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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09
管理番号 1187481 
審判番号 取消2007-300505 
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-04-19 
確定日 2008-10-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第4479186号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4479186号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成11年6月16日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として同13年6月1日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用について
本件商標は、甲第1号証に記載のとおりである。
請求人としては、被請求人が使用を主張している商標は、乙第2号証及び乙第3号証に記載されているものと理解する。
(ア)乙第2号証に記載されている商標と本件商標との同一性について
(i)乙第2号証に記載されている商標(以下「乙第2号証商標」という。)は、欧文字「ClarifyCRM」であり、被請求人も同事実を認めている。被請求人は、「CRM」は「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」の略語であることを説明し、同部分は「Clarify」ソフトウェアの品質・用途を端的に表示している旨を主張し、「Clarify」部分が要部として機能していると述べている。
しかしながら、「Clarify」と「CRM」はスペースを空けることなく、まとまりよく一体不可分的に結合されている。
また、「ClarifyCRM」から生じると思われる称呼「クラリファイシーアールエム」又は「クラリファイクラム」は、一気一連に称呼できるものである。
したがって、乙第2号証商標は、一体として「ClarifyCRM」と認識・把握されるものであり、「Clarify」部分が要部として抽出して認識・把握されるものではない。
(ii)本件商標は、欧文字「Clarify」と同文字を囲む曲線から構成されているが(甲第1号証)、乙第2号証商標は、本件商標を構成する曲線を欠く。また、上述のとおり、乙第2号証商標は、本件商標に含まれていない欧文字「CRM」を含んでいる。
(iii)以上(i)及び(ii)より、本件商標と乙第2号証商標とは、社会通念上同一とは認められない。
(イ)乙第3号証に記載されている商標と本件商標との同一性について
(i)乙第3号証に記載されている商標(以下「乙第3号証商標」という。)は、欧文字「amdocs」、「clarify」、「crm」並びに赤色、濃い黄色、薄い黄色及び青色で描かれた4つの四角形から構成されている。
被請求人は、「amdocs」は「Clarify」製品の供給者を示し、「crm」は「Clarify」ソフトウェアの品質・用途を表示していると主張し、「Clarify」部分がペットネームとして機能していることは明白と述べている。
しかしながら、「amdocs」が「Clarify」製品の供給者を表示するとの主張は、証拠による裏付けを欠く被請求人の単なる主張にすぎない。また、「crm」については、取引者・需要者が辞書・事典を引かずとも、その内容を把握・認識できる程、日本国内において知られている語句とも認められない。
したがって、「clarify」部分がペットネームとして機能している、という被請求人の主張は、根拠に基づかない被請求人の独断的主張にすぎず、到底認められない。
また、乙第3号証商標の図形部分につき、被請求人は、特定の観念を認識させるようなものではなく、また、それ自体が顕著な識別性を有するものではない旨を述べている。
しかしながら、乙第3号証商標の図形部分には色彩が付されており、かつ、その1色(青色)は、欧文字「clarify」部分と同色であるので、乙第3号証商標に接した取引者・需要者は同図形部分に着目するものである。
したがって、同図形部分が顕著な識別性を有しない旨の被請求人の主張は認められない。
(ii)以上述べたとおり、「clarify」部分が乙第3号証商標の要部として抽出して認識・把握されるものではない。
また、乙第3号証商標には、本件商標に含まれていない欧文字及び図形部分が含まれている。
したがって、本件商標と乙第3号証商標とは、社会通念上同一と認められない。
(2)本件商標が、本件審判の請求に係る指定商品に使用されていることについて
被請求人は、「Clarify」ソフトウェアが販売されていた、と主張するのみで、「Clarify」ソフトウェアに本件商標が付されている事実を証明していない。
したがって、本件商標が、本件審判の請求に係る指定商品に使用されていることは証明されていない。
(3)被請求人の提出に係る証拠が本件商標の使用事実の証拠にならないことについて
被請求人が提出した各証拠は、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を、継続して使用していたことを証明する証拠(以下「本件商標の使用事実の証拠」という。)とならない。
この点について、証拠ごとに検討する。
(ア)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が、Notel Networks社の「Clarify」部門を買収した事実を記載するのみである。
したがって、乙第1号証は本件商標の使用事実の証拠とならない。
(イ)乙第2号証について
被請求人は、株式会社CIJあるいは被請求人を通じて、ソフトウェアが販売されている旨を述べている。そして、請求人は、乙第2号証によって、被請求人がソフトウェアを販売している事実を証明しようと試みたものと考える。
この点、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用を証明しなくてはならない。
しかしながら、乙第2号証には、その発行時の記載がなく、乙第2号証によっては、本件商標の使用時期は証明されない。
また、上述のとおり、本件商標と乙第2号証商標とは、社会通念上同一と認められない。
したがって、乙第2号証は本件商標の使用事実の証拠とならない。
(ウ)乙第3号証について
被請求人は、株式会社CIJあるいは被請求人を通じて、ソフトウェアが販売されている旨を述べている。
確かに、乙第3号証は、株式会社CIJのウェブサイトである。
しかしながら、乙第3号証には、株式会社CIJがソフトウェアを販売している旨の記載はなく、「開発元:米国 Amdocs」、「国内販売元:アムドックス」の記載がある。
同事実からすると、株式会社CIJがソフトウェアを販売しているという被請求人の主張は、乙第3号証の記載と異なる。
また、被請求人と株式会社CIJとの関係を全く説明しておらず、株式会社CIJが使用権を有することは証明されていない。
さらに、上述のとおり、本件商標と乙第3号証商標とは、社会通念上同一と認められない。
したがって、乙第3号証は本件商標の使用事実の証拠とならない。
(エ)乙第4号証について
乙第4号証は、用語説明のために提出されたものであり、本件商標の使用を証明するものではない。
したがって、乙第4号証は本件商標の使用事実の証拠とならない。
(4)まとめ
以上述べたとおり、被請求人の提出した書類によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、継続して使用されていることは証明されていない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、請求の理由に対する答弁及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(証拠A及び証拠Bを含む。)を提出している。
1 請求の理由に対する答弁
以下に述べるように、被請求人は、本件商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国において現実に使用しているものである。
(1)被請求人は1982年に設立された法人であって、2001年にNotel Network社の「Clarify」部門を買収した(乙第1号証)。被請求人が本件商標を使用している商品がこの「Clarify」、即ち、統合顧客管理システムのためのソフトウェアであって、被請求人から直接、あるいは株式会社CIJ等を通じて我が国の顧客に対して販売されている。
乙第2号証として提出するのは、「Clarify」製品の説明書である。本説明書は英語で作成されているが、その3頁には、「Viewing Japanese Translation(日本での使用における変換についての説明)」の項目があり、当該項目においては以下のような記載がある。
日本における使用に際して適切な変換、フォントの表示を確実にするべく、以下の手順を実行してください。
1.Actuateサーバーをスタートさせる前にenvファイルにおける次のシンボルを規定してください。
2.AC SERVER HOME/etc/acserverconfig.xmlファイルにおいて、次のタグを設定してください。
3.AC SERVER HOME/lang.iniファイルにおいて、フルパスネームを用いてCLFY TRANSLATION FILE トークンをClfyTranslationKanji.txtファイルに設定してください。両ファイルが同じディレクトリにあってもこれを行ってください。
(2)また、株式会社CIJのウェブサイトにおいては、「Clarify」製品について以下のような紹介がされている(乙第3号証)。
「amdocs Clarify CRM」は、統合顧客管理システムのためのソフトウェア製品群です。これにより、多種多様な顧客ニーズに対し、効率的かつ的確に応じることができ、顧客を見据えた業務の効率化、ビジネスチャンスの獲得を確実に実現できます。
全世界で、サービス業をはじめ、金融、公共、通信、製造、開発等、様々な分野の約650社、約111,000ライセンスの導入実績を持ちます。
国内導入は、1996年末に後発でスタートしましたが、製品に対する米国、欧州における高い評価等により、50社60サイトを数えるまでに伸びております。
国内導入実績
株式会社アドバンテスト エプソン販売株式会社 シャープ株式会社 株式会社ジー・サーチ 住友金属工業株式会社 日本オフィス・システム株式会社 日本電気株式会社 富士通株式会社 モトローラ株式会社 株式会社リコー
(3)「Clarify」ソフトウェアが過去3年間、我が国において、被請求人あるいは株式会社CIJを通じて販売されていたことは上記したとおりであるところ、この「ソフトウェア」が本件商標の指定商品に含まれるものであること詳述するまでもなく明らかである。
そして、乙第2号証の「製品の説明書」の表紙には大きく「ClarifyCRM」の表示があるところ、この「CRM」は「顧客に関する情報を収集・分析し、顧客ごとに適切なアプローチを行うことによって長期的視点から良好な関係を築いて自社の顧客として囲い込み、収益率の極大化を図るマーケティング手法。年齢・性別等の基本属性に加え、購買履歴、購買後のクレーム等、顧客の消費行動に関する情報をデータベース化し、解析することによって、顧客の将来における消費行動の予測を行い、各顧客の特徴に合わせた商品や販売方法を提案する。」ことを意味する「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」の略語であって(乙第4号証)、「Clarify」ソフトウェアの品質・用途を端的に表示する用語である。
したがって、「Clarify」の部分が要部として機能していることは明らかである。
また、乙第3号証のウェブサイトにおいては、青い細線で表記した「amdocs」の文字を左端に、青い太線で表記した「clarify」の文字を中央に、濃い紺色で表記した「crm」の文字を右端に各々配したものが画面上顕著に表示されているものであるところ、「amdocs」は「Clarify」製品の供給者である被請求人のことを指し、「crm」は上記したとおりであるから、この表示においても、「clarify」の部分がペットネームとして機能していること明白である。
そして、本件商標の構成中、図形部分からは特定の観念を認識させるようなものではなく、また、それ自体が顕著な識別性を有するものではないものである。
したがって、本件商標にあっては、その欧文字「Clarify」の部分が要部として捉えられるものである。
そうとすれば、本件商標と上記使用商標とは、社会通念上の同一性を実質的に有するものである。
(4)以上説明したように、商標権者である被請求人は、直接に、あるいは株式会社CIJを通じて、本件審判の請求の登録前3年以内に、我が国において、本件商標を請求に係る商品について使用していることを証明したので、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものではない。
2 弁駁に対する答弁
(1)宣誓供述書の提出
被請求人は、日本アムドックス株式会社の宣誓供述書及び訳文(乙第5号証)並びに被請求人の宣誓供述書及び訳文(乙第6号証)を提出し、当該宣誓供述書に添付した証拠Bにおいては、日本語で作成された日本の顧客向けの「Clarify」製品のパンフレットが含まれている(なお、乙第6号証の被請求人の宣誓供述書に添付されるべき証拠A及び証拠Bは、乙第5号証の日本アムドックス株式会社の宣誓供述書に添付された証拠A及び証拠Bと各々同じものである。)。
(2)本件商標と乙各号証に表された商標との同一性ついて
(ア)請求人は、その弁駁の項目(1)において、「『Clarify』と『CRM』はまとまりよく一体不可分的に結合されている。また、『ClarifyCRM』から生じると思われる称呼は一気一連に称呼できるものである。『Clarify』部分が要部として抽出して認識・把握されるものではない。」、「『amdocs』が『Clarify』製品の供給者を表示するとの主張は、証拠による裏付けを欠く被請求人の単なる主張にすぎない。」、「『crm』については、取引者・需要者が辞書・事典を引かずとも、その内容を把握・認識できる程、日本国内において知られている語句とも認められない。したがって、『clarify』部分がペットネームとして機能している、という被請求人の主張は根拠に基づかない独断的主張にすぎない。」と主張され、「Clarify」を商標として使用しているとの被請求人の主張を否定している。
しかしながら、例えば、乙第5号証及び乙第6号証に添付した証拠B中の日本語で記載されたパンフレットにおいては、「重要な成果をもたらすCRMソリューション」の表題の下、「カスタマ リレーションシップ マネジメント(CRM)ソリューションを導入する企業が増えています。CRMソリューションは企業独自のビジネスニーズに合わせた調整が容易で、業界のベストプラクティスを支援する機能を備えています。」、あるいは「貴社のCRMソリューションのコストを抑える効率のよい配備・保守機能」、「CRMニーズが拡大するにつれ、CRMソリューションもまた拡大しなければなりません。」といった説明がなされており「Clarify」製品が「CRM」用のものであることが容易に理解でき、取引者・需要者も当然にそのことを認識し、「Clarify」製品を購入しているものであること明らかである。
また、乙第3号証においては、「開発元:米国 Amdocs」、「国内販売元:アムドックス」といった説明がなされているものであって、これにより、通常の注意力を持つ需要者であれば、「Clarify」製品の供給者が「Amdocs」であることが容易に理解されるものである。
更に、上記証拠B中の日本語のパンフレットにおいては、例えば、「Clarify各バージョンからのアップグレード」といった項目が設けられているものであって、このことからも、「Clarify」が製品の名称であることが認識できるものである。
以上のとおり、「Clarify」は製品の名称そのもの、言い換えればペットネームとして使用されているものであって、被請求人の主張は根拠を持つものである。
(イ)また、請求人は、「本件商標は、欧文字『Clarify』と同文字を囲む曲線から構成されているが、乙第2号証に記載されている商標には、本件商標を構成する曲線を欠く。」と主張され、本件商標と乙各号証に表された商標との同一性を否定しているが、被請求人が提出する乙第5号証の証拠Bにおいては、本件商標と構成を同じくする商標がパンフレット上に明確に表示されているものであって、被請求人が本件商標と社会通念上同一性を有する商標を使用していることは明白である。
(3)本件商標が使用されている商品について
請求人は、弁駁の項目(2)において、「被請求人は、『Clarify』ソフトウェアが販売されていた、と主張するのみで、『Clarify』ソフトウェアに本件商標が付されている事実を証明していない。したがって、本件商標が、本件審判の請求に係る指定商品に使用されていることは証明されていない。」と主張している。
商標法はその第2条第3項において商標の「使用」について定めており、第1号から第8号の各号に具体的な使用行為を規定しているところ、当該各号に規定された行為は商標法50条における「使用」に該当するものである。
この点、同法第2条第3項第8号には「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付けて展示し、頒布する行為、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」が商標の使用行為と定められているものである。
被請求人が乙各号証として提出した証拠が当該規定における「頒布された、あるいは電磁的方法により提供された広告」であることは明らかである。
したがって、「Clarify」製品に本件商標を付していたことを立証するまでもなく、被請求人が本件商標を使用していることは乙各号証によって明らかであると考える。
(4)その他
請求人は、弁駁の項目(3)において、「乙第2号証には、その発行時の記載がなく、乙第2号証によっては、本件商標の使用時期は証明されない。」、「乙第3号証には、株式会社CIJがソフトウェアを販売している旨の記載はなく、・・・・・また、被請求人と株式会社CIJとの関係を説明しておらず、株式会社CIJが使用権を有することは証明されていない。」と主張している。
しかしながら、乙第5号証及び乙第6号証として提出する宣誓供述書においては、「6.ソフトウェアCLARIFYは長年にわたり日本中の顧客により使用されメンテナンスされてきており、現在もそうである。特に、2007年の5月11日から過去3年に亘り継続使用されてきている。」と宣誓しており、例えば、これらに添付した証拠B中の「AMDOCS CRM8.9J PLATFORM GUIDE」においては、その「Change History」の項目において、「31-Aug-2006 Initial version of this document」、「30-Sept-2006 Update to document additional support provide in R8.9 SRI」、「17-oct-2006 Added Actuate and clarified Windows 2003 version」、「01-Dec-2006 Modified OS Vendor and version and Web Brower」の説明がなされているものであって、これによっても、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたことがわかるものである。
また、上記宣誓供述書の項目7においては、「日本国においてソフトウェアCLARIFYに対する使用権を有する再販者と顧客には、Computer Institute of Japanが含まれるが、これらの会社に限定されるわけではない。・・・これらの使用権は2007年5月11日から過去3年に亘り日本国において継続的に使用されている。」と宣誓されているところ、この「Computer Institute of Japan」は上記株式会社CIJのことである。このことは、乙第3号証として提出した株式会社CIJのウエブサイトにおける「Copyright1995‐2006 Computer Institute of Japan, Ltd. All rights reserved.」 の表示からも明らかである。
(5)むすび
以上述べたことから明らかなように、被請求人は、本件商標を、本件審判の請求に係る指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用していたものである。

第4 当審の判断
1 乙第1号証は、被請求人のウェブサイトの写しと認められるところ、「会社沿革」の見出しの下に、被請求人は1982年に設立され、2001年にNotel Network社の「Clarify」部門を買収したことが記載されている。
そして、被請求人は、「本件商標を使用している商品はこの『Clarify』、即ち、統合顧客管理システムのためのソフトウェアであって、被請求人の日本法人である日本アムドックス株式会社、あるいは株式会社CIJ等を通じて我が国の顧客に対して販売されている。」旨主張している。
2 被請求人の提出に係る乙第5号証は、被請求人の日本法人である日本アムドックス株式会社の代表取締役社長の宣誓供述書及びその訳文と認められ、また、乙第6号証は、被請求人の副本部長の宣誓供述書及びその訳文と認められるところ、これによれば、
(1)日本アムドックス株式会社はソフトウェアCLARIFYを2001年に購入し、日本国を含む世界中でこの商標を採用し使用してきた。
(2)ソフトウェアCLARIFYは長年に亘り日本中の顧客により使用されメンテナンスされてきており、現在もそうである。特に、2007年の5月11日から過去3年に亘り継続使用されてきている。
(3)同封した証拠Bは日本国で用いられているCLARIFYの例であり、これらはすべて2007年5月11日より過去3年間継続的に使用されている。
等に関して、「宣誓内容が真実であることを信じ、良心にのっとり、かつ、日本国の法律に基づき正式にこの宣誓を行う。」旨記載されていることが認められる。
そして、この宣誓内容である上記(3)で述べている証拠Bのうち、日本語で作成されたパンフレットには、本件商標を白黒反転させて表したにすぎない商標が記載されており、これは本件商標とは社会通念上同一のものと認められる。
上記の日本アムドックス株式会社は、被請求人(商標権者)と業務上密接な関係にある日本法人であることからすると、本件商標の通常使用権の許諾がされていたものと推認される。
また、乙第5号証及び乙第6号証の宣誓供述書の内容が真実でないとする特段の理由は見出せないものである。
3 以上を総合すると、通常使用権者は、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標の指定商品の範疇に含まれる商品「統合顧客管理システムのためのソフトウェア」に付して販売していたものとみるのが自然である。
なお、請求人は、平成20年8月28日付けで、審理再開申立書を提出し、併せて弁駁の内容を記載しているところ、当合議体は、その弁駁の内容を徴するも、前記判断に影響を与えるものとは認められないことから、審理を再開する必要がないと判断した。
4 したがって、本件商標は、その指定商品に含まれる商品「統合顧客管理システムのためのソフトウェア」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により使用されていたものというべきであるから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標




審理終結日 2008-08-11 
結審通知日 2008-08-13 
審決日 2008-09-03 
出願番号 商願平11-52809 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 幸一 
特許庁審判長 林 二郎
特許庁審判官 岩崎 安子
杉山 和江
登録日 2001-06-01 
登録番号 商標登録第4479186号(T4479186) 
商標の称呼 クラリファイ 
代理人 小出 俊實 
代理人 幡 茂良 
代理人 橋本 良樹 
代理人 石川 義雄 
代理人 鈴江 武彦 

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