• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117
管理番号 1190887 
審判番号 取消2005-30893 
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-07-25 
確定日 2009-01-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第1386817号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1386817号商標の第17類「被服(運動用特殊被服を除く)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1386817号商標(以下「本件商標」という。)は、「UNLIMITED」及び「アンリミテッド」の文字を上下二段に書してなり、昭和50年12月26日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同54年7月31日に設定登録されたものであり、その後、平成1年8月23日及び同11年5月18日に存続期間の更新登録がされ、当該商標権は、現に有効に存続するものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、少なくとも本件審判請求の日前3年以内に、継続して日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中「被服(運動用特殊被服を除く)」について使用されてはいない。
2 被請求人の答弁に対する弁駁
被請求人は、答弁書において登録商標の使用について主張・立証を試みているが、その主張・立証共に不十分であり、登録商標を使用していたとは認められない。
(1)登録商標の使用者
登録商標の使用者は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかでなければならない。
これに対し、被請求人は、答弁書において、本件商標は、本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において被請求人(本件商標の商標権者)から許諾を受けた使用権者Ult International Company(以下「Ult社」という。)によって、商品「被服」について使用されている旨述べている。このことから、商標権者自身は本件商標を一切使用していないと推測される。少なくとも、答弁書において、商標権者自身による本件商標の使用は何ら主張・立証されてはいない。また、答弁書には専用使用権者に関する陳述は一切なく、専用使用権が許諾されていたとは思われない。ちなみに、甲第1号証の1(商標登録第1386817号原簿謄本)から明らかなように、本件商標について専用使用権が設定登録されてはいない。
次に、被請求人は、「被請求人(本件商標の商標権者)から許諾を受けた使用権者」と述べているが、この使用権者(すなわち、Ult社)が商標法に規定する通常使用権者であるとの陳述は答弁書に一切ない。もし、Ult社が、被請求人(商標権者)から本件商標に関し通常使用権の許諾を受けた権利者であるならば、通常使用権契約の内容(例えば、契約締結の両当事者、両社の関係、契約締結日、許諾に係る指定商品、使用許諾期間、ライセンスフィーの支払い等)を具体的に示すべきであり、また、それを確信せしめるに足る証拠(例えば、ライセンス契約書)を提出すべきである。しかるに、答弁書には、通常使用権の許諾にいたる具体的内容等が何ら述べられていない。このため、Ult社が本当に通常使用権者であるのかどうか、更には、仮に通常使用権者であったとしても、答弁書において主張しているUlt社による商標の使用が通常使用権として許諾された範囲内のものであるのかどうか等について、疑問が残る。更に、通常使用権の存在やその内容を裏付ける証拠も一切提出されていない。
したがって、答弁書の陳述及び提出された証拠からは、Ult社が本件商標の通常使用権者であるとは認められない。
以上、本件商標が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用されたとは到底認めることができない。
(2)Ult社及び株式会社ストックマン
答弁書には、Ult社の正式名称、住所、法人設立の準拠法等に関する記述が一切なく、同法人を特定していない。したがって、被請求人(本件商標の商標権者)から許諾を受けた使用権者、すなわちUlt社が答弁書から明確ではない。また、同法人の存在を裏付ける証拠も何ら提出されていない。同法人の存在そのものにも疑問がある。
答弁書の全趣旨によれば、Ult社の商品が、東京の株式会社ストックマンに対し供給されたとのことであるが、株式会社ストックマンの正確な住所に関する陳述がなく、同社を特定するには至っていない。したがって、商標の使用場所が具体的ではない。
(3)登録商標の使用に係る指定商品
被請求人は、本件商標は商品「被服」について使用されたとのみ述べ、個々の具体的な商品を明確に説明していない。本件商標の指定商品は第17類(昭和34年法)「被服(運動用特殊被服を除く),布製身回品(他の類に属するものを除く),寝具類(寝台を除く)」であり、このうち、本件審判では「被服(運動用特殊被服を除く)」に関する本件商標の登録取消を請求している。答弁書の陳述では、Ult社の販売に係る具体的な商品が不明確である。
(4)証拠方法
乙第1号証ないし乙第5号証として提出された書類は、いずれも外国語で記載されており、何らの翻訳も添付されていない。したがって、その内容について審判請求人は不知である。乙第1号証ないし乙第5号証のすべてについて、その有効性を争う。
乙第1号証は、Ult社が東京の株式会社ストックマンとの間の2002年の取引における収入を表した表である。しかしながら、この書類によっては、本件商標の使用を何ら窺い知ることができない。
乙第2号証の1、乙第2号証の2及び乙第2号証の3は、本件審判請求の登録の日前三年よりも以前に発行されたものである。したがって、本件審判事件において確認すべき本件商標の使用時期とは何ら関係がない。
乙第3号証は、「被請求人が製造及び頒布したカタログ」である。「被請求人」の語が「Ult社」の誤記でないとするならば、答弁書における他の陳述内容との関連性が不明である。また、同カタログは、本件審判請求の登録の日前三年よりも以前に印刷・作成されたものと思われる。
提出されたカタログは外国語で記載されており、このカタログが日本国内において頒布され日本の需要者の目に触れたとは思われない。
乙第4号証の1、乙第4号証の2及び乙第4号証の3として提出されたインボイスには、「UNLIMITED」の文字が認められる。この文字は、Ult社のインボイスフォームに予め印刷されていたにすぎず、個々の取引に即してUlt社がインボイスフォームにタイプ印刷することによって作成し、取引会社に送付するインボイスに反映される具体的な商取引との関連性が明確でない。
また、Ult社の具体的な商取引において、いかなる商品の売買があり、また、同商品に本件商標がどのように使用されていたのか明確でない。
乙第5号証として提出されたカタログは外国語で記載されており、このカタログが日本国内において頒布され日本の需要者の目に触れたとは思われない。
したがって、被請求人の答弁は理由がなく、「被服(運動用特殊被服を除く)」に関する本件商標の使用は証明されていないから、本件商標の登録の取消は免れ得ない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は認められない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において被請求人(本件商標の商標権者)から許諾を受けた使用権者「Ult社」によって、商品「被服」について使用されている。
第1号証として提出する書類は、Ult社が東京の株式会社ストックマン(英語表記:STOCKMAN CO.,LTD.)との間の2002年の取引における収入を表した表である。
第2号証-1、第2号証-2、及び第2号証-3として提出するインボイスの写は、Ult社が東京の株式会社ストックマンに対して発行したものである。当該インボイスの右上には商標「UNLIMITED」が記載されている。第2号証-1ないし3のインボイスの発行日は、それぞれ2002年2月27日、2002年3月7日、2002年3月29日であり、本件審判請求の登録の日前3年よりも以前のものではあるが、本件商標が継続して使用されていることを示すために提出する。
第3号証として提出する被請求人が製造及び頒布したカタログ「UNLIMITED(R)」においても本件商標の使用が確認されるが、第20頁に掲載されている商品についてのインボイスが第2号証-1の第5頁(Invoice No.000027)である。また、その他の頁にも商標「UNLIMITED」が付された商品が掲載されており、当該カタログの表及び裏表紙にも「UNLIMITED」の商標が付されている。
第4号証-1、第4号証-2、及び第4号証-3として提出するインボイスの写も、Ult社が東京の株式会社ストックマンに対して発行したものである。右上には「UNLIMITED」が記載されている。それぞれのインボイスの発行は、2002年9月3日、2002年3月11日、2002年4月14日であり、本件審判請求の登録の日前3年以内に発行されたものである。なお、第5号証として提出するUlt社のカタログ「BRAND BASIC WOMAN COLLECTION SPRING/SUMMER 2003」の第21頁の商品についてのインボイスが第4号証-2の第3頁(Invoice No.223)であり、また同カタログ第33頁の商品についてのインボイスが、同第4号証-2の第6頁(Invoice No.223)である。当該カタログも本件審判請求の登録の日前3年以内に発行されたものである。
当該カタログのその他の頁にも商標「UNLIMITED」が付された商品が掲載されており、また、表表紙、各頁の右下部分、裏表紙にも商標「UNLIMITED」が付されている。
なお、本件商標「UNLIMITED」「アンリミテッド」と使用商標「UNLIMITED」は、商標法第50条第1項に規定する「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標」である。よって、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることが明らかである。
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求前3年以内に、日本において、被請求人から許諾を受けた使用権者によって、商品「被服」について使用されているものであるから、請求人の主張は理由がないものである。
なお、被請求人は、前記第2 2請求人の答弁に対する弁駁に対して、何ら答弁していない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、Ult社と、株式会社ストックマンの2002年2月27日から同年12月13日における取引を証明する書類である。
(2)乙第2号証(枝番号を含む。)は、2002年2月27日、同年3月7日及び同年3月29日に、Ult社が東京の株式会社ストックマンに対して発行したインボイスの写しであるが、本件審判の請求の登録前3年内より以前に使用されたものであるから、採用できない。
(3)また、乙第3号証は、「UNLIMITED(R)」「THE ORIGINAL RHOMB LABEL」とタイトルされた被請求人作成(裏表紙にBY CRISTALs.p.aと表示されている。)の商品カタログであるが、作成日が不明であるばかりでなく、全て英文で表示されている。
(4)乙第4号証-1(但し、9頁ないし16頁は、Ult社が東京のKANEMAN Co.,LTDに対して発行したインボイスの写しである。)、同第4号証-2及び同第4号証-3は、Ult社が東京の株式会社ストックマンに対して発行したインボイスの写しである。
右上には「UNLIMITED(R)」、その下部に「STOUCKMAN CO.LTD.」及び「1-25-4 SENDAGAYA SHIBUYA-KU 151-0051 TOKYO JAPAN」の文字が表示されている。そして、左上には、「ULT INTERNATIONAL COMPANY SRL」「SEDE LEGALE:CORSO GARIBALDI 18-35122 PADOVA(PD)- ITALY」の文字が表示されている。それぞれのインボイスの発行は、2002年9月3日、2003年3月11日、2003年4月14日であり、本件審判の請求の登録前3年以内に発行されたものである。そして、2003年3月11日付けのインボイス(Invoice No.223)(第4号証-2)の第3頁のリストの8段目ないし12段目には、「26041 T77 100 ALEX 」「26041 T77 311 ALEX」「26041 T77 386 ALEX」「26041 T77 700 ALEX」「26041 T77 900 ALEX」と表示され、同第6頁のリストの7段目ないし10段目には、「26602 T81 100 KAI」「26602 T81 344 KAI」「26602 T81 386 KAI」「26602 T81 700 KAI」と表示されている。
(5)乙第5号証は、Ult社の商品カタログ「BRAND BASIC WOMAN COLLECTION SPRING/SUMMER 2003」であり、表紙の右下には「UNLIMITED(R)」の文字が表示されている。そして、その第21頁には、婦人用Tシャツの写真と共に「STYLE:ALEX」「ARTICLE NO:26041 ALEX」「QUALTIES AND COLOURS T77-COL.100・・・T77-COL.386・・・T77-COL.700・・・T77-COL.311・・・」と表示されている。また同カタログ第33頁には、婦人用Tシャツの写真と共に「STYLE:KAI」「ARTICLE NO:26602 KAI」「QUALTIES AND COLOURS T81-COL.100 T81-COL.386 T81-COL.344 T81-COL.700」と表示されている。
2 上記によれば、Ult社は、本件の審判の請求の登録前3年以内である2002年9月3日、2003年3月11日、2003年4月14日に、表紙に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示した商品カタログ「BRAND BASIC WOMAN COLLECTION SPRING/SUMMER 2003」(乙第5号証)に掲載された商品「婦人用Tシャツ等」について、日本国内に所在する株式会社ストックマンとインボイス(送り状)を交わした事実を認めることができる。
しかしながら、商標法第50条第2項本文は、商標の不使用による取消しの審判があった場合、被請求人は、日本国内における登録商標の使用を証明しなければならないことを規定しているところ、商標法第2条第3項第2号にいう「譲渡」が、日本国内において行われたというためには、譲渡行為が日本国内で行われる必要があるというべきであって、日本国外に所在する者が日本国外に所在する商品について日本国内に所在する者との間で譲渡契約を締結し、当該商品を日本国外から日本国内へ発送したとしても、それは日本国内に所在する者による「輸入」に該当しても、日本国外に所在する者による日本国内における譲渡に該当するものとはいえない(平成17年(行ケ)第10817号事件参照)。
これを、本件についてみるに、上記認定のとおり、イタリア国に所在する法人である被請求人が使用権の許諾を与えたとするUlt社は、商品カタログに掲載の商品を、日本国に所在する株式会社ストックマンに対し発送したと推認できるところ、かかる行為は、日本国外に所在する者による日本国内における譲渡に該当するものとはいえない。
また、被請求人は、Ult社がイタリア国における本件商標の使用権の許諾を有する者である旨主張するが、Ult社が我が国における通常使用権者であることを裏づける何らの証拠の提出もないことから、該主張のみによっては、Ult社が我が国における本件商標の通常使用権者であるとは認められない。そして、他に我が国における通常使用権者について、被請求人は、何ら主張、立証していない。
さらに、乙第3号証及び乙第5号証の商品カタログも、すべて英文で表され、かつ、我が国において頒布された時期等も不明であることからも、我が国の取引者、需要者にむけて頒布されたものとも認め難い。
3 その他、被請求人の提出した証拠を総合判断しても、被請求人は、本件審判請求前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標を使用したことを証明したと認めることはできない。
そして、本件商標を本件審判請求に係る指定商品に使用していないことについて、正当理由があることを何ら主張していない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、「結論掲記の商品」について、その登録を取り消すものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-07-16 
結審通知日 2008-07-22 
審決日 2008-08-27 
出願番号 商願昭50-149353 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (117)
最終処分 成立  
前審関与審査官 竹内 弘昌 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
伊藤 三男
登録日 1979-07-31 
登録番号 商標登録第1386817号(T1386817) 
商標の称呼 アンリミテッド、アン 
代理人 大村 昇 
代理人 小林 久夫 
代理人 高梨 範夫 
代理人 木村 三朗 
代理人 深見 久郎 
代理人 森田 俊雄 
代理人 野田 久登 
代理人 安島 清 
代理人 竹内 耕三 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ