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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 11434
管理番号 1190779 
審判番号 取消2008-300014 
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-01-07 
確定日 2008-12-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第1725958号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1725958号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1725958号商標(以下「本件商標」という。)は、「ティンカーベル」及び「TINKERBELL」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和57年5月10日に登録出願、第27類「ライター、灰ざら、その他本類に属する商品」を指定商品として昭和59年10月31日に設定登録され、その後、平成7年4月27日及び平成16年5月25日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成17年4月6日に指定商品を第14類「貴金属製喫煙用具」及び第34類「たばこ,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」とする書換登録がされているものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
(1)請求の理由
被請求人は、本件商標を、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず、また通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていないものである。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
(ア)被請求人は、本件商標は、本件審判の請求登録前3年以上前より現在に至るまで、日本国内において、その指定商品「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」に使用しているから、取り消し得ないものであると主張し、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
(イ)商標法第50条第1項の規定に基づく本件取消審判において、被請求人が本件商標の取消を免れるためには、(a)被請求人又はその使用権者が、(b)平成17年1月30日から平成20年1月29日までの間に、(c)その指定商品である第34類「たばこ,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」のいずれかについて、(d)本件商標を商標法第2条第3項各号のいずれかに規定する態様で「使用」していたことを証明しなければならない。
しかしながら、被請求人の主張及び提出に係る乙第1号証ないし乙第14号証によっては、上記各要件について立証がなされたということはできない。
(ウ)被請求人は、「本件商標は、以前にあっては、合併会社『株式会社ティンカー・ベル』が有していた買い物袋、定価表、ステッカー、各種プレート等に販売標として広く使用していたが、これらの在庫が無くなった後は、主に、これら各種雑貨類を提供する際に用いる包装袋(又は箱)等を結束するためのリボンテープに印字して使用しており(乙第7号証ないし乙第12号証)、少なくとも、該リボンテープが納品された(乙第13号証)平成17年6月以降しばらくの間、使用事実があったことは明らかである。」と主張している。
乙第13号証の納品書の日付が、平成17年6月13日であって、本件審判の請求の登録前3年以内の日付であることは、請求人も否定しない。
しかしながら、乙第13号証は、TINKER BELLリボンの作成に関する、株式会社サンクから被請求人(平成17年6月13日時点の本件商標の商標権者である「株式会社デリカ」)への納品書にすぎない。したがって、乙第13号証は、本件商標が、平成17年6月以降しばらくの間、「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」に使用された事実を証明するものではない。また、該納品書には、「TINKER BELL」の記載がされているが、該納品書は、TINKER BELLリボンの作成に関するものにすぎず、これが本件商標の「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」についての使用に該当しないことは明らかである。
すなわち、上記(イ)で示した(a)ないし(d)の各要件を直接証明する証拠は、一切提出されていない。
(エ)以上述べたとおり、被請求人の主張及び提出に係る乙第1号証ないし乙第14号証によっては、本件商標が、審判請求の登録前3年以内に、その指定商品に使用されていたという事実は何ら証明されていない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。
(1)以下のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以上前より現在に至るまで、日本国内において、本件商標をその指定商品「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」に使用しており、その事実は提出した乙各号証によって証明されるところである。
(2)本件商標は、商標登録原簿からも明らかなように、昭和59年10月31日に、旧第27類に属する商品を指定商品とし、木村甲子男名義にて登録されたものである。その後、被請求人会社「株式会社デリカ」に譲渡され、さらに、被請求人の商号変更に伴い、登録名義人の表示を「株式会社ジャパンイマジネーション」に変更し現在に至っている(乙第1号証)。
最初の登録名義人であった木村甲子男は、本件商標の採択者であり、当時、「株式会社デリカ(被請求人会社の旧社名)」の代表であったと同時に、各種雑貨販売を主業務とする系列会社「有限会社ティンカー・ベル」(後に「株式会社」に組織変更)の代表を務めていた(乙第2号証及び乙第3号証)。
(3)有限会社ティンカー・ベルは、本件指定商品を含む、所謂ファッション雑貨全般の小売販売を主業務とし、松戸店、沼津店、西千葉店、八王子店、大森店、北千住店、小田原店等、多店舗展開をしていて、店舗名に「TINKER BELL/ティンカー・ベル」を採用していた(乙第3号証及び乙第4号証)。
その後、同社は、被請求人会社に吸収合併され、それに伴い、被請求人は、同社の業務を全面的に引き継ぎ、従来の業務(衣料品の製造販売)に加え、本件指定商品を含む各種雑貨類の小売販売も始め、本件商標の使用も引き継いだ。
被請求人は、「CECIL McBEE/セシルマクビー」のブランド商品(婦人衣料等)の製造販売業者として広く知られ、同名称からなる直営店は全国43店舗を数える(乙第5号証及び乙第6号証)。そして、現在、株式会社ティンカー・ベルの業務であった本件指定商品を含む各種雑貨類は、主に、これら被請求人の直営店「CECIL McBEE」において販売等されている。
(4)前記のとおり、本件指定商品を含む各種雑貨類は、婦人服の販売を主目的とする被請求人の直営店「CECIL McBEE」で販売されているが、そのほか、各種キャンペーンやイベントでの、又は雑誌「CECIL McBEE」(乙第6号証)購読者へのノベルティ(記念品、広告品)としても提供されている。
本件商標は、以前にあっては、合併会社「株式会社ティンカー・ベル」が有していた買い物袋、定価表、ステッカー、各種プレート等に販売標として広く使用していたが、これらの在庫が無くなった後は、主に、これら各種雑貨類を提供する際に用いる包装袋(又は箱)等を結束するためのリボンテープに印字して使用しており(乙第7号証ないし乙第12号証)、少なくとも、該リボンテープが納品された(乙第13号証)平成17年6月以降しばらくの間、使用事実があったことは明らかである。
(5)そして、上記リボンテープに印字使用されている商標は、本件商標と社会通念上同一性が認められる態様で、かつ、その使用は、本件指定商品に含まれる商品「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」についての商標法第2条第3項第1号及び同項第2号所定の使用行為に該当する。
(6)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人がその指定商品に使用していたことは明らかで、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取消し得ないものである。
よって、本件審判の請求は成り立たない。

4 当審の判断
(1)被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以上前より現在に至るまで、本件商標をその指定商品中「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」について使用している旨主張し、証拠を提出している。
そこで、被請求人の提出に係る証拠について検討するに、該証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)乙第1号証は被請求人会社の「履歴事項全部証明書」の写しであり、乙第2号証は株式会社ティンカー・ベルの「登記簿謄本」の写しであり、乙第3号証は有限会社ティンカー・ベルの「経歴書」であると認められる。
しかしながら、これらには、被請求人をはじめとする関連会社の沿革等が掲載されているのみで、本件商標の表示はなく、本件商標が商品「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」について使用されている事実を示すものはない。
(イ)乙第4号証は、「静岡パルシェ デリカファッション」、「沼津アントレ ティンカーベル」、「沼津アントレ デリカファッション」、「国分寺エル セシルマクビー」の店舗及び従業員等を撮影した写真と認められる。
しかしながら、これらの写真の撮影時期、撮影者、撮影場所等が一切明らかでないし、これらの写真からは本件商標が商品「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」について具体的に使用されている状態が一切明らかでない。
(ウ)乙第5号証は、「CECIL McBEE PRESS」と題する冊子の抜粋写しであり、乙第6号証は、雑誌「CECIL McBEE」(2007年9月1日発行)の抜粋写しと認められるところ、これらには、ファッション雑貨等の各種商品が掲載されているものの、本件商標の表示は一切見当たらない。
(エ)乙第7号証ないし乙第10号証は、時計、ハンドバッグ、灰皿等の商品とその包装箱(袋)をリボンテープで結束した状態、熊のぬいぐるみとその首部にリボンテープを巻きつけた状態、熊のぬいぐるみに掛けたサングラスにリボンテープを付した状態をそれぞれ撮影した写真と認められ、乙第11号証及び乙第12号証は該リボンテープ及びその断片の現物の写真と認められる。
そして、灰皿、ぬいぐるみ等の商品本体及びその包装袋には「CECIL McBEE」の文字が表示されているものの、本件商標の表示は何処にも見当たらない。もっとも、該リボンテープには「TINKERBELL」の文字が印刷されていることが認められる。
しかしながら、これらの写真の撮影時期、撮影者、撮影場所等が一切明らかでないし、該リボンテープの現物についても日付等の記載は一切ない。
(オ)乙第13号証は、株式会社サンクが株式会社デリカに宛てた平成17年6月13日付けで発行した納品書の写しと認められるところ、品名欄に「TINKERBELLリボン(中)」と記載されているほか、数量、単価及び金額の各欄に数字が記入されている。
(2)上記認定事実によれば、被請求人が各種雑貨類の小売販売を行っていることが推認されるとしても、被請求人が本件商標を使用していると主張する「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」については本件商標の表示が一切なく、唯一たばこケースと思しきものを包装した袋を結束したリボンテープに「TINKERBELL」の文字が表示された状態を撮影した写真が存在するのみである。しかも、上記写真の撮影時期等は一切不明であるばかりでなく、本件審判の請求の登録前3年以内に上記灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具が実際に販売されたことを客観的に示すものは何も存在しない。
仮に、被請求人が主張するリボンテープが、商品の包装箱(袋)を結束するために用いられるものであって、商品の包装の範疇に含まれるものであるとしても、また、それに印刷された「TINKERBELL」の文字が本件商標と社会通念上同一といい得るものであるとしても、実際に該リボンテープを用いて商品「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」が販売された事実を立証するものは一切ないのであり、単に該リボンテープのみをもって本件商標が商品「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」について使用されているものとは認められない。
乙第13号証は、「TINKERBELLリボン(中)」が株式会社デリカに納品された事実を示すのみであり、本件商標が商品「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」について使用されたことを立証するものとはいえない。
したがって、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標がその指定商品中「灰ざら、たばこ入れ、たばこケース等の喫煙用具」について本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたものとは認められない。
その他、本件商標がその指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたことを認めるに足る証拠はない。
(3)以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによっても、その請求に係る指定商品についての使用をしていなかったものといわざるを得ず、また、その使用をしていないことについて正当な理由があるものとも認められないから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2008-10-28 
結審通知日 2008-10-31 
審決日 2008-11-11 
出願番号 商願昭57-39499 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (11434)
最終処分 成立  
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 1984-10-31 
登録番号 商標登録第1725958号(T1725958) 
商標の称呼 ティンカーベル 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 野原 利雄 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 松尾 和子 
代理人 中村 稔 

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