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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 125
管理番号 1177866 
審判番号 取消2007-300769 
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-06-13 
確定日 2008-04-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第0995330号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第0995330号商標の指定商品「第25類 被服」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第995330号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、昭和44年4月1日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和48年1月24日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成16年6月2日、第24類「布製身の回り品,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」に書換登録がなされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として本件商標の登録原簿の写し及び商標を示す資料を提出した。
(1)請求の理由
請求人の市場調査では本件商標が過去3年以上に亘り、取消を求めた商品に使用されていた事実を発見できなかった。よって、本件登録は、指定商品中「被服」について、商標法第50条の規定により取消しを免れないものである。
(2)弁駁
ア 本件商標がその指定商品に使用されているとの主張は提出された証拠からは認められない。答弁理由の(1)及び(2)は独自の見解である。被請求人が本件商標の使用許諾を与えたと主張している株式会社ゼン・プランニング・コーポレーション(以下「ゼン・プランニング・コーポレーション」という。)は、請求人による調査及び被請求人が提出した証拠(乙第4号証の2及び3)によれば、企業から委託を受けてデザインしたユニフォームを製造している、いわゆる被服の加工業者である。
イ 本件商標の片仮名部分以外は、特定の称呼の生じない図形部分と見るべきである。
ウ 提出された証拠からは、被請求人が本件商標を使用した指定商品を販売している事実は見当たらない。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、商公昭47-1583号公報(乙第1号証)に記載されているとおり、「OHori」のローマ字とその右下半分に小さく片仮名の「オーリィ」を書してなる、ローマ字と片仮名の2段横書きにてなる文字商標であって、要部は「OHori」にあってオーリィと称呼するものである。
請求人はローマ字に精通しているイギリス人でありながら、本願商標中の「OHori」を図形と見ている誤りがある。特に筆記体で表された末尾の「ri」の文字はローマ字であることが明らかであり、これを図形と見ていることはどうにも納得しかねる。
(2)本件商標は出願人の姓であるHoriに、当時日本および世界を沸かせたプロ野球選手の王貞治選手のOH(乙第2号証)を頭にして、「OHori」にして出願したものであり、「OHori」がサインようのローマ字にてなるも、その下に小さく「オーリィ」の片仮名文字があることから、これがフリガナの役割をしてオーリィと称呼される文字商標であることはまぎれもない事実である。サインようのローマ字にてなる商標に称呼用のフリガナを付すことは慣習である。すなわち、商公平8-123474号公報(乙第3号証の1)、登録第4574110号公報(乙第3号証の2)、登録第4628678号公報(乙第3号証の3)、登録第4877602号公報(乙第3号証の4)、商公昭63-6736号公報(乙第3号証の5)、登録第4576496号公報(乙第3号証の6)、登録第4051226号公報(乙第3号証の7)はいずれもむずかしいローマ字の文字商標であるが、称呼用のフリガナを付していることで称呼を明確にしていることで裏付けられている。特に本件商標のOHoriとオーリィは5文字、4文字の少ない字並びにて称呼しやすいこと、昭和48年の登録であって、請求人も言うように3度の更新を経て、30数年の長期に亘って存続し使用し続けていることから、「OHori」はオーリィの称呼にて需要者間によく知られ、浸透していることは経験則からも明らかである。
(3)被請求人はゼン・プランニング・コーポレーションの役員(乙第4号証の4)であることから、本件商標の通常使用権をゼン・プランニング・コーポレーションに許諾(乙第4号証の1)している。
そして、本件商標のOHoriは通常使用権者のゼン・プランニング・コーポレーションによって、被服の販売に当って使用され続けている。
同社は、衣服文化の全域及びユニフォーム全般に前進的な企画設計を善意をもって創造・推進する専門企画集団であって、会社案内(乙第4号証の2)にてわかるように、サーヴァーズユニフォームに本件商標「OHori」を付して販売し続けている。また同社の代表取締役 新井俊二が作成した説明書(乙第4号証の3)も、本件商標の「OHori」を付した被服の販売実績を写真を示しながら説明している。
ア OHoriの商標を付した販売店員向けの長袖ユニフォームシャツとリバーシブルベスト1着を平成17年8月2日に大島美智恵氏に38850円で販売した事実を示す納品書控と、販売した長袖ユニフォームシャツとリバーシブルベストの写真および襟タグ部分の拡大写真(乙第5号証の1及び2)を提出する。
イ OHoriの商標を使用して販売したユニフォームジャケットとスカート各13着およびジャケットサンプルとスカートサンプル各1着を、平成18年9月29日に、株式会社閑ジュエリーに753900円で販売した事実を示す納品書控(乙第6号証の1)を提出する。
ウ 同年11月16日、同社に同じジャケットとスカート各3着を144900円で販売した事実を示す納品書控(乙第6号証の2)を提出する。
エ 平成19年2月28日、同社に同形ジャケットとスカート各4着を193200円で販売した事実を示す納品書控(乙第6号証の3)を提出する。
上記イないしエにて販売したジャケットとスカートの写真は、乙第6号証の4にて示している。ジャケットの襟の内側に「OHori」が付されているがトルソーでかくれていて、この点は、2枚目の写真にてOHoriの襟タグと所属、氏名のネームタグを大きく写していることで証明している。
(4)むすび
本件商標中、ローマ字によるOHoriの使用は、本件商標の要部であって、下の小さい片仮名と同一の称呼及び観念を生ずることから、社会通念上登録商標の使用と明確に認定されるものであり、したがって、商標法第50条不使用による取消し要件に該当しない。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 被請求人は、ゼン・プランニング・コーポレーションの取締役であり、同社に対し、本件商標について通常使用権の許諾をしている(乙第4号証の1、同4)。
イ 上記の通常使用権者に係る会社案内(乙第4号証の2)には、同社の業務内容や実績等が示されており、添付の「サーヴァーズ・ユニフォーム・カタログ」には「OHORI」の文字が使用されているが、別掲に示すとおりの構成からなる本件商標に係る表示は見出せない。
ウ 「『OHori』『オーリィ』について」(乙第4号証の3)の添付写真には、別掲に示す構成から「オーリィ」を除いた商標(以下「使用に係る商標」という。)を表示した襟タグが付されているユニフォーム及び同じくシャツの現物が写され、また、その襟タグそのものが示されている。
エ 納品書控(乙第5号証の1)によれば、平成17年8月2日付で、上記の通常使用権者が「大島美智恵」に、品名「長袖シャツ&リバーシブルベスト」の数量「1」を納品したことが認められる。そして、続葉の写真(乙第5号証の2)にはシャツが写されており、そのシャツの襟タグには使用に係る商標が表示されている。
また、納品書控(乙第6号証の1)によれば、平成18年9月29日付で、品名「ジャケット」を数量「13」、品名「スカート」を数量「13」、品名「ジャケットサンプル」を数量「2」、品名「スカートサンプル」を数量「2」、また、平成18年11月16日付で、品名「ジャケット」を数量「3」、品名「スカート」を数量「3」、さらに、平成19年2月28日付で、品名「ジャケット」を数量「4」、品名「スカート」を数量「4」を、いずれも、上記の通常使用権者が「(株)閑ジュウリー」に納品したことが認められる。そして、続葉の写真(乙第6号証の4)には、ジャケットとスカートの一組が写されており、ジャケットの襟タグには使用に係る商標が表示されている。
なお、上記納品書控の日付は、いずれも、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件期間内」という。)のものである。
(2)ア 本件商標は、別掲に示すとおり、図案化された欧文字の右下に小さく「オーリィ」の片仮名文字を配したものである。そして、その構成中の上段の図案化された欧文字部分は、それ自体では判読が極めて難く、片仮名文字が付されてはじめて「オーリィ」との読みが可能となり得るものである。
そうとすれば、本件商標は、全体として一体の商標とみるべきである。
したがって、振り仮名を欠く使用に係る商標は、称呼及び観念を特定し得ず、一種特有の図案化がされた欧文字からなる標章として看取されるというのが相当であり、本件商標と同一の称呼及び観念を生ずるとすることはできない。
してみると、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認め難いといわざるを得ないものである。
イ 被請求人は、本件商標が「3度の更新を経て、30数年の長期に亘って存続し使用し続けていることから、『OHori』はオーリィの称呼にて需要者間によく知られ、浸透していることは経験則からも明らかである」と主張する。
しかし、活字体で表された「OHori」の文字はオーリィの読みをもって称呼し得るけれども、本件商標が活字体で表された「OHori」の文字そのものでないことは明らかであるうえ、使用に係る商標が「OHori」として看取されるといい難いことは前記のとおりであり、また、これが「オーリィ」の称呼をもって取引上需要者間に定着しているとすべき客観的な証拠もないから、被請求人の主張をもって前記判断を左右し得ない。
ウ さらに、証拠(乙第5号証及び同第6号証)によれば、納品書控の続葉として、使用に係る商標が付された商品の写真が示されているが、全証拠を総合しても、写真に示された商品がその取引の対象であったとすべき的確な資料(例えば、品番の一致等を示すもの)は見出せないから、これをもって、使用に係る商標が付された商品が、納品書控の年月日において現に取引(納品)されたとまで推認することはできないといわざるを得ない。
(3)以上、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められず、さらに、その使用の時期については明らかでないといわざるを得ないから、被請求人提出の証拠によっては、本件期間内における本件商標の使用を証明したと認めることができない。
他に、本件商標が本件期間内に「被服」について使用をされたとすべき証拠はなく、不使用についての正当理由に係る主張及び立証はない。
(4)したがって、本件商標は、指定商品中「被服」について、商標法第50条により、その登録の取消しを免れないものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標




審理終結日 2008-03-03 
結審通知日 2008-03-04 
審決日 2008-03-17 
出願番号 商願昭44-24921 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (125)
最終処分 成立  
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 渡邉 健司
岩崎 良子
登録日 1973-01-24 
登録番号 商標登録第995330号(T995330) 
商標の称呼 オーリイ 
代理人 永島 郁二 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 

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