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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Y25
管理番号 1175803 
審判番号 不服2005-17071 
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-05 
確定日 2008-03-14 
事件の表示 商願2002-105619拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ファミリアピーターラビット」の文字を標準文字で書してなり、第25類「乳幼児及び子供用被服」を指定商品として、平成14年12月13日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下の理由(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、「ファミリアピーターラビット」の文字を書してなるところ、その構成中の「ピーターラビット」は、ヘレン・ベアトリクス・ポターが創作したピーターラビットという名のうさぎを主人公とした「ピーターラビット」であり、フレデリック・ウォーン・アンド・カンパニー・リミテッドが、債権者商品化事業のエージェントとしてライセンス契約することから、フレデリック・ウォーン・アンド・カンパニー・リミテッドと出願人である株式会社ファミリアとの間で商標の使用許諾に関するライセンス契約期間が満了し、再ライセンス契約していないときは、正当な権限を有する者以外の者に商標登録を認めることとなり、公正な商取引の秩序を乱し、さらに、我が国の国際的な信頼も損なうおそれがあると言うべきであり、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害するおそれがある商標に該当するものと言わざると得ない。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(2)本願商標は、「ファミリアピーターラビット」の文字を書してなるところ、その構成中の「ピーターラビット」の部分は、ヘレン・ベアトリクス・ポターが創作したピーターラビットという名のうさぎを主人公とした「ピーターラビット」であり、「ピーターラビット」は、絵本、図書券、図書カード、被服、カバン、縫いぐるみ等の商品に使用した結果、本願商標の出願前から需要者の間に広く知られているから、この商標登録出願に係る商標の構成中の語頭部に「ファミリア」の文字を有してなるとしても、本願商標をその指定商品に使用したとき、これに接する需要者は、「ピーターラビット」の部分に注目し、本願の指定商品がフレデリック・ウォーン・アンド・カンパニー・リミテッドと組織的又は経済的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがあるものである。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 当審の判断
(1)「ピーターラビット」の文字の著名性について
原審において提出された平成15年8月8日付けの刊行物等提出書(甲第2号証)及び平成15年11月19日付けの手続補足書(第4号証)によれば、東京地裁平成12年(ワ)第14226号不正競争行為差止等請求事件及び東京地裁平成14年(ワ)第4485号不正競争行為差止請求権不存在確認等請求事件(平成14年12月27日言渡)の判決において、以下の事実を認めることができる。
フレデリック・ウォーン・アンド・カンパニー・リミテッド(以下、「フレデリック・ウォーン社」という。)は、ベアトリックス・ポターが創作したピーターラビットという名のうさぎを主人公とする絵本の出版を1901年に開始し、1903年にはピーターラビットの人形について英国特許を取得して、ピーターラビットの商品化事業を開始した。
その後、フレデリック・ウォーン社は日本を含む全世界においてピーターラビットの商品化事業の拡大を図り、現在フレデリック・ウォーン社の商品化事業のライセンシーは世界中で350社を数え、1999年度の年間ロイヤリティは1400万ドル、日本におけるライセンシーの数は平成12年現在47社、平成10年度の年間売上高は約8億4000万円に上っている。なお、フレデリック・ウォーン社の商品化事業の領域は、金融、アパレル、日用品等極めて広い業種にわたっており、かつ、地理的にも日本全国に及んでいる。
我が国においては、フレデリック・ウォーン社のライセンシーとして、請求人のみならず、キューピー株式会社(昭和56年)、三菱信託銀行株式会社(昭和63年)、積水化学工業株式会社(平成5年)、日本図書普及協会(平成5年)、株式会社日食(平成6年)、福音館(昭和51年)等をはじめ、多数の企業が「ピーターラビット」「PETER RABBIT」「Peter Rabbit」標章(以下、「引用商標」という。)を使用していた。
ピーターラビットに関するマーケティングデータと題する報告書に記載された、3-12才の児童を持つ母親600人を対象としたキャラクター認知度調査によると、ピーターラビットのキャラクターはミッキーマウス、スヌーピー等世界的に知られているキャラクターと同様に広く知られているとの結果が出ている。
してみると、我が国有数の企業ともいえる上記企業が、ライセンシーとして、多分野にわたって引用商標を使用していた事実を考慮すれば、その結果、引用商標は、本願商標の登録出願時までには、フレデリック・ウォーン社又は同社と商品化事業に関してライセンス契約を締結しているライセンシーで構成されるグループの業務に係る商品を表す標章として、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されていたものであり、その状態は現在も継続しているものと認められる。
また、このことは、前述した東京地裁判決によっても、商標法と不正競争防止法という違いはあるものの、同旨の認定判断がなされていることからも首肯し得るものである。

(2)商品の出所の混同のおそれについて
本願商標の構成は、「ファミリア」の文字と「ピーターラビット」の文字とを結合したものと理解されるものであり、その全体より特定の意味合いを有する成語として、一般に認識されているとも認められず、他に、これを常に一体不可分のものとして認識されるべき格別の理由も見出し難いものである。
そうすると、「ファミリアピーターラビット」の文字からなる本願商標に接する取引者、需要者は、「ファミリア」の文字部分を、子供服を中心とするアパレルメーカーであり、我が国において周知な「株式会社ファミリア」の代表的出所標識として認識するとしても、前記(1)において、その著名性を認定した「ピーターラビット」の文字を有してなるものであるから、該文字部分に着目し、強く印象づけられるというのが相当である。
また、本願の指定商品である「乳幼児及び子供用被服」と、フレデリック・ウォーン社が商品化事業の一つとする乳幼児・子供用衣料品とは、商品の販売場所及び取引者、需要者等の相当部分が共通している極めて密接な関連性を有している商品といえるものである。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、構成中の「ピーターラビット」の文字部分に着目し、これよりピーターラビットの商品化事業を行っているフレデリック・ウォーン社又は同社と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、「自ら『PETERRABBIT』の商標登録を取得、保有し、乳幼児及び子供用被服に使用してきた。拒絶理由2において列挙されている各商品のうち、被服については、請求人が長期間にわたってその登録商標を使用した結果、周知著名となった商品分野である。そして、合意書(意見書 第3号証)が示すように、請求人が単なるライセンシーの立場ではなく、商標権者であり、フレデリック・ウォーン社もその立場を尊重していたことは、前述のとおりである。したがって、被服についてフレデリック・ウォーン社の出所表示として、請求人の本件出願を拒絶するのは、本末転倒である。」旨主張するが、請求人が所有する登録第1152746号商標の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、その確定審決の登録が平成19年3月27日及び同19年4月19日になされているものである。
したがって、本願商標を商標法第4項第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、他の拒絶理由について論ずるまでもなく、妥当なものであるから、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-01-15 
結審通知日 2008-01-16 
審決日 2008-01-29 
出願番号 商願2002-105619(T2002-105619) 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 謙三澁谷 良雄 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 平澤 芳行
杉山 和江
商標の称呼 ファミリアピーターラビット、ファミリア、ピーターラビット 
代理人 小野 昌延 
代理人 井上 周一 
代理人 三山 峻司 
代理人 中川 博司 

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