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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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取消200666005 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y0105 |
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管理番号 | 1182520 |
審判番号 | 取消2007-300657 |
総通号数 | 105 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2008-09-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2007-05-21 |
確定日 | 2008-07-14 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4725076号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4725076号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成15年2月10日に登録出願、第1類「活性炭,ビール用の清澄剤及び保存剤,カルシウム塩,レシチン(原料に限る。),可塑剤,食品保存用化学剤,その他の化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類,肥料,陶磁器用釉薬,高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,写真材料,試験紙,人工甘味料,工業用粉類,原料プラスチック,パルプ」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,ラクトース,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液,乳児用食品」、ほか第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同年11月7日に設定登録されたものである。 なお、本商標権については、登録名義人について、「武田キリン食品株式会社」から「キリンフードテック株式会社」への表示の変更が平成19年9月18日に登録されている。 2 請求人の主張の要点 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標に係る第1類の指定商品「植物成長調整剤類」及び第5類の指定商品「薬剤,医療用腕環」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 (1)請求の理由 請求人の調査したところによれば、過去3年間において、本件商標が第1類の指定商品「植物成長調整剤類」及び第5類の指定商品「薬剤,医療用腕環」について使用された形跡を見出すことはできなかった。 よって、上記商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 (2)答弁に対する弁駁の要旨 (ア)本件商標は、乙第1号証の「取扱い品目一覧表」の表紙及び裏表紙において、「KIRIN」なるラテン文字と一緒に示されていることが認められ、また、該「取扱い品目一覧表」も添付書類をみる限り、2005年度に印刷され、関係会社に送付されているようである。 被請求人は、その中の33頁に「食品強化剤」なる商品が載っているので、本件商標が使用されていると主張している。 しかし、当該頁に掲載されている強化剤は、被請求人が所有する他の登録商標(商標登録第423038号)である「バイリッチ」の商標がマルアールの表示をもって表示され、使用されていものである。そして、その他の商品においても、いろいろなブランドとの関係で取り扱われていることも「取扱い品目一覧表」から明らかである。 また、被請求人は、「バイリッチ F-G」が品名として記載された「受領書」及び「売上明細書」の写しを乙第5号証及び乙第6号証として提出しているが、これは、品名として「バイリッチ F-G」の取り扱いがあった事実を示しているのみである。乙第7号証も、単に製品名としての「バイリッチ F-G」についての作業標準書なる写しを示したものにすぎない。 さらに、乙第8号証において、「包装用箱に本件商標を使用したレーベルを貼付した状態を示す写真」が不明瞭ながら示されているが、何時の時点のものか明確ではない。また、「バイリッチ(マルアール) F-G」と表示されていることからすれば、これが登録商標の使用であって、本件商標とラテン文字「KIRIN」の組み合わせ表示が不明確ながら右下に窺えるからといって、これをもって、本件商標の使用もなされていることにはならない。 (イ)膨大な種類の商品を取り扱っているカタログにおいて、いろいろなブランド名での商品の紹介があるなかで、単に、本件商標がカタログの表紙と裏表紙にラテン文字「KIRIN」とともに載っていることをもって、本件商標が使用されているとの主張は余りにも社会一般の常識から離れているものである。 被請求人の主張するように、商品のカタログに商品名を入れておきさえすれば、カタログの表紙や裏表紙の記載のみをもって、登録商標が使用されていると考えられるというのであれば、実際に使用されていない商品についてまで不必要に手厚く保護されることになる。これでは、使用を伴わない商標登録を無意味に存続させることになり、このような商標は、本来保護すべき信用が発生していないばかりか、第三者の自由な使用による経済活動を阻害することにもなる。本件のような場合においても、登録商標の使用を認めることは、不使用取消審判制度を設けている趣旨にも著しく反するものである。 3 被請求人の主張の要点 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。 被請求人は、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を本件指定商品中の第5類「薬剤」について使用しており、この事実は、乙第1号証ないし乙第10号証によって明らかである。 (1)被請求人について 被請求人は、酒類・食品・医薬品等の製造・販売等を行なう「麒麟麦酒株式会社(現キリンホールディングス株式会社)」と、医薬品・医薬部外品等の製造・販売等を行なう「武田薬品工業株式会社」の共同出資で、「武田キリン食品株式会社」として2002年に設立された企業であり、2007年4月に麒麟麦酒株式会社(現キリンホールディングス株式会社)の完全子会社となり、現在の社名に変更したものである。 (2)本件商標の位置付けについて 本件商標は、旧商号「武田キリン食品株式会社」の代表的出所標識として重要な商標として位置付けられていたものであり、被請求人の商号の変更があったとはいえ、キリングループの重要商標である「KIRIN」の頭文字の「K」をモチーフとした本件商標は、被請求人がキリンホールディングス株式会社の完全子会社となった現状においても未だ重要な商標として位置付けられるものである。 (3)本件商標の使用事実について 乙第1号証ないし乙第8号証のとおり、被請求人は、少なくとも、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の下で「食品強化剤」の販売を行っている。そして、本件商標を使用する商品は、「薬剤」中の「滋養強壮変質剤」たる「食品強化剤」として取引されているものである。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る指定商品について、その登録を取消し得ないものである。 4 当審の判断 (1)本件商標は、別掲に示したとおり、「K」の文字をモチーフにしたかの如き構成からなる商標であるところ、被請求人は、本件商標を「食品強化剤」について使用しているとして、乙第1号証ないし乙第8号証を提出している。 そこで、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、乙第1号証は、「取扱品目一覧表」と題する被請求人の作成・頒布に係るものと認められる商品カタログであり、その表紙には、本件商標と同一の構成からなる商標が中央部分に大きく表示されており、その右側に「Takeda-Kirin Foods」の欧文字が、また、その下には「KIRIN」の欧文字が表示されており、裏表紙にも、本件商標と同一の構成からなる商標とその下に「KIRIN」の欧文字が表示されている。そして、本件カタログには、その表題のとおり、被請求人の取り扱いに係る食品加工用、業務用、家庭用の各種商品が掲載されており、33頁には、「4.強化剤」の見出しのもとに、「バイリッチ」等の商標が付された各種の食品強化剤が掲載されており、裏表紙には被請求人の会社名が表示されていることを認めることができる。 乙第2号証は、双葉印刷株式会社が被請求人に宛てた平成17年11月25日付けの合計請求書及び請求明細書であり、明細内容欄には、「取扱品目一覧表」が2005年10月31日に納品された旨記載されている。 乙第3号証は、平成17年12月27日付けの支払伝票(経理処理内容確認書)と題する書面であり、双葉印刷株式会社が被請求人に宛てた「取扱品目一覧表」についての請求に対する支払いの処理状況が示されている。 乙第4号証は、2002年5月21日から2006年12月29日までの該商品カタログの送付先リストであり、本件審判の請求の登録(平成19年6月6日)前3年以内においても、極めて多くの顧客に該商品カタログが送付されていたことが認められる。 乙第5号証は、2007年2月7日に日新興業株式会社(昭和産業神戸工場製粉課品質管理 工藤)が「バイリッチ F-G」を受領したことを示す受領書であり、乙第6号証は、被請求人が日新興業株式会社に商品を販売した際に作成された2007年2月28日付の請求書・売上明細書一覧・回収状況表であり、「バイリッチ F-G」等の商品が記載されている。 乙第7号証は、作業標準書と題する書面であり、「バイリッチ F-G」の箱詰め作業を示す作業指示書と認められるものであり、乙第8号証は、作業標準書に従い箱詰めされた包装用箱にレーベルを貼付した状態を示す写真であって、写りが不鮮明ではあるが、「バイリッチ F-G」の商標とともに、本件商標と同一の構成からなる商標と「KIRIN」の文字からなる商標が表示されていることが認められる。 (2)上記において認定した事実を総合してみれば、被請求人は、乙第1号証の「取扱品目一覧表」と題する商品カタログを、本件審判の要証期間内である平成17年10月当時において作成(ないしは増刷)していたことが認められ(乙第2号証、乙第3号証)、かつ、本件審判の要証期間内において、該カタログを数多くの顧客に送付していたことを認めることができる(乙第4号証)。 そして、乙第1号証のカタログの表紙の中央部には、本件商標が大きく表示されているところ、これは、被請求人企業の代表的出所標識の一つと認められるものであり、また、該カタログの掲載商品中には、各種の食品強化剤が掲載されており、この「食品強化剤」は、取消請求に係る本件商標の指定商品中の第5類の「薬剤」の範疇に属する商品と認められるものである。 このように、カタログに代表的出所標識といえる商標を付して頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号に規定するところの商標の使用に該当すると認められるものである。 加えて、乙第5号証及び乙第6号証によれば、「バイリッチ F-G」なる個別商標が付された食品強化剤が2007年2月当時において、日新興業株式会社に販売されていたものと認められ、この販売に当たっても、乙第7号証及び乙第8号証に示されているように、その包装箱には「バイリッチ F-G」なる個別商標とともに本件商標も表示されていたものと推認し得るところである。 (3)請求人の反論について 請求人は、乙第1号証、乙第5号証ないし乙第7号証において掲載されている「食品強化剤」は「バイリッチ」の商標で使用されているものというべきであること、カタログの表紙や裏表紙に商標が記載されていることのみをもって、カタログ中のあらゆる商品について商標の使用が認められるとするならば、実際に使用されていない商品についてまで保護されることになり、不使用取消審判制度を設けている趣旨にも反するものであることを挙げて反論している。 しかしながら、一般的に、企業は、代表的出所標識(ハウスマーク)といわれる商標とその取り扱いに係る個々の商品に付される個別商標(ペットマーク)といわれる商標を採択・使用しているのが実情であり、代表的出所標識(ハウスマーク)といわれる商標は、個々の商品に表示されるばかりでなく、看板や広告、カタログ、パンフレット、ホームページ等々において、その取り扱いに係る商品全般にわたる出所標識として広く使用されているのが実情である。 そして、商標の使用は、必ずしも商品自体に商標が付される場合ばかりでなく、商品カタログにあっては、代表的出所標識のような商標がその表紙等に表示されている場合には、それが商品カタログ中に掲載されている個々の商品についても、その出所を表示する機能を果たしているものと認められるから、個々の商品自体に該商標が付されていない場合でも、該個々の商品について当該商標が使用されていると解して差し支えないものというべきである。 本件商標の場合においても、被請求人が主張しているように、本件商標はキリングループの重要商標である「KIRIN」の頭文字の「K」をモチーフとした商標であって、被請求人企業の代表的出所標識の一つと認められるものであるから、これがカタログの表紙及び裏表紙に表示されることにより、該カタログに掲載されている各種商品について、それらに付されている個別商標が果たしている機能とは別に、被請求人企業が取り扱う全ての商品についての識別標識(代表的出所標識)としての機能を果たしているものということができる。 したがって、請求人の主張が個別商標(ペットマーク)についての主張であるならば一理あるとしても、本件商標のような代表的出所標識といわれる商標の使用に関しては、請求人の主張は採用できない。 (5)まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を取消請求に係る指定商品中の第5類の「薬剤」に含まれる「食品強化剤」について使用していたことを証明したものということができる。 したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る第1類の指定商品「植物成長調整剤類」及び第5類の指定商品「薬剤,医療用腕環」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 ![]() |
審理終結日 | 2008-02-18 |
結審通知日 | 2008-02-21 |
審決日 | 2008-03-04 |
出願番号 | 商願2003-9651(T2003-9651) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y0105)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 津金 純子 |
特許庁審判長 |
山口 烈 |
特許庁審判官 |
鈴木 新五 寺光 幸子 |
登録日 | 2003-11-07 |
登録番号 | 商標登録第4725076号(T4725076) |
商標の称呼 | ケイ |
代理人 | 飯島 紳行 |
代理人 | 藤森 裕司 |
代理人 | 福田 秀幸 |