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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y3742
審判 全部申立て  登録を維持 Y3742
審判 全部申立て  登録を維持 Y3742
管理番号 1186258 
異議申立番号 異議2007-685004 
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-11-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2007-07-17 
確定日 2008-08-04 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第863764号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第863764号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第863764号商標(以下「本件商標」という。)は、「eMST」の欧文字を横書きしてなり、2005(平成17)年6月28日にFinlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年7月4日を国際登録の日とし、第37類「Installation,maintenance and repair of air conditioning apparatus,computer hardware,electric appliance,measuring and testing machines and instruments,medical machines and apparatus,metalworking machines and apparatus.」及び第42類「Computer software design.」を指定役務として、平成19年4月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第54号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、平成9年7月28日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計に関するコンサルティング,電子計算機入力データの作成・加工及び編集,コンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸」及び第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品及び指定役務として、同11年12月17日に設定登録された登録第4345245号商標(以下、「引用商標1」という。)と「エムエステイ」の称呼を共通にする類似の商標であって、その指定役務においても同一のものを含むものであるから、その指定役務中、第42類に属する役務について、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本件商標は、申立人の著名な略称又は申立人を表す標章として全国的に広く一般に知られている「MST」の文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)及び別掲(2)に示すとおりの構成からなる商標(以下「引用商標3」という。)に類似するものである。
したがって、本件商標が、その指定役務中、第42類の指定役務に使用された場合には、その役務の需要者、取引者は、本件商標を申立人の著名な略称に係るものと誤認するとともに、申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるおそれがあり、また、第37類の指定役務に使用された場合には、同様に、その役務の需要者、取引者は、本件商標を申立人の著名な略称に係るものと誤認することが明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第8号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり「eMST」の欧文字からなるところ、その構成中の「e」及び「MST」の各欧文字は、小文字と大文字の差異はあるものの外観上まとまりよく一体に表されていて、全体から生ずる「イイエムエステイ」の称呼も格別冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼できるものである。
そうすると、本件商標は、構成文字全体に相応して「イイエムエステイ」の称呼のみを生ずるものであって、特定の語義を有しない造語を表したものとみるのが自然であり、また、他に構成中の「MST」の文字部分が独立して認識されるとみるべき特段の事情も見いだせない。
他方、引用商標1は、別掲(1)のとおり、文字と図形からなるところ、申立人が主張するとおり、その構成中の右中央部に顕著に表された「MST」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、その文字部分に相応して、「エムエステイ」の称呼を生ずるものであって、特定の語義を有しない造語を表したものというのが相当である。
そこで、本件商標から生ずる「イイエムエステイ」の称呼と、引用商標1から生ずる「エムエステイ」の称呼を比較すると、両称呼は、称呼の識別において明瞭に聴別し得る語頭部分における「イイ」の音の有無という顕著な差異により、明らかに区別することができるものである。
そして、本件商標と引用商標1とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、また、両商標とも親しまれた既成の観念を有する成語を表したものといえないから、観念上両商標を比較することもできない。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号及び同第8号について
ア 申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、先端的な科学技術分野における新材料に関する基礎的研究、先端的な科学技術分野における新材料に関する解析・評価及び、半導体及びこれに関連する装置に関する基礎的研究等の事業を行う公益法人であって、「MST」は、申立人の名称の英文表記に基づく申立人の略称であること(甲第9号証及び甲第10号証(枝番号を含む))。
(イ)申立人は、「MST」の文字を、申立人の名称と共に、申立人のウエブページ及びパンフレット・封筒等の配付資料に使用していること(甲第10号証及び甲第47号証ないし甲第49号証(枝番号を含む))。
(ウ)申立人は、フラットパネルディスプレイの展示会である「フラットパネル ディスプレイ研究・開発技術展(ファインテック・ジャパン)」に平成5年から平成18年までの間、また、半導体製造装置・材料の展示会である「セミコン・ジャパン」に、平成6年から平成18年までの間、継続して出展し、何れの展示会においても申立人の展示ブースに「MST」の文字を表示していたこと(甲第11号証ないし甲第16号証(枝番号を含む))。
(エ)申立人は、半導体産業新聞他の各種新聞・雑誌及び応用物理学会の名簿・資料等に、平成4年度から平成19年度までの間、継続して自身の広告を掲載し、その広告欄に申立人の名称と共に、「MST」の文字を使用していたこと(甲第17号証ないし甲第25号証及び甲第27号証ないし甲第40号証(枝番号を含む))。
(オ)雑誌「金属」及び化学工業日報等の各種新聞における申立人の紹介記事に、申立人の名称と共に、「MST」が使用されていること(甲第26号証及び甲第41号証ないし甲第46号証)。
イ 以上認定した事実から、「MST」の文字は、化学・工業に関する分野、特に、申立人の主たる業務である新材料に関する分析・評価事業に関連する分野においては、申立人の名称の略称としてある程度の周知性を得ていたことが認められる。
しかしながら、申立人の広告や紹介記事が掲載された新聞・雑誌等の出版物及び申立人が継続して出展をしている展示会等は、半導体や電子材料等を中心とした化学・工業関係に限られることから、これらの証拠からは、「MST」の文字が、申立人の名称の略称として、当該分野を超えて一般の需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
ウ また、申立人は、材料等の分析・評価の実施及びその結果を活用する上で、分析機器と共にソフトウエアが不可欠であり、分析用のソフトウエアが販売又は開発・提供されていること、さらに、申立人も顧客に対し当該ソフウエアを提供していること等から、需要者、取引者にとって、申立人が顧客の求めに応じて、分析に関するソフトウエアを設計し提供することが、十二分に予想される旨主張し、甲第50号証ないし甲第54号証(枝番号を含む)を提出している。
しかしながら、これらの証拠は、分析用ソフウエアの販売又は開発・提供をする業者が存在することを立証するもの、また、本人の使用にあっても、申立人が行う業務である分析に関するデータの表示・加工等をサポートするソフトウエアを顧客に無償で提供していることを立証するものであって、これらの証拠からは、「MST」の文字が、申立人の略称又は商標として、本件商標に係る第37類及び第42類に含まれる役務の取引者及び需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
エ 上記のとおり、「MST」の文字は、申立人の略称又は商標として本件商標に係る指定役務の需要者の間に広く認識されているものとはいえない。
そうすると、「e」と「MST」の各欧文字を外観上まとまりよく一体的に表してなる本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者が「MST」の文字部分に着目して、直ちに引用商標2及び引用商標3ないし申立人を連想し、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
また、上記のとおり、「MST」の文字は、申立人の名称の略称として、本件商標に係る指定役務のみならず、広く一般に著名になっているものともいえないから、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含むものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第8号に該当しない。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】


異議決定日 2008-07-18 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (Y3742)
T 1 651・ 23- Y (Y3742)
T 1 651・ 271- Y (Y3742)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大島 勉 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 酒井 福造
小林 由美子
登録日 2005-07-04 
権利者 ABB Oy
商標の称呼 イイエムエステイ、エムエステイ 
代理人 石川 義雄 
代理人 小出 俊實 
代理人 竹沢 荘一 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 中馬 典嗣 

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