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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 042
管理番号 1179336 
審判番号 取消2007-300846 
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-07-06 
確定日 2008-06-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第3094106号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件商標は、別掲に表示するとおりの構成よりなり、平成4年9月25日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テ?プその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定役務として、同7年11月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張の要旨
請求人は、「本件商標についてその登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁書に対する弁駁
(1)被請求人が提出している上記書類からは、(a)本件審判の請求の登録前3年以内に、(b)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(c)登録商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)を審判請求に係る指定役務に使用をしていること、の3つの条件を満たす証明はなされていない。
以下、その論拠を示す。
ア 取消審判請求に係る指定役務についての使用
被請求人は、本件商標をその指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に使用している事実があると主張し、同役務に使用している事実を証明するものとして、ADAPT Support Service 契約約款」(乙第1号証)を提出している。そして、被請求人は、「『ADAPTに関する問題点の解決支援』、つまり故障したソフトを修正する等の保守を行ったり、問い合わせに対する回答、不具合が生じた場合には修正版を出す等の支援サービスを行うものである」旨主張している。
確かに、「同契約約款第4条(サポートサービスの内容)においてADAPT」の記載が表示されている。
しかしながら、同条には、サポートサービスの内容として、「1(註:○内に1)ADAPTに関する問題点の解決支援」、「2(註:○内に2)障害修正版のご提供」と記載されているのみで、当該サポートサービスの内容は全く明らかでない。
また、「ADAPT」の具体的内容についての他の記載は一切見受けられず、「ADAPT」と指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」との関係は全く明らかでない。
したがって、乙第1号証が本件取消審判請求に係る指定役務についての契約約款であるとは認められないことから、乙第1号証によっては、本件商標が、本件取消審判請求に係る指定役務について使用されることは証明されない。
イ その他、被請求人の提出する証拠に関して
(ア)乙第2号証について
被請求人は、「ADAPT 販売実績」を提出している。
当該物件の作成日として記載されている日付(平成19年8月9日)は、本件取消審判請求日(平成19年7月6日)以後の日であるので、当該物件は本件取消審判請求を受けた後に作成されたことも否定できない。また、営業管理部」と記載されているのみで作成主体が不明確である。
また、「商品名」欄に記載の「SupportSurvice」は、前記契約約款に記載のSupportService」と表記を異にする。
したがって、当該物件は証拠としての客観的信憑性に欠けるものである。
(イ)乙第5号証の2について
乙第1号証の契約約款裏面の「ADAPT Support Service 請書」の右肩には契約番号欄があり、(実際)乙第3号証の4には契約番号が記載されているが、乙第5号証の2には契約番号が記載されていない。
したがって、乙第5号証の2は、正式に作成された契約書でないおそれもあり、証拠としての客観的信憑性に欠けるものであるといわざるを得ない。
(2)以上より、被請求人が提出している上記答弁書は、本件商標が、本件審判の請求の登録前三年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、その指定商品について使用されていることを立証していないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。
理由
1 被請求人は、本件商標の指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に使用している事実がある。
そこで、本件商標の使用を立証すると、まず、被請求人は、各種ソフトウエアの製造・販売を業とするものであるが、その販売後のサポートについても業としてサービス業務を行っているものである。
「ADAPT Support Service 契約約款 第4条」(乙第1号証)に記載されているように「ADAPTに関する問題点の解決支援」、つまり故障したソフトを修正する等の保守を行ったり、問い合わせに対する回答、不具合が生じた場合には修正版を出す等の支援サービスを行うものである。
そして、かかるサービスについての実績は「ADAPT 販売実績」(乙第2号証)のとおりである。
また、これらのサービスに関する証明として(株)セゾン情報サービスシステムズとの注文書(乙第3号証の1)、(株)セゾン情報サービスシステムズとのADAPT Support Serviceの契約申込書(乙第3号証の2)、(株)セゾン情報サービスシステムズとの注文請書(乙第3号証の3)、(株)セゾン情報サービスシステムズとのADAPT Support Service請書(乙第3号証の4)及び(株)富士通ビジネスシステムとの注文書(乙第4号証の1)、(株)富士通ビジネスシステムとのADAPT Support Serviceの請書(乙第4号証の2)、更に日本酒類販売(株)とのサービス契約申込書(乙第5号証の1)、日本酒類販売(株)とのサーサービスの請書(乙第5号証の2)を提出する。
この事実からして、本件商標の場合、乙第1号証から乙第3号証において、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人において現在使用中であることが理解できることから、十分に役務商標としての使用義務を果たしているといえるのである。
2 以上のとおり、本件商標は、使用の事実が立証できることから、商標法第50条第1項の規定には該当せず、その登録は取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、「ADAPT Support Service 契約約款」の表裏の写しで、その第4条(サポートサービスの内容)に、「サポートサービスの内容は、下記のとおりです。(註:○内に1)甲がADAPTを使用してファイル編集する際に生じるADAPTに関する問題点の解決支援。(ご利用対象外ファイル形式を使用された場合のお問い合わせは含まれません。)、(註:○内に2)障害修正版のご提供。障害修正版(CD)を随時郵送します。2.サポートサービスは、請書に記載された実施責任者が、サポート専用のMailアドレスまたはFAXにより実施するものとします。…」と記載されていることが認められる。
(2)乙第2号証は、右上に「平成19年8月9日、営業管理部」の表示のある「ADAPT販売実績」の表題のある販売票の写しで、「売上計上日」の欄に、上から「1996/10/7、2005/5/23、・・・、2007/7/2」の日付、「請求書番号」の欄に、同じく上から「96200493、5300065、・・・、7300196」の番号、「顧客名」の欄に、同じく上から「富士通株式会社、株式会社 富士通ビジネスシステム、・・・、日本オフィス・システム株式会社」の会社名、「商品コード」の欄に、同じく上から「800、852、・・・、850」の数字、「商品名」の欄に、同じく上から「ADAPT、ADAPT for Windows(本体)、・・・、ADAPT for UNIX(HP-UX版)」の各記載が認められる。
(3)乙第3号証の1は、2005年5月26日付けの株式会社セゾン情報システムズから被請求人宛ての「注文書」の写しで、右上の日付の表示の下に「注文NO.BP17024」、その下に「株式会社セゾン情報システムズビジネスパートナー推進部」の郵便番号、住所、電話番号外と担当者の押印がなされている。そして、「品名」の欄に「ADAPT for Unix、Win」、「注文明細」の欄に「1 ADAPT for Unix、2 ADAPT for Windows、?、」の各記載が認められる。
(4)乙第3号証の2は、申込日:が平成17年5月26日とある被請求人宛ての「株式会社セゾン情報システムズ」からの「ADAPT Support Service 契約申込書」の写しで、右側の欄に契約担当者の押印がなされ、中央部の製品種別の欄に「ADAPT for Unix」外の各記載が認められる。
(5)乙第3号証の3は、2005年5月27日付けのある被請求人から「株式会社セゾン情報システム」宛の「注文請書」の写しで、右上の日付の表示の下に「注文NO.BP17024」、その下に被請求人の郵便番号、住所、担当役員の押印がなされている。そして、「品名」の欄に「ADAPT for Unix、Win」、「注文明細」の欄に「ADAPT for Unix、ADAPT for Windows、?、」外の各記載が認められる。
(6)乙第3号証の4は、平成17年5月27日付けの「株式会社セゾン情報システムズ」と被請求人との間の「ADAPT Support Service 請書」で、上部右側に「契約番号 05300093/注文NO.BP17024」、「4.サポートサービス契約期間 開始日:平成17年5月30日/終了日:平成18年5月29日」の各記載と、被請求人取締役先端技術ビジネス本部長名の押印が認められる。
(7)乙第4号証の1は、右下「2006.3.23」とある「株式会社富士通ビジネスシステム」から被請求人あての「注文書」の写しで、納入者コードの欄に「11730」、注文年月日の欄に「060315」、「品名」の欄の1項に「ADAPT SupportService年間保守」同2項に語頭が途切れた「DAPT SupportService(ライセンス)年間保守」の各記載が認められる。
(8)乙第4号証の2は、平成18年3月1日付けの「株式会社富士通ビジネスシステム」と被請求人との間の「ADAPT Support Service請書」の写しで、「4.サポートサービス契約期間 開始日:平成18年3月1日/終了日:平成19年2月末日」の各記載と、被請求人取締役先端技術ビジネス本部長名の押印が認められる。
(9)乙第5号証の1は、左上部に「07-03-30;16:41」の表示のある「日本酒類販売株式会社」の被請求人に対する「ADAPT Support Service 契約申込書」の写しで、「申込日:が平成19年3月30日」、「日本酒類販売株式会社の代表取締役印と思われる押印」、「製品種別」の欄に「ADAPT for UNIX」、数量の欄に「1」、備考欄に「サポート開始日 平成19年4月1日」外の各記載が認められる。
(10)乙第5号証の2は、「日本酒類販売株式会社」と被請求人との間の「ADAPT Support Service請書」の写しで、「4.サポートサービス契約期間 開始日:平成19年4月1日/終了日:平成20年3月31日」外の各記載と、被請求人取締役先端技術ビジネス本部長名の押印が認められる。
2 そして、被請求人は、答弁書において「各種ソフトウエアの製造・販売を業とし、その販売後のサポートについても業としサービス業務をおこなっているものである」旨主張しており、また、上記乙第1号証「ADAPT Support Service 契約約款」の第4条(サポートサービスの内容)に、「サポートサービスの内容として、「ADAPTを使用してファイル編集する際生じるADAPTに関する問題点の解決支援。(ご利用対象外ファイル形式を使用された場合のお問い合わせは含まれません。)/2(註:○内に2)障害修正版のご提供。障害修正版(CD)を随時郵送します。/2.サポートサービスは、請書に記載された実施責任者がサポート専用のMailアドレスまたはFAXにより実施するものとします。・・・」と記載されていることが認められる。
また、乙第3号証の1ないし甲第3号証の4よりすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前三年以内である2005年(平成17年)5月26日に「株式会社セゾン情報システムズ」から「ADAPT for Unix、Win」の注文を受け(「注文書」:乙第3号証の1)、続いて「ADAPT Support Service」の契約の申込を受けたこと(「契約申込書」:乙第3号証の2)が認められる。
また、被請求人は、同じく本件審判の請求の登録前三年以内である2005年(平成17年)5月27日に「株式会社セゾン情報システムズ」に対し注文を請けたこと(「注文請書」:乙第3号証の3)、及び被請求人は「株式会社セゾン情報システムズ」と「ADAPT Support Service」の契約のサポートサービス契約期間を「開始日:平成17年5月30日/終了日:平成18年5月29日」とする契約を請けたことが認められる。
さらに、被請求人は、上記1(7)ないし(10)のとおり(乙第4号証ないし乙第5号証(枝番を含む。))、本件審判の請求の登録前三年以内に、「株式会社富士通ビジネスシステム」及び「日本酒類販売株式会社」と具体的「ADAPT Support Service」の契約をしていたことが認められる。
3 以上のとおり、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)及び被請求人の主張を総合勘案すれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の範疇に属する「ADAPT Support Service」と称する電子計算機のプログラムの保守について使用していたと認め得るところである。
4 請求人の主張について
請求人は、「ADAPT」の具体的内容についての他の記載は一切見受けられず、「ADAPT」と指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」との関係は全く明らかでないから、乙第1号証によっては、本件商標が、本件取消審判請求に係る指定役務について使用されることは証明されない、また、乙第5号証の2は、正式に作成された契約書でないおそれもあり、証拠としての客観的信憑性に欠けるものであるといわざるを得ない旨主張する。
しかしながら、被請求人が提出した上記契約書の内容が、不自然な内容のものということはできず、加えて上記2及び3のとおり、乙第1号証の内容、乙第3号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)の契約内容、押印等を総合すると、全体として整合するといえ、これらの内容は信憑性があるものというべきであるから、請求人の主張は採用できない。
5 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)





審理終結日 2008-03-25 
結審通知日 2008-03-27 
審決日 2008-04-21 
出願番号 商願平4-210050 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野口 美代子瀧本 佐代子 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 石田 清
小川 きみえ
登録日 1995-11-30 
登録番号 商標登録第3094106号(T3094106) 
商標の称呼 アダプト 
代理人 秋元 輝雄 

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