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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Y05 審判 全部申立て 登録を維持 Y05 審判 全部申立て 登録を維持 Y05 審判 全部申立て 登録を維持 Y05 |
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管理番号 | 1176090 |
異議申立番号 | 異議2007-900315 |
総通号数 | 101 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2008-05-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2007-07-09 |
確定日 | 2008-01-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5036971号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5036971号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5036971号商標(以下「本件商標」という。)は、「マルテル」の文字を書してなり、平成18年8月30日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同19年2月19日に登録査定、同年3月30日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由(要旨) (1)商標法第4条第1項第8号について 本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の世界的著名な商標「MARTELL」から生じる称呼と同一又は類似の称呼をカタカナ文字で書したものであるが、本件商標の商標権者は申立人とは他人であり、その登録につき承諾を得たものではない。 (2)商標法第4条第1項第15号について 本件商標は、申立人の会社名及び申立人の販売する酒類を表示する商標として、需要者の間に広く認識されている商標「MARTELL」から生じる称呼と同一又は類似の称呼をカタカナ文字で書したものであって、本件商標がその指定商品について使用された場合、当該商品が申立人と人的・資本的に関係のある者の業務に係る商品であると、その出所について混同を生ずるおそれがある。 (3)商標法第4条第1項第19号及び同第7号について 本件商標は、申立人の世界的著名な商標「MARTELL」から生じる称呼と同一又は類似の称呼をカタカナ文字表記を、不正の目的をもって剽窃的に登録出願し登録された商標である。 (4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第15号、同第19号及び同第7号に該当し、その登録を取り消されるべきである。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第8号について 申立人は、本件商標「マルテル」が同人の名称である「Martell&Co.」の著名な略称「MARTELL」のカタカナ文字表記であり、商標権者に承諾を与えていないから、本件商標は他人の著名な略称からなる商標そのものである旨主張する。 しかし、申立人の提出にかかる甲各号証を徴するに、申立人が商品「コニャック」に使用している商標は、殆ど「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」であり、「マルテル」については、わずかに、「MARTELL」と「マルテル」の文字よりなる商標公報の写し及び特許庁のホームページの写し(甲第14号証及び甲第16号証)と、フランスの料理用語事典に商標名として「マルテル」(甲第18号証)の表示が認められるのみであって、しかも甲第16号証の商標は、甲第14号証の登録商標(登録第1361683号)に基づくものであることは明らかである。 そうすると、商標として「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」が商品「コニャック」に使用されていることは首肯できるが、甲各号証の証拠をもってしては、「マルテル」の文字が直ちに申立人の著名な略称を表したものと認めることはできない。 したがって、本件商標は、他人の著名な略称よりなる商標ということはできない。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)著名性について ア 申立人は、同人の「MARTELL」商標は、1807年に「Martell&Co.」の採択以来、申立人の主要業務に係る商品「コニャック」を表示するものとして、本件商標の登録出願前及び登録査定時点では既に世界的規模で取引者及び需要者の間に広く認識されていた商標であるとして、甲第1号証ないし甲第20号証(枝番を含む。)を提出し、要旨以下のよう主張している。 (ア)本件商標は、申立人の商標「MARTELL」のフランス語の発音規則に基づく称呼の片仮名文字表記「マルテル」からなるところ、申立人の商標「MARTELL」は我が国の需要者にとっては、特段意味を見いだすことのない造語に極めて近い性質のものである。また、商標「MARTELL」は、申立人を代表する基幹商品の商標かつ申立人自身の略称である。 (イ)さらに、昨今ではアルコール飲料を含む飲食物の製造・販売業務を営む大企業が、医薬部門や飲食品部門、人の(飲)食生活に関わる事業を統括的に行っている例が実際に多く、例えば、申立人の商品の輸入・販売を行っている麒麟麦酒グループの例があり、薬剤の分野であっても、「マルテル」の文字に接する取引者及び需要者が、申立人及び申立人商標「MARTELL」を容易に連想・想記することは十分考えられる。 (ウ)そうすると、本件商標をその指定商品である第5類「薬剤」について使用した場合、これに接する取引者及び需要者が、その商品が申立人若しくは申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。 イ そこで、申立人の提出にかかる甲各号証を徴すると、以下のとおりである。 (ア)甲第2号証は、「PERNOD RICARD」社のホームページの写しで、「MARTELL」外の表示のあるラベルが商品「コニャック」の瓶に貼付されているものである。甲第3号証は、(株)研究社発行の「英和商品名事典」の272頁に「『Martell マーテル』として、フランスMartell&Co.製のコニャック…」の記述が認められる。 (イ)甲第4号証ないし甲第12号証は、欧文からなるオーダーレター、レポート、フランス国コニャック事務局の年次報告、New York Timesの1997年8月20日付け(電子版)等である。 (ウ)甲第13号証は、国際登録第3162232号のWIPOの書誌データで、その540に商標「MARTELL」とその指定商品の掲載が認められる。 甲第14号証及び甲第15号証は、我が国の商標公報で、上記1のとおり、「MARTELL」と「マルテル」の文字よりなる商標及び「MARTELL」の文字よりなる商標であり、甲第16号証はホームページの周知・著名商標の写しで、登録第1361683号商標(甲第14号証の商標)が認められる。 (エ)甲第17号証は、(株)研究社発行の「リーダーズ・プラス」の1642頁に「『Martell[発音の表記]』として、n.【商標】マーテル《フランスMartell&Co.製のコニャック》…」の記述が認められる。 甲第18号証は、(株)白水社発行の「フランス料理用語事典」の164頁に「『Martell[マルテル]』として、男 コニャック商標名及び(これ続く表示が赤線で覆われ)ット酒商標名」の記述が認められる。 (オ)甲第19号証及び甲第20号証は、キリンホールディング(株)のホームページと読売新聞の2005年8月29日付け(電子版)の写しで、前者にはキリンビール事業紹介として「■酒類、飲料、医薬に次ぐ健康・機能食品事業の構築」の項にその内容が記述され、後者には「ペルノ・リカール、世界2位の酒類企業に」の見出しの下に「マーテル」の表示が認められる。 ウ 以上よりすると、上記1と同様に、申立人が商品「コニャック」に使用している商標は、殆ど「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」であり、「マルテル」については、わずかに、「MARTELL」と「マルテル」の文字よりなる商標(甲第14号証及び甲第16号証)と、フランスの料理用語事典に商標名として「マルテル」(甲第18号証)の表示が認められるのみであって、しかも甲第16号証の商標は、甲第14号証の登録商標(登録第1361683号)に基づくもので、昭和53年11月30日に登録されたものものである。また、甲第18号証は、「フランス料理用語事典」((株)白水社発行)であり、当然、フランス語の発音表記として「マルテル」と表記されるものと考えられる。 そうすると、本件商標の登録出願日である平成18年8月30日及び登録査定日である同19年2月19日においては、申立人が商品「コニャック」に実際に使用している商標は、殆ど「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」であって、「マルテル」ではないというべきである。そして、このことは甲第3号証、甲第17号証及び甲第20号証によっても裏付けられるものである。 一方、「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」が商品「薬剤」について使用されていることを示す証拠は何ら提出されていない。 してみれば、申立人の提出に係る各甲号証によっては、「マルテル」が商品「コニャック」に使用する商標として、本件商標の登録出願前及び登録査定時点で我が国において需要者の間に広く認識されていた商標とまではいい難いものである。 (2)申立人商標「MARTELL」外と本件商標「マルテル」との混同について 上記(1)のとおり、申立人が、商品「コニャック」に実際に使用している商標は、「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」である。 一方、本件商標は、「マルテル」の片仮名文字よりなり、指定商品を第5類「薬剤」とするものである。 そこで、申立人が商品「コニャック」に実際に使用している「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」と、指定商品を第5類「薬剤」とする本件商標は、「マルテル」との類似性の程度と指定商品の関連性の程度についてみるに、両者の称呼は長音を含めて共にわずか4音という短音構成からなり、前者は「マ」音に続く音が長音「ー」であり、後者は「マ」音に続く音が「ル」であり、両者を一連に称呼すると音感、音調が明らかに異なるものといえ、外観はもとより、観念の点についても商標として類似性の低い別異のものというのが相当である。 また、本件商標の指定商品は「薬剤」全般であるのに対し、申立人が実際に使用している「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」商標は、個別特定の商品といえる「コニャック」に使用しているものであるから、昨今企業の多角経営が進んでいるとしても、両商品の関連性の程度それほど高いとはいい難いものである。 以上を総合すると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、商品「コニャック」に使用されている「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」商標ないしは申立人を想起、連想するようなことはなく、該商品が申立人又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如くその出所について混同を生ずるおそれもないというべきであるから、本件商標は同法第4条第1項第15号に該当するものではない。 3 商標法第4条第1項第19号及び同第7号について 本件商標は、上記のとおり、商品「コニャック」に使用されている「MARTELL」、「Martell」、「マーテル」商標を想起、連想するようなことはなく、これらの商標を剽窃したものでもなく、不正の目的をもって使用するものでもないというべきであり、かつ、本件商標をその指定役務について使用しても、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものではなく、国際信義に反するものでもないというべきである。 4 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反してされたものではない。 したがって、本件商標は、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2007-12-20 |
出願番号 | 商願2006-80373(T2006-80373) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(Y05)
T 1 651・ 22- Y (Y05) T 1 651・ 23- Y (Y05) T 1 651・ 222- Y (Y05) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 高橋 謙司 |
特許庁審判長 |
小林 和男 |
特許庁審判官 |
小川 きみえ 石田 清 |
登録日 | 2007-03-30 |
登録番号 | 商標登録第5036971号(T5036971) |
権利者 | キッセイ薬品工業株式会社 |
商標の称呼 | マルテル |
代理人 | 太田 恵一 |