輸入販売会社であるメルシャン株式会社のウェブサイトのプリントであり、申立人と思われるクルタキス社の紹介があるが、引用商標を付したワインは、どこにも掲載されておらず、甲第8号証は、2008年5月16日付けメルシャン株式会社からの注文書の写しであるが、同ワインをわずか168ケース注文した事実を示すにすぎない。
その他、引用商標を付したワインに関し、我が国における宣伝広告の方法、回数及び内容、我が国おける一般紙、業界紙、雑誌等における記載掲載の回数及び内容、我が国における営業の規模(店舗数、営業地域、売上高)等に至っては、何らの証拠も提出されていない。
以上によれば、引用商標の我が国における周知性は認めることができない。
加えて、前記(1)のとおり、本件商標は、引用商標と類似するものでない。
したがって、本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上述のとおり、引用商標が申立人の業務に係る商品「ワイン」について使用されているものであるとしても、需要者の間に広く認識されているとする事実は、認められないばかりでなく、前記(1)で認定したように、本件商標は、引用商標とは、何ら相紛れるおそれのない別異の商標であるから、これをその指定商品中「ビール」について使用しても、需要者、取引者が申立人又は申立人と組織的・経済的に何らかの関係のある者の商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号,第11号又は第15号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その指定商品中「ビール」については、登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-02-24 
出願番号 商願2006-80575(T2006-80575) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (Y32)
T 1 652・ 26- Y (Y32)
T 1 652・ 252- Y (Y32)
T 1 652・ 25- Y (Y32)
T 1 652・ 271- Y (Y32)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 幸一冨澤 武志 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
森山 啓
登録日 2008-02-29 
登録番号 商標登録第5115349号(T5115349) 
権利者 ティ・エイチ・ティ株式会社
商標の称呼 オーロ、コーロ 
代理人 川村 恭子 
代理人 佐々木 功 

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