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審決分類 |
審判 一部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29 |
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管理番号 | 1172804 |
審判番号 | 無効2007-890030 |
総通号数 | 99 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2008-03-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2007-03-13 |
確定日 | 2008-02-05 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4803392号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4803392号の指定商品中「第29類 干し柿,柿を用いた加工果実」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4803392号商標(以下「本件商標」という。)は、「柿日和」の文字を縦書きしてなり、平成15年11月21日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,野菜サラダ,魚介類を使用してなるサラダ,フルーツサラダ,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」、第30類「コーヒー及びココア,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン 」及び第31類「生花の花輪,釣り用餌,ホップ,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽,あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,うるしの実,未加工のコルク,やしの実」を指定商品として、平成16年9月17日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第64号証を提出した。 (1)本件商標の登録無効の理由 本件商標は、少なくとも本件商標の登録出願日前には、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている「干し柿,柿を用いた加工果実」に使用されている商標「柿日和」と同一又は類似の商標であるので、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。 (2)商標「柿日和」の周知性について 請求人は、自己の業務に係る商品「干し柿,柿を用いた加工果実」について商標「柿日和」を平成3年から現在に至るまでの長期間に亘って使用している。 商標「柿日和」が使用された「干し柿,柿を用いた加工果実」は、平成3年頃から現在に至るまで、各所で販売されている(甲第3号証ないし甲第10号証)。 この請求人の商品は、奈良県特産の富有柿を約1cm程度の厚さにスライスしたものを天日干ししたものである。 商標「柿日和」が使用された「干し柿,柿を用いた加工果実」の売上は、甲第11号証及び甲第54号証にも示すように、以下のとおりである。 平成3年度 7,933,789円 平成4年度 8,818,426円 平成5年度 9,454,089円 平成6年度 14,202,195円 平成7年度 17,577,832円 平成8年度 18,329,758円 平成9年度 18,320,000円 平成10年度 24,183,701円 平成11年度 22,237,020円 平成12年度 17,313,315円 平成13年度 24,407,591円 平成14年度 24,723,059円 平成15年度 23,097,716円 平成16年度 28,473,705円 平成17年度 34,710,632円 平成18年度 38,688,830円 これからも判るように、商標「柿日和」が使用された「干し柿,柿を用いた加工果実」の売上は年々上昇している。 商品「干し柿,柿を用いた加工果実」について、引用商標は、甲第3号証ないし甲第12号証、甲第36号証ないし甲第38号証、甲第43号証ない甲第45号証、甲第52号証、甲第53号証に示すように、幅広く使用されている。 そして、商標「柿日和」は、甲第13号証ないし甲第35号証、甲第47号証ないし甲第48号証に示すように少なくとも「干し柿,柿を用いた加工果実」において周知である。なお、甲第13号証ないし甲第35号証、甲第47号証ないし甲第48号証の証明者は、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」を販売している販売業者等である。 これらの各甲号証においては、請求人が「干し柿,柿を用いた加工果実」に使用する商標「柿日和」が、少なくとも本件商標の登録出願日である平成15年11月21日前には需要者の間に広く認識されていることが証明されている。 また、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、日本商工会議所、全国観光土産品連盟共催の第32回全国推奨観光土産品審査会の賞状を平成4年2月5日に(甲第39号証)、日本商工会議所と全国観光土産品連盟との共催による第32回全国推奨観光土産品審査会の推奨状を平成4年4月1日に(甲第40号証)、奈良県観光土産品連盟主催の第23回奈良優良観光土産品推奨審査会における奈良県産業共励会会長賞を平成5年12月3日に(甲第12号証)を受けている。 さらに、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、1998年11月5日発行の雑誌「サライ」(小学館発行:第10巻第21号通巻220号)に写真とともに紹介されている(甲第41号証)。ここには、「西吉野村特産の富有柿をスライスし、長時間乾燥させた、柿チップ『柿日和/80g入り450 円』。天然の甘味が癖になるほど美味。商品は富有柿、松本早生富有柿を始め、奈良産の柿を使用。」との紹介文も掲載されている。そして、取り寄せ情報として第113頁に、請求人の社名及び電話番号が掲載されている。 この雑誌「サライ」の記事は、とじ込み付録であって、「秋を丸ごと柿図鑑」と称し、各地の柿を用いた商品を取り寄せ情報とともに掲載したものである。一般に、雑誌に商品が掲載された販売元には、掲載雑誌が見本として贈られるのが出版界の一般的な慣行であり、請求人の元にも掲載雑誌が贈られてきた。したがって、この雑誌に掲載された商品の販売元、特に「秋を丸ごと柿図鑑」に商品を掲載された販売元においては、「秋を丸ごと柿図鑑」の記事を細かく見ることが考えられ、柿を商品として取り扱う販売元にあっては、請求人の業務に係る商品として請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」があることを知るに至ったと考えるのが普通である。 また、平成10年11月23日には、奈良放送の「関西新名所百選」にて、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」を含む商品が紹介された。同様に平成10年11月項には、朝日放送(ABC)の「街かどチャチャチャ」にて、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」を含む商品が紹介された。 これらの証明書、表彰、マスコミ媒体への掲載、露出をみても、商標「柿日和」が請求人の業務に係る商品である「干し柿、柿を用いた加工果実」を表示する商標として需要者の間に広く認識されていることは容易に理解できる。 (3)本件商標と商標「柿日和」との関係について 本件商標は、縦書きの「柿日和」の文字からなり、上記1に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 本件商標は、請求人の業務に係る「干し柿、柿を用いた加工果実」について使用している周知商標である「柿日和」と書体は異なるが同一の文字を並べたものであり、同一の称呼が生じることは明白である。 したがって、本件商標は、その指定商品のうち「干し柿,柿を用いた加工果実」については、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用するものとして、商標法第4条第1項第10号に該当する。 また、被請求人は、紀伊半島一円、特に西吉野村(現西吉野町)において梅・柿・玉葱・みかん・びわ・桃・すいか・生妻・野菜などの農産物を生産している生産者のグループである(甲第46号証)。 そして、被請求人である株式会社パンドラファーム(以下「パンドラファーム」という。)は、請求人の所在地である奈良県五條市西吉野町八ツ川 458番地と同地域内であり、極めて近い奈良県吉野郡西吉野村大字湯塩143番地に所在しており、パンドラファームの代表者である王隠堂政見氏を始めとして生産者は現五條市西吉野町の住民である。 総人口が3900人余りの五條市西吉野町のような地域のごく近所において、請求人が商標「柿日和」を使用した「干し柿、柿を用いた加工果実」について営業活動を行っているにも拘わらず、請求人の業務に係る商品の商標として需要者の間に周知になっている商標「柿日和」と同一の文字「柿日和」からなる商標を登録出願するという行為は、請求人の商標「柿日和」に化体した業務上の信用にただ乗りし、請求人の商標「柿日和」の顧客吸引力をもって自己の業務に係る商品「干し柿、柿を用いた加工果実」等に利用することを目的としたものと考えられる。 また、請求人と所在地が極めて近い被請求人が、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」を知らなかったとするのは極めて不自然である。 さらに、請求人のもとには、甲第42号証に示すように、被請求人であるパンドラファームの関連会社である有限会社大紀コープファームが販売する柿と干し柿の詰合せセットが、請求人の商品であるか否かの問い合わせが寄せられている。かかる問い合わせは、請求人の商標「柿日和」が需要者の間で周知でなければあり得ないものである。 請求人は、この情報の提供を受けて、カタログ発行者である首都圏コープ事業連合に対して、商標「柿日和」と同一の商標を同一又は類似の商品に使用することを中止して貰いたい旨を強く抗議した。にも拘わらず、パンドラファームは、平成15年11月21日に本件商標の登録出願をした。 なお、王隠堂政見氏は、農業生産法人有限会社王隠堂農園の代表取締役であり、かつ被請求人の代表取締役であることが判明した(甲第49号証)。また、同氏は、有限会社大紀コープファームの代表取締役であることも判明した(甲第51号証)。 さらに、前記雑誌「サライ」(甲第41号証)には、パンドラファームの生産者代表である王隠堂政見氏の商品である冷凍柿が写真とともに紹介されている。王隠堂氏が、パンドラファームの生産者代表であることは、パンドラファームの登記簿謄本(甲第49号証)からも明らかである。 また、前記雑誌「サライ」(甲第41号証)の請求人の「柿日和」が紹介された次の頁には、パンドラファームの関係者である王隠堂氏の冷凍柿が紹介されていることからしても、パンドラファームが、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」の存在を知らなかったとすることには無理があり、知っていたとすることの方が自然である。にも拘わらず、被請求人は、あえて本件商標の登録出願をして、商標登録を受けたものである。 このことからは、被請求人は請求人の商標「柿日和」が需要者の間に周知であることから生じる顧客吸引力を自社の商品に利用しようとしたことが窺える。 また、登録異議2003-90185号によって、パンドラファームの登録第4635286号商標「柿日和」は、その指定商品中「干し柿,柿を用いた加工果実」について商標登録を取り消す旨の異議の決定を受けている(甲第55号証)。 本件商標と、前記登録商標とでは、縦書きと横書き、筆文字とゴチック体という相違点はあるが、称呼が同一の類似商標であることは疑いがない。 前記の登録異議2003-90185号は、平成15年4月11日に申し立てられ、異議の決定は平成17年6月22日に行われている。そして、取消理由通知は、平成15年9月12日に行われている。 本件商標の登録出願日が、取消理由通知の直後であることからして、前記登録商標が取り消されるのを見越して、本件商標の登録出願をしたものであることは明白である。 なお、甲第1号証から甲第53号証のうち、甲第43号証ないし甲第46号証、甲第49号証ないし甲第52号証以外は、前記登録異議の申立ての際に用いた証拠である。この登録異議の申立て後の証拠としては、下記のものがある。 請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、2005年3月20日発行の書籍「平翠軒のうまいもの帳」(中島茂信著)に写真とともに紹介されている(甲第56号証)。ここには、「皮をむいた奈良産の富有柿を1センチにスライスして、長時間乾燥させて作ったのが”柿日和“です。」との紹介文も掲載されている。 請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、2006年11月1日発行の雑誌「健康」(株式会社主婦の友社発行:第31巻第11号)に写真とともに紹介されている(甲第57号証)。ここには、「『柿日和』( 80g・472円)石井物産電話0747・34・0518 奈良県吉野産の富有柿をていねいに皮むきし、厚くスライスして乾燥させた干し柿」との紹介文も掲載されている。 請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、2007年2月1日発行の雑誌「天然生活」(株式会社地球丸発行:第4巻第2号通巻24号)の「お取り寄せ特集」に写真とともに紹介されている(甲第58号証)。ここには、「『まるごと干し柿より、私は断然、こっちが好き! 』と、有子さん絶賛のおやつ『柿日和』は、厚くスライスした富有柿を干したもの。サラダに入れたり、焼き菓子に混ぜたり、あんこと合わせたりしてもおいしいのでは・・・と思案中。」との紹介文も掲載されている。そして、取り寄せ情報として前記記事の下方に、請求人の社名、所在地及び電話番号等が掲載されている。 請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、平成19年1月25日発行の雑誌「ぱ?ぷる」(株式会社エヌ・アイ・プランニング発行)の「SWEETなお取り寄せ」に写真とともに紹介されている(甲第59号証)。ここには、「西吉野町の特産、富有柿の自然な甘さがぎゅっと濃縮」との紹介文も掲載されている。そして、取り寄せ情報として前記記事の下方に、請求人の社名、所在地及び電話番号等が掲載されている。なお、この「ぱ?ぷる」の表紙には、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」の包材の写真が掲載されている。 さらに、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、平成16年11月27日発行の毎日新聞の奈良地方版に紹介されている(甲第60号証)。この紹介記事では、請求人の代表者である石井光洋が「柿日和」を手にした写真が掲載されている。 また、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、奈良市民生活協同組合の2006年5月1日発行の「COMET2」の「うまいもの通信」欄にも写真とともに掲載されている(甲第61号証)。 さらに、近鉄百貨店発行のちらし(甲第62号証)にも、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」が写真とともに掲載されている。このちらしは、平成18年の4月13日(木)から19日(水)の奈良店で行われた「第3回京阪神と奈良の味めぐり」と題されたいわゆる物産展のための広告であり、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」が、奈良のコーナーでは最も大きく写真とともに掲載されている。 また、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、奈良新聞社発行の2005年12月9日の「ならリビング」の第4頁にも紹介されている(甲第63号証)。 さらに、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、財団法人中小企業診断協会奈良県支部が平成19年1月に発行した「奈良の新しいみやげ品開発に向けた実態調査報告書」の第20頁にも紹介されている(甲第64号証)この報告書では、「第4章特産品・みやげ品開発取組み事例」の二番めに「 2.地域特産の『柿』の商品化への挑戦」と題されて、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」が紹介されている。 このように、登録異議2003-90185号の異議の決定以降にも、請求人の干し柿、柿を用いた加工果実「柿日和」は、多くのマスコミ媒体への掲載、露出がされており、その売上高も上昇の一方であることからしても、周知著名性を高めていることは疑いがない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の「干し柿,柿を用いた加工果実」について、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから、同法第46条第1項によりその登録を無効とすべきである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、何ら答弁していない。 第4 当審の判断 (1)請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 請求人は、「柿日和」の文字からなる商標(以下、「引用商標」という。)を「皮を剥いた富有柿を約1cm程度の厚さにスライスして天日乾燥させた加工果実」に、平成3年頃から使用し(甲第7号証)、以降継続して使用している。(以下、「引用商標を使用した当該商品」を「使用商品」という。) 使用商品の紹介記事が、平成3年奈良県広域地域地場振興センター発行の「第3回なら・グッドデザイン展報告書」、平成8年全国商工会連合会発行の「ふるさと特産品情報’96 マルシェ」、平成7年やまと郵趣会発行の「ふるさと奈良めーる」、平成14年株式会社ウーマンライフ新聞社発行の「どこいこ奈良を食べる」に掲載されたことが認められる。(甲第7号証ないし甲第10号証) そして、使用商品が、平成4年2月5日及び平成4年4月1日に、日本商工会議所及び全国観光土産品連盟共催の第32回全国推奨観光土産品審査会において表彰されたこと、及び、平成5年12月3日に、奈良県産業共励会会長賞を受賞したことが認められる(甲第39号証及び甲第40号証、甲第12号証)。 また、使用商品の広告が、平成4年4月24日付、平成6年7月30日付及び平成8年8月22日付けの奈良新聞、平成13年11月の近鉄百貨店のビラに掲載されたこと、及び、平成10年11月5日発売の雑誌「サライ」において、使用商品が紹介されたことが認められる。(甲第36号証ないし甲第38号証、甲第53号証、甲第41号証) 請求人の業務に係る使用商品の取引先は、同人提出の「証明書」に係る証明者の所在地からみると、奈良県内に止まらず、岡山、大阪、長野、東京、埼玉、青森の各都県に及ぶと推認される(甲第13号証ないし甲第35号証、甲第47号証及び甲第48号証)。さらに、請求人は、商品カタログやインターネットのホームページに使用商品を掲載し、全国からの注文に応じる体制を採っていることが認められる(甲第3号証及び甲第5号証、甲第43号証ないし甲第45号証)。 (2) 以上を総合すれば、引用商標は、平成3年以降継続して請求人の業務に係る「富有柿を1cm程度にスライスして天日乾燥させた加工果実」に使用された結果、奈良県を中心としてその周辺地域をはじめ、全国の各地に及ぶ範囲において、本件商標の登録査定時はもとよりその出願時には既に、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っていたと認めることができる。 (3)本件商標は、「柿日和」の文字を縦書きしてなるものであり、一方、引用商標は、「柿日和」の文字をもって構成されるものである。そこで、本件商標と引用商標を比較すると、両商標は書体においては相違するとしても、その構成文字列「柿日和」を同じくするものであるから、本件商標は、引用商標に類似する商標というべきである。 また、本件商標の指定商品中の「干し柿,柿を用いた加工果実」は、請求人の業務に係る使用商品とは、同一又は類似の商品と認められるものである。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標に類似する商標であり、かつ、その商品又はこれに類似する商品について使用するものといわなければならないから、その指定商品中「干し柿,柿を用いた加工果実」については、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。 第5 むすび 以上のとおり、本件商標は、指定商品中の「干し柿,柿を用いた加工果実」については、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたと認められるから、同法第46条第1項により、その登録を無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-12-05 |
結審通知日 | 2007-12-07 |
審決日 | 2007-12-18 |
出願番号 | 商願2003-103582(T2003-103582) |
審決分類 |
T
1
12・
25-
Z
(Y29)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 深沢 美沙子 |
特許庁審判長 |
林 二郎 |
特許庁審判官 |
杉山 和江 鈴木 修 |
登録日 | 2004-09-17 |
登録番号 | 商標登録第4803392号(T4803392) |
商標の称呼 | カキビヨリ、ヒヨリ |
代理人 | 大西 正夫 |
代理人 | 大西 孝治 |