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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09
管理番号 1187480 
審判番号 取消2007-300498 
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-04-19 
確定日 2008-10-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第4205112号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4205112号商標(以下「本件商標」という。)は、「Clarify」の文字を標準文字により表してなり、平成9年5月15日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として同10年10月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用について
本件商標は、甲第1号証に記載のとおりである。
請求人としては、被請求人が使用を主張している商標は、乙第2号証、乙第3号証及び乙第4号証に添付した証拠B、並びに乙第5号証に記載されているものと理解する。
(ア)乙第2号証並びに乙第3号証及び乙第4号証に添付した証拠Bに記載されている商標と本件商標との同一性について
(i)上記各書面に記載されている商標(以下「乙第2号証等商標」という。)は、欧文字「ClarifyCRM」であり、本件商標に含まれていない欧文字「CRM」を含んでいる。
したがって、本件商標と乙第2号証等商標とは外観が異なる。
(ii)乙第2号証等商標は、「Clarify」と「CRM」の間にスペースを空けることなく、まとまりよく一体不可分的に描かれている。
また、「ClarifyCRM」から生じると思われる称呼「クラリファイシーアールエム」又は「クラリファイクラム」は、一気一連に称呼できるものである。
したがって、本件商標と乙第2号証等商標とは称呼が異なる。
(iii)被請求人は、「CRM」は「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」の略語であることを説明し、同部分は「Clarify」ソフトウェアの品質・用途を端的に表示している旨を主張している。
被請求人の上記意見に従うならば、乙第2号証等商標からは、「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント用のClarify」程の観念が生じることになり、本件商標と観念を異にする。
(iv)以上、本件商標と乙第2号証等商標とは、外観・称呼・観念において異なるので社会通念上同一とは認められない。
(イ)乙第5号証に記載されている商標と本件商標との同一性について
(i)乙第5号証に記載されている商標(以下「乙第5号証商標」という。)は、欧文字「amdocs」、「clarify」、「crm」並びに赤色、濃い黄色、薄い黄色及び青色で描かれた4つの四角形から構成されており、本件商標と外観は全く異なる。
被請求人は、「amdocs」は「Clarify」製品の供給者を示し、「crm」は「Clarify」ソフトウェアの品質・用途を表示していると主張し、「Clarify」部分がペットネームとして機能していることは明白と述べている。
しかしながら、「amdocs」が「Clarify」製品の供給者を表示するとの主張は、証拠による裏付けを欠く被請求人の単なる主張にすぎない。また、「crm」については、取引者・需要者が辞書・事典を引かずとも、その内容を把握・認識できる程、日本国内において知られている語句とも認められない。
したがって、「clarify」部分がペットネームとして機能している、という被請求人の主張は、根拠に基づかない被請求人の独断的主張にすぎず、到底認められない。
仮に、被請求人の上記主張(「amdocs」が「Clarify」製品の供給者を表示する、「crm」は「Clarify」ソフトウェアの品質・用途を表示する)が認められたとすると、乙第5号証商標からは、「amdocsが供給するカスタマー・リレーションシップ・マネジメント用のClarify」程の観念が生じることになり、本件商標と観念を異にする。
また、乙第5号証商標から生じると思われる称呼「アムドックスクラリファイシーアールエム」、「アムドックスクラリファイクラム」又は「アムドックスクラリファイ」は、本件商標から生じる称呼「クラリファイ」と異なる。
(ii)以上、本件商標と乙第5号証商標とは、外観・称呼・観念において異なるので社会通念上同一とは認められない。
(2)本件商標が、本件審判の請求に係る指定商品に使用されていることについて
被請求人は、「Clarify」ソフトウェアが販売されていた、と主張するのみで、「Clarify」ソフトウェアに本件商標が付されている事実を証明していない。
したがって、本件商標が、本件審判の請求に係る指定商品に使用されていることは証明されていない。
(3)被請求人の提出に係る証拠が本件商標の使用事実の証拠にならないことについて
被請求人が提出した各証拠は、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を、継続して使用していたことを証明する証拠(以下「本件商標の使用事実の証拠」という。)とならない。
この点について、証拠ごとに検討する。
(ア)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が、Notel Networks社の「Clarify」部門を買収した事実を記載するのみである。
したがって、乙第1号証は本件商標の使用事実の証拠とならない。
(イ)乙第2号証について
被請求人は、株式会社CIJあるいは被請求人を通じて、ソフトウェアが販売されている旨を述べている。そして、請求人は、乙第2号証によって、被請求人がソフトウェアを販売している事実を証明しようと試みたものと考える。
この点、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用を証明しなくてはならない。
しかしながら、乙第2号証には、その発行時の記載がなく、乙第2号証によっては、本件商標の使用時期は証明されない。
また、上述のとおり、本件商標と乙第2号証商標とは、社会通念上同一と認められない。
したがって、乙第2号証は本件商標の使用事実の証拠とならない。
(ウ)乙第3及び同第4号証について
被請求人は、日本アムドックス株式会社の代表取締役社長及び被請求人の副本部長の宣誓供述書を提出している。
しかしながら、上記書面に記載されているのは、ソフトウェア(CLARIFY)が使用されてきていること、同ソフトの再販者、顧客等についての情報にすぎない。すなわち、乙第3号証及び乙第4号証は、ソフトウェアに本件商標が付されていることを証明していない。
また、乙第3号証及び乙第4号証に添付した証拠Bには、1つの書面を除き、日付が記載されていない。したがって、同証拠Bによっては、本件商標が、本件審判請求登録前3年以内に使用されたことは証明されない。
唯一日付が記載されている書面(文書番号 R0058)には、「2007年6月現在」の記載がある。しかしながら、同書面からは、本件商標が、商品に付されていることは明らかでない。むしろ、「Clarify 各バージョン」という記載があることから、本件商標と他の文字・図形等が組合わされて使用されていることが容易に推測される。
したがって、乙第3号証及び乙第4号証は本件商標の使用事実の証拠とならない。
(エ)乙第5号証について
乙第5号証は、株式会社CIJのウェブサイトである。
しかしながら、乙第5号証には、株式会社CIJがソフトウェアを販売している旨の記載はなく、「開発元:米国 Amdocs」、「国内販売元:アムドックス」の記載がある。
同事実からすると、株式会社CIJがソフトウェアを販売しているという被請求人の主張は、乙第5号証の記載と異なる。
また、被請求人と株式会社CIJとの関係を全く説明しておらず、株式会社CIJが使用権を有することは証明されていない。
さらに、上述のとおり、本件商標と乙第5号証商標とは、社会通念上同一と認められない。
したがって、乙第5号証は本件商標の使用事実の証拠とならない。
(オ)乙第6号証について
乙第6号証は、用語説明のために提出されたものであり、本件商標の使用を証明するものではない。
したがって、乙第6号証は本件商標の使用事実の証拠とならない。
(4)まとめ
以上述べたとおり、被請求人の提出した書類によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、継続して使用されていることは証明されていない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(証拠A及び証拠Bを含む。)を提出している。
以下に述べるように、被請求人は、本件商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国において現実に使用しているものである。
(1)被請求人は1982年に設立された法人であって、2001年にNotel Network社の「Clarify」部門を買収した(乙第1号証)。被請求人が本件商標を使用している商品がこの「Clarify」、即ち、統合顧客管理システムのためのソフトウェアであって、被請求人の日本法人である日本アムドックス株式会社、あるいは株式会社CIJ等を通じて我が国の顧客に対して販売されている。
乙第2号証として提出するのは、「Clarify」製品の説明書である。本説明書は英語で作成されているが、その3頁には、「Viewing Japanese Translation(日本での使用における変換についての説明)」の項目があり、当該項目においては以下のような記載がある。
日本における使用に際して適切な変換、フォントの表示を確実にするべく、以下の手順を実行してください。
1.Actuateサーバーをスタートさせる前にenvファイルにおける次のシンボルを規定してください。
2.AC SERVER HOME/etc/acserverconfig.xmlファイルにおいて、次のタグを設定してください。
3.AC SERVER HOME/lang.iniファイルにおいて、フルパスネームを用いてCLFY TRANSLATION FILE トークンをClfyTranslationKanji.txtファイルに設定してください。両ファイルが同じディレクトリにあってもこれを行ってください。
(2)また、乙第3号証及び乙第4号証として提出する宣誓供述書に添付した証拠Bには、日本語で作成された日本の顧客向けの「Clarify」製品のパンフレットが含まれている(なお、乙第4号証の被請求人の宣誓供述書に添付されるべき証拠A及び証拠Bは、乙第3号証の日本アムドックス株式会社の宣誓供述書に添付された証拠A及び証拠Bと各々同じものである。)。
(3)更に、株式会社CIJのウェブサイトにおいては、「Clarify」製品について以下のような紹介がされている(乙第5号証)。
「amdocs Clarify CRM」は、統合顧客管理システムのためのソフトウェア製品群です。これにより、多種多様な顧客ニーズに対し、効率的かつ的確に応じることができ、顧客を見据えた業務の効率化、ビジネスチャンスの獲得を確実に実現できます。
全世界で、サービス業をはじめ、金融、公共、通信、製造、開発等、様々な分野の約650社、約111,000ライセンスの導入実績を持ちます。
国内導入は、1996年末に後発でスタートしましたが、製品に対する米国、欧州における高い評価等により、50社60サイトを数えるまでに伸びております。
国内導入実績
株式会社アドバンテスト エプソン販売株式会社 シャープ株式会社 株式会社ジー・サーチ 住友金属工業株式会社 日本オフィス・システム株式会社 日本電気株式会社 富士通株式会社 モトローラ株式会社 株式会社リコー
(4)「Clarify」ソフトウェアが過去3年間、我が国において、被請求人あるいは株式会社CIJを通じて販売されていたことは上記したとおりであるところ、この「ソフトウェア」が本件商標の指定商品に含まれるものであること詳述するまでもなく明らかである。
そして、乙第2号証の「製品の説明書」並びに乙第3号証及び乙第4号証に添付した証拠Bに含まれているパンフレット上には大きく「ClarifyCRM」の表示があるところ、この「CRM」は「顧客に関する情報を収集・分析し、顧客ごとに適切なアプローチを行うことによって長期的視点から良好な関係を築いて自社の顧客として囲い込み、収益率の極大化を図るマーケティング手法。年齢・性別等の基本属性に加え、購買履歴、購買後のクレーム等、顧客の消費行動に関する情報をデータベース化し、解析することによって、顧客の将来における消費行動の予測を行い、各顧客の特徴に合わせた商品や販売方法を提案する。」ことを意味する「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」の略語であって(乙第6号証)、「Clarify」ソフトウェアの品質・用途を端的に表示する用語である。
したがって、「Clarify」の部分が要部として機能していることは明らかである。
また、乙第5号証のウェブサイトにおいては、青い細線で表記した「amdocs」の文字を左端に、青い太線で表記した「clarify」の文字を中央に、濃い紺色で表記した「crm」の文字を右端に各々配したものが画面上顕著に表示されているものであるところ、「amdocs」は「Clarify」製品の供給者である被請求人のことを指し、「crm」は上記したとおりであるから、この表示においても、「clarify」の部分がペットネームとして機能していること明白である。
(5)以上説明したように、商標権者である被請求人は、被請求人の日本法人である日本アムドックス株式会社、株式会社CIJ等を通じて、本件審判の請求の登録前3年以内に、我が国において、本件商標と社会通念上同一性を有する商標を請求に係る商品について使用していることを証明したので、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 乙第1号証は、被請求人のウェブサイトの写しと認められるところ、「会社沿革」の見出しの下に、被請求人は1982年に設立され、2001年にNotel Network社の「Clarify」部門を買収したことが記載されている。
そして、被請求人は、「本件商標を使用している商品は、この『Clarify』、即ち、統合顧客管理システムのためのソフトウェアであって、被請求人の日本法人である日本アムドックス株式会社、あるいは株式会社CIJ等を通じて我が国の顧客に対して販売されている。」旨主張している。
2 被請求人の提出に係る乙第3号証は、被請求人の日本法人である日本アムドックス株式会社の代表取締役社長の宣誓供述書及びその訳文と認められ、また、乙第4号証は、被請求人の副本部長の宣誓供述書及びその訳文と認められるところ、これによれば、
(1)日本アムドックス株式会社はソフトウェアCLARIFYを2001年に購入し、日本国を含む世界中でこの商標を採用し使用してきた。
(2)ソフトウェアCLARIFYは長年に亘り日本中の顧客により使用されメンテナンスされてきており、現在もそうである。特に、2007年の5月11日から過去3年に亘り継続使用されてきている。
(3)同封した証拠Bは日本国で用いられているCLARIFYの例であり、これらはすべて2007年5月11日より過去3年間継続的に使用されている。
以上に関して、「宣誓内容が真実であることを信じ、良心にのっとり、かつ、日本国の法律に基づき正式にこの宣誓を行う。」旨記載されていることが認められる。
そして、この宣誓内容である上記(3)で述べている証拠Bの日本語で作成されたパンフレットには、「Clarify」又は「CLARIFY」の文字を含む商標が掲載されており、これらは、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
上記の日本アムドックス株式会社は、被請求人(商標権者)と業務上密接な関係にある日本法人であることからすると、本件商標の通常使用権の許諾がされていたものと推認される。
また、乙第3号証及び乙第4号証の宣誓供述書の内容が真実でないとする特段の理由は見いだせないものである。
3 以上を総合すると、通常使用権者は、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標の指定商品の範疇に含まれる商品「統合顧客管理システムのためのソフトウェア」に付して販売していたものとみるのが自然である。
4 したがって、本件商標は、その指定商品に含まれる商品「統合顧客管理システムのためのソフトウェア」について、本件審判の請求の登録前3年以内の期間に日本国内において、通常使用権者により使用されていたものというべきであるから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-08-18 
結審通知日 2008-08-21 
審決日 2008-09-02 
出願番号 商願平9-116007 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高野 義三守屋 友宏 
特許庁審判長 林 二郎
特許庁審判官 岩崎 安子
杉山 和江
登録日 1998-10-30 
登録番号 商標登録第4205112号(T4205112) 
商標の称呼 クラリファイ 
代理人 幡 茂良 
代理人 小出 俊實 
代理人 石川 義雄 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 橋本 良樹 

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