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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 130
管理番号 1187645 
審判番号 取消2006-31457 
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-11-22 
確定日 2008-11-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第1631182号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1631182号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUN KID」の文字を横書きしてなり、昭和43年10月4日に登録出願、第29類「果実飲料、その他本類に属する商品」を指定商品として同58年11月25日に設定登録され、その後、平成6年4月27日及び同15年11月25日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同16年11月24日に第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品とする書換登録がされたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
(1)請求の理由
請求人において市場を調査したところ、本件商標が商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれかにより、少なくとも過去3年間にその指定商品のいずれについても使用された事実を発見することができなかった。本件商標は商標法第50条第1項によってその登録を取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
(a)飲食店(喫茶店)における使用
被請求人によれば、本件商標の使用の対象である商品グレープフルーツジュース(以下「本件商品」という。)は、大阪市にある特定の商業ビル内の特定のロビー喫茶店「サリダ」「SALIDA」(以下「サリダ」という。)において販売されたものである。ここで、販売されたとの表現は極めて曖昧であって、本件商品が店内の来客によってその場で消費される形での提供であるのか、或いは店内に販売コーナーでもあって、通常の小売店におけるように、メーカーによる小売用容器に包装された製品を客が持ち帰るだけの形での販売であるのかが不明である。
以上の点につき、さらに仔細に分析すると、次の諸点が挙げられる。
(イ)答弁書には、「本件商標は、平成11年3月に大阪市所在の商業ビル『堂島アバンザ』(大阪府大阪市北区堂島一丁目6番20号所在)の開業に併せて、同ビル1階フロアにおいて開業したサリダにて販売する本件商品の商標として使用しており」、「サリダは通常の喫茶店として営業を行っており」、「本件商標の使用は、前述した通り、サリダにおける販売を通しての使用である」等のように喫茶店での使用であることの記載は繰り返し見られる反面、持ち帰り用としての販売を示す記載はみられない。
(ロ)乙第2号証によれば、サリダは、飲食店として営業許可を受けている。
(ハ)乙第2号証その1の図面は、客席については、「客席(110平方メートル)」とのみ記載されていて、持ち帰り客用の小売施設についての記載はない。
(ニ)乙第3号証の証明書は、本件商品の容器は、1000ml入りの紙パック製容器であると述べられていること、及び同号証の写真の示す容器外観から、これが小売用のものではなく、被請求人社内用又は関連企業との間の運搬用の容器であろうことが容易に推測される。
(ホ)乙第5号証、同第6号証記載のメニューは、本件商品が飲食店ないし喫茶店での販売目的としたものであることを示している。
以上の点から、本件商品は商品として一般取引市場での取引を予定したのではなく、あくまで役務としての商品の提供を意味するものと解さざるを得ない。
あえて論ずるまでもなく、本件商標は、旧第29類果実飲料、書換登録後の第30類清涼飲料、果実飲料等の商品を指定商品とする商標である。したがって、本件商標が、前記のような果実飲料等の飲食物の提供である役務に使用された場合には、このような使用をもって本件商標の使用があったということはできない。換言すれば、本件商品は、飲食店たる店内で提供され、即時に消費される商品であって、出所との結び付きは直接かつ明白であって、そこには他人のものと識別を必要とする場は存在せず、流通性のないものである。かかる商品は、商標法上の商品には該当しないものというべきものである。
(b)商標の使用
本件商標の使用態様についてみると、被請求人の提供した証拠によれば、わずかに乙第3号証、同第4号証の本件商品の包装の写真に示されたものと、乙第5号証のメニューと並べて撮影されたものである。
乙第6号証は、前記喫茶店で使用されたメニューであるが、これは店内で提供される料理の種類を列記し、併せて値段を表記したもので、飲食物の提供という役務を示すに止まる。
これらの乙各号証から判断すると、本件商標の標章を付した本件商品用包装は、主として調理場で取り扱うための業務用包装であって、これがそのまま来客に提供されるとは考えられない。他に本件商標を付した食器等の存在は全く示されていないので、本件商標は飲食物の提供という役務についてすら使用されていない。
一方、被請求人は、本件商標を付した商品が如何に一般市場に流通していたかの主張はしておらず、また、これを示す証拠の提出もない。
(c)結語
以上のとおり、被請求人が本件商標を使用していると主張している商品は、飲食物の提供という役務について提供されているもので商標法上の商品についての使用ではない。又、被請求人は、本件商標の標章の使用を示す事実も証拠も提出していない。
したがって、被請求人によって提出された証拠によっては、本件商標の使用は立証されていないと結論せざるを得ない。
(3)弁駁の理由(第2回)
(a)被請求人は、サリダを通じての本件商品の販売が本件商標の使用に当たるとのとの主張に加え、被請求人からサリダに販売され、引き渡された段階で商品の取引が行われていたので、本件商標の使用があったと主張した。
(b)被請求人が乙第3号証として提出した証明書は、添付の写真に表示された本件商標が付された商品果実飲料が、平成12年9月より同17年10月までの間、サリダにて販売された事実を証明するに過ぎず、この他に、前記商品が、被請求人によりサリダに販売されたとの事実を示す証拠は提出されていない。
(c)仮に、前記商品が、被請求人によってサリダに販売されたとの事実があったとしても、サリダの運営についての委託業務は、被請求人からその関連会社と目される片岡フードサービスに移管されたこと、前記商品の販売者である被請求人にとって、サリダは直ちに販売状況、消費者の嗜好等の生の情報を入手できる重要な市場調査の情報源の意味をもっていたこと、さらに被請求人において商品開発に当たっての新商品のテスト販売の場として活用されていたこと、等の事実に基づき、被請求人によって前記商品がサリダ以外の取引者・需要者にも販売されたとの主張はとくになされていないことも勘案するならば、サリダも片岡フードサービスも、被請求人会社のそれぞれ単に一部門と目される存在に過ぎない。
かかる状況から、本件商標の取引は、一般取引市場においてなされたものということはできず、その間に本件商標が自他商品識別標識として機能する場もなく、したがって、被請求人からサリダへの商品の引き渡しは、商標法上の商品の使用には当たらないことが明白である。
(d)よって、請求人は、請求の趣旨のとおりの審決を求める次第である。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第6号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)本件商標は平成11年3月に大阪市所在の商業ビル「堂島アバンザ」(大阪府大阪市北区堂島一丁目6番20号所在)の開業に併せて、同ビルの1階フロアにおいて開業したサリダにて販売する本件商品の商標として使用しており、請求人の主張は当を得ないものである。
上記サリダは、商業ビル「堂島アバンザ」が開業するのに併せて、本件被請求人会社がイタリアンカフェ「ラバッツァ」を開業する際、堂島アバンザ側が開業を予定していた当サリダの運営について委託を受けることとなり、同ビルの1階フロアに上記「ラバッツァ」と共に開業したものである。その後、この「サリダ」は平成12年8月に設立された株式会社片岡フードサービス(以下、「片岡フードサービス」と記す。)に業務が移管され、平成17年10月に当片岡フードサービスが解散され、これに伴って閉店されることになるまで業務が継続され、この間前記本件商標の使用が継続していたのである。
(2)サリダは、通常の喫茶店として営業を行っており、取扱う商品は被請求人会社の主力商品であるトワイニング紅茶やラバッツァのコーヒー類を始めとしてジュース、清涼飲料類、そして、サンドイッチ、ケーキ類を加えて販売、提供していたのである。
このサリダは、前記「ラバッツァ」と共に消費者の嗜好やその変化を直接的に調査できることから販売者である被請求人にとって重要な市場性調査の情報源の意味をもつものとなっていたのである。特に、提供する商品が被請求人のものであること、販売に当って直に販売の状況、消費者の嗜好等の生の情報を入手できることから精度の高い市場調査が行えると言った利点があり、重要視される存在にあったのである。
そのため、被請求人会社において商品開発に当っての新商品のテスト販売の場として有効に活用しており、本件商標を付した本件商品の販売もこれからの市場性調査の一環として実施され、商標の使用がおこなわれていたのである。
(3)サリダを運営する片岡フードサービスは乙第1号証に示されるように平成12年8月10日に設立された会社であり、目的の項に示されるように、喫茶店並びに飲食店の経営、コーヒー、紅茶、緑茶、嗜好飲料、菓子の製造並びに販売等の業務を目的とする株式会社である。
片岡フードサービスは、上記設立後その翌月に被請求人会社からサリダの運営を引継ぎ、平成17年9月に閉店するまで5年間に亘りサリダの運営に携り、この間に本件商標を付した本件商品、その他の商品の販売を行っていたのである。
乙第2号証は、平成12年9月28日付で大阪市から発行されたSALIDAの営業許可書の写しである。これによって前記の期間において営業を行っていたことを立証する。
また、上記乙第2号証に添付するその1?その4は、堂島アバンザ1階に設けられたサリダの配置図と、厨房内部の配置図及び配置された什器類の表示であり、これらによってサリダの店舗の内容を証明する。
(4)次に、乙第3号証は当時片岡フードサービスの営業部長であった塩崎正雄氏の証明書である。当該証明書に添付される写真により示される容器は、1000ml入りの紙パック製容器である。この容器の表面には赤文字で本件商標と内容物の本件商品を表示したラベルが貼付けられている。
この証明書を以てサリダが営業していた平成12年9月から平成17年10月に亘って本件商標を付した本件商品が販売されていたことを立証する。
また、乙第4号証と乙第5号証は本件商標が付された本件商品の紙パック容器と、サリダにおいて使用されていたメニューを映した写真であり、乙第6号証は上記メニューの見開きの写真である。
これらの乙号証を以てサリダにおいて本件商標に係る本件商標を付した本件商品が販売されていたことを立証する。
(5)以上の事実から本件商標は、果実飲料である本件商品の商標として使用されていたことが明らかである。
ただ、本件商標の使用は、前述した通り、サリダにおける販売を通しての使用であることから、サリダが閉店した平成17年9月30日以降の使用実績が無い。しかし、今日から逆算してその不使用状態は3年を超えておらず、商標法第50条第1項に定める不使用取消の要件を満たすものとはなっていない。しかも、被請求人は本件商標の登録を受けて以来2回に亘る存続期間の更新登録を経て現在に至っているものであり、引き続き本件商標の使用を予定しているものである。
(6)請求人は、商標の使用は小売店等最終の消費者段階においてのみあるかのような主張をしているが、商標の使用は取引業者間における商品の取引にも存在するのであって、被請求人からサリダに商品が引き渡された段階でも商取引は行われており、この中で本件商標の使用は実行されている。即ち、サリダにおける客に対する本件商品の提供は、役務の行為ではあるが、被請求人からサリダに商品が提供された行為は商品の販売にあたる商取引行為であり、本件商標はこの取引を通して使用されていたのである。
よって、請求人の弁駁の理由は根拠がないものであり、本件商標は不使用を理由に登録を取消される筋合いにはないものと確信する。

4 当審の判断
(1)被請求人は、サリダは、商業ビル「堂島アバンザ」が開業するのに併せて、被請求人がイタリアンカフェ「ラバッツァ」を開業する際、堂島アバンザ側が開業を予定していた当サリダの運営について委託を受けることとなり、上記「ラバッツァ」と共に開業したものである。その後、このサリダは平成12年8月に設立された片岡フードサービスに業務が移管され、平成17年10月に当片岡フードサービスが解散され、これに伴って閉店されることになるまで業務が継続され、この間本件商標の使用が継続していたのである。サリダは、通常の喫茶店として営業を行っており、取扱う商品は被請求人の主力商品であるトワイニング紅茶やラバッツァのコーヒー類を始めとしてジュース、清涼飲料類、そして、サンドイッチ、ケーキ類を加えて販売、提供していた旨主張し、その立証証拠として乙第1ないし第6号証(枝番を含む。)を提出しているので、提出に係る各証拠について検討する。
(ア)乙第1号証の「閉鎖事項全部証明書」は、片岡フードサービスが平成12年8月10日に設立された会社であること及び喫茶店並びに飲食店の経営、コーヒー、紅茶、緑茶、嗜好飲料、菓子の製造並びに販売等の業務を目的とする株式会社であることを示している。
(イ)乙第2号証の「許可証」は、平成12年9月28日付で大阪市から発行されたサリダの営業許可書であり、平成17年9月30日に廃業するまで5年間営業を行っていたこと及び該証拠に添付されているサリダの配置図と厨房内部の配置図及び配置された什器類によりサリダの店舗の内容を証明している。
(ウ)乙第3号証の「証明書」は、片岡フードサービスの営業部長であった塩崎正雄氏の証明であり、赤文字で本件商標と内容物の本件商品を表示したラベルが貼付けられた無地の紙パック製容器が写真により示され、サリダが営業していた平成12年9月から同17年10月に亘って本件商標を付した本件商品が販売されていたことが証明されている。
(エ)乙第4及び第5号証は、本件商標が付された本件商品の無地の紙パック容器と該商品等のメニューの写真であり、乙第6号証は、上記メニューの見開きの写真であって、サリダにおいて本件商品等が提供されていたことを示している。
(オ)これらのことからすると、サリダは、本件商品等を提供する通常の喫茶店として営業を行っていたものであり、一般に喫茶店において行う飲食物の提供は役務とみるのが相当ではあるが、本件商品は、片岡物産より本件商標を付した紙パック製容器によりサリダ(片岡フードサービス)が購入していたことが乙第3号証によって証明されているものであり、この商取引の事実を疑うべき特段の事情も存在しない。
そうとすると、本件商標は、本件商品についての使用であると認められる。
(2)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品について被請求人により使用されていたものと認められるから、商標法第50条の規定により、請求に係る指定商品についての登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-12-05 
結審通知日 2007-12-10 
審決日 2007-12-25 
出願番号 商願昭43-70737 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (130)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 石田 清
小川 きみえ
登録日 1983-11-25 
登録番号 商標登録第1631182号(T1631182) 
商標の称呼 サンキッド 
代理人 小沢 慶之輔 
代理人 中山 伸治 

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