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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X30
審判 一部申立て  登録を維持 X30
管理番号 1187751 
異議申立番号 異議2008-900020 
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-12-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-01-11 
確定日 2008-10-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5083980号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5083980号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5083980号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成19年2月26日に登録出願、第30類「茶,コーヒー及びココア,調味料(氷砂糖,水あめを除く。),香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類」を指定商品として、同年9月18日に登録査定され、同年10月12日に設定登録されたものである。

第2 本件異議の申立て理由の要旨
1 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、漢字「暫」の上に平仮名「しばらく」を横書きにて小さく表記して構成されており、称呼「しばらく」が生じる。指定商品は第30類であり、「麩」が含まれる「穀物の加工品」が指定されている。
他方、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する甲第2号証ないし甲第17号証には商標「暫」(以下「引用商標」という。)が付された麩に関連する商品が掲載されており、本件商標の登録出願時及び査定時には既に周知商標であったことが示されている。
以下、詳細に検討する。
(1)商標の比較
まず、本件商標と引用商標を比較すると、外観においては漢字「暫」の部分が共通し、同一の称呼「しばらく」が生じる。また、甲第11号証には「暫 しばらく」と記載されており、漢字「暫」と平仮名「しばらく」で構成される点で共通する。また、甲第12号証には「暫 SHIBARAKU」とあり、英文字表記により称呼「しばらく」が生じやすくなっている。したがって、本件商標と引用商標は類似する。
(2)商品の比較
以下、本件商標の指定商品「穀物の加工品」と引用商標の商品を比較する。本件商標の指定商品「穀物の加工品」には「麩」が含まれる。一方、引用商標に係る商品(以下「使用商品」という。)は上記のように、箱型に成形した麩の中にお吸いものの材料が入れられており、お湯を注ぐと麩が浮かんだお吸いものとなるものである。
審査基準に基づいて、本件商標の指定商品「穀物の加工品」に含まれる「麩」と、使用商品との類否を検討すると以下のとおりである。
(イ)生産部門が一致するか否か
使用商品は箱型に成形した麩の中にお吸いものの粉末や具材となる麩などを入れたものであり、主たる材料が麩であることから、本件商標の指定商品に含まれる「麩」と生産部門が一致する。これは、使用商品が麩の専門店で製造されていることからも明らかである。
(ロ)販売部門が一致するか否か
甲各号証に掲載される他の商品はすべて麩や生麩などの麩に関連する商品であり、使用商品は、これらと共に麩に関連する製品の一つとして販売されている。また、商品を販売する販売者は麩の専門店である。以上から、本件商標の指定商品に含まれる「麩」と販売部門が一致する。
(ハ)原材料及び品質が一致するか否か
使用商品は箱型に成形した麩を用いており、その中にも具材として麩が入れられており、主要な原材料は麩である。したがって、使用商品は、本件商標の指定商品「穀物の加工品」に含まれる「麩」が主要な原材料となっている。
(二)用途が一致するか否か
使用商品は、お湯を注ぐと、箱型の麩やその中に入れられていた麩がお吸いものに浮き上がり、お吸いものの具材として食される。本件商標の指定商品に含まれる「麩」もお吸いものの具材として利用されるものであり、用途が一致する。
(ホ)需要者の範囲が一致するか否か
使用商品は、主に麩で構成されている。また、この商品は麩の専門店において麩や生麩や各種麩に関連する商品とともに販売されている。以上から、需要者は麩を購買する者である。したがって、本件商標の指定商品に含まれる「麩」と需要者の範囲が一致する。
(へ)完成品と部品との関係があるか否か
使用商品は箱型の麩の中に具材として麩が入れられており、麩を商品の主要材料として一部に使用している。したがって、本件商標の指定商品「穀物の加工品」に含まれる「麩」とは、部品(箱型の麩や具材の麩)と完成品(麩に関連する商品)に相当する関係にある。
したがって、使用商品と本件商標の指定商品「穀物の加工品」に含まれる「麩」とは商品が類似する。
(3)甲各号証の商標の周知性
甲各号証を総合すると、引用商標が付された商品は、1993年(平成5年)11月に販売が開始され、その後も継続的に販売され、パンフレット等の配布や新聞での宣伝広告を行われていることからすれば、本件商標の登録出願日である平成19年(2007年)2月26日及び査定日である平成19年(2007年)9月18日には本件商標が周知となっていたことは明らかである。
2 商標法第3条第1項柱書について
本件商標の使用状況をインターネット等を用いて調べた結果、第30類の指定商品「穀物の加工品」について本件商標が使用されている事実又は使用の予定が認められない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同法第3条第1項柱書に該当するので、その指定商品中「穀物の加工品」についての登録は取り消されるべきものである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)本件商標の指定商品「穀物の加工品」と使用商品について
ア 本件商標の第30類の指定商品中「穀物の加工品」には「ふ(麩)」が含まれているものである。
イ 一方、使用商品は、甲第2号証ないし甲第16号証よりすると、以下のとおりである。
(ア)甲第2号証の商品パンフレット1頁目における「生麩詰合せ」なる商品セットには、引用商標「暫」の表記が見当たらない。また、2頁目の引用商標「暫」が表示されている商品セット「おもてなし」には、「おすましと味噌汁に歌舞伎にちなむ『暫』を加えた詰合せです。お湯を注ぐだけで、たちまち料亭風のお吸いものに。…」の記述、同「宝づくし」には「『宝の麩』と『暫』に…お吸いもの最中の集大成ともいえる詰合せです。」の記述がそれぞれなされている。
(イ)甲第3号証及び甲第6号証の商品パンフレット「宝づくし」には、『宝の麩』と『暫』に…お吸いもの最中の集大成ともいえる詰合せです。」と記述されている。
(ウ)甲第4号証の商品パンフレット2頁目の右中段部には、「世界の三大スープ最中」の表示のある詰合せの下部に「12ケ入り(…暫4)」の表示がなされており、甲第7号証の商品パンフレットの1頁目右側には「…『お吸いもの最中』は夏らしい『潮』世界の三大スープの『扇』『桃華』『暫』と揃い、充実いたしました。」と記述されている。
(エ)甲第5号証の商品パンフレット1頁目には、「お湯を注ぐだけで美味しいお吸いものができるお吸いもの最中。初春ならでの…暫/しばらく、…」と記述されている。
(オ)甲第8号証の商品パンフレット2頁目の左中段部には、「12個入り二、二六○円/おすまし4個、お味噌汁4個、暫4個」と表示されている。
(カ)甲第9号証の商品パンフレット1頁には、申立人の商号の要部「加賀麩 不室屋」と「生麩」の表示は認められるが、引用商標「暫」の表記が見当たらない。また、同2頁の「宝の麩」の詰め合わせ商品中に「お吸いもの最中」「お吸いもの」「おすまし」と共に引用商標「暫」が使用された商品がみられるが、商品「生麩」について、引用商標「暫」の表記が見当たらない。
(キ)甲第10号証ないし甲第13号証の商品紹介用栞及び商品案内の冊子にも、引用商標「暫」と共に用いられている表記は「お吸いもの最中」「お吸いもの」「おすまし」であり、商品「生麩」について、引用商標「暫」の表記が見当たらない。
(ク)甲第14号証ないし甲第16号証(枝番を含む。)の北国新聞、ウエブサイトのプリントアウト資料及び製品価格表も、「暫」と共に用いられている表記は「宝の麩おすまし」「お吸いもの最中」「お吸いもの」であり、商品「麩そうめん」について、引用商標「暫」の表記が見当たらない。特に甲第15号証のウエブサイトのプリントアウト資料の3頁から4頁目にかけて「宝の麩 暫【しばらく】」の表示項目の下の四角形の囲い内に「大きさ60×62×28、重さ12g、日持ち90日、価格189円、備考/花麩、ほうれん草、おぼろ昆布、大根、ゆず、アレルゲン:小麦」と表示されている。
ウ 以上の(ア)ないし(ク)を総合勘案すると、使用商品は、本件商標の第30類の指定商品中「穀物の加工品」に例示されている「ふ(麩)」そのもの、あるいは「生麩」ではなく、また、麩を原材料とした「素麺」でもないものであって、むしろ、「ふ(麩)」からなる最中の皮に、吸い物の具、だしをいれ、お湯を注ぐだけで麩がほぐれ、お吸いものができるという「即席のお吸いもの」というべきであり、商品の区分第29類の指定商品中「カレー・シチュー又はスープのもと」に例示されている「即席みそ汁」の類とみるのが相当である。
そして、第30類の指定商品中「穀物の加工品」は、穀物を加工したものと穀粉を更に加工したものであり、第29類の指定商品中「カレー・シチュー又はスープのもと」に例示されている「即席みそ汁」とは、生産部門、原材料及び品質、用途が異なる非類似の商品であると認められる。
(2)そうすると、引用商標が商品「麩」について広く知られ、本件商標と引用商標が商標において類似するとしても、前記のとおり、本件商標の第30類の指定商品中の「穀物の加工品」は、使用商品とは生産部門、原材料及び品質、用途が異なる非類似の商品であるから、本件商標は、申立てに係る第30類の指定商品中「穀物の加工品」について、商標法第4条第1項第10号には該当しないものといわざるを得ない。
2 商標法第3条第1項柱書きについて
申立人は、商標権者が本件商標をその指定商品中「穀物の加工品」について使用している事実又は使用の予定がない旨主張している。
しかしながら、我が国の商標法は、いわゆる登録主義を採用し、登録の要件として、商標権者(出願人)の業務の範囲が法律上制限されているため、又は、指定商品又は指定役務に係る業務を行うことができる者が法律上制限されているため及び商標権者(出願人)が指定商品又は指定役務に係る業務を行わないことが明らかな場合を除き、現実的な商標の使用がなくても使用の意思、使用の蓋然性があれば足りるものと解するのが相当である。
そして、申立人は、商標権者が本件商標をその指定商品中「穀物の加工品」について使用の予定がない旨主張するのみであって、これを証明する具体的な証拠資料を提出していないものである。
したがって、本件商標が、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備しないものであるとする申立人の主張は採用の限りでない。
3 まとめ
したがって、本件商標は、異議の申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第10号、同法第3条第1項柱書に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標



異議決定日 2008-09-30 
出願番号 商願2007-16235(T2007-16235) 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (X30)
T 1 652・ 18- Y (X30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
伊藤 三男
登録日 2007-10-12 
登録番号 商標登録第5083980号(T5083980) 
権利者 株式会社永谷園
商標の称呼 シバラク、ザン、サン 
代理人 木森 有平 

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