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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y09
管理番号 1186082 
審判番号 不服2007-13253 
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-07 
確定日 2008-09-10 
事件の表示 商願2005-121322拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり、波の形を表すように左側の一部が切り取られた黒色長方形内中央に白抜きで大きく「wave」の欧文字を横書きし、その右下にこれより小さく「BIOTECH」の欧文字を横書きした構成よりなり、商標法第10条第1項の規定に基づき、平成17年1月21日登録出願された2005年商標登録願第4405号に係る商標登録出願を分割し、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月26日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同18年6月16日付け手続補正書により、第9類「実験用液体混合機,実験・研究用の細胞培養用の使い捨てのプラスチック製のバイオリアクター,実験・研究用のその他の細胞培養用のバイオリアクター,実験・研究用のその他のバイオリアクター,実験用プラスチック製チューブ及びその他の実験用チューブ,実験用プラスチック製袋,その他の実験用機械器具,研究・実験用細胞培養用プラスチック製袋,その他の理化学機械器具」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第1489228号商標(以下「引用商標1」という。)は、「BIOTEC」の欧文字を横書きしてなり、昭和52年10月25日に登録出願、第10類「理化学機械器具、医療機械器具、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同56年11月27日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品を第5類「医療用腕環」、第9類「理化学機械器具」、第10類「医療用機械器具」及び第12類「車いす」とする指定商品の書換登録が平成15年6月18日になされたものである。
(2)登録第1711784号商標(以下「引用商標2」という。)は、「バイオテック」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和56年8月11日に登録出願、第10類「理化学機械器具、医療機械器具、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同59年9月26日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品を第9類「理化学機械器具」及び第10類「医療用機械器具」とする指定商品の書換登録が平成16年12月8日になされたものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、構成中上段の「wave」の欧文字は、全て小文字で構成され中央に大きく筆書き風の書体で白抜きされているのに対し、構成中下段の「BIOTECH」の欧文字は、全て大文字で構成され右下に一般に用いられるゴシック体で白抜きされているものであるから、上段と下段の各文字は、文字の大きさ書体から受ける印象が大きく異なり視覚上分離して看取され得るものとみるのが相当である。そして、上段の「wave」の文字は、英語で「波」の意味を有する語であるのに対し、下段の「BIOTECH」の文字は、2002年3月株式会社研究社発行の「新英和大辞典」によれば、「BIOTECHNOLOGY」の略語であって「生命工学」の意味を有するものであるところ、両語をあわせて、一連の熟語として特定の意味合いを有するものとはいい難く、その他、両者を常に一体不可分のものとして、称呼、観念しなければならない格別の理由も見いだせないものである。
そうとすれば、本願商標は、上段と下段の各文字がそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るというべきものであるから、各段の文字部分より生ずる「ウェーブ」又は「バイオテック」の称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その構成全体から生ずる「ウェーブバイオテック」の称呼のほかに、各段の構成文字部分に相応して「ウェーブ」と「バイオテック」の称呼及び「波」と「生命工学」の観念をも生ずるものといわなければならない。
一方、引用商標1及び引用商標2は、「BIOTEC」又は「バイオテック」の文字からなるから、それぞれの構成文字に相応して「バイオテック」の称呼を生ずるものである。そして、引用商標1は造語よりなるものであるから特定の観念を生じないものであるが、引用商標2は「BIOTECHNOLOGY」の略語である「BIOTECH」の読みを表したものと理解されるものであるから、「生命工学」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
そうすると、本願商標と引用商標1及び引用商標2とは、いずれも「バイオテック」の称呼を共通にするものである。
そして、本願商標は、上記したとおり、各段の文字部分より生ずる称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものであることからすると、構成中の「BIOTECH」の文字部分から「生命工学」の観念をも生ずるものとみるのが相当であるのに対し、引用商標1は造語よりなるものであるから、両者を観念上比較することはできないが、外観について比較すれば、両者は語尾における「H」の有無に差異を有するにすぎず、時と所を異にして、これらに接する場合には、当該構成文字の綴りを語頭から6文字目まで共通にする点で、外観上近似した印象、記憶、連想等を生じさせるものである。
また、引用商標2は、本願商標の構成中の「BIOTECH」の文字部分の読みと同一の「バイオテック」の文字からなるものであるから、本願商標の構成中の「BIOTECH」の文字部分とで比較すれば、両者は、いずれも「生命工学」の観念を共通にするものということができ、かつ、外観について比較すれば、前者が欧文字で後者が片仮名文字と文字の種類が異なるとしても、外観上の差異が前記のとおりの称呼及び観念における共通性を凌駕する程のものとはいえないものである。
そうすると、本願商標と引用商標1とは、観念について比較できないとしても、独立して自他商品の識別機能を果たし得る本願商標の構成中の「BIOTECH」の文字部分に着目して両者を比較すれば、外観上もある程度近似しており、かつ、称呼を共通にするものであり、また、本願商標と引用商標2とは、外観において相違するとしても、称呼及び観念を共通にするものであるから、本願商標と引用商標1及び引用商標2とは、全体として類似の商標とみるのが相当であり、かつ、その指定商品も互いに同一又は類似するものである。
なお、請求人(出願人)は、「本願商標の構成文字全体を常に一体不可分のものとしてのみ認識しなければならないことを示す証拠として甲第18号証ないし甲第20号証を提出する。」旨主張しているが、甲第18号証は、Wave Biotech社の知的財産がスイスの会社に無断で使用されたことについて法的措置を執った旨記載されたインターネット上でのたった1件の記事の写しにすぎず、甲第19号証は、請求人(出願人)が、前記記事を発行したWave Biotech LLCグループの一員であることを示すものにすぎず、さらに、甲第20号証は、請求人(出願人)が「wave」の文字を一部に有する商標についてした日本国商標登録出願並びに登録商標のリストにすぎないものであって、いずれの証拠も本願商標の「wave」の文字と「BIOTECH」の文字とが常に一体不可分のものとして取引者・需要者の間に認識されていると認め得る証拠にはならないものである。
また、請求人(出願人)は「本願商標においては、波の図形と『BIOTECH』の文字より遙かに大きな書体で記載されている『wave』の文字が最も自他識別力を発揮する部分であるから、本願商標から生ずる称呼は、『バイオテック』ではなく、『ウェーブバイオテック』であって、『バイオテック』又は『バイオテク』なる称呼を有する引用商標1及び引用商標2とは、称呼上非類似である。」旨主張しているが、本願商標の「wave」と「BIOTECH」の文字の一体性は、前記したとおり、乏しいと言わざるを得ないものであり、それぞれの文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部となり得ること前記したとおりである。
したがって、請求人(出願人)のいずれの主張も採用することができない。
以上のとおり、本願商標は、引用商標1及び引用商標2と類似するものであるから、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものとして拒絶した原査定は、妥当なものであり、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標


審理終結日 2008-03-26 
結審通知日 2008-04-01 
審決日 2008-04-30 
出願番号 商願2005-121322(T2005-121322) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金子 尚人山田 正樹茂木 祐輔 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 津金 純子
安達 輝幸
商標の称呼 ウエーブバイオテック、ウエーブ、バイオテック、ビオテック、ウエーブビオテック 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 松本 研一 
代理人 吉武 賢次 
代理人 宮城 和浩 
代理人 塩谷 信 

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