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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200817210 審決 商標
不服200915782 審決 商標
不服200626471 審決 商標
不服200912366 審決 商標
不服201029677 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 Y32
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 Y32
管理番号 1195479 
審判番号 不服2005-1651 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-31 
確定日 2009-04-13 
事件の表示 商願2003-55134拒絶査定不服審判事件について平成19年2月6日にした審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成19年(行ケ)第10215号,平成20年5月29日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は,別掲に示すとおりの構成からなり,第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として,平成15年7月2日に立体商標として登録出願され,その後,指定商品については,当審における同17年11月25日付け手続補正書により,第32類「コーラ飲料」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,その指定商品との関係からすれば,デザインが施されてはいるが,全体としてその商品の形状(収納容器)の一形態を表した立体的形状そのものの範囲を出ないと認識される商標であるから,商標法3条1項3号に該当する。また,出願人は,使用による識別性を主張し,その証拠資料を提出しているが,その使用態様は看者の注意をより強く惹く『Coca-cola』のラベルと一体化されたものであり,その文字の有無において本願商標との同一性が認められない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法3条1項3号該当性について
(1)立体商標における商品,商品の包装又は役務の用に供する物(以下,「商品等」という場合がある。)の形状について
ア 商標法は,商標登録を受けようとする商標が,立体的形状からなる場合についても,所定の要件を満たす限り,登録を受けることができる旨規定する(商標法2条1項,5条2項参照)。
ところで,商標法は,3条1項3号で「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,数量,形状(包装の形状を含む。),価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途,数量,態様,価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は,商標登録を受けることができない旨を,同条2項で「前項3号から5号までに該当する商標であっても,使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同項の規定にかかわらず,商標登録を受けることができる」旨を,4条1項18号で「商品又は商品の包装の形状であって,その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標」は,同法3条の規定にかかわらず商標登録を受けることができない旨を,26条1項5号で「商品又は商品の包装の形状であって,その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標」に対しては,商標権の効力は及ばない旨を,それぞれ規定している。
このように,商標法は,商品等の立体的形状の登録の適格性について,平面的に表示される標章における一般的な原則を変更するものではないが,同法4条1項18号において,商品及び商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標については,登録を受けられないものとし,同法3条2項の適用を排除していること等に照らすと,商品等の立体的形状のうち,その機能を確保するために不可欠な立体的形状については,特定の者に独占させることを許さないとしているものと理解される。
そうすると,商品等の機能を確保するために不可欠とまでは評価されない形状については,商品等の機能を効果的に発揮させ,商品等の美感を追求する目的により選択される形状であっても,商品・役務の出所を表示し,自他商品・役務を識別する標識として用いられるものであれば,立体商標として登録される可能性が一律的に否定されると解すべきではなく,また,出願に係る立体商標を使用した結果,その形状が自他商品識別力を獲得することになれば,商標登録の対象とされ得ることに格別の支障はないというべきである。
イ 以上を前提として,まず,立体商標における商品等の立体的形状が商標法3条1項3号に該当するか否かについて考察する。
(ア)商品等の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって,商品・役務の出所を表示し,自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように,商品等の製造者,供給者の観点からすれば,商品等の形状は,多くの場合,それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの,すなわち,商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また,商品等の形状を見る需要者の観点からしても,商品等の形状は,文字,図形,記号等により平面的に表示される標章とは異なり,商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し,出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると,商品等の形状は,多くの場合に,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり,客観的に見て,そのような目的のために採用されると認められる形状は,特段の事情のない限り,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,同号に該当すると解するのが相当である。
(イ)また,商品等の具体的形状は,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが,一方で,当該商品の用途,性質等に基づく制約の下で,通常は,ある程度の選択の幅があるといえる。しかし,同種の商品等について,機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,当該形状が特徴を有していたとしても,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として,同号に該当するものというべきである。
けだし,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは,公益上の観点から適切でないからである。
(ウ)さらに,需要者において予測し得ないような斬新な形状の商品等であったとしても,当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには,4条1項18号の趣旨を勘案すれば,商標法3条1項3号に該当するというべきである。
けだし,商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に,商品等の機能の観点からは発明ないし考案として,商品等の美感の観点からは意匠として,それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば,その限りおいて独占権が付与されることがあり得るが,これらの法の保護の対象になり得る形状について,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると,商品等の形状について,特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反するからである。
(2)本願商標の商標法3条1項3号該当性
ア 本願商標は,別掲のとおりの構成からなるものであり,これによれば,本願商標は,本願の指定商品「コーラ飲料」の容器(包装容器)の立体的形状に係るものであり,次のような特徴(以下,これらの特徴をそれぞれ「特徴点a」などという。)を有しており,無色透明のものである。
a 底部を円形とし,上部にスクリューキャップをはずした状態の細い口部を設けた,縦長の容器の形状であること。
b 口部の下は,やや長い首部があり,その下方に向かって,上部から徐々にふくらみをもたせ,底面からほぼ5分の1の位置にくびれをもたせていること。
c くびれの下に台形状の広がりをもたせていること。
d ほぼ中央にボトル全長の約5分の1の高さの凹凸のないラベル部分を設けていること。
e 全体にラベル部分を除いてラベル近辺から底面近傍まで縦に柱状の凸部を10本並列的に配していること。
f ラベル部分の上には同様に柱状の凸部を10本並列的に配し,上部に行くに従い自然に消滅させていること。
イ 「飲料商品ガイド(1998年産経新聞メディックス発行)」及びシープロ株式会社等飲料を取扱う各業者社の取扱いに係る飲料ボトルの各形状によれば,本願の指定商品「コーラ飲料」をはじめとする清涼飲料,茶飲料,コーヒー飲料,ミネラルウォーター等の飲料の容器として用いられるものとしては,1)口部分が他の部分に比べ細く,底部が円形で,縦長のものが多いこと,2)文字等が記載されたラベルが貼付されるのが一般的であること,3)くびれや膨らみを持たせたもの,模様を施したものが少なくないこと,4)口部分の形状は,装着する蓋(スクリューキャップ,王冠など)に合わせて,成形されるものであることが認められる。
ウ 前記ア及びイによれば,本願商標の前記アの立体的形状のうち,特徴点aは,液体であるコーラ飲料を収納し,これを取り出すという容器の基本的な形状であって,このうち口部の形状はスクリューキャップの着脱という機能に関連するものであり,特徴点b及びcは,容器の握り易さに資するとともに,容器の輪郭に美感を与えるものであり,特徴点dは,容器の美感を維持しつつ,ラベルの貼付を容易にすることに資するものであり,特徴点e及びfは,容器の輪郭に美感を与えるものであことが認められる。また,本願商標に係る立体的形状は,飲料の容器において通常採用されている,前記イ1)ないし4)のような形状を組み合わせた範囲を大きく超えるものとは認められない。
そうすると,本願商標の立体的形状は,コーラ飲料の容器の機能又は美感を効果的に高めるために採用されるものと認められ,また,コーラ飲料の容器の形状として,需要者において予測可能な範囲内のものというべきである。
したがって,本願商標は,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから,商標法3条1項3号に該当する。
2 商標法3条2項該当性について
(1)立体商標における使用による自他商品識別力の獲得
立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは,当該商標ないし商品等の形状,使用開始時期及び使用期間,使用地域,商品の販売数量,広告宣伝のされた期間・地域及び規模,当該形状に類似した他の商品等の存否などの事情を総合考慮して判断するのが相当である。
そして,使用に係る商標ないし商品等の形状は,原則として,出願に係る商標と実質的に同一であり,指定商品に属する商品であることを要する。
もっとも,商品等は,その製造,販売等を継続するに当たって,その出所たる企業等の名称や記号・文字等からなる標章などが付されるのが通常であり,また,技術の進展や社会環境,取引慣行の変化等に応じて,品質や機能を維持するために形状を変更することも通常であることに照らすならば,使用に係る商品等の立体的形状において,企業等の名称や記号・文字が付されたこと,又は,ごく僅かに形状変更がされたことのみによって,直ちに使用に係る商標が自他商品識別力を獲得し得ないとするのは妥当ではなく,使用に係る商標ないし商品等に当該名称・標章が付されていることやごく僅かな形状の相違が存在してもなお,立体的形状が需要者の目につき易く,強い印象を与えるものであったか等を総合勘案した上で,立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得するに至っているか否かを判断すべきである。
(2)本願商標の商標法3条2項該当性
ア 請求人が提出した第1?65号証及び職権により採用した請求人が裁判所に提出した甲第66?123号証(甲第○号証は第○号証と読み替える。)並びに請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(ア)リターナブル瓶の採用
請求人は,アメリカにおいて,1915年(大正4年)に現在のリターナブル瓶とほぼ同じ形状の瓶を考案し,1916年(大正5年)にこれを用いた請求人商品の販売を開始した(第33,35,36?40,71?73)。販売開始当時,請求人商品の上記形状の瓶は,ユニークかつ特徴的であると評価されて,さまざまな話題を提供し(第36?40,71?73),その後,「コンツアー・ボトル」,「ホッブル・スカート・ボトル」などと呼ばれたりすることがあった(第1,4,6,36?40)。
(イ)請求人商品の我が国での販売実績
我が国では,昭和32年に請求人の100%子会社である日本コカ・コーラを通じて,請求人商品の製造,販売の準備が開始された。同社はボトラーである東京コカ・コーラボトリングを通じ,昭和32年に東京地域においてリターナブル瓶入りの請求人商品の製造,販売を開始した(第71,86)。昭和35年には,大阪府,京都府,兵庫県を営業地域とする近畿飲料株式会社及び福岡県,佐賀県,長崎県を営業地域とする日米飲料株式会社が設立され,上記各府県における販売が開始された。その後,他の地域にもボトラーが設立され,昭和38年までには,我が国全域において,リターナブル瓶入りの請求人商品が販売されるに至った。昭和32年の国内における製造,販売の開始から現在に至るまで,半世紀にわたり,リターナブル瓶入りの請求人商品が継続して販売されている。
リターナブル瓶は,本願商標の特徴点a(スクリューキャップをはずした状態の口部を設けたとの点を除く。)ないしfのすべてを備えている。
(ウ)リターナブル瓶入りの請求人商品の販売数量等
リターナブル瓶入りの請求人商品については,我が国において,清涼飲料分野で記録的な販売実績を挙げた。我が国において製造,販売を開始した昭和32年には,年間販売数量は40万ケース台にとどまったが,昭和36年には,年間販売数量は100万ケース(2400万本)を突破し,昭和46年には,年間販売数量は9951万ケース(23億8833万本)を記録した。その後,アルミ又はスチール缶入り商品やペットボトル入り商品の比率が上昇するにつれ,リターナブル瓶入りの請求人商品の販売数量は徐々に減少したが,近年でも400万ケース(9600万本)前後の年間販売数量をあげている(第8,41,86)。
(エ)リターナブル瓶入りの請求人商品の宣伝広告の状況
請求人及び日本コカ・コーラは,昭和36年に,リターナブル瓶入りの請求人商品について,本格的な広告宣伝を開始し,以降,多大な広告費を投入し,長年にわたり,新聞・雑誌における広告の掲載やテレビ・ラジオにおけるコマーシャル放送等を繰り返し,行うことにより,リターナブル瓶の形状を印象付ける広告宣伝を継続している。
すなわち,本格的な広告活動が開始されると同時に,キャッチフレーズの使用,新聞・雑誌における広告の掲載,テレビ等におけるコマーシャル放送等が繰り返された。その広告費用は,平成9年からの10年間では,広告の制作費用や広告に出演するタレント契約料等を除外した,テレビの放映,新聞,雑誌等の掲載などの,いわゆる媒体費用のみでも,年間30億円もの金額が投じられた(第91)。このような広告活動においては,登場人物にリターナブル瓶入り請求人商品を持たせたり,リターナブル瓶入りの請求人商品を放映,掲載したりして,リターナブル瓶入り請求人商品の形状を需要者に強く印象づけるような工夫を施した広告が実施された(第9,43,64)。
請求人商品において,アルミ又はスチール缶入り商品やペットボトル入り商品の販売数量が増加するにつれ,請求人商品全体に占める,リターナブル瓶入り請求人商品の販売数量が占める割合は相対的に低下した。それにもかかわらず,請求人は,広告活動においては,依然として,リターナブル瓶入り請求人商品を用いて,同瓶の形状を需要者に印象づけるような広告を継続してきた(第91,92,96)。
請求人は,リターナブル瓶入り請求人商品の形状を,商品の出所識別標識として機能させるような宣伝広告態様を継続してきたことによって,リターナブル入りの請求人商品の形状は,それ自体が「ブランド・シンボル」として認識され(第77),「ブランドのアイデンティティと固く結びついているため,世界中どこでもボトルの形状だけで,コカ・コーラであると認識され」(第79),「ビンが常に中身の飲料Coca-Colaを想起させ,製品の均一性とその出所を保証している」(第87)ものと広く認識され,理解されるようになった(第9,43?55,64,85,91?94,96,114)。
(オ)本願商標と同一の立体的形状の無色容器の出所識別力調査の結果
請求人が専門会社に依頼して実施した複数の調査においては,以下のとおり,本願商標と同一の立体的形状の無色容器(文字等の平面標章は付されていない。)を示された調査対象者の9割前後(後記第一次調査では91%,後記第二次調査では93.7%〔CLT調査〕又は89.4%〔ウェブ調査〕)が同容器を「見たことがある」と回答し,6割から8割程度(後記第一次調査では81%,後記第二次調査では73.3%〔CLT調査〕又は60.3%〔ウェブ調査〕)がその商品名を「コカ・コーラ」と回答している(第26,102,103)。
a 第一次調査
請求人は,平成15年1月,社会調査の専門会社に委託して,本願商標の形状と同一の瓶における銘柄想起調査(第一次調査)を実施した。その概要は,具体的には,CLT調査(街頭等に設置されたブース内において,任意の調査対象者が調査票に記入する方式)により,本願商標と同一の立体的形状の無色容器,本願商標と同一(口部を除く。)の立体的形状の着色容器,及び,本願商標と同一の立体的形状の容器に「Coca-Cola」と横書きしてなる文字商標を付した文字商標付容器を上記の順に提示し,当該容器と同じ形状をした飲料を見たことがあるか(質問1),その飲料の商品名を知っているか(質問2)を回答させる調査(期間:平成15年1月26日から28日,場所:東京及び大阪における書面を用いた調査,調査対象者:20歳から59歳までの男女合計200名〔東京,大阪で各100名〕)である(第26)。
第一次調査の結果は,質問1に対し調査対象者が見たことがあると回答した割合は,無色容器については91%,文字商標付容器については98%であり,質問2に対し調査対象者が「コカ・コーラ」と回答した割合は,無色容器については81%,文字商標付容器については97.5%であって,文字商標が付されている場合と付されていない場合の差は,質問1につき7%,質問2につき16.5%であった。
b 第二次調査
また,請求人は,平成15年4月,別の社会調査の専門会社に委託して,本願商標の形状を用いた瓶の銘柄想起調査(第二次調査)を実施した。その概要は,具体的には,第一次調査より規模等を拡大した調査であり,1)東京及び大阪における調査票を用いたCLT調査(調査対象者は,15歳以上の男女合計300名である。),及び,2)ウェブ調査(事前に調査対象者候補として登録した者に対し,ウェブサイトのURLを記載した電子メールを送信し,当該ウェブサイトにアクセスして質問に回答させる調査で,調査対象者は,日本全域の15歳以上の男女合計1200名である。)である(第102,103)。
CLT調査では,本願商標と同一の形状の容器について,同じ形状の商品を見たことがあるかという質問(質問1’)に対し「見たことがある」と回答した調査対象者の割合は93.7%,その形状の商品の名前を知っているかとの質問(質問2’)に対し「コカ・コーラ」と回答した調査対象者の割合は73.3%であり(第102),ウェブ調査では,本願商標と同一の形状の容器について,質問1’に対し「見たことがある」と回答した調査対象者の割合は89.4%,質問2’に対し「コカ・コーラ」と回答した調査対象者の割合は60.3%であった(第103)。
c 上記各結果は,本願商標に係る立体的形状は,リターナブル瓶の立体的形状と口部において相違することとはかかわりなく,識別標識として機能していること,また,当該立体的形状のみでなく,これに「Coca-Cola」などの文字を含む平面標章部分を付することが,商品の出所表示のために不可欠であるとまではいえないこと,そして,本願商標の立体的形状の特徴的な部分が,需要者に強い印象,記憶を与えるものであることを示しているといえる。
(カ)リターナブル瓶の形状についての認識
リターナブル瓶の形状については,数多くの専門書籍,一般書籍等において,商品の立体的形状に自他商品の識別力が存する典型例として引用されている。例えば,1)弁理士会が作成,配布した「商標法の改正について」と題する冊子の「立体商標の導入」との項目における「清涼飲料水のビン(写真2)のような立体商標形状も十分に識別標識として機能を果たしています」との記載及びリターナブル瓶の形状を撮影した写真,2)新・注解「不正競争防止法」(小野昌延編著,青林書院発行)における「商品の形態が,コカコーラの瓶のように,いわゆるセカンダリー・ミーニングを獲得して商品標識として働きだした場合の,周知性のある商品形態の模倣に対しては,不正競争防止法上の周知表示として旧法1条1項1号によって保護され,・・・」との記載,3)第12版「パリ条約講話」(後藤晴男著,社団法人発明協会発行)における「立体商標は,その典型的なものとしては例のコカコーラのビンがあげられるでありましょう。」との記載など,数多く存在する(第17?24,106,108)。
また,請求人商品のリターナブル瓶の形状に関連した歴史,エピソード,形状の特徴等を解説した書籍,雑誌等が,数多く出版され,紹介されてきた。そのような媒体を通じて,社会一般においても,請求人商品のリターナブル瓶の形状が,請求人の出所を示すものとして,広く認識されているといえる(第37?40,79,80,107)。
さらに,我が国における,他の清涼飲料水メーカーにおいても,請求人が本願商標を独占的に使用することが,事実上受け入れられ,尊重されている(第82?84)。
(キ)リターナブル瓶と類似する他社商品の流通状況
現在,リターナブル瓶のように,本願商標の特徴点a(スクリューキャップをはずした状態の口部を設けたとの点を除く。)ないしfのすべてを兼ね備えた容器や,ワンウェイ瓶のように特徴点aないしfのすべてを兼ね備えた容器に収納された清涼飲料水は,請求人製品以外には,市場に流通していない。
請求人は,第三者が,リターナブル瓶と類似する形状の容器を使用したり,リターナブル瓶の特徴を備えた容器を描いた図柄を使用する事実を発見した際は,直ちに厳格な姿勢で臨み,その使用を中止させてきた(第118,119,128,129)。
この点を例示すると,1)平成13年に,請求人は,清涼飲料を製造,販売する会社の商品が,請求人商品のリターナブル瓶に類似しているのを発見し,同年4月4日付けで,同社に対して,同製品の製造,販売の中止要求を含む警告書を発したところ,同社から,同月11日付けの書面で,製造工場を閉鎖し,製造,販売を中止し,空き瓶の回収,廃棄を確約する等の内容を含む回答書を受けたこと,また,2)平成19年に,請求人は,デザイン広告社が,装飾雑誌の裏表紙に,請求人商品のリターナル瓶容器に類似ないし連想させるデザインを掲載したのを発見し,警告したところ,同広告社は,同年2月9日付けで,請求人の要求を受けて,請求人の了解なくデザインを使用した事実を確認するとともに,請求人に対して謝罪する趣旨を含んだ「お詫び」と題する書面を作成,公表したことがある。
このような請求人における,請求人商品のリターナブル瓶に類似する容器に対する厳格な管理態勢の結果として,我が国の市場において,リターナブル瓶の立体的形状を備えた容器(瓶)は,請求人商品を除いて,市場に流通する清涼飲料水には用いられていない(第128,129)。
(ク)ワンウェイ瓶入りの請求人商品の販売状況
清涼飲料業界では,消費者の嗜好,生活様式の変化,販売形態,輸送,回収費用等の変化に伴って,リターナブル瓶の市場優位性が低下したため,ワンウェイ瓶への転換が図られるようになった。
請求人においても,平成6年ころから,ワンウェイ瓶入りの請求人商品の販売を開始した。その販売数量は変動が激しく,平成6年は年59万9321ケース(約1440万本)であったが,平成11年には販売実績がなくなり,その後,平成13年に109万8176ケース(約2636万本)を記録した後,再び徐々に減少し,平成18年には21万2458ケース(約510万本)となっている(第126)。
前記(エ)において認定したとおり,請求人は,ワンウェイ瓶入りの請求人商品の販売を開始した後においても,広告活動に当たっては,リターナブル瓶入り請求人商品を用いて,リターナブル瓶の形状を需要者に印象づけるような広告を継続している(第91,92,96)。
(ケ)リターナブル瓶入り請求人商品の形状と本願商標との対比
請求人の使用に係る商標は,本願商標の特徴点a(スクリューキャップをはずした状態の口部を設けたとの点を除く。)ないしf,すなわち,「a 底部を円形とし,上部に・・・細い口部を設けた,縦長の容器の形状であること。」,「b 口部の下は,やや長い首部があり,その下方に向かって,上部から徐々にふくらみをもたせ,底面からほぼ5分の1の位置にくびれをもたせていること。」,「c くびれの下に台形状の広がりをもたせていること。」,「d ほぼ中央にボトル全長の約5分の1の高さの凹凸のないラベル部分を設けていること。」,「e 全体にラベル部分を除いてラベル近辺から底面近傍まで縦に柱状の凸部を10本並列的に配していること。」,「f ラベル部分の上には同様に柱状の凸部を10本並列的に配し,上部に行くに従い自然に消滅させていること。」のすべてを備えている。
イ 上記アで認定した事実を総合すれば,次の点を指摘することができる。
(ア)リターナブル瓶とほぼ同じ形状の瓶を使用した請求人商品は,既に,1916年(大正5年)に,アメリカで販売が開始され,開始当時から,その瓶の形状がユニークかつ特徴的であるとして評判になったこと,そして,我が国では,リターナブル瓶入りの請求人商品は,昭和32年に販売が開始されて以来,その形状は変更されず,一貫して同一の形状を備えてきたこと
(イ)リターナブル瓶入りの請求人商品の販売数量は,販売開始以来,驚異的な実績を上げ,特に,昭和46年には,23億8000万余本もの売上げを記録したが,その後,缶入り商品やペットボトル入り商品の販売比率が高まるにつれて,売上げは減少しているものの,なお,年間9600万本が販売されてきたこと
(ウ)リターナブル瓶入りの請求人商品を含めた宣伝広告は,いわゆる媒体費用だけでも,平成9年以降年間平均30億円もの金額が投じられ,テレビ,新聞,雑誌等において,リターナブル瓶入りの請求人商品の形状が需要者に印象づけられるような態様で,広告が実施されてきたこと
特に,缶入り商品やペットボトル入り商品の販売が開始され,その販売比率が高まってから後は,リターナブル瓶入りの請求人商品の形状を請求人の販売に係るコーラ飲料の出所識別表示として機能させるよう,その形状を意識的に広告媒体に放映,掲載等させていること
(エ)本願商標と同一の立体的形状の無色容器を示された調査結果において,6割から8割の回答書が,その商品名を「コカ・コーラ」と回答していること
(オ)リターナブル瓶の形状については,相当数の専門家が自他商品識別力を有する典型例として指摘していること,また,リターナブル瓶入りの請求人商品の形状に関連する歴史,エピソード,形状の特異性等を解説した書籍が,数多く出版されてきたこと
(カ)本願商標の立体的形状の本願商標の特徴点aないしfを兼ね備えた清涼飲料水の容器を用いた商品で,市場に流通するものは存在しないこと,また,請求人は,第三者が,リターナブル瓶と類似する形状の容器を使用したり,リターナブル瓶の特徴を備えた容器を描いた図柄を使用する事実を発見した際は,直ちに厳格な姿勢で臨み,その使用を中止させてきたこと
(キ)リターナブル瓶入りの請求人商品の形状は,それ自体が「ブランド・シンボル」として認識されるようになっていること
以上の事実によれば,リターナブル瓶入りの請求人商品は,昭和32年に,我が国での販売が開始されて以来,驚異的な販売実績を残しその形状を変更することなく,長期間にわたり販売が続けられ,その形状の特徴を印象付ける広告宣伝が積み重ねられたため,リターナブル瓶入りの請求人商品の立体的形状は,需要者において,他社商品とを区別する指標として認識されるに至ったものと認めるのが相当である。
ウ 次に,その他の事項に対し判断する。
(ア)リターナブル瓶入りの請求人商品に付された「Coca-Cola」の表示との関係について
リターナブル瓶入りの請求人商品及びこれを描いた宣伝広告には,「Coca-Cola」などの表示が付されているが,この点に関し,以下のとおり判断する。
取引社会においては,取引者,需要者は,平面的に表記された文字,図形,記号等からなる1つの標章によって,商品の出所を識別する場合が多いし,また,商品の提供者等も,同様に,1つの標章によって,自他商品の区別をする場合が多く,また,便宜であるともいえる。しかし,現実の取引の態様は多様であって,商品の提供者等は,当該商品に,常に1つの標章のみを付すのではなく,むしろ,複数の標章を付して,商品の出所を識別したり,自他商品の区別をしようとする例も散見されるし,また,取引者,需要者も,商品の提供者が付した標章とは全く別の商品形状の特徴(平面的な標章及び立体的形状等を含む。)によって,当該商品の出所を識別し,自他商品の区別することもあり得るところである。そのような取引の実情があることを考慮すると,当該商品に平面的に表記された文字,図形,記号等が付され,また,そのような文字等が商標登録されていたからといって,直ちに,当該商品の他の特徴的部分(平面的な標章及び立体的形状等を含む。)が,商品の出所を識別し,自他商品の区別をするものとして機能する余地がないと解することはできない(不正競争防止法2条1項1号ないし3号参照)。
そのような観点に立って,リターナブル瓶入りの請求人商品の形状をみると,前記(2)アで認定したとおり,当該形状の長年にわたる一貫した使用の事実(ア(イ)),大量の販売実績(ア(ウ)),多大の宣伝広告等の態様及び事実(ア(エ)),当該商品の形状が請求人の出所を識別する機能を有しているとの調査結果(ア(オ))等によれば,リターナブル瓶の立体的形状について蓄積された自他商品の識別力は,極めて強いというべきである。そうすると,本件において,リターナブル瓶入りの請求人商品に「Coca-Cola」などの表示が付されている点が,本願商標に係る形状が自他商品識別機能を獲得していると認める上で障害になるというべきではない。
(イ)リターナブル瓶入りの請求人商品における口部の形状について
リターナブル瓶の立体的形状と本願商標とは,口部において,前者が王冠用であるのに対して,後者がスクリューキャップ用であるという点で相違する。
口部の形状は,機能に直結する形状であるとともに,ありふれた形状であって,特段の事情のない限り,需要者が商品を識別する対象とはなり得ないというべきであるから,そもそも,本願商標の特徴的な部分ということはできない。また,本件において,特段の事情は存在しない。
のみならず,前記(2)アのとおり,リターナブル瓶入りの請求人商品の形状について,当該形状の長年にわたる一貫した使用の事実(ア(イ)),大量の販売実績(ア(ウ)),多大の宣伝広告等の態様及び事実(ア(エ)),当該商品の形状が請求人の出所を識別する機能を有しているとの調査結果(ア(オ))等を総合すると,リターナブル瓶の立体的形状について蓄積された自他商品識別力は,極めて強いというべきであるから,リターナブル瓶入りの請求人商品の口部の相違が,本願商標に係る形状が自他商品識別機能を獲得していると認める上で障害となるというべきではない。
エ 以上のとおり,本願商標については,請求人の使用によるリターナブル瓶の使用によって,自他商品識別機能を獲得したものというべきであるから,商標法3条2項により商標登録を受けることができるものと解すべきである。
3 結論
したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものの,同法3条2項により商標登録を受けることができるものであるから,本願商標を同法3条2項に該当しないとした原査定は取消を免れない。
その他,政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)







審理終結日 2007-01-19 
結審通知日 2007-01-22 
審決日 2009-03-27 
出願番号 商願2003-55134(T2003-55134) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (Y32)
T 1 8・ 17- WY (Y32)
最終処分 成立 
前審関与審査官 飯塚 隆白倉 理 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 田村 正明
榎本 政実
清川 恵子
小林 由美子
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 柳生 征男 
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