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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 218
管理番号 1195597 
審判番号 取消2008-300102 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-01-25 
確定日 2009-02-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第303682号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第303682号商標の指定商品中「医術用の器械器具」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第303682号商標(以下「本件商標」という。)は、「PEAK」の欧文字と「ピーク」の片仮名文字とを上下二段に書してなり、昭和12年5月24日に登録出願、第18類「理化学、医術、測定、写真、教育用ノ器械器具、眼鏡及算数器ノ類並其ノ各部」を指定商品として、同13年6月24日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回なされ、さらに、同56年7月2日の商標権一部取消し審判により、指定商品中「体育用器械器具、体操用器械器具、唖鈴、”こん”棒、球竿」についての商標登録を取り消す旨の審決がなされ、その確定の登録が同59年5月18日になされ、さらにその後、商標権の存続期間の更新登録が2回なされ、現に有効に存続しているものである。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、本件商標の商標登録原簿の写し及び甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上日本国内において、指定商品中「第18類 医術用の器械器具」について、使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「レントゲン撮影モニター装置」について
被請求人は、「レントゲン撮影モニター装置」は、本件審判請求に係る指定商品「(大正10年法)第18類 医術用の器械器具」に属すると主張する。
この主張は、「レントゲン撮影モニター装置」が医療に用いることを前提にしているようだが、この前提は適切でない。
「レントゲン」の語は、「レントゲン線、レントゲン写真」の略語であり(甲第1号証の1)、「X線」の語と同義語である(甲第1号証の2)。そして、X線(レントゲン線)は、医療のみならず、物質研究や材料試験においても利用されていることが認められる(甲第1号証の2)。また、X線(レントゲン線)は、空港における手荷物検査装置においても利用されていることは特許庁や被請求人にとっても顕著な事実である。
さらに、「モニター」の語は、「監視」や「ディスプレー」等の意味を有する多義語である(甲第1号証の3)ので、「レントゲン撮影モニター装置」の語のみでは、その用途や機能を理解することはできない。
被請求人が証拠として提出した「被請求人発行の2008年度版カタログ」(乙第1号証)及び「被請求人発行の2007年度版カタログの表紙及び抜粋のコピー」(乙第2号証)のいずれにも、各々の3頁に「レントゲン撮影モニター装置」と記載があるのみで、他の頁には、「レントゲン撮影モニター装置」に関する具体的な記述や説明などは一切ない。
これらの事情を総合考慮すると、「レントゲン撮影モニター装置」が如何なる商品であるか全く不明であるといわざるを得ないので、上述の「この『レントゲンモニター装置』が第18類『医術用の器械器具』に属することは明らかである」との被請求人の主張は成り立つものではない。
(2)商標法第2条第3項第8号の使用行為について
被請求人の主張は、被請求人発行の2008年度版カタログ及び2007年度版カタログ(乙第1号証及び乙第2号証)を商標法第2条第3項第8号に規定する「広告」に該当するものと前提としたものと思料する。これらのカタログが「広告」に該当すること自体には特に異論はない。
しかしながら、商標法第2条第3項第8号の使用行為といえるためには、これらのカタログが、単なる「広告」では足りず、商品若しくは役務に関する広告でなければならない。前記被請求人発行のカタログには、上述したように、各々の3頁に単に「レントゲン撮影モニター装置」と記載があるのみで、他の頁には、「レントゲン撮影モニター装置」に関する具体的な記述や説明などは一切ない。これらのカタログ中、2008年度版のカタログ(乙第1号証)には、本件審判請求に係る指定商品「(大正10年法)第18類 医術用の器械器具」には明らかに含まれない「ルーペ、マイクロスコープ、スケール」等に関する具体的な説明や記述などがあるのみである。
このような事情を考慮すると、前記被請求人発行のカタログが、商品「レントゲン撮影モニター装置」に関する広告であるとは到底認めることはできない、というべきである。
したがって、商標権者である被請求人は、「レントゲン撮影モニター装置」について、商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を行っているとは認められない、というべきである。
(3)本件審判請求に係る指定商品「(大正10年法)第18類 医術用の器械器具」の範囲について
本件審判請求に係る指定商品「(大正10年法)第18類 医術用の器械器具」には、「電気医療機械」は含まれず(甲第2号証の1及び甲第3号証)、「電気医療機械」は、「(大正10年法)第69類 電気医療器」に属するものである(甲第2号証の2及び甲第3号証)。そして、「(大正10年法)第69類 電気医療器」には、X光線機械器具やレントゲンといった商品が含まれる(甲第3号証)。
このような事情を考慮すると、前記「レントゲン撮影モニター装置」が医療用のものであるかにかかわらず、これが本件審判請求に係る指定商品「(大正10年法)第18類 医術用の器械器具」に含まれる余地はないというべきである。
3 以上の次第であるので、前記審判事件答弁書によっては、被請求人である商標権者が、本件商標を本件審判請求に係る指定商品「(大正10年法)第18類 医術用の器械器具」に使用していることの主張・立証を行っているとは到底認めることはできない。
よって、本件商標は、その登録のうち、指定商品「(大正10年法)第18類 医術用の器械器具」については、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるべきである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標は、被請求人により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、「第18類 医術用の器械器具」に属する商品「レントゲン撮影モニター装置」について使用されているものであるから、本件商標の登録は、取り消されるべきではない。
(2)被請求人は、東京都文京区湯島3丁目24番2号栗原ビルに本店を置くが、実質的な商業活動は東京都文京区湯島3丁目16番13号トーキョーユニオンビル2階で営んでいる。
(3)被請求人は、その取扱商品を掲載し、表紙には、「ご案内 OUR PRODUCT」なる表題と、発行年及び被請求人名称を記載した、小冊子状のカタログを毎年1月に発行しており、継続的に版を重ねて、本年1月に発行した2008年版は、第37版となっている(乙第1号証)。ちなみに、昨年1月発行の2007年版は、第36版である(乙第2号証)。そして、これらのカタログは発行年に限って、被請求人の商品購入者に無償で配布し、あるいは、希望者に有償で販売するもので、2007年版は2007年1月から12月に頒布したものであり、2008年版は、2008年1月から現在頒布中のものである。
これらカタログの頒布の事実は明らかなものと思料するが、一例として本年1月の購入申し込みを挙げると、沼津市在住の購入希望者から2008年1月17日消印の封書によるカタログ購入申し込みがあり、翌1月18日には、被請求人が当該購入希望者に2008年版カタログを送付した事実がある。このことは、依頼書(乙第3号証)が封入されていた封筒表面の切手貼付部分の下に、2008年1月17日の消印が押印され(乙第4号証)、また、封筒裏面には被請求人により「’08 1 18 済」と処理済印が押印されている(乙第4号証)ことから明らかである。
(4)2007年版及び2008年版カタログの各第3頁には、「当社では…各メーカーの協力工場として下記のごとき製品を設計生産しております。」との記載の下に、受注生産している各種製品が列挙されており、そのひとつとして、「レントゲン撮影モニター装置」が記載されている(乙第1号証及び乙第2号証の3)。
そして、この「レントゲン撮影モニター装置」が「第18類 医術用の器械器具」に属する商品であることは明らかである。
(5)一方、本件商標は、「PEAK」と「ピーク」とを2段併記した構成態様であるが、2007年版及び2008年版カタログの各第3頁における各種製品が列挙されている下には、「PEAK」の「P」の縦線と「K」の右斜め下に向かう線をそれぞれ伸ばした構成態様の商標が表示されており(乙第1号証及び乙第2号証の3)、この使用商標は、商標法第50条第1項括弧書きにいう本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは明らかである。
(6)したがって、被請求人が、本件審判の請求の登録日から遡ること3年以内に頒布されたカタログにおいて、商品「レントゲン撮影モニター装置」に関して本件商標を使用していることは明らかである。すなわち、被請求人は、商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を、本件審判の請求の登録日から遡ること3年以内に、行っていたことは明白である。
(7)このように、本件商標は、その指定商品中「医術用の器械器具」に属する商品「レントゲン撮影モニター装置」について、商標権者である被請求人により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で適法に使用されていた事実があることは明白である。
2 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当するものではなく、請求人の主張が成り立たないことは明らかである。
第4 当審の判断
1 乙各号証及び甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)について
ア 乙第1号証は、「ご案内/OUR PRODUCT/2008/東海産業株式会社」なる表題の小冊子状のカタログであり、その1頁の「営業品目」の項に、「●硝子材料/光学硝子・板硝子・…各種強化硝子/●フィルター/各種フィルター…・ゼラチンフィルター/●レンズ・プリズム…/●各社写真用品光学機器取次販売」の記載、その3頁の「製品」の項に、「特殊ファインダー……レントゲン撮影モニター装置…」の記載、その下に赤色で「PEAK all about optics」(語頭部「PEAK」の文字には赤色の下線が引かれている。)の文字が表示されている。
イ 乙第2号証の1ないし4は、「ご案内/OUR PRODUCT/2007/東海産業株式会社」なる表題のカタログの抜粋の写しであり、上記と同様にその3頁の「製品」の項に、「特殊ファインダー……レントゲン撮影モニター装置…」の記載、その下に「PEAK all about optics」(語頭部「PEAK」の文字には下線が引かれている。)の文字が表示されている。
ウ 乙第3号証は、沼津市在住の者からの被請求人宛「カタログ送付依頼」であり、「切手600円を同封しました。ルーペの一連のカタログの送付をお願い致します。」と記載されている。
エ 乙第4号証は、上記の沼津市在住の者からの被請求人宛の「封筒の表面と裏面」の写しであり、表面の切手貼付部分の下に、「08.1.17」の消印が押印され、裏面の右下に「’08 1 18」の日付印及び「済」の丸印が押印されている。
(2)甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)について
ア 甲第1号証の1は、「レントゲン」の語に関するインターネット上の国語辞典の検索結果の写しであり、「『レントゲン線』『レントゲン写真』の略。」と記載されている。
イ 甲第1号証の2は、「エックスせん【X線】」の語に関するインターネット上の国語辞典の検索結果の写しであり、「〔補説〕Xray/電磁波のうち、…物質に対する透過力が強い。物質研究・材料試験・医療などに利用する。レントゲン線。X光線」と記載されている。
ウ 甲第1号証の3は、「モニター【monitor】」の語に関するインターネット上の国語辞典の検索結果の写しであり、「1 監視すること。…3 機械などの作動状態を監視・点検すること。また、その装置。」と記載されている。
エ 甲第2号証の1は、「国際分類第9版対応の書換登録ガイドラインの大正10年法の第18類の部分の抜粋の写し」であり、大正10年法の商品の欄に「医術用機械器具」の右に、対応する書換表示の区分「10」、商品「医療用機械器具(蹄鉄機械器具・電気医療機械・電気補聴器・妊娠帯を除く。)」、備考の欄に「※02」とあり、欄外の下「※02」に「『電気医療機械・電気補聴器』は、大正10年法第69類に属する。」と記載されている。
オ 甲第2号証の2は、「国際分類9版対応の書換登録ガイドラインの大正10年法の第69類の部分の抜粋の写し」であり、大正10年法の商品の欄に「電気医療器」の右に、対応する書換表示の区分の欄に「10」、商品の欄に「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器除く。)」、備考の欄に「※02」とあり、欄外の下「※02」に「『電気医療器』の書換表示も認められる。」と記載されている。
カ 甲第3号証は、「『特許庁商標課編/商品及び役務類別変遷集』の昭和7年3月調/類似商品例集の第18類と第69類の部分の写し」であり、第18類の「二 医術用器械器具」(「医」の文字は旧字体、以下同じ)に「イ 内科用器械器具、外科用器械器具、…懐中医療器」と記載されており、第69類の「一六 電気医療器」(「気」及び「医」の文字は旧字体、以下同じ)に「…X光線機械器具、X光線管球、レントゲン、…」と記載されている。
2 以上の乙各号証及び甲各号証によれば、以下のとおりである。
(1)2007年及び2008年のカタログ中に、(a)「レントゲン撮影モニター装置」の表示、(b)本件商標の上段部分の「PEAK」と同じ綴り字を含む「PEAK」(語尾の「K」の文字ややデザイン化している。)の表示、(c)各種光学機械器具の写真、及び(d)「08.1.17」の消印と「’08 1 18」の日付印及び「済」の丸印が押印されている沼津市在住の者からの被請求人宛「カタログ送付依頼」の封筒が認められる。
しかし、カタログの送付依頼の封書があり、カタログを送付したとするその封書に消印が認められるとしても、「レントゲン撮影モニター装置」に関する具体的内容については全く不明であり、また、該「レントゲン撮影モニター装置」に関する取引上通常存在すると考えられる、注文書、納品書、支払伝票などの具体的取引書類の提示はない。
(2)そして、大正10年法の類似商品例集の昭和7年3月調の第18類中の「二 医術用機械器具」には、具体的例示商品として「イ 内科用器械器具、外科用器械器具、…懐中医療器」が例示されている一方、第69類の「一六 電気医療器」には、具体的例示商品として「X光線機械器具、X光線管球、レントゲン」等が例示されている。
そこで、大正10年法の類似商品例集の昭和7年3月調の第18類の「二 医術用器械器具」と、同第69類の「一六 電気医療器」との商品概念を比較をするに、後者の下位概念に例示されている上記具体的例示商品、特に同第69類の「一六 電気医療器」の下位概念に「X光線機械器具、レントゲン」が挙げられていることを総合考慮すると、被請求人が使用しているとする「レントゲン撮影モニター装置」の商品表示からすると、該商品は、大正10年法の類似商品例集の昭和7年3月調の第69類の「一六 電気医療器」の「X光線機械器具」若しくは「レントゲン」の専用の附属品の範疇に属する商品というのが相当であって、第18類の「二 医術用機械器具」の範疇には属さない商品というべきである。
3 してみれば、被請求人が商品「医術用機械器具」に使用している主張する商標と本件商標とが、仮に社会通念上同一の商標といえるものであるとしても、乙第1号証ないし乙第4号証をもってしては、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品「医術用の器械器具」について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
4 したがって、本件商標は、その指定商品中「医術用の器械器具」についての登録は、商標法第50条により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-12-15 
結審通知日 2008-12-19 
審決日 2009-01-06 
出願番号 商願昭12-11601 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (218)
最終処分 成立  
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 1938-06-24 
登録番号 商標登録第303682号(T303682) 
商標の称呼 ピーク 
代理人 中山 健一 
代理人 千葉 太一 
代理人 谷口 登 

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