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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 125
管理番号 1187591 
審判番号 取消2007-301687 
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-12-20 
確定日 2008-10-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第686809号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第686809号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第686809号商標(以下「本件商標」という。)は、「ステラ」の文字を表してなり、昭和39年3月3日に登録出願、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同40年10月6日に設定登録され、その後、平成17年9月28日に指定商品を第25類「履物」とする指定商品の書換登録がなされ、その商標権は現に有効に存続しているものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成20年1月25日である。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
1 本件商標については、商標権者が登録日以後、継続して3年以上、日本国内において、その指定商品について使用をしている事実が認められない。
また、専用使用権者、通常使用権者又は質権者のいずれかが本件商標の使用をしている事実も認められない。
さらに、本件商標の使用をしていないことに関し、正当な理由があったとは認められない。

2 答弁に対する弁駁
(1)初めに
商標法第50条第2項の規定によれば、その商標登録の取消しを免れるためには、被請求人は、その審判の請求の登録前3年以内における使用を証明しなければならない。したがって、本件審判の請求の登録日は、平成20年1月23日であるところ、被請求人は、平成17年(2005年)1月23日以降の使用を証明しなければならないことになる。
(2)被請求人の提出した資料について
ア 上記の観点から、被請求人の提出した資料を考察してみると、被請求人は、乙第1号証ないし乙第13号証を提出しているが、平成17年(2005年)1月23日以降の使用を証明し得る資料は、乙第13号証(2005年12月度の製品受払表)のみである。その「ステラ07」欄には、わずかに、売上欄に「-(マイナス)247040」と記載されているにすぎない。
イ ここで製品の過去の販売状況を把握するために、取消しを免れるための使用の証明とはなり得ないが、念のため、乙第1号証(2002年のカタログ)から乙第12号証(2004年12月度の製品受払表)までを検証する。
乙第1号証の2002年のカタログ及び乙第2号証の2003年のカタログから判断すると、確かにこの当時は、商標「ステラ」を「履物」に付して使用していたように見受けられる。とりわけ、例えば、乙第3号証の4(2002年4月15日付け仕様書)、乙第5号証の4(2002年6月15日付け仕様書)、乙第6号証の4(2002年12月30日付け仕様書)、乙第7号証の3(2002年12月30日付け仕様書)及び乙第8号証の3(2002年12月30日付け仕様書)等の資料から判断すると、2002年の時点においては、被請求人は、「履物」の中敷や下げ札、内装ケース等に、商標「ステラ」を使用していたものと思われる。
ウ ところが、乙第10号証の2003年の輸入実績表から途端に資料が貧弱となる。当該商標「ステラ」の2003年における使用を証明するものは、乙第2号証のカタログと、この乙第10号証のみである。しかも、乙第9号証の2002年輸入実績表と比較してみると、2003年の輸入量は、2002年の輸入量の1/3と激減していることがわかる。
エ さらに、乙第11号証の2004年12月度の製品受払表に至っては、「ステラ07N」欄には、前月から繰り越しただけの数量「379」及び、その金額「356260」とあるのみで、製品の「仕入」もなければ、「積送品払出」もなく、したがって「売上」も全くないことがわかる。
同様に、乙第12号証の2004年12月度の製品受払表では、「ステラ05N」「ステラ07N」及び「ステラ07N」について、いずれも「売上」の「数量」が「-1」で、その「金額」が「-940」とあるのみである。
2002年に比べて2003年には、製品輸入量が1/3へと激減し、2004年には、製品の「仕入」も「積送品払出」も「売上」も一切無い状態となっている。
オ そして、乙第13号証の2005年12月度の製品受払表に至っては、わずかにたった一箇所、「売上」の「金額」欄のみに、「-247040」と記載があるのみで、さらに粗雑な印象を拭えない。この2005年以降の使用証明こそが必要不可欠であるにもかかわらずである。
カ 通常、商標の使用を証明する資料を提出する場合、その商標が過去から現在まで継続して使用されているならば、通常、直近の資料ほど豊富に提出できるものである。それは、過去に遡れば遡るほど、保存期間の問題や担当者の転出等により証明が困難となるからで、これは極めて当然のことと言える。
ところが被請求人は、2002年の資料は、カタログ・仕様書・輸入実績表・製品受払表などを提出し、多方面から存分にその商標の使用をアピールしておきながら、2003年からは急にトーンダウンし、本来証明しなければならない2005年以降の使用については、乙第13号証のみという極めて不可解な挙証方法を採っている。つまり、最近の資料ほど提出しやすく、過去の資料ほど提出が困難という、通常のケースとは全く逆行している。これは果たしてどのようなことを意味するのか。
キ 被請求人が、商標「ステラ」を付した「履物」を中国で製造し、日本で販売していたのは、2003年頃までだったのではないか。少なくとも2004年からは、乙第11号証ないし乙第13号証の製品受払表からも明らかなように、製造販売は既にしておらず、在庫商品を抱えた状態であったのではないか。だからこそ、2004年以降の製品受払表には、「生産」も「仕入」も「積送品受入」もなく、したがって「売上」もないという状態だったのだと推測される。それゆえカタログに関しても、2003年度版までしか提出できず、本来必要とされる2005年度版以降のものが不提出なのではないか。
このような状況であるからこそ被請求人は、答弁書のなかで、2004年以降については、製品は「在庫として存在していた」「提供できる状況にあった」という記載に変わってきたのだと思われる。在庫として存在し、提供しようと思えば提供できる状態にあったとしても、それが世の中に商品として一切出回らず、在庫品として倉庫に眠っているだけの状態では、商標法第50条による商標の「使用」には該当しないものと思われる。
ク 商標法の法目的からすれば、保護すべきは、商標の使用によって蓄積された信用であるところ、商標を付した商品が社会に一切流通せず、在庫品としてただ倉庫に眠っているだけの状態では、商標法第50条第2項の使用義務を果たしているとはいえない。すなわち、一旦発生した信用も喪失して、その保護すべき対象はなくなっていると言える。本ケースのような場合にまで、商標法第2条第3項第1項の要件を形式的に満足しているとして、登録の取消しを認めずに、商標権者の登録を維持する必要性はないと思われる。
ケ なお、販売実績が全くないことは、乙第11号証ないし乙第13号証に示す製品受払表の「売上」がブランク又はマイナスであることからも明らかである。特に、また在庫品に関して、2005年以降、販売以外の商標の使用(例えば、宣伝広告等)がなされていたかどうかは、何ら証左のないところである。
(3)商標使用調査報告書について
ア ここに、外部の調査会社に依頼した、当該商標の使用調査報告書を添付する(甲第1号証)。これは、商標調査で実績のある「トムソンコーポレーション株式会社」(旧ブランディインターナショナル株式会社)に依頼したものである。
これによると、「この商標(『ステラ』及び『STERA』)は、当該企業(『広島化成株式会社』)の靴の商品名として、平成15年(2003年)まで製造販売されていたが、この年のカタログに掲載されたのを最後に廃盤となっている。以後、当該企業においては使用されることなく現在に至っている。」とある。
イ もちろん、このような調査報告書における所見が絶対的なものだとは思われない。外部の者が、商標の実際の使用状況を把握することは、限界もある。しかし一定の参考にはなるものと思われる。
ウ この調査報告書で注目すべきは、まさに所見にある通り、「平成15年(2003年)までは、製造販売されていたが、この年のカタログに掲載されたのを最後に廃盤となっている」という点である。
「平成15年(2003年)までは」である。被請求人の提出した資料も、2003年までは、カタログがあり(乙第2号証)、ある程度の製品輸入量はあった(乙第9号証及び乙第10号証)。しかし、2004年以後は、後継版のカタログの提出は一切なく、製品の「生産」も「仕入」も「積送品受入」も全くない状態となっている(乙第11号証ないし乙第13号証の製品受払表)。
まさに、「平成15年(2003年)までは、製造販売されていたが、この年のカタログに掲載されたのを最後に廃盤となっている」という、本調査報告書の所見と完全に一致する。
(4)むすび
以上のように、被請求人は、商標「ステラ」を、少なくとも本件審判の請求の登録前3年以内に使用していたとは認められないものと思われる。すなわち、本審判の登録日は、平成20年(2008年)1月23日であるところ、被請求人は、平成17年(2005年)1月23日以降に、商標「ステラ」を「履物」に使用してはいなかったと思われる。
したがって、本件商標の使用は、本件審判の請求の登録前3年以内における使用とは認められないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁の要点
1 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
乙第1号証はカタログ「2002 TSUBAME AUTUMN&WINTER COLLECTION」である。本証の第7頁には、「ステラ」及び筆記体の「Stera」の記載があり、且つその表示に係る商品(コンフォート、ステラ05、ステラ06、ステラ07)の写真が掲載されている。品名ステラ05の製品記号はNST05、品名ステラ06の製品記号はNST06、品名ステラ07の製品記号はNST07である。カタログの裏面には「広島化成株式会社」のマーク入り社名と英字名及びその住所が電話番号と共に明記されてある。
乙第2号証はカタログ「2003 SPRING&SUMMER COLLECTION」である。本証の第7頁には、「ステラ」及び筆記体の「stera」の記載があり、且つその表示に係る商品(コンフォート、ステラ05N、ステラ07N、ステラ09)の写真が掲載されている。品名ステラ05Nの製品記号はNST11、品名ステラ07Nの製品記号はNST12、品名ステラ09の製品記号はNST09である。カタログの裏面には「広島化成株式会社」のマーク入り社名と英字名及びその住所が電話番号と共に明記されてある。
乙第3号証は、2002年4月15日付けで品名ステラ05に関し、中国の喜神宛になされた仕様書であって、本証第4頁には、「Stera」の文字の入った中敷きマークを中敷きに縫いつけ、「ステラ」及び、「Stera」の文字が印刷された下げ札を取付ける指示が明示されている。
乙第4号証は、2002年4月15日付けで品名ステラ06に関し、中国の喜神宛になされた仕様書であって、第3頁に中敷きマーク及び下げ札について品名ステラ05に準ずる指示が明示されている。
乙第5号証は、2002年6月15日付けで品名ステラ07に関し、中国の喜神宛になされた仕様書であって、本証第4頁には、「Stera」の文字の入った中敷きマークを中敷きに縫いつけ、「ステラ」及び、「Stera」の文字が印刷された下げ札を取付ける指示が明示されている。
乙第6号証は、2002年12月30日付けで品名ステラ09に関し、中国の喜神宛になされた仕様書であって、本証第4頁には、「ステラ」及び、「Stera」の文字が印刷された下げ札を取付け、「Stera」の文字の入った内装ケースを使用する指示が明示されている。本証第5頁には、内装ケースの内容物表示欄に「ステラ」の文字を記載する指示が示されている。本証第6頁には、「Stera」の文字の入った中敷きマークを中敷きに縫いつける指示が明示されている。
乙第7号証は、2002年12月30日付けで品名ステラ11に関し、中国の喜神宛になされた仕様書であって、本証第3頁には、「ステラ」及び、「Stera」の文字が印刷された下げ札を取付け、「Stera」の文字の入った内装ケースを使用する指示が明示されている。本証第4頁には、内装ケースの内容物表示欄に「ステラ」の文字を記載する指示が示されている。本証第5頁には、「Stera」の文字の入った中敷きマークを中敷きに縫いつける指示が明示されている。
乙第8号証は、2002年12月30日付けで品名ステラ12に関し、中国の喜神宛になされた仕様書であって、本証第3頁には、「ステラ」及び、「Stera」の文字が印刷された下げ札を取付け、「Stera」の文字の入った内装ケースを使用する指示が明示されている。本証第4頁には、内装ケースの内容物表示欄に「ステラ」の文字を記載する指示が示されている。本証第5頁には、「Stera」の文字の入った中敷きマークを中敷きに縫いつける指示が明示されている。
乙第9号証は、2002年の輸入実績表であって、製品記号NST05、NST06、NST07、NST11の月別の輸入量が記載されている。これは、2002年に、中国の喜神から、品名ステラ05(製品記号NST05)、品名ステラ06(製品記号NST06)、品名ステラ07(製品記号NST07)、品名ステラ05N(製品記号NST11)の商品が輸入されたことを示している。
乙第10号証は、2003年の輸入実績表であって、製品記号NST09、NST11、NST12の月別の輸入量が記載されている。これは、2003年に、中国の喜神から、品名ステラ09(製品記号NST09)、品名ステラ05N(製品記号NST11)、品名ステラ07N(製品記号NST12)の商品が輸入されたことを示している。
乙第11号証は、2005年1月5日作成の2004年12月度の製品受払表であって、ステラ07N(製品記号NST12)が記載されており、2004年12月度末に在庫として存在していたことを示している。
乙第12号証は、2005年1月27日作成の2004年12月度の製品受払表であって、品名ステラ05N(製品記号NST11)、ステラ07N(製品記号NST12)が記載されている。この表は、2004年12月度末に在庫として存在していた商品(品名ステラ05N、ステラ07N)を処分したことを示すものである。これらの商品は乙第2号証に示すカタログ「2003 SPRING&SUMMER COLLECTION」に示された商品であり、2004年12月末まで、2003年のカタログにより注文を受け、提供できる状況にあり、商品が販売されていたことが分かる。
乙第13号証は、2006年1月5日作成の2005年12月度の製品受払表であって、品名ステラ07(製品記号NST07)が記載されている。この表は、2005年12月度末に在庫として存在していた商品(品名ステラ07)を処分したことを示すものである。この商品は乙第1号証に示すカタログ「2002 TSUBAME AUTUMN&WINTER COLLECTION」に示された商品であり、2005年12月末まで、2002年のカタログにより注文を受け、提供できる状況にあり、商品が販売されていたことが分かる。

2 以上の資料により、次のことが明らかである。
2002年及び2003年のカタログにおいて、本件商標が付された商品は、中国の喜神で製造され、靴の中敷き及び下げ札、或いは外箱に本件商標が付されて、輸入されていた。その後、被請求人は、日本国内において、本件商標が付された商品の販売を行った。さらに、被請求人は、2005年12月まで本件商標が付された商品の在庫を所有し、2002年及び2003年のカタログにより注文を受け、提供できる状況にあり、商品の販売を継続していた。即ち、2004年12月から2005年12月に、被請求人は商品「履物」について、本件商標を使用している。
したがって、上記の挙証資料は、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人によって指定商品「履物」について使用されていた事実を証明するものである。
なお、商品のデザインは内部資料であり、提示できないが、今年秋での発表を目指して、商標「ステラ」を付す商品「履物」のデザインを完了し、製品化の準備中であることを申し添える。

3 被請求人が平成20年8月21日付けで提出した上申の内容
(1)2005年以降販売実績について
先の答弁書において、乙第13号証(2005年12月度の製品受払表)は、2005年12月度末に在庫として存在していた商品(品名ステラ07)を処分したことを示すものである説明をしていたが、この処分とは、在庫品の値下げをして、子会社の販売会社に売却処分したものである。
また、販売会社はそれ以前に仕入れした商品の在庫を有しており、継続して一般小売店へ商品の販売をしている。
(2)販売会社の販売実績について
商標「ステラ」を付した商品の販売を行っている販売会社は、名古屋履物商事株式会社、関西ツバメ株式会社(現在、ヒロカ商事株式会社大阪支店となっている。)、ヒロカ商事株式会社岡山支店、ヒロカ商事株式会社九州支店である。各販売会社における販売実績を次の資料より明らかにする。
ア 乙第14号証は、名古屋履物商事株式会社の2006年2月2日作成の2006年1月度の商品管理表であって、商品名ステラ07、商品名ステラ05N、商品名ステラ07Nが記載されている。
イ 乙第15号証は、関西ツバメ株式会社の2005年2月2日作成の2005年1月度の商品管理表であって、商品名ステラ07、商品名ステラ09、商品名ステラ05N、商品名ステラ07Nが記載されている。
ウ 乙第16号証は、ヒロカ商事株式会社岡山支店の2007年11月2日作成の2007年10月度の商品管理表であって、商品名ステラ05、商品名ステラ06、商品名ステラ07が記載されている。
エ 乙第17号証は、ヒロカ商事株式会社岡山支店の2007年12月4日作成の2007年11月度の商品管理表であって、商品名ステラ05、商品名ステラ06、商品名ステラ07が記載されている。
オ 乙第18号証は、ヒロカ商事株式会社岡山支店の2008年1月5日作成の2007年12月度の商品管理表であって、商品名ステラ05、商品名ステラ06、商品名ステラ07が記載されている。
カ 乙第19号証は、ヒロカ商事株式会社九州支店の2006年1月5日作成の2005年12月度の商品管理表であって、商品名ステラ09が記載されている。
これらの商品は乙第1号証に示すカタログ「2002 TSUBAME AUTUMN&WINTER COLLECTION」及び乙第2号証に示すカタログ「2003 SPRING&SUMMER COLLECTION」に掲載されている商品であり、これらの商品の売上があったことが示されている。
また、当該商品の主な売り先は、名古屋履物商事株式会社においては、ユニー株式会社、株式会社オーシマ、関西ツバメ株式会社においては、ヒラキ、テンファッション、ヒロカ商事株式会社岡山支店においては、タウンタウン、イズミ、ヒロカ商事株式会社九州支店においては一般小売店である。
このように、各販売会社は地方の一般小売店に対する販売をしており、さらに一般小売店において、当該商品の販売は継続的に行われている。
したがって、上記の挙証資料は、本件商標が本件不使用取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人によって指定商品「履物」について使用されていた事実を証明するものである。
(3)商標使用調査報告書について
甲第1号証(商標調査報告書)において、「平成15年(2003年)までは、製造されていたが、この年のカタログに掲載されたのを最後に廃盤となっている」と指摘されているが、商品の販売は継続しており、商標「ステラ」の使用を廃止したものではない。本件商標について、新たなデザインによる商品が2008年秋冬カタログ(乙第20号証)により発表され、今年の8月度から販売されている。
また、グループ企業に問い合わせたとありますが、何時、誰に問い合わせたのかの情報がなく、どのような問答がなされたのか、商標権者において確認のしようがない。なお、商標権者においても指摘されているグループ会社に対し調査したが、そのような問い合わせがあったことを確認できなかった。さらに主要取引先で販売の実績がないとの報告がされているが、東京品川区という一部の範囲の調査となっている。しかし、当該商品は上述の販売会社を通じて、中部、関西、中国、九州地方の一般小売店で販売されている。

4 被請求人が平成20年8月27日付けで提出した上申の内容
被請求人は平成20年8月21日に提出した証拠書類が間違いないものであることを、別紙のとおり確認立証する。

第4 当審の判断
1 審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。

2 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
乙第1号証は、商品「靴」のカタログと認められるところ、表紙に「2002 TSUBAME AUTUMN&WINTER COLLECTION」と記載されている。
乙第2号証も商品「靴」のカタログと認められるところ、表紙に「2003 SPRING&SUMMER COLLECTION」と記載されている。
乙第3号証は、商品「靴」に関し中国の喜神宛になされた仕様書と認められるところ、乙第3号証の1には「発行年月:2002-4-15」と記載されており、乙第3号証の6には「2002年4月15日」と記載されており、乙第3号証の7には「2002年4月20日」と記載されている。
乙第4号証も商品「靴」に関し中国の喜神宛になされた仕様書と認められるところ、乙第4号証の1には「発行年月:2002-4-15」と記載されている。
乙第5号証も商品「靴」に関し中国の喜神宛になされた仕様書と認められるところ、乙第5号証の1には「発行年月日2002年6月14日」と記載されており、乙第5号証の6には「2002年4月15日」と記載されており、乙第5号証の7には「2002年4月20日」と記載されている。
乙第6号証も商品「靴」に関し中国の喜神宛になされた仕様書と認められるところ、乙第6号証の1には「発行年月日2002年12月30日」と記載されている。
乙第7号証も商品「靴」に関し中国の喜神宛になされた仕様書と認められるところ、乙第7号証の1には「発行年月日2002年12月30日」と記載されている。
乙第8号証も商品「靴」に関し中国の喜神宛になされた仕様書と認められるところ、乙第8号証の1には「発行年月日2002年12月30日」と記載されている。
乙第9号証は、2002年の輸入実績表と認める。
乙第10号証は、2003年の輸入実績表と認める。
乙第11号証は、2004年12月度の製品受払表(作成日は2005年1月5日)と認める。
乙第12号証は、2004年12月度の製品受払表(作成日は2005年1月27日)と認める。
乙第13号証は、2005年12月度の製品受払表(作成日は2006年1月5日)と認められるところ、「ステラ07」の数量は、前月繰越、生産、仕入、積送品受入、売上、積送品払出、棚卸増減、その他、翌月繰越の全ての欄が空白になっており、「ステラ07」の金額は、売上の欄に「-247040」と記載されているものの、売上以外の全ての欄が空白になっている。
乙第14号証は、名古屋履物商事株式会社の2006年2月2日作成の2006年1月度の商品管理表と認める。
乙第15号証は、関西ツバメ株式会社の2005年2月2日作成の2005年1月度の商品管理表と認める。
乙第16号証は、ヒロカ商事株式会社岡山支店の2007年11月2日作成の2007年10月度の商品管理表と認める。
乙第17号証は、ヒロカ商事株式会社岡山支店の2007年12月4日作成の2007年11月度の商品管理表と認める。
乙第18号証は、ヒロカ商事株式会社岡山支店の2008年1月5日作成の2007年12月度の商品管理表と認める。
乙第19号証は、ヒロカ商事株式会社九州支店の2006年1月5日作成の2005年12月度の商品管理表と認める。
乙第20号証は、カタログ「2008 AUTUMN&WINTER COLLECTION TSUBAME」と認める。
乙第21号証は、乙第14号証に対する名古屋履物商事株式会社の証明書と認める。
乙第22号証は、乙第15号証ないし乙第19号証に対する名古屋履物商事株式会社の証明書と認める。

3 職権をもって商標登録原簿を調査するに、本件審判の請求の登録日は、平成20年1月25日である。
したがって、本件審判の請求の登録前3年以内とは、2005年(平成17年)1月25日から2008年(平成20年)1月25日までをいう(以下「要証期間」という。)。
然るに、乙第1号証ないし乙第12号証は、要証期間よりも前の本件商標の使用を証明しているため、これらの証拠によって、本件商標が、要証期間に指定商品に使用されていたものと認めることはできない。
なお、乙第12号証は、作成日が要証期間内の2005年1月27日となっているが、製品の受払は、要証期間よりも前の2004年12月度になされたものであるから、乙第12号証によって、本件商標が、要証期間に指定商品に使用されていたものと認めることはできない。
乙第20号証は、要証期間よりも後の2008年6月現在のものである。
したがって、乙第1号証ないし乙第12号証及び乙第20号証によって、本件商標が、要証期間に指定商品に使用されていたものと認めることはできない。

4 乙第13号証ないし乙第19号証、乙第21号証及び乙第22号証には、使用している商品が記載されていない。したがって、これらの証拠によって、本件商標が請求に係る指定商品に使用されているものとは認めることができない。

5 乙第13号証の「ステラ07」以外の商品、例えば、「NNK81001 サンバードK81」は、前月繰越数量の4469から売上数量の700と積送品払出数量の136とを引いた数は3633であるところ、これは翌月繰越数量の3633と一致する。また、「NNK81075 サンバードK81」は、前月繰越数量の2222に仕入数量2000を加えた4222から売上数量の1240と積送品払出数量の582とを引いた数は2400であるところ、これは翌月繰越数量の2400と一致する。
ところが、乙第13号証の「ステラ07」の数量は、前記2で述べたように、前月繰越、生産、仕入、積送品受入、売上、積送品払出、棚卸増減、その他、翌月繰越の全ての欄が空白になっていることから、本件商標が、指定商品について使用されていたものと認めることができない。

6 乙第14号証の「ステラ07」の前月在庫が「0」であるのに、当月売上が「16」となっており、今回在庫が「-16(マイナス16)」になっている。被請求人は、在庫が存在しないにもかかわらず、売上が存在すること及び在庫がマイナスという点について、何ら説明していない。
したがって、乙第14号証を根拠にする乙第21号証も信憑性が薄いものである。

7 乙第15号証の「ステラ07N」の前月在庫の欄には、上段に「410」、下段に「325,130」と記載されている。当月売上の欄には、上段に「35」、下段に「29,650」と記載されている。売上返品/値引の欄には、上段に「-2」、下段に「-2,220」と記載されている。今回在庫の欄には、上段に「377」、下段に「298,961」と記載されている。乙第15号証には、これらの数字について何の説明がされていない。
しかしながら、乙第17号証には、俄に判別し難いものの、上段の数字に手書きで「足数」、下段の数字に手書きで「金額」のように記載されている。
そうとすると、乙第15号証の「ステラ07N」の単価は、前月在庫及び今回在庫が793円、当月売上847.14円、売上返品/値引が1,110円になり、一致しない。そして、乙第2号証の2の「ステラ07N」には、「Price ¥2,000」と記載されており、この価格は、乙第15号証のどの単価とも一致しない。

8 乙第16号証の「ステラ05」の前月在庫が「0」であるのに、当月売上が「2」となっており、今回在庫が「-2(マイナス2)」になっている。また、乙第16号証の「ステラ06」の前月在庫が「17」であるのに、当月売上が「20」となっており、今回在庫が「-3(マイナス3)」になっている。在庫以上に売り上げており、不自然といわざるを得ない。

9 乙第17号証は、当月売上が「0」であるから、2007年11月度に「ステラ」に関する取引が無かったことを証明しているにすぎないものである。

10 乙第18号証は、2007年11月度に社内取引があったことを証明しているにすぎないものである。

11 乙第19号証の「ステラ09」の当月売上の欄には、上段に「2」、下段に「600」と記載されている。乙第19号証には、これらの数字について何の説明がされていない。
しかしながら、乙第17号証には、上段の数字に手書きで「足数」、下段の数字に手書きで「金額」のように記載されている。
そうとすると、乙第19号証の「ステラ09」の単価は、300円になる。乙第2号証の2の「ステラ09」には、「Price ¥2,000」と記載されており、余りに一致しない。
また、商品「靴」の単価が300円というのは、不自然といわざるを得ない。

12 乙第14号証ないし乙第19号証には、前記したように不自然な点が存在する。そして、これを根拠にする乙第22号証も俄に信じ難いものである。

13 以上のとおり、被請求人が提出した乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
したがって、商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-08-20 
結審通知日 2008-08-26 
審決日 2008-09-18 
出願番号 商願昭39-8812 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (125)
最終処分 成立  
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 平澤 芳行
杉山 和江
登録日 1965-10-06 
登録番号 商標登録第686809号(T686809) 
商標の称呼 ステラ 
代理人 忰熊 嗣久 
代理人 谷 義一 

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