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審判番号(事件番号) データベース 権利
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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y06
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y06
管理番号 1195575 
審判番号 不服2007-23042 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-08-22 
確定日 2009-04-02 
事件の表示 商願2006- 27887拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第6類及び第7類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年3月29日に立体商標として登録出願されたものであるが、その後、原審における同年12月4日受付及び当審における同20年10月27日受付の手続補正書により、最終的に、第6類「バルブの開閉ハンドル」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『バルブの開閉ハンドル』を表示した立体商標よりなるものであるから、これを上記商品に使用しても、商品の品質を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。なお、本願商標は、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるべきである旨述べ、指定商品もその主張に沿うよう減宿補正しているが、証拠資料として提出の資料1ないし45からは、バルブ用ハンドルの立体的形状のみでもって識別力を発揮しているとは認めることができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋
当審において、平成20年8月18日付けで請求人に対して通知した審尋の概要は以下のとおりである。
(1)本願商標は、その指定商品「手動式金属製バルブ」との関係においては、その商品の構成要素の一であって、部品として取引される当該バルブの開閉ハンドルの一形態を表したと容易に理解できるものであるから、これをその指定商品中「バルブの開閉ハンドル」に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表したにすぎないものであって、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものということはできず、また、これを前記以外の商品、すなわち、「手動式金属製バルブ」及び「当該バルブの開閉ハンドル以外の部品」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第2項は、「前項第3号から第5号までに該当する商標であっても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けことができる」旨を、同法第4条第1項第18号は、「商品又は商品の包装の形状であって、その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標」は、同法第3条の規定にかかわらず商標登録を受けることができない旨を、それぞれ規定している。[東京高裁平成19年(行ケ)第10215号]

4 審尋に対する請求人の回答(概要)
請求人は、前記3の審尋に対して、平成20年10月27日受付の回答書において、以下のように意見を述べている。
(1)請求人は、回答書と同日に手続補正書を提出し、本願の指定商品を「バルブの開閉ハンドル」と減縮する補正をした。
したがって、補正後の指定商品に係る本願商標は、商標法第4条第1項第16号の規定に該当することはない。
(2)本願商標に係る形状は、独自性・独創性を有し出所表示機能・自他商品識別機能を果たし得る形状であること、その製造、販売の開始から現在に至るまで、形状に一切の変更を加えられることなく継続して使用されていること、同一形状の下に長期にわたって宣伝広告されて今日に至っていることの事実に照らすならば、本願商標は、このような長年の使用に基づき、自他商品を識別する機能を発揮するものである。

5 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されたりするものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)本願商標は、別掲のとおり、全体に朱色を施し、外輪とせり上げた内輪とからなる内外輪を8個の大きな半球状の膨らみで結合した構成からなるところ、これは、流体系統で流れの方向、圧力若しくは流量を制御又は規制する機器である「バルブ」において、流体の出入調節をするために人力で操作する部位である開閉ハンドルの一形態を表したと容易に理解できるものである。
そして、バルブの開閉ハンドルについては、円形、レバー形等の形状のものが流通している中、円形のものは、その代表的な形状の一であり、その形状にあっては、力の入れやすさや握りやすさ等その動作を容易にするため、すなわち、その商品の機能を発揮するために、円形の外輪部分に凹凸を設けたり、内輪と外輪の間に隙間を設けたり、その厚みや材質など様々な工夫がなされたものが販売されているところであり、また、請求人提出の甲第39号証によれば、本願商標と同様に全体に朱色を施し、ハンドルの外輪部分の膨らみを8個にした形状のものを請求人以外の複数の者が採用していることが認められる。
そうすると、請求人が、本願商標を他社の同種商品と明確に識別できる特徴であると主張する「ハンドル外輪部分の大きな半球状の8個の膨らみ」についても、これに接する需要者は、これを握りやすさや力の入れやすさを目的としてデザインされたものと理解、認識するものであって、これが予測し難いような特異な形状や特別な印象を与える装飾的形状であるとはいい難く、むしろ、商品の機能をより効果的に発揮させ、美感をより優れたものにするなどの目的で同種商品が一般的に採用し得る範囲内のものにすぎないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、これを、補正後の指定商品に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表したにすぎないものであって、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、取引に際し必要適切な表示として何人ともその使用を欲するものといえるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3項に該当する。
なお、請求人は、本願商標は、1979年頃、工業デザイナーにより創作されたものであるから、特定人によるその独占使用を認めることを公益上適当としないものに該当しない旨述べているが、かかる主張による商品(バルブの開閉ハンドル)の形状についての独占使用は、別途、特許法や意匠法等の定める要件を備え、一定期間に限り保護されるべきものであるから、更新により半永久的に保護される商標として独占使用する理由とはならない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)請求人は、「本願商標は、永年使用の結果、自他商品を識別する機能を具有するに至っているものであるから、商標法第3条第2項の規定が適用されるべきである。」旨主張し、原審において資料1ないし同45を提出し、当審において甲第1号証ないし甲第45号証(枝番を含む。)を提出した。
ところで、商品等の形状に係る立体商標が、商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られると解される。
そこで、請求人提出の各資料について検討する。
(ア)使用に係る商標が出願に係る商標と同一であることについてみると、請求人が本願商標の使用に係る実績として提出した資料2、資料4、資料16、資料26、資料33、甲第5号証、甲第17号証及び甲第30号証に表示されている形状を有するバルブの開閉ハンドルには、いずれも「KITZ」の文字が表示されており、また、資料3、資料4、資料19ないし22、資料26、資料33、資料42、甲第2号証、甲第29号証、甲第30号証、甲第33号証及び甲第39号証に表示されているバルブの開閉ハンドルには、ハンドルを金属製のバルブ本体に結合するために使用するリングの部分にも、「KITZ」の文字が表示されていることが確認できる。
これに対し、請求人は、バルブの開閉ハンドルのスポークの一部に施された文字部分には、ハンドルに施したものと同じ朱色がコーティングされており、一見して文字と認識できるものではなく、特に目立つように装飾が施されているものでもないから、本願商標が請求人の製造・販売に係る商品であることを需要者が識別するのは、目立つこともなく、一見して全体を認識することもできない文字によるものではなく、本願商標である立体形状の特徴によるものである旨と主張する。
しかしながら、請求人が提出した証拠によれば、ハンドルのスポークの一部に施された文字部分が、埋没して認識できないものとは言い難く、さらに、実際にバルブを使用する時には、バルブの開閉ハンドルを金属製のバルブ本体に固定するために使用するリングが設けられており、これにも「KITZ」の文字が表示されていることから、請求人の取り扱うバルブの開閉ハンドルは、その形状のみをもって、自他商品の識別標識としての機能を果たしているものとはいえず、「KITZ」の文字商標により識別されているというべきである。
(イ)請求人は、甲第38号証において、「周知性調査のためのアンケート」と題して、展示会等で自社のハンドル(実物)をアンケート被験者に見せながら社員が調査したアンケートの質問2において、「どこのメーカーのハンドルかわかりますか。」の正解率が59%であること等をもって、本願商標に係る立体的形状が他社のハンドルと区別できることを主張している。
しかし、このアンケートは、アンケート実施者がハンドル(実物)をアンケート被験者に見せながら、質問し、回答を得ることになっており、「KITZ」の文字が付されていないハンドルについて調査したものとは断定し得ないから、本願商標の立体的形状のみが、需要者に強い印象、記憶を与えるものであることを示すものと認めることはできない。
したがって、本願商標は使用に係る商標と同一のものとはいえず、また、本願商標が文字を除いた部分のみにおいて識別性を発揮しているものということもできない。
(ウ)請求人は、社団法人及び取引関係者から証明書(甲第40号証1ないし23)を提出しているが、これらの証明書は、それぞれ、本願商標とともに同一内容の文面が印刷された証明書用紙に各証明者が日付を記入し、記名押印するという形式によるものであって、証明者がいかなる根拠に基づき、本願商標が取引者・需要者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができる程に広く知られていると確実に認められていることを証明したのか、その証明の判断の客観的な過程が明らかではない。また、これらの証明者(全23名)のうち、約8割強(19名)は、東京及び大阪に住所地を有するものであり、残る約2割弱(4名)の証明者もいかなる基準で選択されたのか明らかでないし、全国的にわたる証明であるともいえない。
さらに、ここで立証すべきは、指定商品である「バルブの開閉ハンドル」の形状の著名性であるところ、当該証明書の文面には、「・・・上掲商標を付した商品『手動式金属製バルブ』は、取引者及び需要者間において、直ちに株式会社キッツの製品であることを認識し得るほどに周知著名になり、さらに著名度を高めて現在に至っているものであることを証明します。」と記載されており、その内容は、バルブ本体の著名性を立証する内容となっている。
したがって、当該証明書は、「バルブの開閉ハンドル」の著名性を立証する証拠とはなりえない。
なお、請求人は、本願商標と類似と認められるバルブの開閉ハンドルの外国における登録例を資料7で提出しているが、諸外国における立体商標の登録制度と我が国のそれが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められない。
さらに、請求人は、国内外の模倣品に対して、本願商標の模倣品対策を行っている旨を甲第41号証ないし甲第45号証で提出しているが、本願商標は前記(2)の認定のとおり、特定人のみが使用し得る商品標識(商標)とは認め難いものであって、請求人の主張する事情は本願商標の識別性の有無の判断とは直接関わりのないものである。
したがって、請求人の上記主張はいずれも採用できない。
その他、請求人提出の各資料及び甲号証を総合してみても、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有するに至っているとするには十分とはいえない。
そうすれば、本願商標をその指定商品「バルブの開閉ハンドル」に永年使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるようになったものとは認め難く、他に、本願商標が商標法第3条第2項に基づき登録が認められるべき客観的な証拠は見当たらない。
したがって、本願商標は、その立体形状のみの使用により自他商品の識別機能を有するに至ったものともいえないものであるから、請求人の本願商標が商標法第3条第2項の適用により登録を受けられるべきものであるとする主張も採用できない。
(4)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備していないとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 (本願商標)


審理終結日 2009-01-30 
結審通知日 2009-02-03 
審決日 2009-02-16 
出願番号 商願2006-27887(T2006-27887) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (Y06)
T 1 8・ 13- Z (Y06)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小畑 恵一土井 敬子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 榎本 政実
田村 正明
代理人 小林 哲男 
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