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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Y30 審判 全部申立て 登録を維持 Y30 審判 全部申立て 登録を維持 Y30 |
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管理番号 | 1190992 |
異議申立番号 | 異議2007-900555 |
総通号数 | 110 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-02-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2007-12-10 |
確定日 | 2009-01-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5076072号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5076072号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5076072号商標(以下「本件商標」という。)は、平成18年12月21日に登録出願され、「ハッコウゴククロウーロン」の片仮名と「醗酵極黒烏龍」の漢字を二段に横書きした構成よりなり、第30類「ウーロン茶,ウーロン茶を加味してなる茶,ウーロン茶を主成分として粉状・粒状・顆粒状・カプセル状・液状をした加工食品」を指定商品として、同19年9月7日に商標権の設定登録がされたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要旨) (1)引用商標の著名性について 登録異議申立人「サントリー株式会社」(以下「申立人」という。)は、その製造販売にかかる飲料商品「サントリー黒烏龍茶OTPP」(以下「申立人商品」という。)を平成18年5月16日に販売するため、平成18年5月13日から、自己の製造及び販売する商品であることを示す商標として「黒烏龍茶」(以下「引用商標」という。)を使用している。 申立人商品の販売量は、平成19年9月末日現在までに1,396万ケース(1ケース:24本。)の売り上げを記録した(甲第3号証及び8号証)。平成18年5月13日からテレビCM、新聞、雑誌等に宣伝広告を開始し、特に同年7月下旬ころにかけては、集中して行い、現在も継続して行っている(甲第4号証の1ないし4)、加えて、申立人商品は発売前から報道され、本件商標出願時頃までに各メディアに頻繁に取り上げられと共に、各賞を受賞し、平成18年度のヒット商品となった(甲第5号証の1ないし4)。また、申立人商品は、発売当初よりコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア等での配荷率も高く、日本全国、老若男女や年齢を問わず日常多くの需要者の目に触れるように販売されてきた(甲第6号証)。 申立人商品は、その知名率が平成18年6月中旬の調査では、73.3%、同年12月の調査では、81.9%、平成19年7月下旬の調査では、88.9%と上昇しており、申立人による商品販売、宣伝広告、広報活動等により需要者の間に広く認識されていることを裏付けている。(甲第7号証ないし甲第10号証)。 このように、申立人商品は、需要者の間に広く認知され、引用商標は、著名となったものである。 (2)「黒烏龍」の文字の自他商品識別力について 申立人は、平成14年4月ころから科学的裏付けのある効能をもった食品・飲料の開発に着手し、「ウーロンホモビスフラバンB」の検出に成功し、これを含むポリフェノール集合体を「ウーロン茶重合ポリフェノール」と名付けた。このウーロン茶重合ポリフェノールは、効能成分であるとともに、ウーロン茶の色を作っている色素成分である。 申立人商品は、「ウーロン茶重合ポリフェノールを豊富に含む」点に特徴があることから、そのネーミングにあたっては、これを豊富に含むことに由来するものであり、濃い液色をしていること、及び黒豆、黒酢、黒米など「黒い食品は健康によい」といわれることから発想した、申立人が創造した造語である(甲第3号証)。ウーロン茶は青茶に分類される茶であり、黒茶として知られているのは、プーアール茶である(甲第11号証及び12号証)。黒烏龍茶という茶葉がある訳でもない。 「黒烏龍茶」という言葉は、申立人が申立人商品のために創造した造語であり、識別力のない言葉ではない。 (3)商標法第4条第1項第10号 本件商標は、著名となった申立人の商品表示(別掲)の要部である引用商標と実質的に同一の意味を有する「黒鳥龍」を含むものであるから、これと類似し、その指定商品は引用商標の商品又はこれに類似する商品について使用するものである。 (4)商標法第4条第1項第15号 引用商標は申立人の商標として著名のものであるから、これと類似する本件商標がその指定商品に指定された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 (5)商標法第4条第1項第19号 本件商標は引用商標と類似し、また引用商標が申立人の商標として著名になってから出願されたものであるから、不正の目的を持って使用するものである。 (6)したがって、本件商標は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。 3 当審の判断 (1)本件商標について 本件商標は、前記1のとおり、同じ大きさ、同じ書体で一連に表してなる「醗酵極黒烏龍」の漢字と、その上段に読み仮名を小さく表したと理解される「ハッコウゴククロウーロン」の片仮名とを二段に横書きした構成よりなるものである。 そして、構成中の「発酵」の文字は、「一般に、酵母・細菌などの微生物が、有機化合物を分解してアルコール・有機酸・炭酸ガスなどを生ずる過程」、「極」は、「(1)極上の略。特に、茶の最上品。(2)最も。極めて。この上なく。」、「黒」は、「色の名。墨のような色。」を意味するものであり、「烏龍」は、成語としての意味はないが、「烏龍茶」は、「葉の仕上がりの色が烏の如く黒く、形が竜の爪の如く曲がっていることから)中国茶の一緒で緑茶と紅茶の中間に位する半発酵茶。」(以上「広辞苑」)として知られ、「烏龍」はその略称として使用されているものである。 また、上記広辞苑によれば、そもそも「烏龍茶」は黒色の食品ということができ、また、食品にあっての「黒」の文字自体の理解は、申立人が述べるように、黒豆、黒酢、黒米、黒茶等、或いはこれらと他の食品とを組み合わせたものなど、「黒」の文字を冠した一種の健康ブームにのった食品が散見されるところ、この場合における「黒」の文字はその食品の色彩やその成分が濃いことなどの機能性を強調したものと印象されるものとみて差し支えないものといえる。 そうすると、本件商標は、本件商標を構成する各文字がいずれもウーロン茶との関係において、関連する語を組み合わせてなるといえるものであり、構成全体から「発酵された極上の黒いウーロン茶」、「発酵された極めて黒いウーロン茶」程度の意味合いを認識させる一連一体としての造語的な商標といわざるを得ない。 してみると、本件商標よりは、その構成文字に相応し「ハッコウゴククロウーロン」の称呼が生じ、「発酵された極上の黒いウーロン茶」、「発酵された極めて黒いウーロン茶」の観念を生ずるものとみるのが相当であって、他にその構成文字中から単に「黒烏龍」が独立して認識されるとみるべき特段の事情は見出せない。 (2)申立人商品における「黒烏龍茶」文字について 他方、申立人商品(サントリー「黒烏龍茶」OTPP)は、脂肪吸収抑制効果のあるウーロン茶重合ポリフェノール(OTPP)を含む特定保健用食品として、わが国有数の飲料メーカーである申立人によって、平成18年5月16日から販売され、同13日からテレビCM、新聞、雑誌等に宣伝広告を開始し、これに伴う報道や各メディアに取り上げられ、或いは各賞を受賞するなどし、取引者、需要者に「サントリーの黒烏龍茶」として、相当程度知られていることは認められる。 しかしながら、代表的出所表示或いは個別商品商標と商品の普通名称等を組み合わせて使用されることは一般に行われているところ、申立人の使用する商品表示「サントリー『黒烏龍茶』OTPP」(別掲)において、「黒烏龍茶」の文字は、「黒いウーロン茶」を認識されるものであるから、本件商標の登録査定時に「黒烏龍茶」の文字自体が申立人の著名な略称であって代表的出所表示である「サントリー」の文字の下から独立して自他商品の識別標識として機能していたものとすることはできない。 そうとすると、申立人商品においての使用にかかる「黒烏龍茶」の文字部分は、「烏龍茶」に「黒」の文字を冠したものと容易に看取され、その商品の品質などを表す文字として把握される場合を否定し得ないものであって、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、若しくは極めてその機能の弱い部分として印象されるというべきである。 (3)まとめ してみれば、本件商標の要部は「黒烏龍」にあるとし、「黒烏龍」の観念が生じ、また、称呼もきわめて冗長であるため「クロウーロン」の称呼が生ずるとし、これに対して、申立人商品にかかる「黒烏龍茶」の文字部分が独立して申立人の著名商標として機能を発揮していることを理由にして、本件商標構成中の「黒烏龍」の文字部分と申立人商品における「黒烏龍茶」の文字部分との類似を述べる申立人の主張は妥当でなく、その理由をもって、両商標を類似のものとすることはできない。その他、両商標を類似とすべき事由は見出せない。 また、申立人商品は、その商品表示或いは広告宣伝やその他の紹介記事等において、常に「サントリー黒烏龍茶」又は「サントリーの黒烏龍茶」のように「サントリー」の表示が併用されており、これらと本件商標とは文字構成、その称呼及び観念のいずれにおいても類似しない別異の商標であって、ほかに両者が紛れ得るとする事由は見出せないから、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が直ちに申立人商品を想起し、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。 さらに、本件商標は、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用するものとは認められず、また、その証左も見出せない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものとすることはできない。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 申立人商品の商品表示 |
異議決定日 | 2008-12-08 |
出願番号 | 商願2006-118262(T2006-118262) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(Y30)
T 1 651・ 222- Y (Y30) T 1 651・ 271- Y (Y30) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田中 幸一、冨澤 武志 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
内山 進 岩崎 良子 |
登録日 | 2007-09-07 |
登録番号 | 商標登録第5076072号(T5076072) |
権利者 | 株式会社タキザワ漢方廠 |
商標の称呼 | ハッコウゴククロウーロン、ハッコーゴククロウーロン、ハッコーゴククロ、ハッコー |
代理人 | 佐藤 恒雄 |