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審決分類 審判 全部取消  無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y2528
管理番号 1193892 
審判番号 取消2007-300828 
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-07-03 
確定日 2009-02-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第2549965号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2549965号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2549965号商標(以下「本件商標」という。)は,「FAIRYDOWN」の文字を書してなり,平成3年3月5日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同5年6月30日に設定登録されたものである。その後,商標権の存続期間の更新登録がなされ,さらに,同15年9月17日に第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「運動用具」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者または通常使用権者のいずれもが,その指定商品について使用していないと判断されるのが相当である。
2 答弁書に対する弁駁
(1)被請求人の提出に係る証拠の定義について
被請求人の提出に係る証拠によれば,乙第1号証及び第乙第2号証で「FAIRYDOWN RAINWEAR」,「FAIRYDOWN RAINHAT」なる商品が,それぞれ,「WILD 1」に納品されたこと,また,乙第3号証で「フェアリーダウン Tシャツ」なる商品がアートスポーツに流通(譲渡)されたことを立証しようとしている様子が窺える。そして,被請求人は,「RAINWEAR」と「RAINHAT」は,それぞれ,「レインウエア(アノラック)」と「レインハット」であって,これらの商品は「運動用特殊衣服」に係る商品であるという。
しかし,「レインウエア」と「アノラック」を同一とする具体的な裏付けも述べられていないから,請求人にはその意図が理解できない。「アノラック」は,「(もとエスキモーの毛皮製防寒上着)登山・スキー用の頭巾つき防寒・防風上着」(株式会社岩波書店発行の「広辞苑」第5版)をいうのであって,これを「レインウエア」と呼称することはあり得ない。
「RAINWEAR」と「RAINHAT」は,「雨具類」と「雨用帽子」と理解されることが相当であり,これらを「運動用特殊衣服」と関連付ける理由も全く不明である。
次に,「フェアリーダウン Tシャツ」についていえば,被請求人の「…商品Tシャツとの具体的関係において使用されていることが明示されており,被請求人が運動用品店で販売される運動用の衣服について当該商標を使用していること…」の意味・論旨が不明であるため,乙第3号証が適正な証拠として採用される可能性は著しく低いものと考える。
また,「納品書(控え)」や「売上伝票(写し)」(乙第1号証ないし乙第3号証)からは,納品・譲渡された商品の外観はおろか形状等も一切不明であり,また,「雨具類」,「雨用帽子」及び「Tシャツ」の用途が「特定の運動用のもの」として格別に限定されたとみるべき理由も一切見当たらないことを請求人は確認するものである。
(2)被請求人の提出に係る証拠の証明能力について
「納品書(控え)」や「売上伝票(写し)」が提出されているが,乙第1号証ないし乙第3号証のいずれもがそれぞれ一枚の紙コピーからなるものであるから,架空の取引書面を作成したものと疑われる可能性が極めて高いといわざるを得ない。この点において過去の判決(平成13年(行ケ)第550号)を引用する。乙第1号証ないし乙第3号証の証拠は,証拠としての証明能力が著しく低いものである。
(3)商標登録の取消が求められている商品について
本件において,商標登録の取消が求められている商品は,「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」(第25類)並びに「運動用具」(第28類)である。そして,商標法施行規則第6条の別表第25類の「五 運動用特殊衣服」並びに「六 運動用特殊靴」の項には,各種の商品が列挙されているところ,この「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」の概念には,専らスポーツに使用され,日常生活一般ではほとんど使用されない衣服,靴が含まれると解される。
しかして,上記(1)によれば,本件使用商品は,「雨具類」,「雨用帽子」及び「Tシャツ」とみるべきもので,前者二点の商品についていえば,日常生活において雨天の際などに普通に用いられる衣服の一と認められ,また,「Tシャツ」についても同様に,日常生活において普段着として着用される衣服の一として認められ,専らスポーツの際に限って使用されるものとは到底いい得ないから,「運動用特殊衣服」に属する商品ということはできない。
また,被請求人は,「運動用特殊靴,運動用具」に係る使用については一切言及しておらず,いかなる証拠をも提出するものではない。
してみれば,提出に係る証拠によっては,取消請求に係る指定商品について,本件審判の請求の登録前3年以内に,本件商標が使用されたと認めることはできず,その他にこれを認め得る証拠はなく,その使用をしていないことについて正当な理由があるものとも認められない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し,その理由及び審尋に対する回答を要旨次のようにのべ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第26号証を提出した。
1 答弁(第1回)
本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内にレインウェア(アノラック),Tシャツの識別標識として,被請求人により使用されている。
以上の使用事実を立証するため,被請求人は,乙第1号証ないし乙第3号証を提出する。
乙第1号証は,2004年9月24日に商品名「FAIRYDOWN RAINWEAR」に係る商品(レインウェア)を「WILD-1」多摩ニュータウン店に譲渡した事実を立証するための納品書(控え)の写しである。
また,乙第2号証は,2004年9月24日に商品名「FAIRYDOWN RAINHAT」に係る商品(レインハット)を上記「WILD-1」多摩ニュータウン店に譲渡した事実を立証するための納品書(控え)の写しである。
商品「FAIRYDOWN RAINWEAR」(レインウェア(アノラック))及び商品「FAIRYDOWN RAINHAT」(レインハット)は,指定商品「運動用特殊衣服」に係る商品である。商品「レインウェア」は,上下の衣服であり,「レインハット」と共に登山等の際に着用されるものである。
乙第1号証において「FAIRYDOWN」の文字からなる本件商標が商品「レインウェア」に使用されていること,また,第2号証において「FAIRYDOWN」の文字からなる本件商標が商品「レインハット」に使用されていることが明示されている。
乙第3号証は,2006年10月19日に商品名「フェアリーダウン Tシャツ」をアートスポーツ本店に譲渡した事実を立証するための売上伝票の写しである。
この売上伝票には,ローマ字の文字の表示を片仮名に変更した同一の称呼を生ずる社会通念上同一と認められる商標である「フェアリーダウン」が,商品Tシャツに使用されていることが明示されており,被請求人が運動用品店で販売される運動用の衣服について当該商標を使用していることを示すものである。
2 答弁(第2回)
(1)RAINWEARとアノラックとの関連について
請求人は,乙第1号証の「RAINWEAR」が商標法施行規則第6条の別表第25類の「運動用特殊衣服」に含まれるアノラックに該当するものではないと主張している。
一般に,アノラックは登山等のアウトドアスポーツにおける防寒,防風及び防雨のための上着を称し,株式会社ダナージャパン発行のFAIRYDOWN‘96-‘97秋冬カタログ13頁(乙第4号証)においても,この種の商品をアノラックと称していた。
しかし,近年,アノラックという用語は,日本では一般に使用されない傾向にあり,アノラックに代わり,パーカーやジャケット等の用語が使用されている。さらに,アウトドア業界では,アノラック,パーカーやジャケット等を総称して,レインテックス(株式会社GOLDWIN発行の‘98カタログ32頁:乙第5号証),レインシェードジャケット(株式会社アシックス発行の‘02カタログ11頁:乙第6号証),または,ブリーザ・レインスーツ(株式会社ダナージャパン発行のWALRUS‘96-‘97秋冬カタログ8頁:乙第7号証)等「レイン?」といった称呼が一般的となっている。
このため,被請求人は,乙第1号証において,アノラック,パーカー,または,ジャケット等と称される商品の総称として,「RAINWEAR」という用語を使用した。
本件商標は,元来,ニュージーランド国のアウトドア用品のブランドであり,世界で初めてエベレスト山に登頂したエドモンド・ヒラリー氏をサポートしたとして世界に広く知られている。
このため,「FAIRYDOWN」の「RAINWEAR」と聞けば,需要者は,「FAIRYDOWN」が日常用雨具を販売する訳がないと認識するとともに,乙第5号証ないし乙第7号証に示す実情に基づき,「RAINWEAR」が登山等のアウトドアスポーツで使用するアノラック,パーカー,または,ジャケットを想起するのが一般的である。したがって,乙第1号証における「RAINWEAR」が「運動用特殊衣服」に含まれるアノラックに該当するものであることは明らかである。
(2)Tシャツについて
請求人は,乙第3号証の「Tシャツ」が「運動用特殊衣服」に該当するものでないと主張している。
この「Tシャツ」は,株式会社ダナージャパン発行のFAIRYDOWN‘97春夏カタログ9頁(乙第8号証)に掲載された「COOLMAX T-S HIRT」と同種の商品である。このカタログに掲載された商品と乙第3号証に記載された商品の型番が異なっているが,これはカタログを発行した会社(株式会社ダナージャパン)と,販売した会社(株式会社ステップアヘッド)とが異なっているためである。
一般に,登山等のアウトドアスポーツでは,吸収した汗を素早く蒸発させて体表温度を快適に保つことが要求される。このため,この種のスポーツにおけるウェアには,株式会社GOLDWIN発行の’96カタログ(乙第9号証)にあるように,世界各国の素材メーカーが開発した機能素材が使用されている。
乙第3号証の「Tシャツ」は,米国のデュポン社が開発した,特殊な繊維構造を有する布地で作られており,発汗した場合に,特殊な繊維構造が水分を吸い上げて布地表面へと導く毛管作用により水分を素早く蒸発させることができる。このため,当該「Tシャツ」は,日常生活で着用される「Tシャツ」とは別個の機能を有し,主として登山等のアウトドアスポーツで着用されることを目的として開発されたものであるため,「運動用特殊衣服」に該当することは明らかである。
さらに,被請求人は,乙第3号証にかかる「売上伝票」の原本(乙第10号証)を提出した。
(3)乙第1号証ないし乙第3号証の証明能力について
請求人は,被請求人が提出した「納品書(控え)」(乙第1号証及び乙第2号証)及び「売上伝票(写し)」(乙第3号証)は,証拠としての証明能力が著しく低いと主張するとともに,甲第7号証の判例に基づいて,使用事実の立証する場合には,売上伝票等の原本が提出されるべきだと主張している。
しかし,売上伝票等の原本は,企業にとって所定期間保存を義務づけられた重要な書類であるため,社外に持ち出すことは皆無であるのが現実である。ましてや,商標法は使用事実を立証するにあたり原本の提出を求めていない以上,使用事実の立証を求められた被請求人の立場によれば,原本に代えて控えや写しで済ませるのが通常である。
したがって,控えや写しは,証拠としての証明能力が著しく低いというのは言いがかりであり,乙第1号証ないし乙第3号証によって,本件商標をその指定商品である運動用特殊衣服に使用した事実を十分に証明できることは明らかである。
被請求人は,新に乙第11号証ないし乙第24号証を提出する。
(4)新たな証拠による使用事実の立証について
被請求人と前の商標権者である株式会社ベーシックスポーツは,共に株式会社ダナージャパンのグループ企業に属している。
1986年,株式会社ダナージャパンは,ニュージーランド国のサンシャインエリス社と,日本国内における本件商標に関する商品の販売を開始した。以来,ダナージャパングループは,日本国内で本件商標に関するアウトドア用品の販売を行い,日本国内における本件商標の普及に尽力している。
1991年,ダナージャパングループの1つである株式会社ベーシックスポーツは,「FAIRYDOWN」について商標登録出願をし,25類「ダウンを用いてなる被服」(商標登録第2621903号),18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び25類「履物」(商標登録第2557475号),18類「かばん類,袋物」(商標登録第2551022号)並びに本件商標の商標権を取得している。
そして,2001年,上記商標権は,すべて株式会社ベーシックスポーツから被請求人へと移転して今日に至っている。
乙第11号証は,2004年4月8日に被請求人が,ニージーランドにおいてサンシャインエリス社の後「FAIRYDOWN」を扱った会社であるアーサーエリス社から「FAIRYDOWN」の各種商品をサンプルとして輸入した際のインボイスである。このインボイスには,「FAIRYDOWN」が付されておらず,また,日付も本件審判請求日前3年の以前であるため,このインボイスが使用事実を立証する証拠とはならないが,「ALTITUDE MEN′S JACKET」,「SIERRA MEN ’S JACKET」,「L’T W′T ZIP NECK MEN’S PULLOVER」を各一点づつ輸入した事実を示している。
乙第12号証は,2004年9月1日に,上記輸入した商品の中から商品名「フェアリーダウン ZPLオーバー」及び商品名「フェアリーダウン シエラジャケッ」にかかる商品を,それぞれ一点づつアートスポーツ本店に譲渡した事実を立証するための売上伝票の原本である。
この売上伝票には,印字できる文字数の関係上「フェアリーダウンZPLオーバー」,「フェアリーダウン シエラジャケッ」となっているが,これらは上記した輸入商品である「L’T W’T ZIP NECK MEN’S PULLOVER」,「SIERRA MEN‘S JACKET」を示している。また,売上伝票とインボイスとで商品のサイズが異なるのは,日本人の体型に合わせてサイズ表示を変更しているためである。
したがって,売上伝票には,ローマ字の文字の表示を片仮名に変更した同一の称呼を生ずる社会通念上同一と認められる商標である「フェアリーダウン」が商品「ZPLオーバー」,「シエラジャケット」との具体的関係において使用されていることが明示されている。
この「シエラジャケット」,「ZPLオーバー」は,アーサーエリス社の‘04WINTERカタログ(乙第13号証,乙第14号証)に掲載された「zip neck l/S」,「sierra jacket」と同一の商品であり,登山等のアウトドアスポーツの際に防寒用として専用に着用するものである。このため,「ZPLオーバー」,「シェラジャケット」が運動用特殊衣服に該当することは明らかである。
また,乙第15号証は,2007年9月1日に,上記輸入商品の中から商品名「フェアリーダウン ATDジャケッ」にかかる商品を株式会社インテリアNN企画に譲渡した事実を立証するための売上伝票の原本である。
この売上伝票における「フェアリーダウン ATDジャケッ」は,上記輸入商品である「ALTITUDE MEN′S JACKET」を示している。これにより,売上伝票には,ローマ字の文字の表示を片仮名に変更した同一の称呼を生ずる社会通念上同一と認められる商標である「フェアリーダウン」が商品「ATDジャケット」との具体的関係において使用されていることが明示されている。
「フェアリーダウン ATDジャケット」は,アーサーエリス社の‘04WINTERカタログ(乙第16号証)に掲載された「altitude jacket」と同一の商品であり,登山等のアウトドアスポーツの際に防寒,防風及び防雨用として専用に着用する上着である。このため,この「フェアリーダウン ATDジャケット」が運動用特殊衣服に該当することは明らかである。
また,被請求人は,アーサーエリス社から輸入したサンプル品の販売と平行して,運動用特殊衣服に該当する各種商品を企画し,そのサンプルを作成するとともに,このサンプル品を下記の店舗に譲渡している。
乙第17号証は,2004年9月17日に,商品名「フェアリーダウン PTMパーカ」にかかる商品を株式会社丸広百貨店入間店に譲渡した事実を立証するための売上伝票の原本である。
また,乙第18号証は,2004年10月21日に,商品名「フェアリーダウン PTMパーカ」にかかる商品をアートスポーツODBOX本店に譲渡した事実を立証するための売上伝票の原本である。これらの売上伝票には,ローマ字の文字の表示を片仮名に変更した同一の称呼を生ずる社会通念上同一と認められる商標である「フェアリーダウン」が商品「PTMパーカー」との具体的関係において使用されていることが明示されている。
この「PTMパーカー」は,株式会社ダナージャパン発行のFAIRYDOWN ‘96-‘97秋冬カタログ11頁(乙第19号証)に掲載された「PHANTOM PARKA」と同種の商品であり,登山等のアウトドアスポーツの際に防寒,防風及び防雨用として専用に着用する上着である。このため,この「PTMパーカー」が運動用特殊衣服に該当することは明らかである。
また,乙第20号証は,2004年9月3日に,商品名「フェアリーダウン H.H.ダウン」にかかる商品を株式会社インテリアNN企画に譲渡した事実を立証するための売上伝票の原本である。
また,乙第21号証は,2007年1月17日に,商品名「フェアリーダウン H.H.ダウン」にかかる商品を株式会社丸広百貨店入間店に譲渡した事実を立証するための売上伝票の原本である。これらの売上伝票には,ローマ字の文字の表示を片仮名に変更した同ーの称呼を生ずる社会通念上同一と認められる商標である「フェアリーダウン」が商品「H.H.ダウン」との具体的関係において使用されていることが明示されている。
この「H.H.ダウン」は,株式会社ダナージャパン発行のFAIRYDOWN‘96-‘97秋冬カタログ14頁(乙第22号証)に掲載された「NEW HEDGE HOG」と同種の商品であり,登山等のアウトドアスポーツの際に防寒,防風用として専用に着用するダウンジャケットである。このため,この「H.H.ダウン」が運動用特殊衣服に該当することは明らかである。
また,乙第23号証は,2005年7月5日に,商品名「フェアリーダウン TMSシャツ」及び商品名「フェアリーダウンTMS L.J.」に係る商品をアートスポーツODBOX本店に譲渡した事実を立証するための売上伝票の原本である。この売上伝票には,ローマ字の文字の表示を片仮名に変更した同一の称呼を生ずる社会通念上同一と認められる商標である「フェアリーダウン」が商品「フェアリーダウン TMSシャツ」,「フェアリーダウン TMS L.J.」との具体的関係において使用されていることが明示されている。
この「フェアリーダウン TMSシャツ」,「フェアリーダウン TMS L.J.」は,株式会社ダナージャパン発行のFAIRYDOWN‘97春夏カタログ5頁(乙第24号証)に掲載された「THERMASTAT CREWNECK」,「THERMASTAT LONG JOHNS」と同一の商品である。
一般に,冬期における登山等のアウトドアスポーツでは,酷寒といった厳しい環境下でも暖かさを保つとともに,吸収した汗を素早く蒸発させて体表温度を快適に保つことが要求される。
これら「フェアリーダウン TMSシャツ」,「フェアリーダウンTMS L.J.」は,デュポン社の開発したファブリックで形成した下着であり,寒い時には,上記ファブリックの中空繊維の持つ保温効果により体温を逃さず暖かさを保ち,運動時の汗をかいた時には,その優れた蒸散効果により体温の上がりすぎを抑え,体を快適にコントロールすることができ,主に登山等のアウトドアスポーツで防寒用に専用に着用されるものであるため,この「フェアリーダウン TMSシャツ」,「フェアリーダウンTMS L.J.」が運動用特殊衣服に該当することは明らかである。
3 審尋に対する回答
(1)乙第10号証の納品伝票の記載された商品コード(494FT-33001)は,被請求人が米国のジュポン社が開発した布地で製造したTシャツ「COOLMAX T-SHIRT」に付したものである。商品番号,商品コードは,商品管理上,当該商品を取り扱う会社が独自に付ける文字列であるから,同一の商品であっても会社が異なれば,コードも異なるのが一般的である。
本事案も,商品を販売した被請求人とカタログを発行した会社が異なるために商品コードが異なったものである。また,売上伝票に記載された納入単価とカタログに表示された価格が異なるのは,これらの商品は,被請求人が株式会社ダナージャパンから商標権とともに譲り受けた在庫商品であったため,当該商品を大幅にディスカウントして販売したためである。
被請求人は,多種の商品コードを複雑に管理しているが,494FT-33001は,少量品の取引において便宜的に付された商品コードであり,現在は使用していない。そのため,当該商品コードがどの商品に対応するかについて記録は残しておらず,書面を提出することはできない。
(2)乙第12号証及び乙第15号証は,インボイス(乙第11号証)に記載された商品を説明するものであり,商品名及び色に関する記載から,本件カタログに記載された商品とインボイスに記載された商品が一致しているのは明らかである。
また,新たな証拠としてアーサーエリス社発行の「FAIRY DOWN’04カタログ(乙第25号証及び乙第26号証)」を提出する。このカタログは,インボイス(乙第11号証)と共に送付されたものである。このカタログには,「DAYPACKS」について,インボイスに記載された商品と同一の商品が記載されている。両者の商品名及び色の記載の同一性から,双方に記載された商品が同一であることが明らかである。
乙第25号証及び乙第26号証のカタログとインボイス(乙第11号証)には,双方にアーサーエリス社が記載されていることから,当該カタログの発行者がアーサーエリス社であることは明らかである。また,表紙に「winter04」と記載されていること及びインボイスの日付から,当該カタログが2004年4月8に日時点で既に発行されていたことは明らかである。
また,当該カタログには,商品番号,商品価格等の記載がないが,海外向けのカタログでは,国により通貨が異なるため,商品価格を記載しないのが一般的であり,商品番号(商品コード)が記載されていないことが多い。
(3)乙第17号証,乙第18号証,乙第20号証及び乙第21号証の売上伝票に記載された商品名と乙第19号証及び乙第22号証のカタログに掲載された商品番号,商品コード,販売価格が異なるのは,前記(2)と同様の理由である。本事例は,両者の商品名がほぼ一致しているから,同一の商品であることが明らかである。
(4)乙第23号証の売上伝票に記載された商品名,商品番号,商品コードと乙第24号証のカタログに記載されたものと異なるのは,前記(2)及び(3)と同様の理由である。本事例は,両者の商品名がほぼ一致しているから,同一の商品であることが明らかである。
なお,「RAINHAT(帽子)」が運動用特殊衣服には含まれないことについては,承伏する。

第4 当審の判断
1 商標法第50条第1項による商標登録の取消審判の請求があったときは,同条第2項の規定により,被請求人において,その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し,または,使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り,その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないところ,被請求人は,納品書及び売上伝票等取引伝票及び商品カタログを提出し,本件商標は,本件審判請求の登録前3年以内に,運動用特殊衣服に含まれる商品である「レインウエア(アノラック)」及び「Tシャツ」について使用していた旨主張する。そこで,以下乙各号証及び被請求人の主張について検討する。
2 乙各号証によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は,被請求人が,WILD-1多摩ニュータウン店に宛てた納品書(控え)の写しと認められるところ,その上段の納品日の欄に「04年9月24日」の記載がある。また,中段には,品名・規格の欄に「FAIRYDOWN RAINWEAR」,商品コードの欄に「115」,数量の欄に「231」,原単価の欄に「4000」,原価金額の欄に「924000」等の記載があるが,「RAINWEAR」の表示からは,実際に取引された商品を特定することができないから,当該納品書のみをもって商品の取引があったことを認めることはできない。
(2)乙第2号証は,被請求人が,WILD-1多摩ニュータウン店に宛てた納品書(控え)の写しと認められるところ,その品名・規格の欄に「FAIRYDOWN RAINHAT」記載があるが,「RAINHAT」は,「雨用帽子」と認められ,これは運動用特殊衣服の範疇に含まれる商品ではない。
(3)乙第3号証及び乙第10号証は,被請求人が(株)アートスポーツ本店に宛てた売上伝票の原本及びその写しと認められるところ,上段の年月日の欄には,「2006/10/19」,伝票番号の欄に「0122362」の記載がある。また,中段の1の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「494FT-33001 WT F/D フェアリーダウン Tシャツ」,数量計の欄に「15」,納入単価の欄に「1680」,金額の欄に「25200」,標準小売単価の欄に「2800」等の記載がある。
また,乙8号証は,ダナージャパン発行のFAIRYDOWN‘97春夏カタログの9頁に掲載された商品の写真及びその説明と認められるところ,これには「COOLMAX T-SHIRT」,「クールマックスTシャツ」,「FA-37350」,「¥6,800」等の文字及び商品の説明として,「発汗量の多いアウトドアスポーツに必要なのは吸収した汗を素早く蒸発させる体表温度を快適に保つことが不可欠とされる。・・」等のその商品がアウトドアスポーツに適した仕様のものであることが記載されている。
その商品説明及び商品の形状等から,当該Tシャツは,主に登山等アウトドアスポーツの時に着用するものということができる。
これに対し,被請求人は,当該売上伝票に記載された商品と乙第8号証の「COOLMAX T-SHIRT」は同種の商品である旨主張するが,それぞれの商品の名称が一致せず,また,商品番号,商品価格等も相違することから,両者が同一の商品であると認めることはできない。
(4)乙第11号証は,アーサーエリス社が被請求人に宛てたインボイスの写しと認められるところ,これには,上段のDate欄に「2004/4/8」の記載があり,中段の商品名と認められるDescription欄及び,UnitPrice欄には,それぞれ,「Altitude Men′s Jacket」及び「$179.10」の記載,「Sierra Men′s Jacket」及び「$67.50」の記載,「L’TW’T Zip Neck Men′s Pullover」及び「$35.10」等の記載がある。
しかしながら,被請求人も主張するとおり,このインボイスには「FAIRYDOWN」の記載がなく,表示された日付も本件審判請求の登録日より3年以上前のものである。
(5)乙第12号証は,被請求人が(株)アートスポーツ本店に宛てた売上伝票と認められるところ,その上段には,年月日の欄に「2004/9/01」,伝票番号の欄に「0105877」の記載があり,また,中段の2の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「414JL3421 449 F/D フェアリーダウン ZPLオーバー」,数量計の欄に「1」,納入単価の欄に「1500」,金額の欄に「1500」,標準小売単価の欄に「8800」等の記載がある。また,5の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「414JL363 475 F/D フェアリーダウン シェラジャケッ」,数量計の欄に「1」,納入単価の欄に「1980」,金額の欄に「1980」,標準小売単価の欄に「19800」等の記載がある。
また,乙第13号証,乙第14号証及び乙第16号証は,「ZONE WINTER04」と題するカタログに掲載された個別商品のイラストと商品説明と認められるところ,乙第13号証には,その商品のデザイン画,「sierra jacket」,「all purpose」「mens s-xxl」及び「womens xs-l」等の記載があり,乙第14号証には,「zip neck l/s」,「x-function」,「mens s-xxl」及び「womens xs-l」等の記載がある。さらに,乙第16号証には,「altitude jacket」,「all purpose moutain activity-bush/alpine/ski」,「unisex xs-xxl」等の記載がある。
しかしながら,当該カタログには,商品番号,商品価格等の記載がなく,また,カタログの発行者,発行日等も不明である。
これに対し,被請求人は,乙第12号証の売上伝票に記載された商品「フェアリーダウン ZPLオーバー」及び「フェアリーダウン シェラジャケッ」は乙第13号証及び乙第14号証に掲載された商品「sierra jacket」及び「zip neck l/s」と同一の商品である旨主張するが,それぞれの商品の名称が一致せず,また,前記のとおり,乙第13号証及び乙第14号証のカタログには,商品番号,商品価格等の記載がなく,両者が同一の商品であると認めることはできない。
(6)乙第15号証は,被請求人が(株)インテリアNN企画に宛てた売上伝票と認められるところ,その上段には,年月日の欄に「2006/11/27」,伝票番号の欄に「0123512」の記載があり,また,中段の1の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「41179452 170 F/D フェアリーダウン ATDジャケッ」,数量計の欄に「1」,納入単価の欄に「24000」,金額の欄に「24000」,標準小売単価の欄に「48000」等の記載がある。
これに対し,被請求人は,乙第15号証の売上伝票に記載された商品「フェアリーダウン ATDジャケッ」は乙第16号証に掲載された商品「altitude jacket」と同一の商品である旨主張するが,それぞれの商品の名称が一致せず,また,前記のとおり,乙第16号証のカタログには,商品番号,商品価格等の記載がなく,両者が同一の商品であるとは認められない。
(7)乙第17号証は,被請求人が(株)丸広百貨店入間店に宛てた売上伝票と認められるところ,その上段には,年月日の欄に「2004/9/17」,伝票番号の欄に「0105992」の記載があり,その中段の7の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「41119401 380 F/D フェアリーダウン PTMパーカ」,数量計の欄に「1」,納入単価の欄に「16380」,金額の欄に「16380」及び標準小売単価の欄に「26000」等の記載がある。
また,乙第18号証は,被請求人が(株)アートスポーツODBOX本店に宛てた売上伝票と認められるところ,その上段には,年月日の欄に「2004/10/21」,伝票番号の欄に「0106370」の記載があり,中段の1の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「41119401 900 F/D フェアリーダウン PTMパーカ」,数量計の欄に「3」,納入単価の欄に「14560」,金額の欄に「43680」及び標準小売単価の欄に「26000」等の記載がある。
さらに,乙第19号証は,ダナージャパン発行のFAIRYDOWN‘96-’97秋冬カタログの11頁に掲載された商品の写真及びその説明と認められるところ,これには,「PHANTOM PARKA」,「ファントムパーカー」,「F-2400」,「¥32,000」等の文字及び商品の説明がある。パーカーの商品名及びその商品写真から,これは,主に登山等のアウトドアスポーツに着用するものということができる。
これに対し,被請求人は,乙第17号証及び乙第18号証の売上伝票に記載された商品「フェアリーダウン PTMパーカ」は乙第19号証に掲載された商品「PHANTOM PARKA」と同種の商品である旨主張するが,それぞれの商品の名称が一致せず,また,商品番号,商品価格等も相違することから,両者が同一の商品であるとは認められない。
(8)乙第20号証は,被請求人が(株)インテリアNN企画に宛てた売上伝票と認められるところ,その上段には,年月日の欄に「2004/09/03」,伝票番号の欄に「0105914」の記載があり,中段の1の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「41183200 900 F/D フェアリーダウン H.H.ダウン」,数量計の欄に「1」,納入単価の欄に「10000」,金額の欄に「10000」,標準小売単価の欄に「20000」等の記載がある。
また,乙第21号証は,被請求人が(株)丸広百貨店入間店に宛てた売上伝票と認められるところ,その上段には,年月日の欄に「2007/01/17」,伝票番号の欄に「0124399」の記載があり,中段の1の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「41183200 900 F/D フェアリーダウン H.H.ダウン」,数量計の欄に「2」,納入単価の欄に「4900」,金額の欄に「9800」及び標準小売単価の欄に「20000」等の記載がある。
また,乙第22号証は,株式会社ダナージャパン発行のFAIRYDOWN‘96-‘97秋冬カタログ14頁に掲載されたダウンジャケットの商品写真及びその説明と認められるところ,これには,商品名として「NEW HEDGEHOG」,「ニュー・ヘッジホック」品番「F-2114」,「「\33,000」及び商品説明として「襟はジッパーにより閉められ寒気の進入を防ぎ・・」等防寒,防風用として着用する旨が記載されている。その記載から,これは,主に山登等のアウトドアスポーツに着用するものということができる。
これに対し,被請求人は,乙第20号証及び乙第21号証に表示した「41183200 900 F/D フェアリーダウン H.H.ダウン」は乙第22号証の商品「NEW HEDGEHOG」と同種の商品である旨主張するが,それぞれの商品の名称が一致せず,また,商品番号,商品価格等も相違することから,両者が同一の商品であるとは認められない。
(9)乙第23号証は,被請求人が(株)アートスポーツODBOX本店に宛てた売上伝票と認められるところ,その上段には,年月日の欄に「2005/07/05」,伝票番号の欄に「0111669」の記載があり,その中段の1の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「41135161 420 F/D フェアリーダウン TMSシャツ」,数量計の欄に「6」,納入単価の欄に「2352」,金額の欄に「14112」及び標準小売単価の欄に「4200」等の記載があり,また,5の項には,商品コード・ブランド・品名・カラーの欄に「41135164 100 フェアリーダウン TMS L.J」,数量計の欄に「6」,納入単価の欄に「2128」,金額の欄に「127689」及び標準小売単価の欄に「3800」等の記載がある。
また,乙第24号証は,株式会社ダナージャパン発行のFAIRYDOWN‘97春夏カタログ5頁に掲載された商品の写真及びその説明と認められるところ,これには,商品名として「THERMASTAT CREWNECK」,「サーマスタットクールネック」,品番「F-4010」,「\ 4,200」及び商品名として「THERMASTAT LONG JOHNS」,「サーマスタットロングジョン」,品番「F-4014」,「\4,200」等と表示され,その商品の説明欄には,「デュポン社の開発した酷寒という厳しい環境下でも暖かさが保てるようデザインされた先進のファブリックです。・・・」等防寒,防風用として着用する旨が記載されている。その記載から,これは,主に山登等のアウトドアスポーツに使用するものということができる。
これに対し,被請求人は,乙第23号証に表示した「フェアリーダウン TMSシャツ」及び「フェアリーダウン TMS L.J」は乙第24号証の商品「THERMASTAT CREWNECK」及び「THERMASTAT LONG JOHNS」と同一であると主張するが,それぞれの商品の名称が一致せず,また,商品番号,商品価格等も相違することから,両者が同一の商品であるとは認められない。
(10)乙第25号証及び乙第26号証は,カタログの26頁と28頁と認められるところ,当該カタログの表紙に「04」及び「FAIRYDOWN」,裏表紙に「Arthur Ellis Limited」と表示されていることから,これがアーサーエリス社発行の2004年版の「FAIRYDOWN」商標に係る商品カタログであることは認められるが,26頁と28頁に掲載された商品は,いずれも「DAYPACKS」であり,運動用特殊衣服に含まれる商品ではない。
これに対し,被請求人は,当該カタログは乙第11号証の「インボイス」と共に日本に送付されたものであり,乙第25号証及び乙第26号証に表示された「DAYPACKS」と乙第11号証の「インボイス」に掲載された「chromepack」,「tungstenpack」及び「skylabpack」の商品名,色等が一致するから,これらの商品は,インボイスに掲載された商品と同一であり,ここで示す商品の一致と当該カタログの発行日,アーサーエリス社の表示等から類推すれば,前記(7)の乙第13号証,乙第14号証及び乙第16号証を掲載したカタログもインボイスに記載された日付(2004年4月8日)の以前にアーサーエリス社が作成したことが明らかである旨主張する。
しかしながら,「DAYPACKS」は,乙第13号証,乙第14号証及び乙第16号証に記載された商品と相違する商品であり,また,それぞれの関連性を認めることもできないから,「DAYPACKS」の掲載されたカタログをもって,乙第13号証,乙第14号証及び乙第16号証を掲載したカタログがインボイスに記載された日付以前にアーサーエリス社によって作成されたものであると認めることはできない。また,仮に発行日,発行者が確認できるとしても,前記(5)に記載のとおり,乙第13号証,乙第14号証及び乙第16号証には,商品番号,商品価格等の記載がなく,これと乙第12号証に記載された商品の同一性を確認することはできない。
3 前記2の認定事実及び被請求人の答弁によれば,前記2の(3),(7),(8)及び(9)で認定したダナージャパン発行のFAIRYDOWN‘97春夏カタログ及びFAIRYDOWN‘96-‘97秋冬カタログに掲載された各乙号証に係る商品は,いずれも,登山用等のアウトドアスポーツに使用する商品であって,運動用特殊衣服の範疇に属する商品とみて差し支えないものと認められる。
そして,同じく,前記2の(3),(7),(8)及び(9)で認定した乙第3号証(乙第10号証),乙第17号証,乙第18号証,乙第20号証,乙第21号及び乙第23号証の売上伝票によれば,被請求人が商品名を「フェアリーダウン」とする商品を,(株)ステップアヘッド他の取引先に引き渡したことが窺える。
しかしながら,商標が使用されたことを立証するためには,商品に付された商標,商品番号,価格等の事実と取引書類である売上伝票に記載された商標,商品名,商品番号,価格等の事実を総合して判断すべきところ,本件については,上記のカタログと売上伝票に掲載された商品の名称が一致せず,また,商品番号,商品価格等も相違することから,当該売上伝票をもっては,カタログに掲載された商品,すなわち,運動用特殊衣服の範疇に属する商品の引き渡しが行われたことを特定することはできない。
この点に関し,当審判体は,被請求人に対し審尋を発し,取引の対象となった商品及び商標を明らかにするための釈明と新たな書面の提出を求めたが,被請求人は,商品番号が異なるのは商品を販売した被請求人とカタログを発行した会社が異なるためであり,また,商品価格が異なるのは在庫商品であったため当該商品を大幅にディスカウントして販売したためである旨を主張するのみで,前記商品の同一性を確認できる証拠の提出をしていない。そして,被請求人の釈明も前記商品の同一性を認定するに足るものではない。
したがって,被請求人の提出に係る乙各号証をもっては,被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件請求に係る指定商品中の「レインウエア(アノラック)」及び「Tシャツ」について本件商標を使用していたと認めることはできない。
その他,本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内にその請求に係る指定商品について使用されていたことを認めるに足る証拠はない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても,その請求に係る指定商品のいずれかについても使用をしていなかったものというべきであり,また,その商標の使用をしていないことについて正当な理由があるということもできない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-12-10 
結審通知日 2008-12-16 
審決日 2009-01-07 
出願番号 商願平3-22593 
審決分類 T 1 31・ 14- Z (Y2528)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内山 進 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 久我 敬史
小林 由美子
登録日 1993-06-30 
登録番号 商標登録第2549965号(T2549965) 
商標の称呼 フェアリイダウン、フェアリーダウン 
代理人 佐藤 嘉明 
代理人 櫛渕 一江 
代理人 櫛渕 昌之 
代理人 浜本 忠 

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