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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y07
管理番号 1182618 
審判番号 不服2006-11262 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-06-01 
確定日 2008-07-24 
事件の表示 商願2005- 59415拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ハイパータイトブラシロール」の文字を標準文字で表してなり、第7類「金属研磨用又は拭掃用ブラシ」を指定商品として、平成17年6月29日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における同18年3月7日付け、及び当審における同年6月29日付け手続補正書により、最終的に、第7類「圧延鋼板の拭掃用ロールブラシ」に補正されたものである。

第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2146971号商標(以下「引用商標」という。)は、「ハイパタイト」及び「HYPATITE」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和62年3月30日登録出願、第9類「産業機械器具、動力機械器具(電動機を除く)風水力機械器具、事務用機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)機械要素」を指定商品として、平成元年6月23日に設定登録され、その後、同11年2月23日に商標権の存続期間の更新登録がされて、現に有効に存続しているものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

1 本願商標は、「ハイパータイトブラシロール」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ブラシロール」の語について、インターネット上のウェブサイト及び新聞記事情報には、以下のような記載が存在する。
(1)NTN株式会社のホームページ(http://www.ntn.co.jp/japan)における「製品・技術情報」欄の「設計技術」に「テクニカルレビュー」があり、その中の「No.66/特集●等速ジョイント」における「[解説]産業機械用等速ジョイントの応用技術について(181k)」からリンクされたPDFファイルの70頁には、「3.5 簡易着脱形CVJ(図5)」の見出しの下、「このCVJは,ジョイント内輪と軸スプラインの嵌まり合う先端部を特殊な面取り形状とし,挿入が極めて容易であることから,ジョイントと軸の着脱が迅速・簡単に行え,着脱の自動化に対応できるもので,主に,ロール交換が頻繁に行われる鉄鋼業種で多用される。」などの記載とともに「特徴,用途」として「●使用機械例:圧延機/ピンチロール・電解洗浄/ブラシロール鉄鋼/形鋼圧延機等」の記載がある(http://www.ntn.co.jp/japan/products/tech/review/pdf/NTN_TR66_P062.pdf)。
(2)テラダ産業株式会社のホームページ(http://www.terada-sangyo.com)における「取扱商品」には、「機械部品類」として「各種機械加工部品(切削、研磨、製缶、溶接、肉盛、ライニング)・鋳造品・鍛造品・各種ロール・特殊用途ロール(超硬圧延ロール、ナイロンブラシロール・・・」の記載がある(http://www.terada-sangyo.com/products/product-frame.htm)。
(3)永塚工業株式会社のホームページ(http://www.hct.zaq.ne.jp/cpaar702/crownabj)における「ブラシロール」からリンクされたページには、「ブラシロール」として「研削 研磨 洗浄/いづれでも、ご注文承ります。/ブラシの巻き替え,/植毛ディスク/毛材のみ./ディスクタイプ ブラシロ-ル」などの記載がある(http://www.hct.zaq.ne.jp/cpaar702/crownabj/brush.htm)。
(4)日新製鋼株式会社のホームページ(http://www.nisshin-steel.co.jp)における「事業所紹介」の「東予製造所」には、「製造工程1」として「RSPMライン/酸洗・冷間圧延設備」があり、その各部の名称に番号を付けて表した図形中の項番3には「ブラシロール」の記載がある(http://www.nisshin-steel.co.jp/nisshin-steel/profile/works/toyo/toyo_01.html)。
(5)株式会社ホタニのホームページ(http://www.hotani.co.jp)には、「ホタニ製ディスク型ブラシロールの高性能は、世界中の様々な鋼板プロセスラインにて実証されております。」の記載とともに、「機械装置」「製造装置」「企業情報」等の欄と並んで「ブラシロール」の欄が表示されている。
(6)「新日本製鐵株式會社 八幡製鐵所」「資材調達公募案内 鉄人/IronMan/八幡製鐵所資材調達」と表示されたウェブページ(http://search.yawata.nsc.co.jp/koubai.html)における「購入品/品名コード/ご案内」からリンクされたページには、「機械部品」として「機械部品(品名大別キー=99)」、「品名中別キー」が「30」の「ブラシロール類」の記載がある(http://search.yawata.nsc.co.jp/codes.htm)。
(7)1988年9月20日付け「日刊工業新聞」19頁には、「神戸製鋼、制振鋼板の累計生産1万トンを突破。順調な用途拡大」の見出しの下、「・・・同社独自の電磁誘導加熱ロールによりロール(表面を溶射加工)温度を均一に保つことに成功、さらにブラシロールで鋼板表面を清浄することで製品の高品質を確保している。」との記載がある。
(8)2006年9月28日付け「鉄鋼新聞」2面には、「協会誌/「ふぇらむ」から/日本鉄鋼協会/特別講演(渡辺義介賞受賞記念)/ステンレス鋼の発展と生産の近代化【4】/星野和夫/日新製鋼相談役/ハイスロールで線状疵抑制」の見出しの下、「・・・一方、圧延時のロールマークは圧延ロールに生じる疵の転写によるものである。ロールマークの防止にはブラシロールによる異物除去が有効であるという認識のもと、圧延機には6Hi-UCミルを選定し、かつワークロールをできるだけ小径にするために中間ロール駆動とした。」との記載がある。
2 前記1の記載によれば、金属加工業界において、「ブラシロール」の語は、「圧延機等の金属加工機械器具による金属素材の加工時に異物を除去するロール状のブラシ」程の意味合いで普通に使用されていることが認められる。
そうすると、本願商標の補正後の指定商品である「圧延鋼板の拭掃用ロールブラシ」について、「ハイパータイトブラシロール」の語を使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、一般に「ブラシロール」の語を、商品の品質を表示する語として認識し、把握するものとみるのが相当である。
これに対し、本願商標構成中の「ハイパータイト」の語は、「ハイパー」と「タイト」を連想させるとしても、該「ハイパータイト」は、辞書等にその用例が見当たらず、一般に用いられることのない造語と認められるから、これを本願指定商品に使用した場合には、「ブラシロール」の語とは異なり、それ自体、自他識別力のある標章として、取引者・需要者に認識されるものとみるのが自然である。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用した場合には、その取引者・需要者は、本願商標を「ハイパータイトブラシロール」と認識するとともに、その「ハイパータイト」の部分のみに注目してこれを認識することもあると認められるから、本願商標については、「ハイパータイトブラシロール」という13音の比較的長い称呼のみならず、これを短縮した、「ハイパータイト」との短い称呼で称呼されることも、少なからずあるものと認められる。
他方、引用商標(登録第2146971号)は、「ハイパタイト」及び「HYPATITE」の文字を二段に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「ハイパタイト」の称呼を生ずるものであり、本願商標より生ずる「ハイパータイト」の称呼とを比較すると、両者は、中間部において「パ」の音に伴う長音の有無に差異を有するのみで、他の全ての音を同じくすることから、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語調、語感が近似したものとなり、互いに相紛れるおそれがあるものと判断するのが相当である。
また、両商標は、ともに造語と認められるものであって、特定の観念が生じない以上、本願商標の観念と引用商標の観念とを比較することはできないから、本願商標と引用商標とは観念において明確な差異を有するものということはできない。
さらに、両商標が上記のとおり、称呼が極めて近似しており、また、観念上明確な差異を有しないこともあって、取引者・需要者が、時と所を異にしていずれかの商標に接した場合に、両商標の構成文字を正確に記憶することなく、その文字上の差異に注意が及ばないまま、称呼による音感を頼りに商品を識別する場合が少なくないであろうと推認することができ、両商標につき混同をきたすおそれがあることを否定することはできないから、両商標は、外観において明らかに異なるものとして看取されて記憶、印象づけられ、想起される構成を具備しているとみることはできず、外観上の差異が両商標の類否を検討するうえで大きな影響を及ぼすものとみることはできない。
したがって、両商標の称呼上の類似性は高いのに比べ、観念、外観上の差異は微弱であるから、両商標に接した取引者・需要者は、その出所について誤認混同するおそれが十分にあるものと認められる。
3 本願商標の指定商品について
(1)本願商標の補正後の指定商品は、第7類「圧延鋼板の拭掃用ロールブラシ」であるのに対し、引用商標(登録第2146971号)の指定商品は、平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表第9類「産業機械器具、動力機械器具(電動機を除く)風水力機械器具、事務用機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)機械要素」であり、その指定商品中の「産業機械器具」には、「圧延機」等の「金属加工機械器具」が含まれる。
(2)そして、本願商標の補正後の指定商品「圧延鋼板の拭掃用ロールブラシ」が、金属加工の過程に使用する目的で取引されている実情にあることは、以下のインターネット上のウェブサイト及び新聞記事情報によっても裏付けられるところである。
ア 神商株式会社のホームページ(http://www.shinsho.biz)における「企業案内」の「関連企業」中には「神商ロール株式会社」の紹介として、「・・・最適の素材と蓄積された加工技術により、ブライドル用、絞り用、塗布用、研磨・研削用、洗浄用、搬送用など製鉄プラントなどに使用される多様なロールを製作・加工しています。」との記載があり、「ブラシロール」の画像が「CFロール」や「耐熱耐磨耗フェルトロール」等の画像とともに掲載されている(http://www.shinsho.biz/html/company/network.html)。
また、「企業案内」の「企業概要」中には、「主要取引先【50音順】」として、「JFE鋼板(株)」「(株)神戸製鋼所」「新日本製鐵(株)」等の記載がある(http://www.shinsho.biz/html/company/prof.html)。
イ テラダ産業株式会社のホームページ(http://www.terada-sangyo.com)には、「日本の製鉄所やプラントメーカーの存在するところに、私たち-テラダ産業-は存在します。」などの記載の下、「取扱商品」の一覧中には「機械装置・設備類」として「工作機械・小型圧延機・処理ライン」等の記載及び「機械部品類」として「各種機械加工部品(切削、研磨、製缶、溶接、肉盛、ライニング)・鋳造品・鍛造品・各種ロール・特殊用途ロール(超硬圧延ロール、ナイロンブラシロール・・・」等の記載がある(http://www.terada-sangyo.com/products/product-frame.htm)。
また、「会社案内」の「会社概要」には、「事業内容」として「大手鉄鋼メーカーを主たる取引先とする機械工具等の卸売り」の記載がある(http://www.terada-sangyo.com/guide/guide-frame.htm)。
ウ 株式会社ホタニのホームページ(http://www.hotani.co.jp)における「ブラシロール」欄の「製品ラインナップ」には、「クリーニングブラシ(Cタイプ)」として「ブラシ銘柄:C-08/特徴:極細毛の集合体で、拭い効果が高く、油分・微細な鉄粉除去に効果があります。/使用目的:鋼板表面に付着した油分(圧延油)を取り除きます。/使用箇所:BAL・アルミ洗浄・銅洗浄ライン等」及び「ブラシ銘柄:C-32/特徴:『ハイブリッドブラシ』として最も洗浄性能に優れ、多くの使用実績があります。/使用目的:鋼板に付着した油分・異物を取り除きます。」との記載がある(http://www.hotani.co.jp/02_04.html)。
また、「企業情報」欄の「社長挨拶」には「私たちは、製鉄用・非鉄金属用ブラシロールの専門メーカーとして、世界をリードする企業を目指し日々努力をしております。」などの記載があり(http://www.hotani.co.jp/05_01.html)、同「企業情報」欄の「主要取引先・納入先」には「主要販売先(2007年1月末現在)」として「●新日本製鐵株式会社/八幡製鐵所・名古屋製鐵所・広畑製鐵所・君津製鐵所・大分製鐵所」「●JFEスチール株式会社/東日本製鉄所(千葉地区/京浜地区)・西日本製鉄所(福山地区/倉敷地区)」「●住友金属工業株式会社/鹿島製鉄所・和歌山製鉄所」等の記載がある(http://www.hotani.co.jp/05_05.html)。
エ 1996年11月15日付け「日刊工業新聞」11頁には、「永塚工業、韓国社製の工業用ブラシを輸入販売」の見出しの下、「・・・製品はシャフトに複数のディスクを重ね合わせたブラシロールで、製鉄や鉄鋼メーカーの生産ライン向けに供給する。・・・工業用ブラシは、ステンレスの製造工程で洗浄や研磨用途として使用される。」との記載がある。
(3)上記(2)の記載によれば、本願商標の補正後の指定商品「圧延鋼板の拭掃用ロールブラシ」は、圧延機等の金属加工機械器具による金属素材の加工時に異物を除去するロール状のブラシと認められるものであって、その生産者・販売者は専門的な技術・経験を蓄積したメーカー又は専門卸業者であり、需要者は主に製鉄及び鉄鋼メーカーということができる。
そうすると、本願商標の補正後の指定商品は、金属加工の過程に使用する目的で取引されるものと認められるから、金属加工機械器具に属する商品であるというべきである。
一方、引用商標の指定商品中の「産業機械器具」には、「金属加工機械器具」が含まれている。
してみれば、引用商標の指定商品中には、本願商標の補正後の指定商品「圧延鋼板の拭掃用ロールブラシ」と同一又は類似の商品が含まれていると認め得るものである。
4 以上によれば、本願商標と引用商標とは、互いに類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品は引用商標の指定商品に包含されているから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

第4 請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「ハイパータイトブラシロール」の片仮名文字を横書きしてなるところ、これが構成全体をもって、一般に親しまれた特定の意味合いを認識させる既存の語とは認められず、かつ、その構成文字全体に相応して生ずる「ハイパータイトブラシロール」の称呼も、長音を含む13音からなるものであり、常にこれを一連に称呼するには冗長といえるものである。
さらに、その構成中の「ブラシロール」の文字部分は、前記第3の1の(1)ないし(8)に記載の当審における証拠調べ通知において示した証拠のとおり、「圧延機等の金属加工機械器具による金属素材の加工時に異物を除去するロール状のブラシ」程の意味合いで本願の指定商品を取り扱う業界において使用されているといい得るものであるから、この「ブラシロール」の文字部分自体は、補正後の本願指定商品「圧延鋼板の拭掃用ロールブラシ」との関係では、単に商品の品質を表示したものと理解、認識されるものであり、自他商品識別力としての機能は果たし得ないか、極めて弱いものというのが相当である。
そうとすれば、本願商標をその補正後の指定商品に使用した場合、これに接する需要者は構成中の「ハイパータイト」の文字部分を自他商品識別標識として把握し、これに相応して生ずる「ハイパータイト」の称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきであり、他に本願商標が一体不可分のものとしてのみ把握されるべき特別な事由は見いだせない。
他方、引用商標は、前記第2のとおり、「ハイパタイト」及び「HYPATITE」の文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「ハイパタイト」の称呼を生ずるものであり、特定の語義を有するものではないから、一種の造語からなるものと認められる。
そこで、本願商標より生ずる「ハイパータイト」の称呼と、引用商標から生ずる「ハイパタイト」の称呼とを比較すると、両者は、聴覚上比較的聴取されにくい中間音において「長音」の有無の差異を有するにすぎないものであるから、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語調、語感が近似したものとなり、互いに相紛れるおそれがあるものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標と引用商標とは、それぞれ前記のとおりの構成よりなるから、外観において相違し、観念についてはいずれも造語よりなるものであるから、比較することができないものであるとしても、称呼において相紛らわしく類似の商標といわざるを得ない。
また、本願の補正後の指定商品は、引用商標にかかる指定商品に含まれるものである。
したがって、本願商標と引用商標とは、称呼において類似する商標であって、かつ、その指定商品も同一又は類似のものであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-05-21 
結審通知日 2008-05-27 
審決日 2008-06-09 
出願番号 商願2005-59415(T2005-59415) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Y07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 久美枝飯山 茂 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 安達 輝幸
前山 るり子
商標の称呼 ハイパータイトブラシロール、ハイパータイトブラシ、ハイパータイト、タイト、タイトブラシロール 
代理人 中畑 孝 

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