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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y25
管理番号 1182789 
異議申立番号 異議2007-900347 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-09-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2007-07-13 
確定日 2008-07-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第5044303号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5044303号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5044303号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成18年6月1日に登録出願され、第25類「履物」を指定商品として平成19年4月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人アディダス アーゲー(以下「申立人」という。)が引用する登録第2693722号(以下「引用商標1」という。)、同第2671514号商標(以下「引用商標2」という。)、同第2708505号商標(以下「引用商標3」という。)、同第2593080号商標(以下「引用商標4」という。)、同第4025668号商標(以下「引用商標5」という。)、同第4180654号商標(以下「引用商標6」という。)、同第3324363号商標(以下「引用商標7」という。)、同第4376378号商標(以下「引用商標8」という。)、同第4378318号商標(以下「引用商標9」という。)、同第4376377号商標(以下「引用商標10」という。)、同第4399811号商標(以下「引用商標11」という。)、同第1587778号商標(以下「引用商標12」という。)、同第2609079号商標(以下「引用商標13」という。)、同第1423465号商標(以下「引用商標14」という。)、同第2693723号商標(以下「引用商標15」という。)、同第2704525号商標(以下「引用商標16」という。)、同第2693724号商標(以下「引用商標17」という。)、同第2671515号商標(以下「引用商標18」という。)、同第2528490号商標(以下「引用商標19」という。)、同第2160863号商標(以下「引用商標20」という。)、同第2190105号商標(以下「引用商標21」という。)、同第2147023号商標(以下「引用商標22」という。)、同第2199877号商標(以下「引用商標23」という。)及び同第4522864号商標(以下「引用商標24」という。)は、別掲(B)ないし(J)のとおりの構成からなり、引用商標7を除き、いずれも有効に存続しているものである。
以下、これらを一括していうときは、単に「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、結論同旨の決定を求めると主張し、その理由として要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第123号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号について
引用商標1ないし18並びに引用商標24の構成中の図形部分は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして世界的に広く認識されていたものである。
そして、本件商標を構成する図形と、引用商標1ないし18及び引用商標24若しくはこれらの構成中の図形とを対比考察すれば、これらを構成する台形様図形又は長方形が4本と3本の差異があるものの、いずれも、台形様図形又は長方形を仮想垂直線に対し、左方向にやや傾け、均等間隔で複数本を配置した点を共通にし、構成の軌跡を一にするものである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、申立人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあり、さらに、申立人の引用商標の顧客吸引力へのフリーライド及び出所表示機能の希釈化の防止という観点からも、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、申立人の長年の営業努力によって築かれた引用商標の信用力、顧客吸引力にフリーライドするものであり、また、世界的な著名商標である引用商標の出所表示機能が希釈化され、明らかに社会一般の道徳及び国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがあり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

4 本件商標に対する取消理由
当審において、平成20年3月27日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、1920年創始のスポーツ用品メーカーであり、1949年に自己の取り扱いに係るスポーツシューズの左右側面に3本線からなる標章(Three Stripes)を採択使用して以来(甲第26号証の6及び8ないし9)、今日に至るまで該標章を使用している。
(イ)3本線からなる標章を使用したスポーツシューズは、1952年のオリンピックヘルシンキ大会で西ドイツ選手によって着用されて以来、その後のオリンピック、世界選手権、欧州選手権等の国際試合における参加選手によって着用され、オリンピックにおいては、例えば1964年の東京大会から1976年のモントリオール大会までは参加選手の80%以上が着用している(甲第31号証)。
(ウ)3本線を基調とした標章は、スポーツシューズのみならず、スポーツウェア等の他のスポーツ用品にも使用されており、例えば、該標章を使用したサッカーユニホームは、世界各国の代表チームやプロリーグチームを初め、日本代表チームにも採択使用されている(甲第53号証、甲第65号証ないし甲第67号証)。そして、申立人は、世界的なバスケットボール選手やテニスプレーヤー等と専属契約を締結し、自己のスポーツ用品を供与し広告に起用している(甲第63号証及び甲第64号証)。
(エ)我が国においては、申立人の業務に係るポロシャツ、ティーシャツ、スウェットスーツ、帽子、運動靴、運動用特殊衣服(靴)、かばん類等の商品について、1971年(昭和46年)頃から1996年頃までは申立人の日本における使用権者であったデサント株式会社を通じて販売され、1999年以降は申立人の日本法人であるアディダスジャパン株式会社によって販売され、これらの商品には、3本線を基調とする標章が使用されているが、特に、スポーツシューズについては、引用商標1及び2の構成中の図形部分、引用商標12ないし16並びに引用商標17及び18の構成中の図形部分とほぼ同一の構成からなる標章が靴の側面に付して使用されている(甲第27号証ないし甲第64号証、甲第83号証、甲第84号証及び甲第97号証ないし甲第118号証)。
(オ)申立人は、3本線からなる標章を使用したスポーツシューズのほか、「adidas」の文字及び3本線の入った三つ葉の図形からなる商標、引用商標3ないし7と同一の構成からなる商標を表示して、スポーツ関連雑誌等に継続して宣伝広告をしており、雑誌広告や自己の商品カタログには、引用商標1、2及び12ないし16又はこれに類似する3本線の標章と共に、「3本線はアディダスの登録商標です。」との表示をしている(甲第32号証、甲第35号証ないし甲第40号証、甲第43号証ないし甲第48号証、甲第56号証及び甲第62号証)。
(2)以上の認定事実によれば、申立人の業務に係るスポーツシューズを初めとする各種スポーツ関連商品は、引用商標1ないし18及び24の3本線を基調とする標章が使用されるものとして、本件商標の登録出願時には既に、取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
(3)本件商標は、別掲(A)のとおり、仮想垂直線に対し、左方向にやや傾けた細長の黒塗り台形様図形を、その図形自体とほぼ同間隔で4本並べ、そのうちの左端のものを最も短くし、右方向に向かって順次長くしていき、右端のものを最も長くした構成からなるものである。
(4)他方、引用商標1及び2の構成中の図形部分は、別掲(B)のとおり、仮想垂直線に対し、左方向にやや傾けた細長の黒塗り台形様図形を、その図形自体の幅よりもやや狭い間隔で3本並べ、そのうちの左端のものを最も短くし、右方向に向かって順次長くしていき、右端のものを最も長くした構成からなるものである。
引用商標3ないし7の構成中の図形部分及び引用商標8ないし11は、別掲(C)及び(D)のとおり、仮想垂直線に対し、左方向にやや傾けた黒塗り台形様図形を、その図形自体の幅の3分の1程度の間隔で3本並べ、そのうちの左端のものを最も短くし、右方向に向かって順次長くしていき、右端のものを最も長くした構成からなるものである。
引用商標12ないし14は、別掲(E)のとおり、仮想垂直線に対し、左方向にわずかに傾けたやや幅広で、かつ、左右の縦線を波形にした縦長長方形の輪郭図形を、その図形の幅とほぼ同間隔で3本並べ、そのうちの左端のものを最も短くし、右方向に向かって順次長くしていき、右端のものを最も長くした構成からなるものであり、その長短の差はごく僅かである。
引用商標15及び16並びに引用商標17及び18の構成中の図形部分は、別掲(F)及び(G)のとおり、仮想垂直線に対し、左方向にわずかに傾けたやや幅広で、かつ、左右の縦線を波形にした縦長平行四辺形様の黒塗り図形を、その図形の幅の3分の1程度の間隔で3本並べた構成からなるものであり、その上下の長さは同じである。
引用商標20ないし23は、別掲(I)のとおりの文字からなるものであるから、該文字に照応して、「ザブランドウイズザスリーストライプス」の称呼及び「3本線ブランド」の観念を生ずるものである。
引用商標24は、別掲(J)のとおり、仮想垂直線に対し、左方向にやや傾けた細長の黒塗り台形様図形を、その図形自体の幅よりもやや狭い間隔で3本並べ、そのうちの左端のものを最も短くし、右方向に向かって順次長くしていき、右端のものを最も長くした構成からなる標章を側面に有する靴を描いた図形(立体商標)からなるものである。
(5)本件商標と、引用商標中の特に引用商標1ないし11の構成中の図形部分及び引用商標24の構成中の靴の側面に描かれた図形部分とは、上記(3)及び(4)のとおり、これらを構成する台形様図形が、4本と3本の違いがあるとしても、いずれも左方向にやや傾けた台形様図形を3本並べ、そのうちの左端のものを最も短くし、右方向に向かって順次長くしていき、右端のものを最も長くした構成からなる点において、構成の軌を一にするものであって、この特徴は看者に強く印象付けられるものというべきである。
また、本件商標は、その構成中の黒塗りの台形様図形部分を地模様として見るとすれば、黒塗り地模様の中に白色の3本線(スリーストライプス)を描いたものとしても看取し得るものである。
そうすると、本件商標から「3本線」の観念及び「サンボンセン」ないしは「スリーストライプス」の称呼を生ずる場合があることも強ち否定し得ない。
(6)本件商標の指定商品は、引用商標が使用されている商品とは密接な関係を有するものであり、その最終需要者は、一般の消費者であって、その注意力の程度は必ずしも高くはないといえる。
(7)かかる事情の下において、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている引用商標1ないし18及び24の3本線を基調とする標章あるいは申立人を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品と誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(8)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

5 当審の判断
商標権者に対し、上記4の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記4の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、この取消理由によって、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(A)本件商標



(B)引用商標1及び2



(C)引用商標3ないし7



(D)引用商標8ないし11



(E)引用商標12ないし14



(F)引用商標15及び16



(G)引用商標17及び18



(H)引用商標19



(I)引用商標20ないし23



(J)引用商標24(立体商標)





異議決定日 2008-06-10 
出願番号 商願2006-50562(T2006-50562) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Y25)
最終処分 取消  
前審関与審査官 久保田 正文大橋 信彦 
特許庁審判長 林 二郎
特許庁審判官 杉山 和江
鈴木 修
登録日 2007-04-27 
登録番号 商標登録第5044303号(T5044303) 
権利者 ヤマギワインターナショナル株式会社
代理人 関根 秀太 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 柳田 征史 
代理人 鳥巣 実 
代理人 佐久間 剛 

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