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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない Y03
審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y03
審判 査定不服 観念類似 登録しない Y03
管理番号 1177675 
審判番号 不服2007-8680 
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-27 
確定日 2008-04-09 
事件の表示 商願2006- 56471拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ヴィヴィリ」の片仮名文字と「ViVi-Ri」の欧文字を二段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、平成18年6月16日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3365366号商標(以下「引用商標」という。)は、「檜美林」の文字と「ビビリン」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成8年1月23日登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同9年12月5日に設定登録され、その後、同19年12月11日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について判断するに、商標法第4条第1項第11号の商標の類否判断において、一般に、「商標が類似するかどうかは、最終的には、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、具体的にその類否判断をするに当たっては、両商標の外観、称呼、観念を観察し、それらが取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであって、決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが、少なくともその一つが類似している場合には、当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(最高裁第三小法廷、昭和43年2月27日判決・民集22巻2号399頁参照)。」と解されるところである。以下、これを前提に、本願商標及び引用商標とをそれぞれの指定商品に使用した場合に、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるかについて判断する。
(2)本願商標及び引用商標の称呼上の差異についてみると、本願商標は、前記1のとおり、「ヴィヴィリ」の片仮名文字と「ViVi-Ri」の欧文字を二段に横書きしてなり、これよりは、その構成文字に相応して、「ビビリ」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、前記2のとおり、「檜美林」の文字と「ビビリン」の片仮名文字を二段に横書きしてなるところ、これよりは、その構成文字に相応して「ビビリン」の称呼を生ずるものである。
そこで、本願商標から生ずる「ビビリ」の称呼と引用商標から生ずる「ビビリン」の称呼とを比較するに、両称呼は、称呼の識別において重要な要素を占める語頭音を含めた「ビビリ」の音を共通にし、異なるところは、語尾における「ン」の音の有無のみである。
しかして、該差異音「ン」は、それ自体響きの弱い鼻音であって、それ自体の音の響きが弱いために前音の「リ」に吸収されやすいばかりではなく、比較的聴取され難い語尾に位置することから、常に明瞭に聴取し得るものとはいえないものである。
そうすると、該「ン」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえないから、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合には、全体として語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれが少なからずあるものと判断するのが相当である。
(3)本願商標及び引用商標の外観上の差異についてみると、本願商標は、前記1のとおり、「ヴィヴィリ」の片仮名文字と「ViVi-Ri」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、他方、引用商標は、上記2のとおり、「檜美林」の文字と「ビビリン」の片仮名文字を二段に横書きしてなる構成よりなるから、両商標は、その外観において異なるものである。しかしながら、本願商標と引用商標とは、共に普通に用いられる文字よりなるから顕著な差異があるとは認め難いものである。
(4)本願商標及び引用商標の観念上の差異についてみると、本願商標は、前記1のとおり、「ヴィヴィリ」の片仮名文字と「ViVi-Ri」の欧文字を二段に横書きしてなり、他方、引用商標は、前記2のとおり、「檜美林」の文字と「ビビリン」の片仮名文字を二段に横書きしてなるから、共に特定の意味を有する成語とはいえないものである。そうすると、本願商標と引用商標とは、比較することができないから、観念上で明確な違いを有するものということはできない。
(5)取引の実情について検討するに、本願商標と引用商標とが、指定商品全般について商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれは生じないという特別な取引の実情が存するという理由及び証拠は見出せない。
(6)上記認定を総合すると、本願商標と引用商標とは、観念については、共に成語とは認められないことから、比較することはできないとしても、外観上顕著な差異があるとは認め難いものであり、称呼においては互いに紛らわしく、上記(5)のとおり、当該指定商品について商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情も存在しないから、これらを同一又は類似の商品に使用したときは、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。
そして、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
したがって、本願商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、両商標の指定商品も同一又は類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(7)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、「ヴィヴィリ/ViVi-Ri」のカタカナ及び欧文字の二段書きで、下段に欧文字「ViVi-Ri」、上段にその読み「ヴィヴィリ」を片仮名で記載して構成された商標であり、その称呼は「ヴィヴィリ」である。その称呼に於いては「Ri」部分により明確に「リ」と称呼され、「ViVi」の部分は明確に「ヴィヴィ」と発音される。そして、本願商標は「ViVi」及び「ヴィヴィ」の構成部分から、「ビビ」ではなく、「ビビ」とは区別されて明確に「ヴィヴィ」と称呼され、聞く者も、「ヴィヴィ」と「ビビ」を聴別し、その聞こえから「ヴィヴィ」は欧文字「V」を用いた発音であることを認識するものである。一方、引用商標の後半の「リン」は強音であり、ベルの音の「リン」や林の「リン」等で日本人になじみが深い発音であるので、聴別もされやすく、「梅林(バイリン)」等の「なになに林」とした構成の単語では、「バイ」と「リン」のように、「リン」の前の部分で2音節風に分けて称呼されるものであるので、引用商標も「ビビ」「リン」の2音節風に分けて称呼されるものである。したがって、本願商標と引用商標は、称呼において同一でもなく類似するものではないこと明らかである旨主張するが、相違する「ヴィ」と「ビ」の音は、前者が下唇を上歯に接近させた調音させる唇歯音で有声摩擦音(v)と母音(i)との結合した音節であるのに対し、後者が両唇の閉鎖による両唇音で有声破裂音(b)と母音(i)との結合した音節であって、両者の子音の調音位置が近似し、かつ、母音を共通にするものであり、加えて、「ヴィ」(vi)の音は、例えば弦楽器の一つである「ヴィオラ」を「ビオラ」と、英国の女王(1819年?1901年)「ヴィクトリア」を「ビクトリア」と発音される場合もあるように、常に原語に従った正しい発音がされるとも限らず、発音し易い「ビ」(bi)の音に置き換えて発音されることも少なくないことよりすれば、我が国において、「ヴィ」と「ビ」の音は、極めて近似した音として聴取されるものである。そして、引用商標が2音節風に区切って発音されるものとして一般に知られているというような特別の事情も認められず、本願商標と引用商標のそれぞれから生ずることが明らかな「ビビリ」と「ビビリン」の称呼が聞き誤るおそれのあるものと判断することは、前記(2)のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
イ また、請求人は、本願商標と引用商標は、その外観は全く異なる。又、本願商標は造語であり、引用商標よりは、「檜の美しい林」の観念が生じるので、観念も全く異なるものである。そして、商標の類否は、称呼、観念、外観を、取引実情を考慮して総合的に判断すべきところ、本願商標と引用商標では、称呼が非類似である上に、観念、外観が全く異なり、両商標を見たものに、類似と認識、判断されることは決してないから、本願商標と引用商標は非類似であること明白であると主張しているが、本件について、上記のように外観、称呼、観念を総合的に考察し、かつ、取引の実情を考慮して認定、判断したものであるから、この請求人の主張は採用することができない。
ウ さらに、請求人は、過去の審決例を挙げて本願商標も登録されるべきであると主張しているが、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、過去の審決例の判断に拘束されることなく、個々の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであり、また、いずれも本願商標とは商標の構成及び指定商品等を異にする事案であって、必ずしも本件に適切なものとはいえない。したがって、請求人のこの主張も採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-01-30 
結審通知日 2008-02-08 
審決日 2008-02-19 
出願番号 商願2006-56471(T2006-56471) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Y03)
T 1 8・ 261- Z (Y03)
T 1 8・ 263- Z (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 小畑 恵一
清川 恵子
商標の称呼 ビビリ、ビビアアルアイ、ビビ 
代理人 高橋 三雄 
代理人 高橋 大典 

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