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審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の類否 取り消して登録 X10
審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 X10
管理番号 1187599 
審判番号 不服2008-10217 
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-23 
確定日 2008-11-25 
事件の表示 商願2007- 69650拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,「Veil」の欧文字を標準文字で表してなり,第10類「据置型デジタル式乳房用X線診断装置」を指定商品として,平成19年6月28日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願の拒絶の理由に引用した登録第4259942号商標(以下「引用商標」という。)は,「ベール」の片仮名文字と「VEIL」の欧文字を二段に横書きしてなり,平成9年10月2日に登録出願,第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,人工授精用精液,乳児用粉乳,乳糖」を指定商品として,同11年4月9日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標の類否について
本願商標は,前記1のとおり,「Veil」の欧文字で表してなるところ,該文字は「ベール:顔を隠したり保護したり姿を良く見せたりするためにかぶる不透明又は透明な布・ネット,覆い」などの意味を有する英語(「小学館ランダムハウス英和大辞典」株式会社小学館発行)であり,その意味合いを有する語として一般によく知られていることから,「ベール」の称呼及び「ベール:顔を隠したり保護したり姿を良く見せたりするためにかぶる不透明又は透明な布・ネット,覆い」等の観念を生じるものである。
他方,引用商標は,前記2のとおり,「ベール」の片仮名文字と「VEIL」の欧文字よりなり,構成中の欧文字は,「ベール:顔を隠したり保護したり姿を良く見せたりするためにかぶる不透明又は透明な布・ネット,覆い」(「小学館ランダムハウス英和大辞典」株式会社小学館発行)などの意味を有する英語であって,その意味を有する語として知られており,上段の片仮名文字は,下段の欧文字の表音を表したものと容易に理解されるものであるから,「ベール」の称呼及び「ベール:顔を隠したり保護したり姿を良く見せたりするためにかぶる不透明又は透明な布・ネット,覆い」の観念を理解させるものである。
そこで,本願商標と引用商標とを比較するに,外観においては,その構成文字が大文字か小文字かの差異を有するが,いずれも普通に用いられる方法で表されており,両者が別異のものとして明らかに区別できるものということもできないから,近似するものといい得るものである。そして,それぞれの構成文字に相応して前記のとおり,「ベール」の称呼を生じ,「ベール:顔を隠したり保護したり姿を良く見せたりするためにかぶる不透明又は透明な布・ネット,覆い」の観念を同じくするものであるから,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標というべきである。
(2)商品の類否について
原査定においては,本願指定商品第10類「据置型デジタル式乳房用X線診断装置」と引用商標の指定商品中第5類「医療用腕環」が類似する商品である旨,認定,判断している。
商標法における商品の類否については,商品の生産部門,販売部門の同一性,原材料,品質の同一性,用途の同一性,需要者の範囲の同一性等を総合的に考慮して判断すべきものと解されるものである。また,個別具体的な商品にあっては,商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときに,同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合に,それらの商品は商標法第4条第1項第11号にいう類似の商品に当たると解するのが相当である(最高裁昭和33年(オ)第1104号参照)。
これを踏まえて,両商品の類否を検討するに,本願商標の指定商品である「据置型デジタル式乳房用X線診断装置」は,乳房のX線診断に用いられる乳房撮影のための機器で大型機器であり,「日本標準商品分類(総務庁編集,財団法人全国統計協会連合会,平成8年9月第3版発行)」(以下「日本標準分類」という。)」によれば,「医療用機器」に分類されているものである。そして,近年は,X線による直接撮影の一種で,フィルムの代わりにディジタル画像を得る方法等を用いた機器も普及し,高い解像力とコントラストが必要とされているところであるから,その製造者・販売者は,精密機器やエレクトロニクス関連の専門的な技術・経験を蓄積したメーカー(株式会社東芝,株式会社日立メディコ,株式会社島津製作所,GE横河メディカルシステムズ株式会社,シーメンス旭メディテック株式会社等)(参照:「医療画像診断装置に関する特許出願技術動向調査報告書」7頁「図表1-6.日本におけるモダリティ別のシェア(2001年)」(http://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/iyou_gazou.pdf))であって,需要者は,その機器を適性に取扱う資格等を有する医療事業者や病院等である。そして,厚生労働省が定める医療法施行規則(昭和二十三年十一月五日厚生省第五十号)の第9条の7においては,「令第4条の7第5号(厚生労働省令定める医療機器の保守点検業務)に規定する厚生労働省令で定める医療機器は,薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第2条8項に規定する特定保守管理医療機器とする。」と規定しており,「据置型デジタル式乳房用X線診断装置」はその特定保守管理医療機器に指定されているものである(愛知県健康福祉部医薬安全課のウェブページ「特定保守管理医療機器(特定保守告示別表)」(http://www.pref.aichi.jp/iyaku/yakuji/0012iryoukiki_hoshu.pdf))。(参考:「薬事法第2条第8項:この法律で「特定保守管理医療機器」とは,医療機器のうち,保守点検修理その他の管理に専門的知識及び技能を必要とすることからその適正な管理が行わなければならない疾病の診断,治療又は予防に重大な影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定するものをいう。」)
このように,「据置型デジタル式乳房用X線診断装置」は,保守・点検,管理において専門的な知識・技能を必要とする商品であると認められているものである。
一方,引用商標の指定商品に含まれる第5類「医療用腕環」は,「磁気を利用した治療用腕環等,専ら医療用のものに限られる」(特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」)とされ,磁気を利用して治療する商品とされているものであり,「日本標準分類」の「医療用品及び関連製品」の中の「家庭用磁気治療器」に分類されるといえるものである。そして,この「医療用腕環」という商品は,医療用とはいうものの一般には磁気や金属及び健康のための用具を取扱うメーカー等において生産され,アクセサリー或いは健康用具の一つとして扱われており,販売方法は主に通信販売又は店頭において行われ,その主な需要者は,一般需要者ということができる。このことは,例えば,次の事実が認められることからも裏付けられるものである。
(1)「TDK/プロダクツショップ/製品情報/医療機器 家庭用永久磁石磁気治療器/エポールブレスレットα承認番号16300BZZ01907・・/ご購入方法/家庭用永久磁石磁気治療器は,以下のページでお求めになれます。・大浜商事株式会社(オンリーワンストア)・株式会社晴恒(セイコーshop)」との記載(TDK株式会社のウェブページ(http://www.tdk.co.jp/tjbbh01/bbh14000.htm))。
(2)「マグメディカ/ネオジウム磁石使ったネックレスとブレスレット/マグメディカ 磁気効果により血行を促すマグネットネックレス『マグラメールチャピ』。価格はネックレスが7000円,ブレスレットが4000円。・・・同社は磁石製造が主力の相模化学金属から磁気ネックレス部門が独立して,04年に設立。(神奈川県相模原市,042・775・1616)」との記載(2007.1.9 日刊工業新聞 16頁)。
(3)「ロイヤルギフトセンター/ロイヤルギフトセンター〉バラエティ雑貨〉健康グッズ アクセサ・・〉磁気ブレスレット(純金24K)/商品説明☆肩こりを強力にほぐします!(医療器具認可済)●素材:住友特殊金属(株)製コバルト系磁石/《医療用具承認番号50B第952号》」との記載(有限会社ペーパーイメージの運営するロイヤルギフトセンターのウェブページ(http://store.shopping.yahoo.co.jp/royal-g/kn00133.html))。
(4)「SHOP CHANNEL テレビと連動 ショップチャンネルへようこそ!/美容・ダイエット フィットネス/【磁気健康ギア“コラントッテ”マグチタン(アルファ波ブレスレット)】の商品説明 磁気の効果で筋肉のコリをやわらげる!・・1000ガウスの永久磁石を4個、純チタンの中に設置した・・●医療用具許可取得:27BZ6009/家庭用磁気治療器」との記載(ジュピターショップチャンネル株式会社のウェブページ(http://www.shopch.jp/ComDetailShow.do?requestNo=224032))等。
そして,当審において職権をもって調査をするも,本願指定商品と「医療用腕環」とが,同業者において製造販売されている事実を発見することができなかった。
そうとすれば,本願商標の指定商品「据置型デジタル式乳房用X線診断装置」と引用商標の指定商品中の「医療用腕環」とは,「商品の生産部門及び販売部門」,「商品の構造及び用途」及び「商品の需要者」が一致しておらず,部品と完成品との関係にもないから,互いに類似するものと認めることのできない非類似の商品というべきであり,かつ,これらの商品に同一又は類似の商標を使用しても,同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがあるとまではいえないというべきである。
したがって,本願商標と引用商標とは,その指定商品において類似するものということはできないから,結局,本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当することを理由に本願を拒絶すべきものとすることはできない。
その他,政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決日 2008-11-10 
出願番号 商願2007-69650(T2007-69650) 
審決分類 T 1 8・ 264- WY (X10)
T 1 8・ 262- WY (X10)
最終処分 成立  
前審関与審査官 早川 文宏真鍋 伸行高橋 幸志 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 清川 恵子
末武 久佳
商標の称呼 ベール 
代理人 小栗 昌平 

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