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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z41
管理番号 1180946 
審判番号 取消2006-31201 
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-09-26 
確定日 2008-06-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4414505号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4414505号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4414505号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成11年5月20日に登録出願され、第41類「知識の教授」を指定役務として平成12年9月8日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
ア 請求の理由
本件商標は、その指定役務「知識の教授」について、継続して3年以上日本国内で商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
イ 弁駁の理由
(1)本件審判につき被請求人から使用の証拠として乙第1ないし第4号証が提出された。しかし、被請求人は各証拠についての説明を行っておらず、立証趣旨が不明であるが、以下に各証拠について検討する。
(ア)乙第1号証(SO-KEN事業計画の6頁、知的所有権一覧のコピー)について
乙第1号証は、第1頁に「社外秘」と記載されており、需要者(取引先)への頒布を目的として作成された書類でないことが明らかである。
また、被請求人の指摘する第6頁は、被請求人が所有する商標の単なる一覧であり、本件の指定役務について使用されたものではない。
さらに、本件登録番号の欄に記載されているのは「国語力検定(図形)」の文字であって、文字と図形の結合商標である本件商標とは同一性がない。
(イ)乙第2号証(平成17年12月お得意様宛文書のコピー)について
乙第2号証では、「『国語力伸びる講座』一部改訂、及び『国語力検定』のご案内」のタイトルのもとに本文12行目から14行目に「生徒のやる気を起こさせる評価部分のご要望がございますので、指導に役立てることを合わせ、国語力検定委員会監修による『国語力検定』を準備し育てて参ります。」の記載がある。また、最下段<添付資料>の欄に「2.国語力検定 概要」として本件商標が記載されている。
ここで、本件商標が使用されている箇所は<添付資料>の欄であり、添付書類の題号を表示したものにすぎない。
よって、乙第2号証における本件商標の記載は、本件指定役務について使用したものとはいえない。
(ウ)乙第3号証(国語力検定概要のコピー)について
乙第3号証については、発行日付が無い。また、これが乙第2号証の添付書類であるとの主張、立証もない。したがって、乙第3号証が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたものとはいえない。
次に、乙第3号証では、各頁の左上に本件商標が記載されている。また、第1頁にタイトルとして「国語力検定 概要」と記載され、「国語力検定」部分には本件商標が記載されている。しかし、乙第3号証で使用されている役務は「国語の力をはかる検定」と「力をつける教材」であって、しかも、「国語の力をはかる検定」の実施会場は、売り込み先である「貴校」となっており、「検定試験の実施」ではなく単なる勧誘や願望が記載されているにすぎない。
また、「検定」や「教材」は、本件商標の指定役務「知識の教授」ではない。
この点については後段で詳述する。
(エ)乙第4号証(2006年取り扱い商品カタログの1・3頁)について
乙第4号証では以下の記載がある。
(a)第1頁に、「オリジナル商品」として「小学生用国語力教材『国語力 伸びる講座』(図形)国語力検定認定教材」の記載があり、「(図形)国語力検定」部分には本件商標が記載されている。
(b)第3頁では、「国語力教材のご案内」のタイトルのもとに「国語力 伸びる講座」の説明が記載されており、見出し2行目に「日本全書だけの『国語力アップ』教材!(図形)国語力検定 認定教材!」の記載がある。「(図形)国語力検定」部分には本件商標が記載されている。しかし、上記(a)(b)の箇所で使用されている「国語力検定」は、「認定教材」の文字と共に使用されている。
すなわち、上記箇所における本件商標は、教材である「国語力 伸びる講座」が国語力検定の認定教材であることを示す説明的な使用に過ぎず、本件指定役務について使用したものではない。
(c)第3頁下段では、「国語力検定」のタイトルのもとに、「学んだことを評価し弱点を明確にするため、『国語力伸びる講座』と連携した、国語力の総合的な評価基準『国語力検定』を準備してまいります。」の記載があり、タイトル部分には本件商標が記載されている。
しかし、本箇所で使用されている役務は「検定試験の実施に向けて今後準備する」旨の願望が記載されているにすぎず、本件商標の指定役務「知識の教授」ではない。この点については後述する。
さらに、乙第4号証に取り扱い出版社として記載されている、株式会社学書の図書目録、株式会社学友社の図書総目録、文理の総合カタログ2006、創育の総合カタログ2006、西北出版株式会社の学習塾用テキスト目録2006、正進社の塾用教材 総合カタログ2006、株式会社CKTのテキスト・テスト総合カタログ2006、明伸社の2006年度用図書総目録などには本件商標が全く記載されていないのは極めて不自然である。
また、上記出版社の証拠はカタログ原本が添付されており、その成立を認めることができるが、本件商標が使用されたとする乙第4号証の資料は単なるモノクロコピーが提出されたにすぎず、乙第4号証のカタログ原本を除く資料は、その成立の信憑性に欠ける。
(オ)上記のように乙第2ないし第4号証については、これらの文書が第三者に頒布された立証がない。
また、本件商標を使用して「国語力の検定試験」や「知識の教授」、それに付随する「教材」が実際に使用された事実はない。
(2)役務について
(ア)本件商標の指定役務は「知識の教授」である。しかし、乙第2号証及び乙第4号証の第1頁・第3頁上部で記載されている本件商標は、上記(1)で述べたとおり、本件商標の指定役務について使用しているものとはいえない。
そして、乙第3号証及び第4号証の第3頁下段で本件商標が使用されていると被請求人が主張している役務は、「知識の教授」ではなく「国語能力に関する検定試験の実施」と「教材」とのコラボレーションについてである。
(イ)乙第3号証では、その3頁や5頁目に講習が行われることが記載されているが、その講習の主体は、国語力検定の実施会場となる学習塾や学校などの教育機関が上記「教材」を用いて行うものであって、国語力検定を行う教材提供者(商標権者)が講習を行うものではない。
したがって、ここでの「講習」は商標権者が提供する役務「知識の教授」に当たらない。
(ウ)「知識の教授」と「検定試験の実施」の差異
両者は、特許庁の類似群コードでは共に41A01が付されており、類似する役務として扱われているが、同一性はない。すなわち、「知識の教授」は学習等の指導を行う役務である。
一方、「検定試験の実施」は、知識や技能が一定基準に達しているかどうかを試験により検定する役務であって、指導は含まれない点で「知識の教授」とは相違する。
(3)以上のとおり、被請求人が提出した乙第1ないし第4号証では、本件商標が本件指定役務について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されている事実を何ら立証するものではない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び弁駁に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第4号証を提出している。
(1)答弁の理由
請求人の取消事由となっている過去3年以内に被請求人が本件商標をその指定役務「知識の教授」に使用している
(2)弁駁に対する答弁
ア 本件審判につき、請求人から弁駁書が提出された。弁駁書の中で、乙提出の証拠が本件商標を本件役務に使用している旨を立証するものではないと主張されているが被請求人が提出した証拠について相違があり、本件審判は成り立たない。
イ 本件商標について文字と図形を結合した商標であり、指定役務は「第41類知識の教授」であることは認める。
ウ 商標「国語力検定試験」は、単に検定試験を実施することだけでは成り立たず、学習内容、学習状況の把握、評価の程度、受験解答の予測、理解度の予測、問題と正解率の関連、検定試験後の指導など、様々な要素があり、その積み重ねが「知識の教授」であり、「検定試験」である。この実施までには前述した要素に対するテストを繰り返し、より公平で公正なものとすることが望まれる。この意味で、請求人がいう「知識の教授」とは、単に教えることに集約しており被請求人との相違がある。検定試験の結果に至る過程とその後のフオローも含めた「知識の教授」である。
エ 被請求人は、昭和56年12月設立の株式会社であり、事業内容は、学習教材の出版・取次・販売を中心に教育に関する事業を行っている。事業の一部には、学習塾に対する教材、テスト等の販売があり「日本全書事業部」(外部対しては「日本全書」)が担っており、顧客と出版社をつなぐ役割を行っている。具体的には学習塾現場のニーズを収集分析し、商品企画立案を行い、出版社に提案し、共同で商品開発を行っており、その成果を学習塾に商品として提供する。その中で、現在までに「パソコン検定試験」や、「塾テスト」、「リスニング」シリーズ、「国語力伸びる講座」などを商品化してきている。本件審判の登録商標は「国語力検定」であり、「国語力検定」については、株式会社創育に提案し、「知識の教授」の教材郎分である「国語力伸びる講座」を同社が平成17年に刊行し今日にいたるまで請求人が独占販売を行っている。現在20以上の学習塾でこの教材に従って授業が行われ、被請求人はその学習状況の情報を収集している。この情報により、精度の高い「国語力検定」試験と指導を準備している。
オ 請求人の乙証拠についての検討内容に関して、以下にその説明を加える。
(a)乙証1号証に関して
事業計画6頁は、当社の中期事業計画書概要部分の1頁であり、請求人指摘の通り需要者への頒布を目的として作成された文書ではなく、社内および株主に対する事業計画説明の一部である。ここで被請求人が証拠として提出した趣旨は、請求人は単に趣味的に商標を申請しているのではなく、事業計画との関連で商標を活用することを基本としていることを示している。
(b)乙第2号証 平成17年2月お得意様宛文書コピーに関して
前述した、株式会社創育の「国語力のびる講座」を得意先に対して案内する文害であり、「国語力伸びる講座」と一体のものとして、「国語力検定試験」とその対策講座を準備していることの案内である。また、塾教材市場は競争が激しく、すぐに真似をする業者が輩出するので、その区別のために商標を保有していることを顧客に示すことが必要であり、また、真似をする業者に対して意識的に商標を保有していることを伝えることも担っている。
(c)乙第3号証 国語力検定概要のコピー
添付書類について、いちいち発行日付を入れることはしていない。実際に使用されている。
(d)乙第4号証
これは、該当年度の取扱商品のカタログである。前述の通り、被請求人は「日本全書」名で学習塾に対する学習教材の取次を行っており、取扱商品を顧客に示す必要がある。そのために毎年暮れから新年度の取扱カタログを顧客に配布している。また、毎年1月の展示会で見込み客に配布している。このカタログは、被請求人のオリジナル取扱(他社では取扱ができないもの)商品と、取次出版社の独自カタログをファイルに閉じたものである。オリジナル取扱の中に、「リスニング商品」、「国語力伸びる講座」、があり、これは被請求人以外取扱ができない商品である。
請求人は、弁駁書の中で、株式会社学書、株式会社学友社など(塾用教材の出版社)の図書目録に本件商標が全く記載されていないのは極めて不自然である旨主張しているが、一般に塾用教材出版社は自社の発行商品ないし取扱商品でないものを自社のカタログに掲載しない。被請求人は、オリジナル商品のカタログとしてこのファイルの冒頭に掲載している。また、株式会社学書はじめ塾用教材出版社に取オリジナル商品の取扱を委託しているわけではないので、各出版社のカタログの中にないことは当然である。
例えて言えば、パソコンを販売するA店が、自社の取扱カタログとして、IBMやNECなど、メーカー制作のカタログと、A社のオリジナル組み立てパソコンのカタログをー緒にファイルすることと同じで、特別の場合以外、IBMや、NECのメーカーカタログにその店のオリジナルパソコンが記載されることはありえない。
また、単なるモノクロコピーが提出されたに過ぎず、成立の信憑性に欠けるとあるが、前述の通り、既存客及び展示会への参加者に毎年配布している。なお、被請求人の学習塾教材の主要市場は関西であり、この数年間カタログ発行部数は200部から300部で、少部数でカラー印刷する費用を鑑み1色で制作している。
(e)乙第2号証から乙第4号証については、これらの文書が第三者に頒布された立証がないとのことであるが、前述の通り、被請求人の得意先、及び、大阪で毎年1月に行われている学習塾対象の展示会において頒布している。
(f)役務について
役務について請求人は、被請求人が主張している役務は「知識の教授」ではなく「国語能力に関する検定試験の実施教材とのコラボレーションであること」、また、乙第3号証で記載されている「講習」の主体は、国語力検定の実施会場となる学習塾や学校などの教育機関が行うものであって、商標権者が講習を行うものではないと主張されているが、被請求人は指定役務である「知識の教授」についてはコラボレーションがあることを否定するものではない。ただし、「国語力検定」では、以下の通り3段階があり、1段階目は「修得」で「新しく学ぶこと」、2段階目は「習熟」で「新しく学んだことを練習し身につけること」、3段階目は「身につけたことを評価し不十分な部分を指摘し再度身につける材料とする」という3段階で成り立つものといえる。あてはめると、修得は乙第3号証で明示している認定教材「国語力伸びる講座」によって学習塾で生徒に新しい学習内容を教授し、生徒はその内容を修得し、練習により身につける。身につけた内容を被請求人が準備している「国語力検定」により評価する。という一連の流れが、知識の教授であります。一段階が欠けても成り立たないので、この一連の知識の教授を象徴して「国語力検定」と名付けている。請求人は類似群コードで共に41A01が付されているが同一性はないと主張しているが、前述の通り「国語力検定」においては同一性をもつ共通のものである。
なお、請求人は弁駁書の最後で、被請求人が提出した証拠について事実を立証するものではないとの主張をしているが、乙第1号証から乙第4号証までに表示されている時期は事実であり、請求人が主張することを前提に被請求人が証拠書類を準備している訳ではない。また、本審判が起こされた同時期に某社が「国語力検定」の商標申請を行っている。このことと本審判の関係はいかがなものか知るべくもないが、被請求人は弱小会社であり、かような審判請求により、計画している事業の先行き見込みが厳しくなれば、企業存続に及ぶことも懸念される。

4 当審の判断
商標法第50条第1項の規定に基づく商標登録の取消の審判が請求された場合には、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その指定役務に係る商標登録の取消を免れないことは、同条第2項の規定から明らかである。
(1)そこで、被請求人が、本件商標をその指定役務「知識の教授」について使用しているとして、提出した各乙号証について検討する。
(ア)乙第1号証について
乙第1号証は、「SO-KEN事業計画」と題する6葉からなる書面(写し)と認められるところ、この書面は、本件審判請求の登録日である平成18年10月11日前3年以内の2003年11月に被請求人によって作成されたものと推認される。
しかしながら、その内容は、被請求人会社の概要、沿革、事業の特色等について簡略に説明するに止まり、本件商標の表示もなく、本件商標がその指定役務たる「知識の教授」について使用されていることを具体的に記述する箇所は何処にも見当たらない。
もとより、この書面は、2003年11月時における被請求人の事業計画を示したものであって、その事業が実際に行われたことを示すものではないし、その第1頁に「社外秘」の表示があることからすれば、被請求人の会社外の一般市場において現実に展示又は頒布されたものとはいえず、この書面をもって本件商標がその指定役務について使用されていたものと認めることはできない。
なお、被請求人は、この書面の6頁をもって本件商標を使用していると指摘するようであるが、その6頁は被請求人に係る登録商標の一覧表にすぎず、これが本件商標の使用を示すものでないことはいうまでもない。
(イ)乙第2号証について
乙第2号証は、平成17年12月に被請求人から顧客に宛てられた案内書の写しと認められるところ、その内容は、被請求人が提供する教材というべき「国語力伸びる講座」を一部改定し発行準備中であることや、同じく「国語力検定」を準備していること等を告知するものであって、これらの教材が実際に顧客に頒布されたことを示すものではない。しかも、「教材」の頒布は、いわゆる商品の譲渡に相当するものであって、本件審判請求の対象たる役務には当たらない。
添付資料の「2.」として、本件商標と同一といい得る表示を示した箇所があるが、実際には添付資料が添付されておらず、その内容は明らかでない。
仮に、この書面にいう「国語力検定」が本件商標の指定役務たる「知識の教授」に該当するものであると善解したとしても、上記のとおり、この書面は被請求人が「国語力検定」を準備していることを告知するものにすぎず、その役務が実際に提供されたことを具体的に立証するものではない。
したがって、乙第2号証をもって、本件商標がその指定役務について使用されているものと認めることはできない。
(ウ)乙第3号証について
乙第3号証は、「国語力検定概要」と題する5葉からなる書面(写し)と認められるところ、この書面は、被請求人によって作成されたものと推認されるものの、その作成時期は明らかでないし、これが現実に市場において展示又は頒布されたことを具体的に示すものは何ら見当たらない。
その内容は、「国語の力をはかる検定と力をつける教材のコラボレーション」、「検定出題カテゴリー」、「実施会場」、「フロー」等の「国語力検定」の概要を説明し顧客にその採択の検討を促すものであり、この書面の各頁に本件商標と同一といい得る標章が表示されているものの、上記のとおり、教材の頒布が知識の教授に該当しないことはもとより、一般に「検定」は「一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定すること。検定試験の略」を意味する語として知られており(岩波書店発行「広辞苑第5版」参照)、役務としての「検定の実施」自体は、自ずと知識の教授とは異なるものである。もっとも、「国語力検定フロー」を示した頁では、「講習」の項目があり、「国語力検定は、年間カリキュラムに従って講習を行うことで、一人一人の生徒に国語力をつけることが大きな目的です。」との記述があることからすると、被請求人のいう「国語力検定」には講習が含まれているようにも窺える。そして、「講習」は、「学問・技芸などを研究し練習すること。また、その指導をすること。」を意味し(前掲「広辞苑第5版」)、役務としての「知識の教授」の範疇に入るものとはいえる。
しかしながら、乙第3号証からは、被請求人のいう「国語力検定」の概略が推測されるとしても、独立した役務として具体的に提供されたことを示す証左は見当たらず、これをもって、被請求人が「国語力検定」を実際に実施し、さらに本件商標をその指定役務たる「知識の教授」について使用していたものと認めることはできない。
(エ)乙第4号証について
乙第4号証は、「2006年度取り扱い商品」と題し、「日本全書」なる法人が取り扱う出版社の教材のカタログをまとめたファイルと認められるところ、この「日本全書」と被請求人との関係は明らかでない。前示のとおり、教材自体は、商品であって役務には該当しないものであるし、乙第4号証中の教材には、本件商標の表示は一切なく、被請求人が該教材を用いて知識の教授を行うというような説明も一切見当たらない。
わずかに、これら教材とは別刷りで冒頭に添付された3葉の書面中に「国語力検定認定教材」の文字が見られ、3枚目の「国語力検定(国語力検定委員会監修)」の項目の下に「・・・国語力の総合的な評価基準『国語力検定』を準備してまいります。生徒のやる気を引き出すための材料にもなるように年2回、春期、夏期、冬期のいずれかで、自由にスケジュールが組めるように考えております。・・・」との記述が見られるものの、ここでいう「国語力検定」が現実に実施されたことを示すものは何ら見当たらない。もとより、この3葉の書面は被請求人ではなく「日本全書」によって作成されたものと推認される上に、この3葉の書面と各出版社のカタログとの関係も明らかでない。
したがって、乙第4号証をもって、被請求人が「国語力検定」を実際に実施し、さらに本件商標をその指定役務たる「知識の教授」について使用していたものと認めることはできない。
(2)その他、被請求人が本件商標をその指定役務たる「知識の教授」について使用していたことを認めるに足る証拠の提出はない。
(3)以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標がその指定商品について使用されていることを証明していないものといわざるを得ない。
(4)したがって、本件商標は、本件審判の請求前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定役務について使用されていなかったものというべきであり、また、その使用をしていないことについて正当な理由があるものとも認められないから、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)





審理終結日 2008-03-27 
結審通知日 2008-04-02 
審決日 2008-04-24 
出願番号 商願平11-45021 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 末武 久佳 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 小川 きみえ
石田 清
登録日 2000-09-08 
登録番号 商標登録第4414505号(T4414505) 
商標の称呼 コクゴリョクケンテー 

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