• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
取消200231449 審決 商標
取消200530221 審決 商標
取消2008300287 審決 商標
審判199830739 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025
管理番号 1185994 
審判番号 無効2006-89085 
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-06-27 
確定日 2008-10-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第3340430号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3340430号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3340430号商標(以下「本件商標」という。)は、「USBEAR」の文字を書してなり、平成7年7月17日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同9年7月3日に登録査定、同年8月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、下記のとおりである。
1)登録第2667318号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)に示すとおり、「BeaR」の文字を横書きしてなり、平成3年10月16日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年5月31日に設定登録、その後、同15年12月24日に商標権存続期間の更新登録、さらに、その指定商品及び商品の区分については、同16年5月12日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする書換の登録がされたものである。
2)登録第4345512号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、平成7年5月2日に登録出願、第25類「パーカ,絶縁材からなるジャケット,レザージャケット,防寒用帽子,履物」を指定商品として、同11年12月17日に設定登録されたものである。
3)登録第4376738号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成からなり、1995年1月24日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成7年7月24日に登録出願、第25類「パーカ,絶縁材からなるジャケット,レザージャケット,防寒用帽子,ヘッドバンド」を指定商品として、同12年4月14日に設定登録されたものである。
4)登録第4419411号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(4)に示すとおりの構成からなり、平成8年3月6日に登録出願、第25類「アメリカ製のパーカ,アメリカ製のジャケット,アメリカ製のティーシャツ,アメリカ製のパンツ,その他のアメリカ製の下着,アメリカ製のジャージー生地からなる長袖シャツ,アメリカ製のデニム生地からなるズボン,アメリカ製のデニム生地からなるその他の被服,アメリカ製の防寒用帽子,アメリカ製の履物」を指定商品として、同12年9月22日に設定登録されたものである。
5)登録第4419412号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(5)に示すとおりの構成からなり、平成8年3月6日に登録出願、第25類「パーカ,ジャケット,ティーシャツ,パンツ,その他の下着,ジャージー生地からなる長袖シャツ,デニム生地からなるズボン,デニム生地からなるその他の被服,防寒用帽子,履物」を指定商品として、同12年9月22日に設定登録されたものである。
6)登録第4985520号商標(商願2000-140040)(以下「引用商標6」という。)は、別掲(6)に示すとおりの構成からなり、平成12年12月27日に登録出願、第25類「被服,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同18年9月8日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめていうときには、単に「引用商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第78号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その構成中の「BEAR」の文字部分より「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるとともに、全体より「アメリカの熊」の観念を生ずるから、他人(請求人)の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用するものであり、公正な取引秩序を害するおそれがある商標である。
2 本件商標と引用商標との類似について
本件商標「USBEAR」は、その構成上「ユーエスベアー」の称呼を生じ、「アメリカの熊」の観念を生ずるものである。
また、本件商標の構成中の「US」の文字部分は、例えば、「USAF」(United States Air Force)(アメリカ空軍)、「USGA」(United States Golf Association)(アメリカゴルフ協会)、「USTR」(United States Trade Representative)(アメリカ通商代表部)、「USPTO」(United States Patent and Trademark Office)(アメリカ特許商標庁)というように、「United States」(アメリカ合衆国)の略として広く知られている語である。
そして、本件商標の指定商品の分野においては、アメリカ製の商品が多数輸入・販売されていることから、本件商標に接する取引者、需要者は、「US」の文字部分をアメリカ製の商品、すなわち商品の産地を表示したものと認識するというのが相当である。
してみると、「US」の文字部分は、自他商品識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものであるから、「BEAR」の文字部分が自他商品識別標識としての機能を果たす部分と認識され、これより「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものである。
これに対して、引用商標からは、「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものであり、そのうち特に引用商標2、4及び6からは、その構成上、「ベアーユーエスエー」の称呼を生ずるほか、「ユーエスエーベアー」の称呼をも生ずる余地があり、「アメリカの熊」の観念を生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「ユーエスベアー」の称呼と引用商標2、4及び6から生ずる余地のある「ユーエスエーベアー」の称呼を比較すると、両者は、中間において「エー」の音の有無の差異を有するにすぎず、それぞれより生ずる観念の共通点もあって、両者は、称呼上彼此相紛れるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念上類似の商標というべきである。
3 請求人の商標の著名性
(1)請求人は、「Bear U.S.A.,Inc.」を商号としており、それに由来する黒の輪郭線で描いてなる特徴ある熊の図形と「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標(以下「請求人標章」という。)を使用して、1994年(平成6年)より、アメリカ、日本においてジャケット、パーカ、靴等の製造、販売を行ってきた。
(2)請求人標章を使用した商品は、その品質、デザインが若者を中心とする需要者間においてストリートファッション用アイテムとして大いにヒットし、これが1995年(平成7年)にアメリカの人気音楽番組「MTV」にとり上げられた(甲第9号証,甲第21号証5枚目)ことで爆発的な人気を博した。
(3)その人気の余波は日本、イギリスにも及び、請求人標章は、当業者のみならず需要者間においても広く知られるに至った。
(4)請求人標章を使用した商品が人気を博すにつれ、請求人標章のみならず商品そのものも「THE SOURCE」(ヒップホップミュージック誌)等の各種雑誌に掲載された結果、益々その人気は高まった(甲第9号証ないし甲第21号証及び甲第26号証)。
(5)請求人は、当該商品の普及のために、パンフレットを作成して、アメリカ国内はもとより、日本、イギリスの商社、バイヤー等を通じて広く配布するとともに、「VIBE」、「ASAYAN」、「繊研新聞」等の雑誌や新聞にも積極的に広告を掲載した。
(6)その結果、請求人標章は、本件商標の登録出願(平成7年7月17日)前には、その商品の取引者、需要者間において著名となっていた(甲第9号証ないし甲第11号証,甲第14号証,甲第20号証及び甲第21号証,甲第26号証,甲第41号証ないし甲第43号証)。
(7)請求人標章を使用した商品があまりにも人気を博したことから、我が国に大量の偽物が出回ったため、請求人は、一時、日本への出荷を停止せざるを得ない状況に追い込まれた(甲第41号証)。
(8)また、平成8年4月25日には、偽商品を販売していた業者が摘発されたとの記事が新聞に掲載された(甲第42号証)。
(9)こうした状況を打開すべく、請求人は、1996年(平成8年)4月以降、新聞、雑誌に偽商品に対する「警告広告」あるいは「注意広告」を幾度も掲載した(甲第28号証ないし甲第39号証、甲第43号証ないし甲第52号証)。
(10)上述のとおり、請求人標章は、著名となっており、それをとり上げた新聞、雑誌等の記事中では、「ベアユーエスエー」あるいは単なる「ベアー」としても紹介される程となった。
(11)請求人は、我が国に大量の偽物が出回ったことで、請求人標章の顧客吸引力(グッドウイル)が稀釈化されつつあったため、請求人標章をより商品に適した構成とすべく、平成8年(1996年)より、黒の輪郭線で描いてなる特徴ある熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「Bear」の文字を配した構成よりなる商標又は当該横長の輪郭線の下又は右に「USA」の文字を横又は縦に配してなる商標(引用商標4ないし6:甲第5号証ないし甲第7号証)へと変更し、それ以来、引用商標4ないし6を使用している。
このことから、引用商標4ないし6は、我が国の需要者、取引者間において周知、著名となった。
(12)このように、請求人は、請求人標章の態様を引用商標4ないし6に変更したため、請求人標章の著名性を立証する証拠は、本件審判において提出した程度しか示せない状況であるが、テレビで取り上げられ、雑誌に掲載されて、偽商品が大量に出回ったことは、請求人標章の周知・著名性の獲得を如実に物語っている。
4 請求人商標と被請求人商標の登録出願及びその後の経過
(1)1994年(平成6年)に、請求人は、アメリカ合衆国において請求人標章を使用した商品「ダウンジャケット」等の製造、販売を開始した。当該商品の品質、デザインは、若者を中心とする需要者間にストリートファッション用アイテムとして大ヒットした。1995年(平成7年)に、これがアメリカの人気音楽番組「MTV」にとり上げられたことで爆発的な人気を博した。請求人は、請求人標章を使用した当該商品がアメリカでヒットしたことから、日本でも事業を展開することとした。
(2)1995年(平成7年)5月2日に、請求人は、別掲(2)に示す引用商標2を登録出願した。
請求人は、1995年(平成7年)の初頭頃に、別掲(1)に示す「BeaR」の文字よりなる件外他人の登録第2667318号商標(引用商標1)が請求人の引用商標2の拒絶理由に引用されると推測し、その商標権者と譲渡交渉を開始した。
1996年(平成8年)に、引用商標1が請求人に移転された結果、請求人の引用商標2も平成11年(1999年)に登録された。
(3)平成7年7月17日に、被請求人は、「USBEAR」の文字よりなる本件商標を登録出願した。
(4)平成7年7月24日に、請求人は、別掲(3)に示す引用商標3を登録出願した。
(5)平成8年2月、請求人標章が若者の支持を獲得し、著名であるということが雑誌「Boon」に掲載された。
(6)平成8年3月6日に、請求人は、別掲(4)及び(5)に示す引用商標4及び5を登録出願した。
(ア)引用商標4及び5は、日本に偽商品が大量に出回ったことに対し、請求人標章をより商品にマッチしたものに変更したものだった。
(イ)平成8年4月8日、我が国に偽商品が大量に出回ったことに対し、請求人が対日輸出を停止したことが繊研新聞に報じられた。
(ウ)平成8年4月25日、請求人標章の偽ブランド品の摘発が繊研新聞に報じられた。
(エ)請求人は、新聞や雑誌に偽商品への「警告広告」又は「注意広告」を多数掲載した。
(7)平成8年7月19日に、請求人は、請求人標章の権利範囲を強化すべく、「ベアー」又は「BEAR」の文字よりなる商標を登録出願した。
(8)平成9年1月21日、被請求人は、別掲(7)に示すとおり黒塗りの熊の図形よりなる被請求人商標1(登録第4137882号商標)を登録出願した。
被請求人商標1に対しては、不正使用を理由として取消審判(取消2005-31237号)が請求され、審判に係属中である。
(9)平成11年2月15日に、被請求人は、別掲(8)に示すとおり「USABEAR」と「アズエーベー」の文字を上下二段に横書きしてなる被請求人商標2(登録第4345622号商標)を登録出願した。
(ア)被請求人商標2に対しては、請求人が不正使用を理由とする取消審判(取消2001-31307号)を請求し、「通常使用権者による商品ジャケットについての通常使用権者使用商標の使用は、通常使用権者が指定商品についての本件商標に類似する商標の使用であって、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせるものをしたというべきであり、また、請求人は、その事実を知っていたものと認められる。したがって、本件商標は、商標法第53条第1項の規定により取り消されるべきものである」から、その登録を取り消すとした審決がなされ、その審決取消請求訴訟事件(平成15年(行ケ)第375号)では、請求棄却の判決がなされ、さらに、その判決の取消を求めた上告事件(平成16年(行ツ)第96号、平成16年(行サ)第6号)でも上告棄却となり、取消が確定し、被請求人商標2の登録は抹消された。
(イ)平成11年3月頃、被請求人は、著名ブランドにフリーライドする商標を含む「新ブランドのご案内」(甲第68号証)を配布した。
(ウ)平成12年1月24日に、被請求人は、株式会社岐阜武との間で被請求人商標2の使用許諾契約を締結し、同日、被請求人は、「念書」を作成した。
(エ)平成12年4月21日に、被請求人は、「見解書」を作成し、株式会社岐阜武に交付した(甲第65号証)。当該見解書には、被請求人商標2と被請求人商標1が示され、被請求人商標2の登録証が添付されたが、その登録証(写)には、被請求人商標2と相違する「USABEAR」の文字のみが示されていた。
すなわち被請求人は、「USABEAR」と「アズエーベー」の文字を二段に横書きしてなる被請求人商標2の商標権使用許諾契約に際し、被許諾人から求められた見解書(平成12年4月21日付け)に添付の登録証(写)において、「アズエーベー」の片仮名文字を取り去り、「USABEAR」の欧文字のみからなる商標を提示した。
被請求人は、このような極めて欺瞞的なライセンス事業を展開していた(甲第63号証ないし甲第65号証)。
(オ)平成15年2月11日に、請求人は、被請求人から使用許諾を受けた被使用許諾人(株式会社岐阜武)に対し、岐阜地方裁判所に商標権侵害差止等請求訴訟を提起し、平成15年(ワ)第62号事件として審理されたが、その際、被請求人は、被告の補助参加人となった。
平成18年4月27日に、請求人による請求を認めた判決がなされ、当該判決は確定した(甲第67号証)。
(10)平成12年1月24日に、被請求人は、別掲(9)に示すとおり請求人の著名な引用商標4ないし6と同様に黒の輪郭線で描いてなる熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に、「USABEAR」の文字を配し、該輪郭線の下に「USA」の文字を配し、その右横に小さく「アズエーベー」の文字を配してなる被請求人商標3(商願2000-43142号商標)を登録出願した。
被請求人商標3に対しては、請求人の引用商標4及び6と類似し、商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶査定がなされ、その査定不服審判(不服2004-22100号)において、不成立とする審決がなされ、平成18年6月29日に、その拒絶査定が確定した。
(11)平成12年12月1日に、被請求人は、別掲(10)に示すとおり請求人の著名な引用商標4ないし6と同様に黒の輪郭線で描いてなる熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「USBEAR」の文字を配してなる被請求人商標4(登録第4507125号商標)を登録出願した。
(ア)被請求人商標4に対しては、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するとして無効審判(無効2004-35107号)が請求され、同第15号に該当し、その登録を無効とするとした審決に対する審決取消請求訴訟事件(平成17年(行ケ)第10362号)では、請求棄却の判決がなされ、さらに、その判決の取消を求めた上告事件(平成18年(行ツ)第10023号、平成18年(行ヒ)第34号)でも上告棄却となり、無効が確定し、被請求人商標4の登録は抹消された。
(イ)被請求人商標4の前記審決取消請求訴訟事件(平成17年(行ケ)第10362号)の判決(甲第76号証)では、「称呼及び観念に関し、本件商標中の『USBEAR』は、熊の図形を考慮すると、『US』と『BEAR』の文字よりなると容易に看取される。そして、『US』の文字が『United States』(アメリカ合衆国)の略称であり、『BEAR』の文字が『熊』を意味する英単語であることは、我が国において広く知られているといえるから、本件商標は、その構成文字全体に相応して『ユーエスベアー』の称呼及び『アメリカ合衆国の熊』の観念を生ずると認められる。」と判示された。
(ウ)被請求人商標4の前記無効審判(無効2004-35107号)の審決では、「請求人の使用商標は、熊の図形と『Bear』及び『USA』の両文字よりなるもので、全体の印象を支配するのは『熊(Bear)』を表したものということができるから、『USAのBear』すなわち『アメリカ合衆国の熊」』を表したものと認識されることも少なくないというべきである。そうすると、使用商標は、『ベアー』及び『ベアーユーエスエイ』の各称呼のほか、『USAのBear』 より派生する『ユーエスエイベアー』の称呼を生ずる余地も多分にあるものといわなければならず、また、観念については、『熊』の観念のほか『アメリカ合衆国の熊』の観念をも生ずるものと認められる。そうすると、両商標は、『ユーエスベアー』と『ユーエスエイベアー』の称呼を比較した場合には、中間における『エイ』の音の有無の相違を有するに止まる彼此相紛れるおそれがあるものであり、かつ、『アメリカ合衆国の熊』の観念を生ずるものである。以上の両商標における外観、称呼、観念を総合すれば、本件商標は、請求人の使用商標と彼此相紛れる程度に近似するものということができる。」と判断された。
被請求人商標5の無効審判(無効2004-35108号)の審決においても同様の判断がなされた。
(12)平成12年12月27日に、請求人は、別掲(6)に示すとおりの構成よりなるものであって、偽商品対策として請求人標章を変更し、既に使用を開始していた引用商標6を登録出願した。
(13)平成13年2月8日、被請求人は、別掲(11)に示すとおり黒の輪郭線で描いてなる熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「USBEAR」の文字を配してなる被請求人商標5(登録第4536505号商標)を登録出願した。
被請求人商標5に対しては、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するとして無効審判(無効2004-35108号)が請求され、同第15号に該当し、その登録を無効とするとした審決に対する審決取消請求訴訟事件(平成17年(行ケ)第10361号)では、請求棄却の判決がなされ、さらに、その判決の取消を求めた上告事件(平成18年(行ツ)第10022号、平成18年(行ヒ)第33号)でも上告棄却となり、無効が確定し、被請求人商標5の登録は抹消された。
(14)平成14年2月22日に、被請求人は、別掲(12)に示すとおり黒の輪郭線で描いてなる熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「USBEAR」の文字を配し、その下に「USA」の文字を配してなる被請求人商標6(登録第4646915号商標)を登録出願した。
被請求人商標6に対しては、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するとして無効審判(無効2005-89076号)が請求され、同第15号に該当し、その登録を無効とするとの審決がなされ、該審決が確定し、被請求人商標6の登録は抹消された。
(15)平成15年1月15日に、被請求人は、別掲(13)に示すとおり黒の輪郭線で描いてなる熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「USBear」の文字を配してなる被請求人商標7(登録第4762834号商標)及び別掲(16)に示すとおり「USBear」の文字を書してなる被請求人商標10(登録第4762835号商標)をそれぞれ登録出願した。
(ア)被請求人商標7に対しては、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するとして無効審判(無効2005-89030号)が請求され、同第15号に該当し、その登録を無効とするとの審決がなされ、該審決が確定し、被請求人商標7の登録は抹消された。
(イ)被請求人商標10は、平成15年1月15日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年4月9日に設定登録された。
(16)平成15年2月13日に、被請求人は、別掲(14)に示すとおり黒の輪郭線で描いてなる熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「USBear」の文字を配し、その横に「USA」の文字を縦に配してなる被請求人商標8(登録第4762838号商標)を登録出願した。
(ア)被請求人商標8に対しては、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するとして無効審判(無効2005-89025号)が請求され、同第15号に該当し、その登録を無効とするとした審決に対する審決取消請求訴訟事件(平成17年(行ケ)第10833号)では、請求棄却の判決がなされ、該判決の確定により、被請求人商標8の登録は抹消された。
(イ)被請求人商標8の前記審決取消請求訴訟事件(平成17年(行ケ)第10833号)の判決(甲第74号証)では、
「(3)取消事由3について 原告は、引用商標7が著名性を獲得するに当たっての使用は、甲6商標(本件審判請求人注:「本件商標」のこと)を侵害してなされたものであり、このように他の商標権を侵害する引用商標7は、商標法4条1項15号を適用して保護すべきでない、と主張する。・・・中略・・・イ また、甲6商標は、平成7年7月17日に登録出願されたものであるところ、その当時、既に我が国内の雑誌等において、被告を出所とする『Bear』ブランドの商標がアメリカ合衆国内で人気を博している旨が紹介されていたことは前記認定のとおりであり、原告がブランドのライセンス等を業としている会社であること(2001年(平成13年)9月21日発行繊研新聞〔審判甲20、本訴甲80〕、原告作成に係る『新ブランドのご案内』〔審判甲54、本訴甲114〕)を考慮すると、原告は、被告を出所とする『Bear』ブランドの存在を知った上で甲6商標を登録出願したものと推認される。そして、上記『新ブランドのご案内』(審判甲54、本訴甲114)には、甲6商標に図形等を付加した標章が表示されているが(『ブランドライセンスリスト』の2枚目の番号16?19)、この『ブランドライセンスリスト』には、後に、海外の有名ブランドの著名な商標との関係において無効又は取り消すべきものとされた商標が複数含まれている(1枚目の番号6の『ILANCELI』〔審判甲56、本訴甲116〕につき取消決定〔平成10年異議第91010号、平成12年6月8日確定。審判甲59、本訴甲119〕、同番号7の『IDUNHILLI』〔審判甲55、本訴甲115〕につき無効審決〔平成11年審判第35700号、平成13年4月6日確定。審判甲61、本訴甲121〕)。これらの事情からすれば、甲6商標も、被告を出所とする『Bear』ブランドの著名性にただ乗りしようとする意図をもって登録出願されたものと推認され、そうすると、引用商標7の使用の開始が甲6商標の登録の後であり、引用商標7が甲6商標に類似するとしても、原告の上記主張は採用することができない。」と判示された。
(ウ)同判決では、「甲6商標も、被告(本件審判請求人注:本件の「請求人」)を出所とする『Bear』ブランドの著名性にただ乗りしようとする意図をもって登録出願されたものと推認され(る)」とも判示された。
(17)平成15年6月27日に、被請求人は、別掲(15)に示すとおり黒の輪郭線で描いてなる熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「USBeaR」の文字を配してなる被請求人商標9(登録第4768545号商標)を登録出願した。
被請求人商標9に対しては、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するとして無効審判(無効2005-89039号)が請求され、同第15号に該当し、その登録を無効とするとした審決に対する審決取消請求訴訟事件(平成17年(行ケ)第10829号)では、請求棄却の判決がなされ、該判決の確定により、被請求人商標9の登録は抹消された。
(18)平成15年12月16日に、被請求人は、いずれも黒の輪郭線で描いてなる熊の図形及び、その輪郭線を延長した輪郭線内に「PASCBEAR」の文字を配してなる商標をそれぞれ登録出願した(後、登録第4789009号商標及び登録第4789010号商標)。
(19)以上のとおり、被請求人による被請求人商標1ないし10(以下、これらをまとめていうときには、単に「被請求人商標」という。)の登録出願時ないし査定時は、請求人標章を付した商品がアメリカでヒットし、日本に偽商品が氾濫し、請求人が偽商品対策として日本への出荷停止措置を執り、偽商品の摘発が新聞報道され、あるいは偽商品に対する警告広告が新聞・雑誌に掲載された時期より後である。
5 被請求人による請求人の引用商標の模倣
(1)被請求人は、請求人の使用する著名な引用商標と段階的に似せた被請求人商標を登録出願し、登録を受けた。
(ア)被請求人商標中、とりわけ被請求人商標4ないし6は、いずれも請求人の使用する著名な引用商標4ないし6と、黒の輪郭線で描いてなる特徴ある熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「Bear」の文字を配した点において、構成の軌を一にする。
(イ)また、「USABEAR」と「アズエーベー」の文字よりなる被請求人商標2の構成中、「USABEAR」の文字は、請求人の商号の主要部である「BEAR USA」の文字中の「BEAR」と「USA」の前後を入れ替えて表示したものである。
(ウ)さらに、黒の輪郭線で描いてなる特徴ある熊の図形及び、その輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「USBeaR」の文字を配してなる被請求人商標9の構成中、「USBeaR」の文字部分は、熊の図形を考慮すると、「アメリカ」を意味する「US」の文字と「熊」を意味する「BeaR」の文字との結合と容易に認識し得るものである。
そして、当該「BeaR」の文字部分は、冒頭と末尾の「B」と「R」を大文字とし、中間の「ea」の文字を小文字とした極めて特異な構成・態様よりなる点において、請求人の「BeaR」の文字よりなる引用商標1の構成・態様をそっくり取り込んでなるから、被請求人は、請求人の特異な構成・態様よりなる引用商標1を模倣したといわざるを得ず、かつ、明らかに、引用商標1の存在を知っていたものというべきである。
6 審判及び訴訟事件における被請求人の主張
(1)被請求人は、上記4及び5の審判及び訴訟事件において、一貫して、本件商標と被請求人商標1とを組み合わせた態様であると主張した(甲第66号証)。
(2)被請求人は、上記4(9)(ウ)の「新ブランドの案内」の広告に表示した被請求人商標4及び5の無効審判事件(無効2004-35107号及び無効2004-35108号)において、被請求人商標4及び5が本件商標と被請求人商標1の組み合わせであり、被請求人商標4は、請求人の引用商標の模倣(盗用)ではないと主張した。
(3)また、被請求人から被請求人商標2の商標権使用許諾を受けて使用していた株式会社岐阜武に対する請求人による前述の商標権侵害差止等請求訴訟事件(岐阜地方裁判所平成15年(ワ)第62号)において、提出された証拠(被請求人作成の「見解書」)中でも、被請求人は、被請求人商標2と被請求人商標1とを組み合わせた形状(被請求人商標3又は6)として見解を述べていた。上記商標権侵害差止等請求訴訟事件は、平成18年4月27日に、被請求人の使用を差止め、請求人への損害の賠償を認めるとした判決(甲第67号証)がなされ、当該判決は確定した。
7 被請求人のライセンス事業
被請求人は、主として被服、靴等のファッション関連商品のブランドライセンスを業とする会社であることから、日本を含む世界各国の著名ブランドに精通していると推測され、前述した請求人の著名商標も知っていた。
被請求人は、他人の著名商標を無断でライセンスの対象としており(甲第68号証ないし甲第73号証)、被請求人の業務に係るブランドライセンスリスト(甲第68号証)に掲載されている商標(以下「被請求人ライセンスリスト掲載商標」という。)中には、他人の著名な商標をその一部に取り込み、それにフリーライドする目的と見られるものも多数掲載されていた。
8 不正の目的
(1)被請求人は、被請求人商標2のライセンス契約に際し、被請求人商標2の構成中の「アズエーベー」の片仮名文字を取り去って、欧文字の「USABEAR」のみの登録証を偽造して示し(甲第63号証ないし甲第65号証)、著名な請求人の引用商標に似せフリーライドする意図をもって、被請求人商標の登録出願及び使用をした。
(2)請求人商標と被請求人商標の登録出願及びその後の経過のみならず、被請求人商標の無効・取消審判あるいは異議申立の各事件の判断や訴訟事件の判決よりすれば、被請求人は、日常的に他人の著名な商標にフリーライドするライセンス業を行っていたものであり、請求人の著名な引用商標と類似する本件商標を登録出願し、権利取得してライセンス(使用)[フリーライド]する不正の目的をもっていた。
(3)本件商標は、請求人の請求人標章の偽ブランド品が大量に出回っていた時期に、被請求人により登録出願された。
(4)被請求人は、本件商標と引用商標の登録出願時ないし査定時の時期の先後、引用商標1ないし3の証拠数の乏しさ等の表面的なことのみを述べ、被請求人による被請求人商標の登録出願及びその後の経過、被請求人による請求人の引用商標の模倣等について明確に反論していない。
9 商標法第4条第1項第19号の要件
(1)商標法第4条第1項第19号は、平成8年改正商標法において、新たに規定されたものであるところ、同規定について、「特許庁編工業所有権法逐条解説〔第16版〕」では、不正の目的の事例を挙げ、「以上のような事例については、従来、7号又は15号に該当するとの解釈・運用を行ってきたものであるが、平成8年の一部改正では、このような規定の解釈・運用に頼らず、内外の周知・著名商標と同一又は類似の商標について、『不正の目的』をもって使用するものは登録しないことを明確にしたものである。」と記載している(甲第78号証)。
(2)引用商標の著名性獲得後に、それと類似する本件商標を含む被請求人商標が被請求人により次々に登録出願されたこと及びその後の経過、被請求人によるライセンスの実態等を総合すれば、被請求人は、明らかに著名な請求人標章及び引用商標にフリーライドする不正の目的をもって、それと類似する本件商標を使用し又は他人に使用させるために、その登録出願を行い、権利取得したといわざるを得ず、その行為は、改正前の商標法第4条第1項第7号の不登録事由中に包含されていたというべきである。
(3)従来、我が国で周知となっている商標を他人が登録出願した場合には、不正の目的と見られるものでも、商標法第4条第1項第15号の規定を適用する場合が多く、同法第4条第1項第7号を適用する事例は、ほとんどなかった。
しかし、現実的には、取引の場が国際的に広がり、我が国では未周知の商標であっても、海外で広く知られている商標を我が国の当業者が先取りし、それが国際問題となることが、しばしば見られるようになったことから、従来の同第7号の規定の解釈によっても運用し得るが、実際の審査において、これを解釈で運用することには困難を伴うので、解釈・運用を明確にするために改正法で同第19号の規定が設けられた。
(4)被請求人は、商標法第4条第1項第19号を適用するには、本件商標が登録出願時ないし査定時に同号に該当する必要がある(商標法第4条第3項)と主張するとともに、請求人提出の証拠のほとんどは、当該時より後のものであると主張する。
しかし、その主張は、上記のとおり表面的なものをいうにすぎず、被請求人による被請求人商標の登録出願及びその後の経過、被請求人による請求人の引用商標の模倣等の実態を全く反映しておらず、理由がない。
(5)商標法第1条の目的中には、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り」と規定されており、商標法は、「商標の使用」という側面を重視している。
(6)被請求人は、本件商標と被請求人商標8を引用し、原告及び原告のライセンシーの商品を販売している株式会社イトーヨーカ堂に対して、岐阜地方裁判所に商標権侵害差止等請求訴訟(平成17年(ワ)第280号)を提起している。
当該訴訟は、著名な請求人商標の正当権利者である請求人に対して、明らかに「損害を加える目的その他の目的」をもって、被請求人が提起したものである。
それゆえ、被請求人の本件商標に対しては、商標法第4条第1項第19号を適用することが改正商標法の趣旨に沿うといい得る。
10 被請求人の答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、自己の保有する商標権に係るライセンスの広告(甲第75号証)において、「アメリカ生まれのカジュアルブランド日本に上陸!」と大書し、その下の中央に本件商標と熊の図形とを組み合わせた構成よりなる標章(被請求人商標4)を表示しているから、被請求人自身が「アメリカ合衆国」を意識して「US」の文字と「BEAR」の文字とを結合した本件商標を登録出願し、登録を受け、かつ「アメリカ合衆国」を表示するものとして使用していたといわざるを得ない。
(2)「本件商標の『US』の部分は、『アメリカ』を意味するものではなく、本件商標は一連一体のものとして既成の観念を生ずるものではない。」との被請求人の主張は、被請求人商標4及び5の審決取消請求訴訟事件の判決(甲第76号証及び甲第77号証)に照らすと理由がないというべきである。
(3)被請求人は、引用商標2、4及び6からは、「ユーエスエーベアー」の称呼を生じないと主張する。
しかしながら、被請求人商標4及び5の無効審判における審決では、引用商標4及び6から「ユーエスエイベアー」の称呼を生ずるとしており、引用商標2、4及び6から「ユーエスエーベアー」の称呼を生じないとする被請求人の主張は理由がない。
(4)被請求人は、「引用商標とは類似しない本件商標を請求人と全く関係のない通常使用権者に使用させているから、被請求人に不正の目的はない」と主張する。
しかし、上述8のとおり、その主張は虚偽である。
11 むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号又は同法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

第4 被請求人の主張
1 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第18号証を提出した。
(1)請求人は、審判請求書において、本件商標は、商標法第4条第1項第7号(同第19号)の規定に違反して登録されたものであると主張しているが、被請求人は、以下に述べる理由により、請求人の主張事実を認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第19号は、改正前の同第7号の解釈による運用の要件を明確にしたものであり、請求人の主張も同第19号に沿ったものとなっているので、以下、本件商標が同第19号の要件に該当するか否かを中心にして述べる。
(3)本件商標と引用商標の類似について
本件商標は、下記の理由により、請求人の引用商標と類似するものではない。
(ア)「US」の文字について
(a)請求人は、本件商標の構成中の「US」の文字部分が「アメリカ」を意味するもので、自他商品識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものであると主張する。
しかし、請求人が主張するアメリカ産等を表示する場合、「U.S.」と表示するのが一般的であり、本件商標のように「US」と他の文字とを一連に表示することはない。
本件商標中の「US」の文字部分は、「アメリカ」を意味するものではなく、本件商標は一連一体であり、既成の観念を生ずるものではない。
この点については、本件商標の取消審判(取消2001-31305:乙第1号証)で明確に指摘されている。
(b)また、上記(a)の主張は、「US」の有無によって非類似と判断された併存登録例(乙第2号証ないし乙第16号証)の存在からも裏付けられる。
これらの登録例は、数の上からも決して無視できるものではなく、他の区分も詳細に調査すれば、かなりの登録例が見受けられると予想し得る。
しかも、乙第3号証の商標は、通常、アメリカ合衆国を表示する「U.S.」が表示されているにもかかわらず、乙第2号証の商標と併存し登録されている。
(c)さらに、「US」「ユーエス」がアメリカ合衆国を表すとすれば、それぞれの指定商品も「アメリカ製の被服」、「アメリカ製の靴類」等の商品になる筈であるにもかかわらず、いずれの商標も、そのような指定商品になっていない。
(d)したがって、上記審決又は登録例からみても、本件商標が一連一体のものであり、「ユーエスベアー」の称呼を生じ、既成の観念を生ずるものでないことは明らかである。
(e)してみると、「ベアー」の称呼、「熊」の観念を生ずるとする引用商標中の引用商標1、3及び5と、本件商標とは明らかに非類似である。
(イ)請求人は、引用商標2、4及び6から、「ユーエスエーベアー」の称呼をも生ずると主張するが、これらの商標を見たものは、通常、その構成の前や上から「ベアーユーエスエーインコーポレーテッド」、「ベアーユーエスエー」と称呼するものであり、わざわざ後ろや下から「ユーエスエーベアー」と称呼するようなことはない。
したがって、観念と結びつけることなく、称呼上から判断すれば、本件商標と引用商標とは明らかに非類似の商標である。
(4)引用商標の著名性について
(ア)請求人は、引用商標の著名性を立証するために甲第8号証ないし甲第52号証を提出している。
しかしながら、商標法第4条第1項第19号を適用するには、本件商標が登録出願時ないし査定時においても同号に該当する必要がある(同法第4条第3項)。
本件商標の登録出願日は1995年(平成7年)7月17日であり、登録査定日は1997年(平成9年)7月3日であるが、上記甲各号証の日付は、下記に示すように、ほとんどが本件商標の登録出願時又は査定時より後のものである。
(a)「日付が登録出願時より後のもの」・・・甲第9号証及び甲第10号証、甲第11号証の一部、甲第13号証、甲第20号証及び甲第21号証、甲第26号証、甲第41号証ないし甲第43号証
(b)「日付が登録査定時より後のもの」・・・甲第11号証の一部、甲第12号証、甲第14号証ないし甲第18号証、甲第19号証(日付不明)、甲第22号証ないし甲第25号証、甲第27号証ないし甲40号証、甲第44号証ないし甲第52号証
これらの証拠は、時期的に証拠として不適切であり、本件商標の登録出願時ないし査定時において、引用商標の著名性を立証する証拠はほとんどない。
(イ)仮に、上記証拠が時期的に適切であったとしても、その証拠の数からすると、引用商標の著名性は立証できない。一般に、問題となっている商標が著名と判断されるためには、さらに数多くの証拠が要求される。
因みに、被請求人の代理人は、著名性と関連する商標法第3条第2項の適用を受けるために、330もの証拠を提出したが、認められていない(乙第17号証)。その中には、書体の相違で認められなかったものもあるが、そうであれば、請求人の提出した証拠中には、使用態様が不明のものや、単なる新聞記事のもの、引用商標とは異なった態様の商標も一部に含まれているので、それらの証拠も当然除外すべきである。上記乙第17号証では有効な証拠が270以上あるにもかかわらず、認められていないところ、それに比べ、引用商標の証拠数は、はるかに少ないので、著名とは認められない。
しかも、証拠として提出されている雑誌や新聞は、発行部数が不明な外国のものであり、国内で一般によく出回っている雑誌ではなく、新聞も業界紙であって一般の日刊紙でもないから、発行部数もかなり少ないと予想される。
被請求人は、参考までに、商標が記載された書籍が約400万部に達していたこと等を理由に周知商標と認められた事例を下記に示す(乙第18号証:東京高等裁判所昭和53年(行ケ)第22号)。
請求人の使用した書籍等の発行部数は、この量をかなり下回る筈であり、その証拠が時期的に問題ないとしても、引用商標が著名であるとは到底認められない。
(ウ)さらに、請求人の引用商標は、使用している態様がまちまちで、統一した使用がなされていないことから、引用商標が全て著名であるという主張には無理がある。
まず、引用商標1は、証拠中でも、ほとんど使用されていない。
また、引用商標2ないし5の使用も、極めて僅かな数しかない。
しかも、引用商標2は、本件商標の登録出願より、僅か2ヶ月ほど前に登録出願されたものであり、引用商標3ないし5の登録出願は、本件商標より後である。
このため、本件商標の登録出願時に、登録出願したばかりの引用商標2や後から登録出願した引用商標3ないし5が著名となっていたとは考えられない。
なお、引用商標6が証拠中で最も多く使用されているが、これは未だに登録されていないばかりか、本件商標の登録出願時又は査定時より3年以上後に登録出願されたものである。
勿論、引用商標6が使用されている証拠も、時期的に証拠として不適切であり、本件商標の登録出願時ないし査定時に、既に著名であったとは到底認められない。
このような事情から、引用商標は、本件商標の登録出願時ないし査定時に既に著名であったとは、到底認められない。
(5)不正の目的の有無について
請求人は、本件商標と関係のない商標の使用や登録例を挙げて、本件商標の使用は、不正の目的をもって使用するものであると主張する。
しかし、被請求人は、引用商標と類似しない本件商標を請求人と全く関係のない通常使用権者に使用させているものである(乙第1号証)。
したがって、請求人に本件商標を買い取らせようとしたり、引用商標と類似する商標を使用して損害を加える目的で使用しているものではない。
(6)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的、他人に不快な印象を与える文字ではなく、使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するようなものではない。
また、他の法律によって使用が禁止されていたり、国際信義に反するような商標でもなく、さらに、不正の目的で周知商標と類似する商標を使用しているわけでもない。
したがって、本件商標は、第4条第1項第7号に該当する商標ではない。
(7)以上述べたように、被請求人は、引用商標と非類似の本件商標を不正の目的なく使用しているにすぎない。
また、引用商標の著名性も疑わしく、本件商標は公序良俗を害するおそれのある商標でもないので、商標法第4条第1項第7号(同法第4条第1項第19号)の規定に違反して登録されたものではない。
2 請求人の弁駁に対する再答弁
(1)請求人は、本件商標中の「US」の文字部分が「アメリカ」(アメリカ合衆国)を表示し、その指定商品の分野においては、アメリカ製の商品であること、すなわち商品の産地を表示したものであると主張する。
しかしながら、本件商標は、あくまで「US」と他の文字とが一連一体に表示された造語である。
(2)請求人は、甲第75号証の広告や、他の商標の無効審判や審決取消請求訴訟事件の判決(甲第76号証及び甲第77号証)等から、本件商標より「アメリカ合衆国の熊」の観念を生ずる旨主張する。
しかし、それらの事案において問題とされているのは、あくまで熊の図形と「USBEAR」の文字との組合せよりなる商標である。甲第76号証及び甲第77号証の判決においても、明確に「熊の図形を考慮すると」あるいは「文字と図形を一体のものと理解すれば」というように、あくまで熊の図形があるからこそ「US」と「BEAR」とを分け、「US」と「BEAR」の両文字よりなるものと判断している。
ところが、本件商標には熊の図形がなく、「USBEAR」の文字は一連一体に表示されているのみである。
そうであれば、本件商標は、被請求人が乙第1号証ないし乙第16号証を提出して主張したとおり、あくまで造語と理解されるものである。
(3)請求人は、引用商標2、4及び6から「ユーエスエーベアー」の称呼を生じないとの被請求人の主張が特許庁の審決よりして理由がないと主張する。
しかし、その審決取消請求訴訟事件(甲第76号証及び甲第77号証)の判決では、このような構成の商標から「ユーエスエーベアー」の称呼が生ずるとは判断しておらず、あくまで「ベアーユーエスエー」の称呼が生ずると判断している。
したがって、引用商標2、4及び6は、「ユーエスベアー」の称呼を生ずる本件商標とは称呼上何ら類似するものではない。
このような主張は、本件商標の後願である引用商標4及び6が本件商標と類似と判断されることなく、登録されていることからも裏付けられる。
このように、本件商標は造語であり、観念上、引用商標と類似するものではない。
また、称呼上も何ら類似するものではなく、外観上においては、詳述するまでもなく非類似である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の要件(他人の商標と同一又は類似の商標に使用)に該当しない。
しかも、本件商標は、乙第1号証に示すように文字のみで使用しているものであり、熊の図形と一体となった商標として使用しているものではなく、あくまで造語であり、引用商標にフリーライドする不正の目的で登録出願したものではない。
そして、本件商標は、あくまで文字のみの造語商標であり、被請求人所有の被請求人商標1と本件商標との組み合わせよりなる商標は、たとえ、判決中に「熊の図形」を考慮した判断が含まれていたとしても、それとは事情が異なるものであるから、一線を画して判断すべきである。
3 むすび
以上述べたように、本件については、本件商標が、あくまで文字のみの商標であることを考慮して、審理すべきことを求める。

第5 当審の判断
1 本件商標は、平成8年改正商標法(平成8年6月12日法律第68号:以下「改正法」という。)の施行日(平成9年4月1日)前の平成7年7月17日に登録出願されたものであり、同改正法施行後の平成9年7月3日に登録査定がなされたものである。
しかして、同改正法では、同法施行の際現に特許庁に係属している商標登録出願については、「なお従前の例による」等の特段の規定がない限り、新法を適用する規定となっているところ、同改正によって新設された第4条第1項第19号には、その適用に関して特段の規定はなく、その施行後、特許庁に係属している商標登録出願にも同規定が適用されるものである。
そこで、本件商標が、改正前の登録出願時のみならず、改正法施行後の同査定時においても同第19号に該当するものであったか否かについて、以下、検討する。
2 請求人標章(引用商標2及び3を含む。)の周知性
(1)アメリカ合衆国における請求人の評価
(ア)「SPORTSWEAR[NORTH AMERICA]INTERNATIONAL」誌の「WHO’S WHO」102頁(甲第11号証:1枚目左側)に掲載された請求人会社「BEAR USA.,INC.」に関する評(英文)の欄には、
「『Bear』はニューヨーク市の『the Hong family and Urban Sales and Marketing Inc.』によって4年前に設立され、それ以来、5大陸10カ国500社からなる選りすぐった小売業者との間で取引を拡大してきた。1996年(平成8年)の対外売上高は10ミリオンドル。『Bear USA』は2000年(平成12年)までに100ミリオンドルの売上高を達成するため、積極的な市場戦略を展開している。商品の取引先はデパートやアウトドア店に止まらず、先進ファッションの小規模ブティックにまで至っている。都会での広告だけに止まらず、同社は、1996年(平成8年)に、TVの連続コメディーやコンサートツアー用品などが置かれているニューヨーク市の『Macy’s and Paragon Outdoor Store.』の店舗内にも『Bear shops』を立ち上げた。ファッションやアウトドア用品の広告には、アパレルや靴の会社がよく使用するような販売促進用の広告宣伝カーが用いられる。1997年(平成9年)秋までに『Bear』は、その商品を様々な種類の革製品にまで拡大し、都会風のスタイルと合致するように技術面を磨いていくことだろう。」と記載されている。
(イ)「SPORTSWEAR[NORTH AMERICA]INTERNATIONAL」誌の「WHO’S WHO IN THE AMERICAN SPORTSWEAR MARKET 2000」106頁(甲第16号証:2枚目)に掲載された請求人(略称)「BEAR U.S.A.」に関する評(英文)の欄には、
「6年目の『Bear』は若者向けカジュアルや活動的な外着市場で安定している。会社をアピールするために、スポーツウェア、デニム、靴、帽子、バッグ、下着に35ミリオンドルを注ぎ込んでいる。米国中に特別な取引先やチェーンを有するほか、スポーツ店やデパートといった取引先も有する。『Bear』は世界的規模のレベルで販売を行っている。男・女性用外着の製造会社であることは印刷物や屋外広告によって需要者に知られている。将来的な商品展開としては『ダウン(ジャケット)』の増強と新規の『防水着』への拡大が挙げられる。『Bear』の従来からの方向性の商品であるアウトドアスポーツ、テクノスポーツ及びストリートスポーツ用外着は男女、ジュニア、青年、子供用サイズが揃っている。同社は都会の外着用品の会社として『Albert, Robert and Thomas Hong』のファミリーメンバーによって設立された。」と記載されている。
(2)上記記載や甲第8号証(年別売上高一覧表)よりすると、請求人である「ベアー、ユー、エス、エー、インコーポレーテッド(BEAR USA.,INC.)」は、1994年(平成6年)にアメリカ合衆国において設立された外着等の製造販売会社であること、その代表的なブランドとして「Bear」があること、また、同社の代名詞として「BEAR USA」、「BEAR U.S.A.」又は「Bear USA」(以下、これら請求人の代名詞を表すもの(日本においては「ベアーU.S.A.」をも含む。)をまとめて、単に「『BEAR USA』標章」という。)があること、それらはいずれもアメリカ合衆国において本件商標の登録出願前から使用されていたこと、需要者は、印刷物や屋外広告によって同社が男・女性用外着の製造会社であることを知っていたこと、同社は、その設立以来取引を順調に拡大し、1996年(平成8年)時点では、海外10カ国500社の選りすぐった小売業者との間で取引をする程の会社となっていたこと、その売上高も徐々に世界的なブランドの規模レベルにまで達しつつあったことが認められる。
(3)本件商標の登録出願日(平成7年7月17日)又は登録査定日(同9年7月3日)よりも早く、請求人が請求人標章、「Bear」ブランド、「BEAR USA」標章あるいは引用商標を使用しているとして提出した証拠には次のものがある。
(ア)雑誌「THE SOURCE」(1995年[平成7年]11月号:甲第20号証)の2枚目(45頁)の左中程には、商品の販売者として「Bear」が記載されている。
同4枚目(50頁)には、「Bear」標章が付された商品「ヘアバンド」や「スキー用ジャケット」を着用した女性の写真が掲載されている。
同頁の下欄には、商品「リバーシブルバブルジャケット」、「バンド」(ヘアバンド)及び「ブーツ」の販売者として「Bear」が記載されている。
同誌の5枚目(51頁)には、引用商標3が付された商品「ヘアバンド」を着けた男性の写真が掲載されている。
同頁の左下には、商品「フリースヘッドバンド」(ヘアバンド)の販売者として「Bear」が記載されている。
(イ)雑誌「asayan」(1996年[平成8年]1月号:甲第21号証)の2枚目(167頁)における丸で囲んでなる2番の商品説明欄には、「ニューヨークで超話題のストリートブランド『Bear』のダウンジャケット」という記載があり、そこには胸元や襟首付近に引用商標3や引用商標2が付された商品「ダウンジャケット」の写真が掲載されている。
また、同頁の左下の丸で囲んでなる2番の商品宣伝欄には、「NYの黒人の間で火がつきだしたストリートブランド『ベアー』が日本に緊急上陸この冬絶対に目の離せないダウンJKになるでしょう。・・(中略)・・ベアー(電話の図形)03・3502・6439」という記載がされている。
さらに、同誌(1996年[平成8年]2月号:甲第21号証)の5枚目(42頁)の左側中央には、青色の横長長方形の短冊内に引用商標3及び「NEW YORK U.S.A.」の文字が白抜きされており、該短冊の右外には「ベアー」の文字が記載されているほか、それらの下には、胸元に引用商標3が付された商品「ダウンジャケット」の写真が掲載されている。
そして、その下の商品の広告宣伝欄には、「N.Y.生まれの本格アウンドアブランド」という見出し下に、「ニューヨーク・ハーレムの『KP』というアウター専門ショップのオリジナルブランドでもあるベアー。昨年ぐらいから、N.Y.のブラック達の間で異常に支持され出し、あまりの人気にMTVでも取り上げられるほど。一番人気のダウンウエアの他に、パーカやトレッキングシューズもある本格アウトドアブランドである。」と記載されている。
(ウ)雑誌「Boon」(1996年[平成8年]2月号:甲第9号証)の2枚目(頁不詳)には、胸元や襟首あるいは襟元に引用商標3が付された黒・白・青の色違いの「ダウンジャケット」の写真が掲載されている。
また、同2枚目の下部にある商品宣伝欄には、「ブームの秘密はMTVデビューにあり?」という見出し下に、「昨年、ニューヨークのブラック達の間で大流行したのがブラック・ダウンジャケット。」、「ノースフェイス、マーモットなどアウトドア系のビッグブランドと肩を並べるほど、広く認知されたのが、この『Bear』だ。」、「ブラックダウン大流行のきっかけとなったのは、アメリカの人気音楽番組『MTV』でストリートファッションのマストアイテムとして取り上げられたのが大きな要因。」、「大ヒットしたのは『Bear』のモデル『9100M』。」、「『Bear』のダウンの特徴は、スタンドカラーの高さと、その後ろにししゅうされているロゴ。これによって、一目で『Bear』とわかるところが人気のポイントでもある。」及び「今年のモデルからインナーに『Bear』のプリントを施し、より個性的な押し出しを強くアピールしている。・・(中略)・・今後、アウトドア用のパーカーやトレッキングシューズなどアウトドア系の各アイテムが続々と上陸する予定だ。」と記載されている。
(エ)雑誌「DNR」(1996年[平成8年]10月14日発行:甲第10号証)の3枚目には、商品「アウターウェア」(スポーツジャケット)に「BEAR USA」のほか、「BE AR」、「BEAR USA COLLECTION」又は「Bear USA Design」といった標章が使用されており、当該商品のファスナー部分には引用商標6が使用されている。
(オ)「繊研新聞」(1996年(平成8年)4月8日発行:甲第41号証)の1面には、「ベアー・U・S・A社偽物排除へ強硬手段」という小見出しの下に「米国のベアー・U.S.A社(本社ニュージャージー州)は、日本における知的財産権保護の活動を強める。同社のカジュアルブランド『ベアー・U・S・A』の偽物が日本で大量に出回っている事態に対処するため、真正品の対日輸出を今春夏物の期間中はいったん停止する。・・・(中略)・・・ベアー・U・S・Aは一昨年から販売して以来、米国や日本などで人気を集めているカジュアルウエア。ファッション性と高い品質をそなえ、マーケティング戦略に基づいて各市場に合った商品を販売しているのが好調の理由である。昨秋冬商戦では日本でもダウンジャケットやアウターウェアがヒットした。日本でのベアー・U・S・Aの販売は昨年まで森村商事(本社東京)が総販売代理店だった。今年の四月からは総販売代理店は置かず、六社からなる販売代理店を設置した。・・・(中略)・・今年三月には韓国でベアーU.S.Aの偽物を製造していた業者三人が逮捕された。注文を出したのは日本の企業であることが判明しており、現在、さらに背後関係の調査を続けている。また、日本で偽物を取り扱っている企業や小売店を調査中で、・・(以下略)。」という記事が掲載されている。
(カ)また、「繊研新聞」(1996年(平成8年)4月11日発行:甲第43号証)の6面には、「Bear U.S.A.からの警告」という一際大きな見出しの下に「現在日本市場で売られているBear U.S.A.のロゴが付いている商品は全て偽物です。・・(以下略)。」等という広告が掲載されており、同広告には、引用商標2が掲載されている。
(キ)さらに、「繊研新聞」(1996年(平成8年)4月25日発行:甲第42号証)の2面には、「偽ブランド品摘発/奈良県警」という大見出し下に「D&G、ベアーなど 大阪の業者を逮捕」という小見出しがあり、その下に「・・・アメリカの『ベアー』など海外人気ブランドの偽物を販売していた業者が摘発された。・・・(以下略)。」等の記事が掲載されている。
(ク)上記のほか、本件商標の登録査定日(平成9年7月3日)よりも後であるものの、ほぼそれと同じ頃に、請求人の代表的なブランドとしての「Bear」、代名詞としての「BEAR USA」標章のほか、引用商標4ないし6が下記(a)ないし(c)のとおり使用されていた事実が認められる(甲第12号証ないし甲第16号証等)。
(a)女性誌「WWD TUESDAY」(Women’s Wear Daily)(1997年[平成9年]7月15日発行:甲第11号証)の1枚目右側並びに3枚目には、「Bear USA」標章が付された商品「アウターウェア」(バブルジャケット)や「女性用コート」の写真が掲載されている。なお、1枚目の右下には、引用商標6が表示されている。
(b)雑誌「seventeen」(1997年[平成9年]9月号:甲第12号証)の左側の抜粋頁(52頁)には、引用商標4が付された商品「パーカ」の写真が掲載されている。
(c)雑誌「Details」(1997年[平成9年]9月号:甲第14号証)の3枚目には、引用商標4及び6が付された商品「ダウンジャケット」を着用した男性の写真が掲載されている。
また、当該男性の左側にある柱には、縦書きの英文によって、「(丸で囲まれた「C」の文字)1997 BEAR USA」という見出しに続いて「男・女性及び子供用のオリジナル、かつ、本物の商品。BEARロゴ及び“BEAR”は『BEAR USA.,INC.』のトレードマークです。」と記載されている。
(4)以上を総合すれば、次の事実を認めることができる。
(ア)請求人は、本件商標の登録出願日(1995年[平成7年]7月17日)前の1994年(平成6年)以降、その代表的なブランドとしての「Bear」(「BEAR」又は「BE AR」を含む。)や、代名詞としての「BEAR USA」標章、あるいはロゴマークである黒の輪郭線で描いてなる特徴ある熊の図形及びその右脇に肉太の「Bear」の文字を配した構成よりなる「引用商標3」(以下、これらをまとめていうときには、単に「請求人商標」という。)などを商品「パーカ、ダウンジャケット、ハイキングシューズ(トレッキングシューズ)」(以下「請求人商品」という。)に使用していた。
(イ)請求人商標を使用した請求人商品は、ニューヨークの有色人種層の若者達による熱狂的な支持を得て、1995年(平成7年)には、その異常な加熱ぶりによって、米国の人気音楽番組「MTV」に取り上げられ、当時の米国のトレンドを反映するシンボルマーク(代名詞)的な役割を果たしていた。世界の若者の興味は、最先端のファッションにあり、若者に対する独自のブランドアピールにおいて、請求人は成功を収めつつあった。
(ウ)請求人商品の主たる発信地又は販売地は、著名な繁華街を多数擁し、ファッションやビジネス、ショッピング等の中心地あるいは著名な観光地として世界的によく知られているニューヨーク市であり、斬新、かつ、洗練された都会の雰囲気を醸し出す同市を訪れる観光客等の中には、請求人商標の評判に惹かれ、請求人商品を買い求めたり、商談に及ぶ者も存在したと優に推認し得る。
(エ)以上を総合すれば、請求人商標は、遅くとも、本件商標の登録出願日(1995年[平成7年]7月17日)前には、少なくともアメリカ合衆国のファッションの中心地と目されるニューヨーク市において著名となっていただけでなく、我が国の需要者、取引者の間においても相当程度知られていた。
3 商標の類否
(1)本件商標と請求人商標中、「BEAR USA」標章との類否
(ア)被請求人の本件商標「USBEAR」は、請求人の「BEAR USA」標章の構成中の「USA」を「US」に、また、「BEAR」との先後を入れ替えたにすぎない。
(イ)被請求人の本件商標に係る指定商品と請求人商品とは、いずれも「被服、靴」等のファッション関連商品であって、同一又は類似の範囲の商品である。
(ウ)この種の商品の需要者は、衝動的な商品購入をすることも決して少なくない一般的な消費者が多く、かかる需要者の多くは、「BEAR USA」標章の構成中、「USA」を「US」に、また、「BEAR」との先後を入れ替えたにすぎない被請求人の本件商標「USBEAR」と請求人の「BEAR USA」標章とを明確に区別し得たとは認め難いというのが相当である。
(エ)してみると、かかる需要者の多くが被請求人の本件商標「USBEAR」と請求人の「BEAR USA」標章とを時と所を異にして離隔的に観察した場合には、どちらも「アメリカ(合衆国)」と「熊」のいずれも平易な英語の組合せであり、同じ「アメリカの熊」の観念を生ずることから、結局、被請求人の本件商標「USBEAR」を「USABEAR」の如く、他方、請求人の「BEAR USA」標章をも「USABEAR」の如く誤信・混同して記憶し、それにより両者の商品がいずれも請求人の出所に係るものであるかの如く混同・誤認を生じさせるおそれが充分にあったといわなければならない。
(オ)そうすると、請求人の「BEAR USA」標章から、「ベアーユーエスエイ」の称呼及び「アメリカの熊」の観念を生ずることのほかにも、前記需要者の多くが請求人の「BEAR USA」標章を「USABEAR」の如く、他方、被請求人の本件商標「USBEAR」を「USABEAR」のみならず請求人の「BEAR USA」標章であると誤信・混同するおそれがあること等に派生して、請求人の「BEAR USA」標章からも「ユーエスエイベアー」の称呼及び「アメリカの熊」の観念をも生ずる余地が多分にあったものと解するのが相当である。
(カ)そして、本件商標より生ずる「ユーエスベアー」の称呼と請求人の「BEAR USA」標章より前述のとおり派生的に生ずる「ユーエスエイベアー」の称呼とを比較するに、両者は、「ユー」「エス」「ベアー」の各音を共通にし、その異なるところは、後者の中間における「エイ」の音の有無にすぎない。
しかるに、その差異が称呼の全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、「アメリカの熊」の観念の共通性をも考慮すると、両者は、外観、称呼及び観念を総合勘案すれば、彼此相紛れるおそれがある類似の範囲の商標であったものといわなければならない。
(キ)請求人の「BEAR USA」標章は、上述したとおり、本件商標の登録出願前には、少なくともアメリカ合衆国のファッションの中心地と目されているニューヨーク市周辺域において広く認識され、著名であったことが認められる。
4 不正の目的
(1)本件商標の指定商品は、請求人商品と同一又は類似である「被服、靴」等をはじめとするファッション関連商品であって、被請求人と請求人とは同業者であり、競業関係にあった者ということができる。
しかして、「被服、靴」等をはじめとするファッション関連商品の分野においては、海外で人気を有するブランドが付された商品の販売やそのための取引交渉、使用権獲得等は、商品の売上げに直接響く重要な要素を占めることから、ブランドライセンスを主たる業務とする被請求人であってみれば、アメリカはいうに及ばず世界の周知・著名なブランドや取引の事情に少なからず精通していて何ら不思議はなく、むしろ、そのことは被請求人の上記業務上、当然のことと解することができる。
(2)しかして、被請求人は、本件商標をその指定商品について自らは使用せず、専ら他人にライセンスする(他人に使用させる)ことを業務としていることが認められる(甲第75号証及び甲第68号証)ところ、被請求人のブランドライセンスの方法は、その商標を掲載した被請求人ライセンスリストを被許諾者に提示し使用権を許諾する(甲第68号証)というものであり、該リスト中には、本件商標に図形等を付加した変更が容易であることを窺わせる標章が幾つか表示されていただけでなく(甲第68号証のライセンスリスト2枚目番号16ないし19)、後に、海外の有名ブランド(著名商標)との関係から、その登録を無効又は取り消すべきものとされた商標も複数含まれていたことが認められる(甲第68号証:同リスト1枚目の番号6ないし8、2枚目の番号13:丸囲みの(秘)頁:商標登録第4137881号等)。
しかも、被請求人は、そうした他人(正当権利者)の海外有名ブランド(著名商標)を自己の上記ブランドライセンスリストに掲載する際、当該他人の著名商標に他の文字や図形を無断で付加し、迷彩を施した様々なバリエーションに係る標章を被許諾者にライセンスするという方法をとっていたことが認められる(甲第75号証,甲第68号証)。
このように、被請求人のライセンス業務の実態は、当該リストに他人の著名商標を含むか又は近似した標章を掲載し、被許諾者に提示して使用許諾をする一方、他人の著名商標の業務上の信用や指標力(顧客吸引力)を被請求人の使用権者による使用を通じて著しく毀損し、稀釈化させていたことが認められるだけでなく、被請求人自身は、他人の著名商標の無断使用という矢面には立たず、使用権を含めた商標制度を巧妙に利用して利益を得ていたものといわなければならない。
(3)そのことは、本件商標の登録査定前の1996年(平成8年)4月頃、我が国に請求人商品の偽物が次々に出回った際、韓国で偽物の製造業者三人が逮捕されたものの、注文を出した日本企業の背後関係は調査中(甲第41号証)といった記事が存在することや、我が国の取引者や需要者間に不安が拡がり、請求人商標に化体した業務上の信用や指標力(顧客吸引力)が著しく毀損・稀釈化されたため、請求人が一時的に、請求人商品の我が国での販売を中止するのやむなきに至っていたことからも窺える(甲第35号証ないし甲第48号証)。
(4)本件商標「USBEAR」は、請求人の商号に由来する「BEAR USA」標章と極めて近似した構成・態様よりなるところ、我が国の法人である被請求人が本件商標の採択を偶然に行ったものとは認め難く、むしろ、本件商標の登録出願前から既にアメリカ合衆国において著名となっており、我が国においても相当程度知られていた請求人商標の存在を、被請求人は、知っていながら、請求人の「BEAR USA」標章の構成中の「USA」を「US」に、また、「BEAR」との先後を入れ替えたにすぎない本件商標を意図的に採択して登録出願し、商標権を取得した後、それを先鞭として、請求人商標や引用商標等と彼此相紛れるおそれがある程度に近似した被請求人商標を次々に登録出願したとみるのが相当である。
(5)このことから、被請求人は、請求人が「BEAR USA」標章や引用商標等を我が国において登録出願していないことを奇貨として、その間隙を縫って、本件商標を先取り的に登録出願し、商標権の取得後に、その存在が何らかの利益ないし優位をもたらすことを見越していたことが推認し得る。
しかも、被請求人は、本件商標の登録が、アメリカ合衆国において著名となっていた請求人商標の業務上の信用や指標力(顧客吸引力)を毀損し、稀釈化することだけでなく、いずれ我が国へ市場参入するであろう請求人の商品取引に多大な支障となり、請求人の経済活動を阻害し苦境に陥れる可能性があることを察知していたと解さざるを得ない。
(6)してみると、上記被請求人の行為は、商標に化体して蓄積された業務上の信用を保護し、健全な競業秩序の維持を図り、もって、需要者の利益を保護するという商標法の目的から著しく乖離しており、国際信義を含む公序良俗を害するおそれが充分にあったものといわざるを得ない。
また、被請求人は、本件商標の登録出願前又は登録査定前からアメリカ合衆国において著名となっており、我が国の取引者、需要者の間においても相当程度知られるに至っていた請求人の「BEAR USA」標章と彼此相紛れるおそれがある程度に類似する本件商標を不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の目的)をもって登録出願し、権利取得し、使用行為(ライセンス)等をしていたものといわなければならない。
(7)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。
5 被請求人の主張について
(1)被請求人は、請求人の引用商標2、4及び6中の4及び6が後願であるとの理由により、その著名性の獲得に当たっての使用が被請求人の所有に係る本件商標の侵害になる旨主張する。
しかしながら、既に被請求人商標8の審決取消請求訴訟事件の判決(甲第74号証参照)において、下記(ア)ないし(オ)の認定がされており、その判示は、請求人の「BEAR USA」標章と本件商標との関係についても下記の[ ]括弧書きの部分を補った形をもって充当し得るものと認められるから、被請求人の主張を採用することはできない。
(ア)本件商標は、1995年(平成7年)7月17日に登録出願されたものであるところ、その当時、我が国の雑誌等において、アメリカ合衆国で人気を博していた請求人の[「BEAR USA」標章や]「Bear」ブランドが既に紹介されていた。
(イ)被請求人は、ブランドのライセンスを業としている会社であることから(甲第68号証及び甲第75号証参照)、請求人の[「BEAR USA」標章や]「Bear」ブランドを知っていながら、敢えて、本件商標を登録出願したと推認し得る。
(ウ)また、被請求人の「新ブランドのご案内」(甲第68号証)には、本件商標に図形等を付加した標章が表示されているばかりでなく(被請求人のブランドライセンスリストの2枚目の番号16?19)、該リストには、後に、海外の有名ブランド(著名商標)との関係から、その登録を無効又は取り消すべきものとされた商標が複数含まれている(1枚目の番号6の「ILANCELI」につき取消決定[平成10年異議第91010号、平成12年6月8日]確定、同番号7の「IDUNHILLI」につき無効審決[平成11年審判第35700号、平成13年4月6日]確定等)。
(エ)これらの事情からすれば、本件商標は、請求人の[「BEAR USA」標章や]「Bear」ブランドの著名性にただ乗りしようとする意図をもって本件商標を登録出願したと推認し得る。
(オ)そうすると、引用商標4及び6の使用開始が本件商標の登録出願ないし登録査定の後であり、引用商標2、4及び6が本件商標に類似するとしても、被請求人の上記主張は、採用することができない。
(2)被請求人は、請求人提出の証拠数や時期等が著名性の認定に不十分である旨主張する。
しかし、商標法第4条第1項第19号周知性の認定、特に、外国における需要者の間に広く認識されている商標については、当該国において周知であることは必要としても、我が国における周知性は必要とせず、証拠の多寡に左右されるものではない。
しかも、請求人提出の甲各号証によって、上述のとおり、アメリカ合衆国における著名性等が認められるから、被請求人の上記主張は、採用することができない。
(3)被請求人は、「US」の文字部分が「アメリカ」を意味しないし、非類似とした多数の併存登録例を無視すべきでなく、本件商標は一連一体の構成よりなる造語であって、何らの観念も生じず、称呼も「ユーエスベアー」のみである旨主張する。
しかしながら、本件商標と併存登録例とは、それぞれの商標の全体構成や態様の違いをはじめとして、指定商品及びその取引(輸入取引を含む。)等の個別具体的な事情がそれぞれ異なるものというべきであるから、それらの判断によって、本件商標の判断までもが拘束されるべきものではない。
むしろ、本件商標の構成中、「US」が「United States」(アメリカ合衆国)の略として我が国において一般に知られていること、また、「BEAR」が「熊」を意味する英語として我が国において広く一般に知られ親しまれていることは、被請求人商標4の審決取消請求訴訟事件の判決(甲第76号証)に照らし明らかである。
さらに、本件商標の指定商品の分野においては、アメリカ製の商品が多数輸入、販売されており、本件商標に接する取引者、需要者が「US」の文字部分を「アメリカ(合衆国)」の略と理解し、それよりアメリカ製の商品を表す文字、すなわち商品の産地表示と認識する場合も充分にあると解するのが相当である。
以上の点よりすれば、本件商標は、必ずしも一連一体とはいい難く、「US」と「BEAR」との組合せという程のものというべきであり、しかも、本件商標よりは、「ユーエスベアー」の称呼及び「アメリカの熊」の観念を生ずるほか、アメリカ合衆国において著名な請求人の代表的なブランドとしての「Bear」の1シリーズの如く誤信され、請求人と組織的又は経済的に何らかの関連を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同・誤認を生じさせるおそれがあることも否定し難く、「ベアー」の称呼及び「熊」の観念をも生ずる余地があると認められるから、被請求人の上記主張を採用することはできない。
(4)被請求人は、引用商標と類似しない本件商標を請求人と全く関係ない通常使用権者に使用させているだけであるし、請求人に本件商標を買い取らせようとはしていないから、類似の商標を損害を加える目的に使用しているものではない旨主張する。
しかしながら、本件商標と「BEAR USA」標章及び引用商標(特に、引用商標2等)とを外観、称呼及び観念より総合勘案すると、彼此相紛れるおそれがある程度に近似しているということができるだけでなく、前記認定のとおり、被請求人には不正目的があったものと認められる。
そのことは、被請求人が請求人の引用商標と段階的に似せる行為を行ってきたこと、すなわち黒の輪郭線で描いてなる特徴ある熊の図形及びその輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「Bear」の文字を配してなる点において、請求人の引用商標4ないし6と構成の軌を一にする被請求人商標4ないし6を登録出願したことや、被請求人が被請求人商標9の構成中、「USBeaR」の文字における「B」と「R」を大文字とし、その中間の「ea」の文字を小文字とした極めて特異な構成・態様を採択している点において、請求人の「BeaR」の文字よりなる引用商標1を模倣したとしか解さざるを得ないことからも充分に認められる。
以上の諸点を総合すると、被請求人が、たとえ、請求人に対し、本件商標の買い取りを求める直接的な行為をしていないとしても、不正の目的がなかったとみることはできないから、被請求人の主張は、採用することができない。
6 むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
請求人商標
(1)引用商標1(登録第2667318号商標)


(2)引用商標2(登録第4345512号商標)


(3)引用商標3(登録第4376738号商標)


(4)引用商標4(登録第4419411号商標)


(5)引用商標5(登録第4419412号商標)


(6)引用商標6(登録第4985520号商標)


被請求人商標
(7)被請求人商標1(登録第4137882号商標)


(8)被請求人商標2(登録第4345622号商標)


(9)被請求人商標3(商願2000-43142号商標)


(10)被請求人商標4(登録第4507125号商標)


(11)被請求人商標5(登録第4536505号商標)


(12)被請求人商標6(登録第4646915号商標)


(13)被請求人商標7(登録第4762834号商標)


(14)被請求人商標8(登録第4762838号商標)


(15)被請求人商標9(登録第4768545号商標)


(16)被請求人商標10(登録第4762835号商標)


審理終結日 2007-04-12 
結審通知日 2007-04-17 
審決日 2007-09-26 
出願番号 商願平7-73017 
審決分類 T 1 11・ 222- Z (025)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村上 照美 
特許庁審判長 鈴木 新五
特許庁審判官 鈴木 修
久我 敬史
登録日 1997-08-15 
登録番号 商標登録第3340430号(T3340430) 
商標の称呼 アスベア、ユウエスベア 
代理人 小泉 勝義 
代理人 塩谷 信 
代理人 宮嶋 学 
代理人 吉武 賢次 
代理人 足立 勉 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 宮城 和浩 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ