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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y3742
管理番号 1190697 
審判番号 不服2006-3496 
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-24 
確定日 2008-12-09 
事件の表示 商願2004-78091拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「Total Solution」の欧文字と「トータルソリューション」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第37類及び第42類に属する役務を指定役務として、平成16年8月24日に登録出願され、その後、指定役務については、同17年7月1日付け手続補正書により、第37類「業務用食器洗浄機の修理又は保守,業務用加熱調理機械器具の修理又は保守,乗物用洗浄機の修理又は保守,床洗浄機の修理又は保守,水質汚濁防止装置の修理又は保守,浄水装置の修理又は保守,加熱器の修理又は保守,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。),換気装置及び同装置用フィルターの貸与,暖冷房装置の貸与」及び第42類「食品及び食品衛生・厨房の作業環境に関する試験・検査又は研究,洗浄剤及び殺菌剤に関する試験・検査又は研究,環境保全(水質汚濁・大気汚染・土壌汚染等を含む。)に関する試験・検査又は研究,食品衛生・厨房の作業環境の調査・研究に関するコンサルティング,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要旨
原査定は「本願商標は、『総合的問題解決』の意を認識され、補正後の指定役務『電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守』等との関係において、役務の質の表示として『総合的に問題解決するもの』のように理解される『Total Solution』、『トータルソリューション』の各文字を普通に用いられる方法で二段に書してなるから、これをその指定役務中、前記の役務等に使用しても、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定により請求人に通知した。
1.「トータル」又は「Total」の語の有する意味として、辞書類によれば、以下の事実がある。
(1)「トータル(total)」の項に、「全体的。総合的。」等の記載がある(広辞苑 第5版 1998年11月11日 株式会社岩波書店発行の1898頁)。
(2)「トータル(英 total)」の項に、「あるものを、全体で一まとまりのものとしてとらえるさま。全体的。」等の記載がある(例文で読むカタカナ語の辞典 第3版 1998年11月1日 株式会社小学館発行の388頁)。
(3)「トータル(total)」の項に、「全部。全体。すべての。全部の。全体の。」等の記載がある(imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典 2006年4月30日 株式会社集英社発行の362頁)。
(4)「トータル(total)」の項に、「全体。全体にかかわるさま。全体的。」等の記載がある(コンサイスカタカナ語辞典 第2版 2001年2月10日 株式会社三省堂発行の660頁)。
(5)「total」の項に、「全部の、全部合わせた、全体として見た、総体(総合)的な」等の記載がある(小学館ランダムハウス英和大辞典 第2版 1999年1月10日 株式会社小学館発行の2864頁)。
2.「ソリューション」又は「solution」の語の有する意味として、辞書類によれば、以下の事実がある。
(1)「ソリューション(solution)」の項に、「解明。解決。」等の記載がある(大辞泉 1995年12月1日 株式会社小学館発行の1578頁)。
(2)「ソリューション(英 solution)」の項に、「問題の解決。解明。」等の記載がある(前出「例文で読むカタカナ語の辞典」332頁)。
(3)「ソリューション(solution)」の項に、「最適システムへ向けての解決策。通信とコンピュータを活用し、業務革新の道具とすることで問題解決を図る方法。解決。解釈。説明。解決策。問題解決。」等の記載がある(前出「imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典」 306頁)。
(4)「ソリューション solution」の項に、「解決策。特に、ユーザーが抱える問題点を分析し、解決策を提供するサービスを指すことが多い。」等の記載がある(超図解 パソコン用語事典2003-04年版 2002年9月26日 株式会社エクスメディア発行)。
(5)「solution」の項に、「(問題・疑問などを)解くこと、解明、解決、(・・・の)解決法(策)」等の記載がある(小学館ランダムハウス英和大辞典 第2版 1999年1月10日 株式会社小学館発行の2581頁)。
3.辞書等によれば、「トータル(total)」又は「ソリューション(solution)」の語を含んだ語が、以下のとおり記載されている事実がある。
(1)トータルアプローチ(total approach)の項に「企業や事務所全体にとって最適な形を考え、総合的にOA化を進めていくこと。」との記載がある(前出「imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典」 362頁)。
(2)トータルセキュリティーシステム(total security system)の項に「コンピュータで管理した機器を使う総合的な防犯・防災態勢。」との記載がある(前出「imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典」 362頁)。
(3)トータルチェック(total check)の項に「OA機器類が全体として効率的に機能しているかどうかを検討すること。総合的な検討。」との記載がある(前出「imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典 362頁)。
(4)トータル-システム(英 total system)の項に「コンピュータである目的を達成するために相互に作用し合う人間、コンピュータの装置およびソフトウエアの体系(システム)の全体を完全に包含するものをさしていう。」との記載がある(前出「例文で読むカタカナ語の辞典」 388頁)。
(5)ソリューション ビジネス(solution business)の項に「情報技術(IT)を利用して、企業内のシステム構築やビジネスモデルなどを提供するサービス。」との記載がある(前出「imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典」 307頁)。
(6)ソリューション・サービス(solution service)の項に「ユーザーに対してメーカー側が問題解決の方法を提供することをいう。」との記載がある(前出「コンサイスカタカナ語辞典」 563頁)。
4.「トータルソリューション」の文字が使用されている事実例。
(1)「VOC抑制対策土壌浄化編・ダイセキ環境ソリューション(企画記事)」の見出しの下、「汚染土壌の調査・分析から浄化工事までを一貫して行うトータルソリューション企業であるダイセキ環境ソリューションは、VOC汚染土壌の浄化事業を急速に拡大している。」との記載がある(2007年3月29日 化学工業日報 7頁)。
(2)「富士電機と日本ガイシ 08年4月に水環境事業統合 新製品開発を強化」の見出しの下、「統合により新製品や新技術の開発を強化する。将来は他社との提携を進め、上下水処理施設の計画から建設、維持管理、運営まですべての領域に事業を拡大。トータルソリューションを提供する総合水環境エンジニアリング会社を目指す。」との記載がある(2007年2月23日 FujiSankei Business i. 7頁)。
(3)「[特集]東京電力関係会社等 社長年頭あいさつ」の見出しの下、「当社はシステムの開発から運用、お客さまサポートまでを担うトータルソリューションプロバイダとして、東京電力、東電グループ各社をはじめ企業の皆さまに、お客さま本位のソリューションを提供するため日々努力しております。」との記載がある(2007年1月15日 電気新聞 12頁)。
(4)「東電環境エンジ ヒートアイランド対策 遮熱塗装や屋上緑化関連技術組み合わせ」の見出しの下、「東京電力グループの東電環境エンジニアリング(東京都港区、細川忠士社長)は、ヒートアイランド対策を中心とした都市環境再生関連のソリューション事業に力を入れる。遮熱塗装技術や屋上緑化・壁面緑化など、施工実績のある複数の技術を組み合わせることにより、ヒートアイランド対策のトータルソリューションサービスとして提案。」との記載がある(2007年1月10日 電気新聞 3頁)。
(5)「[関電ジオレ特集]高効率・低価格で土壌浄化 兵庫に大規模専用プラント」の見出しの下、「関電ジオレは、汚染土壌浄化市場の拡大を見据えて、関西電力、神戸製鋼所とゼネコン8社が共同で設立した。土壌汚染の調査・分析・対策立案を行うコンサルティング事業から汚染土壌の浄化事業、浄化した土の販売まで一貫して手がける『トータルソリューション』を武器に、市場を開拓していく。」、「『ジオレ』という会社名には『土壌の再生』という意味を込めた。文字通り、汚染土壌の再生事業を通じて土壌環境問題の解決に貢献していきたい。土壌調査、汚染土の浄化、浄化土販売までの一貫体制を整備し、汚染土壌に関するトータルソリューションサービスを提供することで、お客さまに信頼される事業を営みたいと考えている」との記載がある(2004年8月30日 電気新聞 10頁)。
(6)「新規上場 日立システムアンドサービス 3月9日 東証 日立直系のSI大手 『石原新銀行』にも関与」の見出しの下、「日立システムアンドサービス(3735・百株)が3月9日、東証(所属部未定)に新規上場する。SE(システムエンジニア)の技術力を生かし、コンサルティングからシステム企画・設計、開発、保守・運用、システム教育までのトータルソリューションを提供。業界14位。企業合併で現体制となって4年目だ。」との記載がある(2004年2月19日 日本証券新聞 2面)。
(7)「新社長登場/PFU・広瀬勇二『IT関連すべて請け負う』」の見出しの下、「PFUはソフトウエアサービスを中心としたシステムエンジニア(SE)集団で、富士通グループの中でもユニークな会社だ。スキャナーなどハードウエアの開発力や、電子機器の開発製造一貫サービスの『プロデス』事業も目を見張るものがある。これらを融合したトータルソリューションの提案を強みにしていく」との記載がある(2003年8月18日 日刊工業新聞 7頁)。
(8)「沖電気が資格制度 IP電話普及へ技術者育成」の見出しの下、「認定制度の発足と同時に教育サービスも拡充。システム提案、設計、保守管理までのトータルソリューションを提供する最新技術を体系的に習得できる。資格試験は十二月から順次実施する。」との記載がある(2002年11月22日 日刊工業新聞 5頁)。
(9)鉄道情報システム株式会社のホームページにおいて、「トータルソリューション」のタイトルの下、「緊密なコミュニケーションによる、トータルソリューションを提供します」、「JRシステムは、さまざまな経営課題に対して、お客様との緊密なコミュニケーションや議論を通じてシステム、及びネットワークに関し、トータルで最適な『解決(ソリューション)』を提供します。」との記載がある (http://www.jrs.co.jp/suishin/total/index.html)。
(10)NTT西日本(西日本電信電話株式会社)のホームページにおいて、「トータルソリューション」のタイトルの下、「お客様の抱えるさまざまな課題を解決するサービスをトータルに提供し、経営革新や新たなビジネスの開拓、そして、情報豊かな社会の実現に貢献します。」、「課題解決のコンサルティングから、情報通信システムの構築や運用・保守まで、トータルソリューションを提供。」、「経営にかかわる意思決定のスピードアップ。営業力の強化。新規ビジネスの開拓。業務の効率化。セキュリティ対策の強化。住民起点の地域社会づくり・・・。さまざまな課題の解決に向け、経営戦略などに基づいたIT活用方策やセキュリティ対策の立案から、システム構築、運用・保守まで、あらゆるご要望に対し、" トータルソリューション"をご提供します。」との記載がある(http://www.ntt-west.co.jp/solution/effort/service_total.html)。
(11)オズシステムのホームページにおいて、「トータルソリューションサービス」のタイトルの下、「オズのエキスパートがあなたの会社のインターネット戦略、システム開発、コンピュータ導入から教育までを、まとめて面倒見ます。あらゆる規模のビジネスに最適な仕組み作りを、あなたの会社の経験豊かで優秀な外部ブレインとして、お手伝い致します。」との記載がある(http://www.ozsystem.co.jp/oznew/service.htm)。
(12)株式会社日立製作所のホームページにおいて、「食品業界向けトータルソリューション」のタイトルの下、「食品業界を取り巻く環境は、産業構造のグローバル化、HACCP・食品トレーサビリティ法の施行といった社会環境の変化、消費者の『安心、安全』に関する意識の高まりなど、様々な変化が起きています。このような状況の中、食品企業におかれては、『品質保証体制の強化』、『環境保全』、『経営改善』といった様々な経営課題の解決が急務となっているのではないでしょうか?これに対し、日立はお客様ごとのマーケットを起点として業務システムを整備しておくことが重要であると、考えます。日立は、情報システムから工場建設の要件まで、ワンストップでご提供出来るソリューションメニューを用意し、お客様の 経営課題に対し、技術と信頼によりサポートいたします。」との記載がある(http://www.hitachi.co.jp/products/food/)。
(13)株式会社荏原製作所のホームページにおいて、「環境方針」のタイトルの下、「環境問題への取り組みの基本姿勢」、「私たちは、地球環境を保護するため、自らの事業活動が及ぼす環境への負荷を低減することおよび環境汚染の予防に継続的に取り組みます。私たちは事業活動を通して、循環型社会形成に貢献するための技術・製品の開発に努め、これを実現するためのトータル・ソリューションを提供します。」との記載がある。
また、注として、「トータル・ソリューション:個々の要素技術からのアプローチだけでなく、複数のプロセス・装置・材料を統合した問題解決技術、または解決のための仕組み。」との記載がある(http://www.ebara.co.jp/environment/policy/)。
(14)三菱電機インフォメーションテクノロジー株式会社のホームページにおいて、「トータルソリューションサービス」のタイトルの下、「サービス概要」として「本サービスでは、『トータルソリューションサービス』として、構想・企画・構築・導入・運用・保守・教育といった、システムのライフサイクル全般について、弊社の専任システムエンジニアが、トータルにお客様をサポートするサービスメニューを取り揃えました。」との記載がある(http://www.mdit.co.jp/total_solution_service/)。
(15)「経営関連用語 経営研究センターJC」のタイトルの下、一覧中の「ソリューション(solution)」の項に、「問題解決。解明、解決。問題解決手法を意味し、ビジネスでは企業の経営課題をITや付加サービスを通して解決するビジネス技法として用いられる。トータルソリューション、ビジネスソリューション、ソリューション営業などのように使われている。」との記載がある(http://www.k5.dion.ne.jp/~consult/c_yougo1.htm)。
(16)「総合力が決め手のトータルソリューション」のタイトルの下、「NTTのソリューションビジネスへの取り組みのキーワードは、経営分析などの上流工程から、システム設計・構築、保守・運用管理までを一元的に行う『トータルソリューション』。・・・」、「NTTが提供するトータルソリューションは、経営戦略や事業展開といった経営の根幹にダイレクトに対応した情報通信システムを総合的に構築します。・・・」との記載がある(大競争時代を生き抜くトータルソリューションへの挑戦 ver.1999 1999年1月20日 NTT出版株式会社発行)。
(17)「高谷 卓・富士通副社長『富士通は情報発信が弱かった。今後はきちっとやる』」のタイトルの下、「IT業界は、1.一つの製品に特化した専業ビジネス、2.顧客の抱える問題を総合力で解決するビジネス-の二つに分かれる。富士通は、米IBMと同じく、後者のビジネスモデルであり、トータル・ソリューション・プロバイダー(総合的な問題解決の提供者)を目指す。」との記載がある(週刊エコノミスト 2003 4/22 第81巻第20号 通巻3615号 毎日新聞社発行)。
(18)「栗田工業 水と環境の『トータルソリューション』で“One and Only”に」のタイトルの下、「総合水処理の最大手・栗田工業(クリタ)が、『水と環境のソリューションビジネス』で他社の追随を許さない強さを発揮している。」、「クリタの新しいビジネスモデルでは、メーカーの工場内にクリタが自社資産として水処理装置を設置し、装置の運転から保守メンテナンス、排水の回収や処理まで一手に請け負う。そのうえで、顧客が求める質と量の『水』を供給して、それに対し料金を支払ってもらう仕組みだ。」との記載がある(週刊エコノミスト 2004 3/30 第82巻第18号 通巻3677号 毎日新聞社発行)。
(19)「省電舎 省エネのトータルソリューションを提案」のタイトルの下、「機器の供給だけでなく、省エネ診断からシステム設計・施行、事後保証まで、すべてを当社で手掛け、完全なトータルソリューションを提供してきたから」との記載がある(経済界 2002 6.25 No.729 株式会社経済界発行)。

第4 職権証拠調べに対する請求人の意見の要旨
前記、証拠調べ通知に対して、請求人は以下のように意見を述べている。1.証拠調べ通知書では、以下の事実を発見した旨が説明されている。
(1)「トータル」又は「Total」の語の有する意味についての辞書類による事実。
(2)「ソリューション」又は「solution」の語の有する意味についての辞書類による事実。
(3)「トータル(total)」又は「ソリューション(solution)」の語を含んだ語の辞書等による記載例についての事実。
(4)「トータルソリューション」の文字が使用されている事実例。
2.請求人は、上記事実の存否について争うものではない。また、「トータル」及び「Total」が「総合的」の意味を有し、「ソリューション」及び「solution」の語が「問題解決」の意味を有していることは理解している。しかしながら、これらの語を結合させた「Total Solution」及び「トータルソリューション」から「総合的問題解決」程の漠然とした意味を想起されるとしても、具体的に如何なる問題を如何なる手段・方法で解決するかは「総合的問題解決」の意味からは明瞭ではないので、役務の質を暗示するものと言えるかもしれないが、これを直接的に表示するものとはいえないので、「Total Solution」及び「トータルソリューション」の自他役務識別力が認められるべきである。
3.「TOTAL SOLUTION」の登録例が複数あり、また、商標「ソリューション/SOLUTION」、「ソリューション」又は「SOLUTION」と自他役務識別力の弱い語との結合からなる商標の登録例も多数あることから、上記事実があったとしても、これをもって直ちに本願商標の自他役務識別力を否定することはできない。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「Total Solution」及び「トータルソリューション」の各文字からなるところ、その構成中の「Total」及び「トータル」の各文字は、「全体的、総合的」等の意味を有し、また、「Solution」及び「ソリューション」の各文字は、「問題解決」等の意味を有するものとして、それぞれ一般に広く知られているものである。
しかして、前記第3の「証拠調べ通知」のとおり、本願の指定役務中、たとえば、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を取り扱う業界においては、電子計算機システムに関する多種多様な顧客からの要望を総合的に解決することを謳う役務が広く提供されており、当該役務の提供において、「総合的な問題解決」の意味合いを表す「トータルソリューション」の文字が広く採択・使用されている事実が認められる。
こうしたことから、本願商標は、その構成中の「Total Solution」の欧文字部分は、前記した「トータルソリューション」の文字を欧文字で表記したものと容易に認識、理解されるものであって、構成中の「トータルソリューション」の片仮名文字部分は、上記認定のとおりであるから、結局、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、自他役務の出所識別標識としての機能を有しないものであり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
なお、原査定は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定しているが、同法第3条は、自他商品・役務の識別力についての登録要件に関する条項であって、同第1項第6号は、同項第1号から第5号までの総括規定と解されるものであり、当審においては、本願商標はその指定役務について、商標登録の要件を満たさない商標に該当するという共通の結論に至るものであるから、請求人は既に自他役務の識別力の有無について、意見を述べる機会が与えられているので、あらためて、意見を述べる機会を与えることなく、同法第3条第1項第6号に該当するものと判断した。
また、請求人は、前記第4の意見書において、証拠調べ通知に引用した、新聞記事情報及びインターネット情報等の事実関係は認めるとしても、「Total Solution」及び「トータルソリューション」からは「総合的問題解決」程の漠然とした意味が想起されるにすぎず、具体的に如何なる問題を如何なる手段・方法で解決するかは明瞭ではなく、役務の質を暗示するかもしれないが、これを直接的に表示するものとはいえないので、本願商標は自他役務識別力が認められるべきである旨を述べている。
しかしながら、本願商標が「問題を解決するための手段・方法」を具体的に表示するものでなくても、「総合的な問題解決」の意味合いを表すものとして「トータルソリューション」の文字が使用されていることは、前記認定のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
さらに、請求人は、他の登録例等を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張しているが、商標の識別性の判断は、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される役務の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものである。
したがって、請求人の挙げた登録例によって、本願商標が上記第3のように使用されている事実が否定されるとはいえないばかりでなく、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないことは前記認定のとおりであり、請求人の挙げた登録例の存在によってその認定が左右されるものではないから、この点にかかる請求人の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2008-05-29 
結審通知日 2008-06-20 
審決日 2008-07-04 
出願番号 商願2004-78091(T2004-78091) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y3742)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 矢澤 一幸
末武 久佳
商標の称呼 トータルソリューション 
代理人 中村 仁 

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